アルトの電球をLEDにするとき、8代目の HA36S と9代目の HA37S/HA97S では、電球の規格も外し方も違う。9代目はさらにヘッドランプがハロゲンかLEDかで分かれ、LEDヘッドランプ車には電球だけを替えられないランプがある。まず車検証で自分の世代と仕様を確かめてから、部位別の規格と外し方へ進もう。
替えられる箇所は世代とヘッドランプの仕様で決まる
電球の適合表では、8代目 HA36S が2014年12月から2021年11月、9代目 HA37S/HA97S が2021年12月からの現行モデルにあたる。どちらに乗っているかは、車検証(自動車検査証)の型式欄で確かめる。型式はハイフンの前後に分かれていて、後ろ側が HA36S なら8代目、HA37S か HA97S なら9代目だ。
9代目はヘッドランプの仕様も確かめておきたい。スズキの公式サイトの現行ラインアップでは、HYBRID X、HYBRID S の LEDヘッドランプ装着車、L のアップグレードパッケージ装着車が LEDヘッドランプで、HYBRID S・L・A はハロゲンヘッドランプだ。HYBRID S と L の LEDヘッドランプはメーカーオプションなので、同じグレード名でも購入時の選び方で仕様が変わる。
この区別が要るのは、スズキの取扱説明書では LEDヘッドライト、LEDヘッドライト車の車幅灯、フェンダーの方向指示器、ハイマウントストップランプが非分解式とされているからだ。これらは電球だけを替えられずランプ本体の交換になり、点検や交換は販売店か代理店への相談が案内されている。9代目の LEDヘッドランプ車は、ヘッドライトと車幅灯がDIYの対象にならない。 仕様がはっきりしないときは、替える予定の電球を1本外して口金と刻印を見てから買えばいい。
型式ごとの電球型番だけを一覧で見たいなら、次の早見表が使える。
8代目 HA36S の部位別の電球規格
標準グレード(ハロゲン車)の部位別規格
電球メーカーの適合表と取扱説明書による規格は次のとおり(括弧内は取扱説明書の型式)。
| 部位 | 電球の規格 |
|---|---|
| ヘッドライト | H4 12V60/55W(ロー・ハイ兼用。ハイビーム専用の電球はない) |
| ポジション(車幅灯) | T10 12V5W(W5W) |
| フロントウインカー | S25ピン角違い 12V21Wアンバー(PY21W) |
| サイドウインカー | フェンダーまたはドアミラー。非分解式で電球のみの交換はできない |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー(WY21W) |
| テール・ストップ | T20ダブル 12V21/5W(W21/5W) |
| ハイマウントストップ | S25シングル 12V21W(P21W) |
| バックランプ | T16 12V16W(18W)(W16W) |
| ナンバー灯 | T10 12V5W(W5W) |
| 室内灯(フロントのみ) | T10 12V8W |
ターボRSはヘッドライトがHID
ターボRS(適合表では2015年5月から2021年11月の区分)は、ロービームが HID(D4S)42V35W だ。取扱説明書の容量表でも、ハロゲン仕様車が 60/55W(H4)、ディスチャージ仕様車が 35W(D4S)と分けて書かれている。
8代目の取扱説明書では、ディスチャージ仕様車のヘッドライトの電球交換は高電圧による感電のおそれがあるので行なわないこととし、交換はスズキの販売店か代理店に相談するよう案内している。ターボRSのヘッドライトは、自分でLED化する対象から外す。 ヘッドライトとフォグランプ以外の箇所は標準グレードと同じ規格だ。
フォグランプは外して刻印を確かめる
8代目のフォグランプは、出典で記載が食い違う。取扱説明書(2015年3月の初版と2020年10月版)の容量表ではフォグランプは 19W(H16)の1行だけで、H8 の記載はない。一方、電球メーカーの適合表は標準の HA36S を H8 12V35W、ターボRSを H16 12V19W としている。フォグランプの電球は、外して刻印が H8 か H16 かを見てから買う。 外し方は後半の H4 の節で示す。
アルトワークス HA36S の手順は別の記事にまとめている。
9代目 HA37S/HA97S の部位別の電球規格
ハロゲン車とLED車の部位別規格
| 部位 | ハロゲンヘッドランプ車 | LEDヘッドランプ車 |
|---|---|---|
| ヘッドライト | H4 12V60/55W | LED(電球の設定なし) |
| フォグランプ | LED | LED |
| ポジション(車幅灯) | T10 12V5W(W5W) | LED(電球の設定なし) |
