86(ZN6)にドラレコを付けるなら、前カメラの位置、電源の取り方、配線の通り道の3つを先に決めれば作業の順が決まる。いちばん迷うのは電源で、手軽さを取るならシガーソケット、配線を見せたくないならヒューズボックスか電源取り出しハーネスになる。ピラーの中に配線を通すかどうかは、自分の車のエアバッグの装備を確かめてから決める。
86 ZN6 のドラレコ取り付けで先に決める3つ
作業に入る前に、次の3つを決めておく。
| 決めること | 決め方 | 詳しい節 |
|---|---|---|
| 前カメラの位置 | フロントガラス上部20%以内などの範囲に収める | 前カメラの位置の決め方 |
| 電源 | シガーソケット・ヒューズボックス・電源取り出しハーネスの3通りから選ぶ | 電源の取り方3通り |
| 配線の通り道 | ピラーの中に通す前にエアバッグの装備を確かめる | ピラーまわりとエアバッグ |
位置は国土交通省が呼びかけている保安基準の範囲が前提になる。電源は手間と仕上がりの釣り合いで選べばよい。配線については、ケンウッドの取付手順が、ピラー内にエアバッグがある車は配線方法によってエアバッグが正しく動作しない恐れがあるとしている。ZN6 はガリバーの車種カタログでカーテンエアバッグの表示がグレード・年式で違うので、ピラーの中に通すかは自分の車の装備を見てから決める。
この記事の対象は86(ZN6)で、GR86 は別の車
トヨタの発売時のニュースリリースでは、86(ハチロク)は2012年2月2日に発表され、4月6日から全国のトヨタ店・トヨペット店・トヨタカローラ店・ネッツ店で発売された。駆動方式は2WD(FR)、エンジンは FA20(2.0L)で、発売時の価格表のグレードは RC・G・GT・GT“Limited”の4つ。ガリバーの車種カタログでは、86(型式 4BA-ZN6)の G の販売期間は2019年10月〜2021年10月で、G もレーシングもドア2枚・乗車定員4名のクーペになっている。
トヨタの GR86 発売のニュースリリースでは、2021年10月28日に新型 GR86 が発売され、「86からGR86へ生まれ変わる」と書かれている。SUBARU との共同開発で、SUBARU BRZ とクルマのベースを共有し、パッケージとサイズは従来型をほぼ継承したとしている。この記事の対象は、2012年の発売から2021年までの ZN6 だ。
サイズが近くても GR86 は次の型の別の車なので、GR86 用・新しい型の BRZ 用と書かれた電源取り出しハーネスなどの配線部品は、ZN6 に使えるものとして扱わない。部品を選ぶときは、商品名や適合表に型式 ZN6 の表記があるかで確かめる。ナビまわりの配線部品も考え方は同じで、
にまとめている。
前カメラの位置の決め方
ケンウッドの取付手順では、取り付けは次の4工程で進める。
- 取付位置を仮決めし、ブラケットを仮固定する
- 電源を入れてブラケットの角度を調整する
- 配線する(コードを車に装着する)
- 両面テープでブラケットをガラスに固定する
両面テープで貼るのは最後だ。位置を決めてから配線、配線を終えてから本固定、の順を崩さない。
保安基準で決まっている範囲
国土交通省の案内では、ドライブレコーダーは運転者の視界を妨げないよう、保安基準で定められた位置(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)に取り付けるよう呼びかけている。本体を含めた全体をこの範囲に収める。
その範囲の中で選ぶなら、助手席側のルームミラー周辺がよい。運転席から見てルームミラーに隠れる範囲で、雨の日にワイパーで拭き取れる場所になる。
仮固定と貼る前の確認
車を水平で安全な場所に止め、メジャーでガラスの長さを測って、取付の下限にテープで印をつける。ブラケットは両端をテープで仮固定し、両面テープの裏紙はまだはがさない。仮固定のまま走らないこと。
貼る前に確かめるのは次の項目だ。
- ワイパーの拭き取り範囲に入っているか
- ルームミラーやサンバイザーの操作の邪魔にならないか
- ルームミラー裏の車検シール(車検証ラベル)と重ならないか
- 運転支援システムなどへの影響がないか
- テレビアンテナや電装品から離れているか
確かめたらガラスの外側に養生テープで位置の印を付け、取付部分の汚れや手の油分をクリーナーで落としてから貼る。ブラケットの両面テープは非常に強力で、一度貼ると簡単には貼り直せない。貼り直すと粘着力が落ちて走行中に外れるおそれがあるので、位置は仮固定の段階で詰め切っておく。フロントガラスに置く物の選び方では