| フロント・リアウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー(WY21W) | 同左 |
| サイドウインカー | フェンダー。非分解式 | 同左 |
| テール・ストップ | T20 12V21/5W(W21/5W) | 同左 |
| ハイマウントストップ | LED | LED |
| バックランプ | T16 12V16W(18W)(W16W) | 同左 |
| ナンバー灯 | T10 12V5W(W5W) | 同左 |
| 室内灯(フロントのみ) | T10×31 12V10W | 同左 |
取扱説明書は、ポジション・ウインカー・テールとストップ・バックランプ・ナンバー灯の電球をウエッジタイプとしている。
どちらの仕様でも替えられる箇所
どちらの仕様でも電球が残っているのは、前後のウインカー、テールとストップ、バックランプ、ナンバー灯、室内灯だ。ハロゲン車はこれにヘッドライトの H4 とポジションの T10 が加わる。
8代目から変わったフロントウインカーと室内灯
8代目と比べると、フロントウインカーが S25ピン角違い(PY21W)から T20ピンチ部違い(WY21W)に、室内灯が T10 12V8W から T10×31 12V10W に変わっている。どちらも口金の形が違うので、8代目用のものは9代目に流用できない。
作業前の準備と取りかかる順番
作業前の段取り
取扱説明書の「電球を交換するときは」の項目に沿って、次の段取りで始める。
- 安全で平らな場所に駐車し、パーキングブレーキを強くかける
- エンジンを止めて各ランプを消し、エンジンや排気管、電球が十分に冷えるまで待つ
- 部品で手や腕をけがしないよう、長袖の上着と手袋を着ける
- ハロゲン電球は高圧ガスが入っているので慎重に扱い、ガラス部分に素手で触れない(油が付くと早く切れる原因になる)
スズキの取扱説明書では、電球が切れたときはワット数と型式が同一の電球と交換するよう案内している。説明しているのは純正と同じ電球への交換で、LEDへの置き換えではない。 この記事の手順は、取扱説明書の電球の外し方をLEDへの差し替えに使うものだ。
買う前に外した電球と照合する
口金の呼び名は似ていても中身が違う。T10 は差し込んで使うウェッジ形、T10×31 は両端を金具で挟む管型で、同じ T10 で始まっても入れ替えられない。ウインカーの S25ピン角違いと T20ピンチ部違いも差し込み口の形が別物だ。適合表の 12V16W(18W) の括弧は、16W が ECE規格、18W が旧JIS規格での表示電力で、製造時期で表示が違うだけで特性は変わらないとされている。
電球メーカーの車種別電球適合表によると、年式・型式・タイプ・グレードが一致していても、特別仕様車などの条件で電球の形状が記載と異なる場合があるので、購入前に車両に付いている電球の形状・定格と一致しているか確認するよう注記されている。表中の or は、同じ型式でもタイプやグレードで違う電球を使っている印だ。外した電球と新しいLEDを並べ、口金の形と長さが合っているかを差し込む前に確かめる。
手を付ける順番
最初は室内灯がいい。レンズを外して差し替えるだけで済む。次がナンバー灯で、レンズを外す小さな作業だ。リヤのランプはランプ全体を外すのでボルトやクリップを扱い、ポジションとフロントウインカーはボンネットを開けてエンジンルーム側から手を入れる。ヘッドライトは配光と検査の色が絡むので最後に回す。
ルームランプ(室内灯)の交換手順と世代別の専用品
室内灯は両世代ともフロントの1か所だけだが、8代目が T10 12V8W、9代目が T10×31 12V10W で形が違う。LEDルームランプの専用品も世代ごとに別で、販売ページの適合表記も8代目向けは HA36系、9代目向けは HA37S/HA97S と分かれている。買う前に、適合表記の型式を車検証と照らし合わせる。
交換の手順
前席室内灯のスイッチは ON・DOOR・OFF の3位置で、DOOR はいずれかのドアを開けると点灯する。
- スイッチを OFF にする
- レンズを外す。9代目は取扱説明書のとおり、先端に布をかぶせたマイナスドライバーを使う。8代目の取扱説明書にはレンズの外し方の図解がないので、専用品に付属する内張りはがしと説明書に従う
- 純正の電球を抜き、LEDを差し込む。販売ページには、ショート防止のため金属類の工具を使わないよう書かれた商品もある
- レンズを戻す前にスイッチを ON にして点灯を確かめ、DOOR 位置でドアの開閉に合わせて点灯・消灯するかも見る
- 外したときと逆の手順でレンズを戻す
エンジンスイッチが OFF のまま室内灯が15分間点灯し続けると、鉛バッテリー保護のため自動で消える(8代目は DOOR 位置であることも条件)。取扱説明書はエンジン停止中に長時間点灯させないよう注意しているので、確認が済んだらスイッチを戻しておく。
8代目 HA36S 用の専用品
スフィアライトの SLRM-41 は、販売ページの記載では対応型式がアルト HA24系・HA25系・HA36系(平成16年9月から令和3年11月)で、フロントランプ(49チップ)1個と内張りはがしセットが入る。発光色はホワイト、DC12V 対応、保証は購入から1年間で、ゴースト(微点灯)対策済みとされている。8代目は取扱説明書にレンズの外し方が載っていないので、内張りはがしが付くこのセットを最初に勧める。
スフィアライト アルト HA36系用 LEDルームランプセット SLRM-41
白い光より純正に近い暖かい色味にしたいなら、3000K のウォームホワイト(電球色)の専用品がある。販売ページの適合表記は HA36S のアルトワークスとターボRS、HA36V のアルトで、フロントランプ1個に取り付け説明書が付く。
HA36S/HA36V アルト用 LEDルームランプ 電球色3000K
9代目 HA37S/HA97S 用の専用品
スフィアライトの SLRM-50 は、販売ページの記載では対応型式がアルト HA97S/HA37S(令和3年12月から)で、フロントランプ(27チップ)1個と内張りはがしセットが入る。発光色はホワイト、DC12V 対応、保証は購入から1年間、ゴースト対策済みとされている。工具まで1箱でそろえたいならこちらだ。
スフィアライト アルト HA37S/HA97S用 LEDルームランプセット SLRM-50
LMMC の専用品は、販売ページの記載では微電流カットリレーを内蔵してゴースト点灯を防ぐとされ、消費電力は純正のフロント10Wに対して1.8Wと案内されている。保証は1年。消灯時の薄い光をできるだけ避けたいならこちらを選ぶ。
LMMC アルト HA37S/HA97S用 LEDルームランプ 微電流カットリレー内蔵
アルトワークス向けのルームランプを比べた記事もある。
ナンバー灯の交換手順
ナンバー灯は両世代とも T10(W5W)で、レンズの外し方だけが違う。
- 8代目: レンズを反時計方向にまわして外す
- 9代目: 先端に布をかぶせたマイナスドライバーでレンズを外す
どちらも電球を抜き差しして交換し、外したときと逆の手順で戻す。自動車の検査基準を定めた審査事務規程では、番号灯の灯光の色は白色と定められているので、白色のLEDを選ぶ。
リヤのランプ(バックランプ・リアウインカー・テール)の外し方
リヤコンビネーションランプは、ランプ全体を外してから電球を替える。
8代目 HA36S の外し方
- バンパー裏側のボルト2個を、バンパーの下側からプラスドライバーで外す
- クリップ1個を、フェンダーの内側からマイナスドライバーでこじって外す
- ランプ本体を車両の後方へ引いて外す
- 電球ソケットを反時計方向にまわして外し、電球を抜き差しする
戻すときは、クリップを取り付けてからボルトを取り付ける。
9代目 HA37S/HA97S の外し方
- バックドアを開け、ボルト2個を外す
- ランプ本体をまっすぐ車両後方へ引いて外す
- 制動灯と尾灯、方向指示器、後退灯のソケットを、それぞれ反時計方向にまわして外し、電球を抜き差しする
戻すときは、ランプ本体のクリップ2か所を車体側の穴にあわせて押し込む。後退灯(バックランプ)の灯光の色も白色と定められている(年式の古い車向けの従前規定には白色または淡黄色という記載が残る)。
8代目のハイマウントストップ
バックドアを開け、カバーを取扱説明書の図の矢印方向へスライドさせて外す。矢印方向以外に動かすとカバーのつめが破損するおそれがある。 電球ソケットを反時計方向にまわして外し、S25シングル(P21W)を抜き差しする。9代目のハイマウントストップは LED の非分解式なので対象外だ。
ポジションとフロントウインカーの交換手順
どちらもボンネットを開け、エンジンルームの中から作業する。
ポジション(車幅灯)
電球ソケットを反時計方向にまわして外し、T10(W5W)を抜き差しする。8代目のディスチャージ車は、先にカプラーをつめを押しながら外す。9代目で替えられるのはハロゲンヘッドライト車だけだ。
フロントウインカー
8代目はカプラーをつめを押しながら外してから、9代目はそのまま、電球ソケットを反時計方向にまわして外す。取扱説明書の図は代表例で、車のタイプにより異なるとされている。電球は8代目が S25ピン角違い(PY21W)、9代目が T20ピンチ部違い(WY21W)だ。方向指示器の灯光の色は、審査事務規程でだいだい色と定められている。LEDにすると点滅が速くなることがあるので、その対策は後半の切り分けの節で確かめてから買う。
H4 ヘッドライトと8代目のフォグランプ
H4 ヘッドライトの外し方
対象は8代目の標準グレードと9代目のハロゲンヘッドライト車だ。
- ボンネットを開ける
- カプラー本体を持ち、車両後方へまっすぐ引いて外す
- ゴムカバーのツマミを引いて外す
- 止め金を押しながらずらして固定フックから外し、電球を外す
戻すときは逆の手順で、止め金の固定状態は電球近くの穴を通して車両前方からも確認できる。
H4 をLEDにする前に確かめること
つまずきやすいのは規格より取り付けスペースだ。LEDバルブは放熱用のヒートシンクやファンが後ろに張り出すので、ゴムカバーが戻せるか、配線の逃げがあるかを買う前に確かめる。H4 は1本でロービームとハイビームを兼ねるので、発光部の位置が純正とそろっていないと配光が崩れる。すれ違い用前照灯(ロービーム)の灯光の色は白色と定められている。8代目ターボRSの HID と9代目の LEDヘッドランプ車は、この作業の対象外だ。
8代目で灯火類以外の外装・内装もいじるなら、こちらも参考になる。
8代目のフォグランプ
フォグランプはタイプ別装備で、付いている車だけが対象になる。
- エンジンをかけ、交換する側と同じ方向にハンドルをいっぱいにまわしてからエンジンを止める
- バンパー底部のクリップをマイナスドライバーでこじって外し、フェンダー内のカバーを一部めくる
- 内側からカプラーをツメを押しながら外す
- 電球(ソケット一体式)を反時計方向にまわして外す
戻すときは逆の手順で進める。ここで外した電球の刻印を見てから、LEDを買う。
点かない・点滅が速い・薄く光るときの切り分け
LEDが点かない
LEDには極性(プラスとマイナスの向き)がある。差し込んで点かないとき、多くは故障ではなく向きが逆なだけなので、抜いて向きを逆にして差し直す。レンズやカバーを戻す前に点灯を確かめるのは、このやり直しを減らすためだ。電球を替えても点かない、すぐ切れるときは、取扱説明書の案内どおり販売店で電気系統の点検を受ける。
ウインカーの点滅が速くなった
LEDは消費電力が下がるので、車両側が球切れと同じ状態と判定して点滅が速くなることがある(ハイフラッシャー)。取扱説明書にも、表示灯の点滅が異常に速くなったときは電球切れが考えられると書かれている。審査事務規程では、方向指示器は毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するものとされている。
対策は、抵抗を追加する、LED対応のウインカーリレーに替える、抵抗内蔵タイプのLEDバルブを選ぶ、のいずれかだ。前後どちらか片側だけを替えたときにも起きるので、ウインカーは対策とセットで考える。同じスズキの車での進め方は次の記事にもまとめている。
ルームランプが消えずに薄く光る
スイッチを切っているのに薄く光るのは微点灯(ゴースト)で、LEDが少ない電流でも光るために起きる、と販売ページで説明されている。気になるなら、微点灯対策済みや微電流カットリレー内蔵をうたう商品を選ぶ。上で紹介した専用品では、スフィアライトの2つが対策済み、LMMC がリレー内蔵とされている。
よくある質問
8代目用のLEDルームランプは9代目に使えますか
流用は考えないほうがいい。8代目は T10、9代目は T10×31 で形が違い、専用品の適合表記も世代で分かれている。
LEDヘッドランプ車のヘッドライトをLEDバルブに替えられますか
替えられない。9代目の LEDヘッドランプ車のヘッドライトは非分解式で、ランプ本体の交換になる。点検や交換は販売店に相談する。
ターボRSのヘッドライトは自分で替えられますか
自分では替えない。ロービームは HID(D4S)で、取扱説明書が感電のおそれから電球交換をしないよう案内している。
LEDにすると車検で気をつけることはありますか
色の決まりを守ることが前提になる。ナンバー灯・バックランプ・ロービームは白色、ウインカーはだいだい色だ。販売ページの車検対応という表示は販売者によるもので、検査は個別の車両の状態を見て判断される。
まとめ:LEDを買う前に確かめること
- 車検証の型式欄で、HA36S(8代目)か HA37S/HA97S(9代目)かを見た
- 9代目なら、グレード名と LEDヘッドランプのメーカーオプションの有無を確かめた
- 替える箇所の電球を外して、口金の形・長さ・刻印を新しいLEDと照らし合わせた
- ルームランプは自分の世代向けの専用品を選んだ
- ウインカーをLEDにするなら、点滅が速くなる対策も一緒に用意した
- ナンバー灯とバックランプには白色のLEDを選んだ
手を付けるのは室内灯、次にナンバー灯から。外し方に慣れてから、リヤのランプやエンジンルーム側の作業へ進めばいい。
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