も参考になる。
電源の取り方3通り
| 取り方 | 手間 | 仕上がり | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| シガーソケット | いちばん少ない | コードが見える | 引っかかると抜けることがある |
| ヒューズボックス | 技術が要る | 配線がすっきりして安定する | 誤るとヒューズが飛ぶ・他の電装品に影響する |
| 電源取り出しハーネス | 商品ごとに違う | 商品ごとに違う | 取り付け方は商品の説明に従う |
迷ったらシガーソケットから始め、配線を見せたくなったら残りの2つを考える、で十分だ。
シガーソケットから取る
ドラレコに付いてくるシガープラグを挿すだけで、いちばん簡単に済む。グーネットマガジンの解説では、コードが見えることと、引っかかると抜けることがあるのが弱みとされている。足元でコードを引っかけにくい通し方にしておく。
ヒューズボックスから取る
ACC か IG の電源をヒューズボックスから取り出す方法。オーナーの整備記録(2019年7月の作業)では、86(ZN6)のヒューズボックスはエンジンルーム内と運転席足元にある。どのヒューズが何の回路かとアンペアは、車の取扱書の「ヒューズ」の項目とボックスの表示で確かめる。
ベストカーWebの解説では、使うヒューズを次の手順で探す。
- 検電テスターのクリップをアースに挟み、ヒューズの金属部分に当てる
- エンジンを切った状態で通電しているヒューズは外す
- 残りから、ACC にしたときだけ電気が流れる・定格15A・「ECU」や「A/BAG」の表記がない、の3つを満たすものを選ぶ(アクセサリーやラジオ系が理想)
- 迷ったらディーラーに聞く
アースは、車はボディ全体がマイナス側になっているので、ヒューズボックス近くのボルトやネジ山につなぐ。塗装や樹脂の部分を貫通しているネジ山を選ぶ。
配線のつなぎ方は、エーモンの解説では、ドラレコ付属のシガープラグの配線は切らずに電源ソケットを増設し、ソケットのプラス線にギボシ端子、マイナス線にクワ型端子を電工ペンチで圧着してつなぐ。ACC のまま長い時間置くとバッテリーが上がるおそれがあり、DIY での電源取りが難しい車両もあって作業は自己責任になる。グーネットマガジンは、ヒューズボックスからの電源取りは専門業者に任せることを勧めている。
電源取り出しハーネスを使う
車種専用の電源取り出しハーネスを使う方法もあり、取り付け方は商品ごとの説明に従う。86 ZN6 用と書かれた商品では、ZEROLIBERTY の電源取り出しハーネスが、販売ページの商品説明でハンドル下にある純正ハーネスの間に割り込ませる方式とされている。中身と買う前に確かめることは次の節で書く。
ZEROLIBERTY の電源取り出しハーネスで確かめること
販売ページの商品説明では、ZEROLIBERTY の電源取り出しハーネス(のれん分けハーネス)は名称ラベル付きで、全ての端子が2端子コネクタータイプ。使用用途にドライブレコーダー・レーダー・フットライト・その他LED製品などを挙げている。取り付けは、ハンドル下にある純正ハーネスの間に割り込ませて電源や信号を取り出す方式で、ハンドル下での作業が要る。
気をつけたいのは対象の書き方だ。この商品は、商品名が「86 ZN6 電源取り出し配線」なのに、商品説明の箇条書きの1行目は「スバル専用 電源取り出し配線」と書き、参考純正品番として H0077AJ001 を挙げている。商品名と箇条書きで対象の書き方が違うので、どちらが正しいかはここでは決められない。買う前に、自分の車(年式・グレード)で使えるかを出品者に確かめる。
ZEROLIBERTY 86 ZN6 電源取り出しハーネス(のれん分け・2端子接続・名称ラベル付き)
前カメラの配線の通し方
ケンウッドの取付手順では、前カメラのコードを次の順で通す。
- ブラケットにコードを通し、約5cm出しておく
- ルーフライニング(天井の内張り)の中にコードを押し込み、助手席側のピラーまで隠す。コードが落ちてくるときは、厚み1〜1.5mmのスポンジテープをコードに巻いて太くする
- ピラー内に通らないときは、両面テープ付きのコードクリップをガラスではなくピラー側に貼って固定する
- ドアの開閉で挟まれないよう固定する
- 助手席のカーペット下の奥に余りを隠し、結束バンドで軽くまとめて電源まで配線する(グローブボックスの奥を通す方法もある)
オールアバウトの解説では、ピラーのカバーを外して隙間にコードを収め、下から出してマットの下を通すやり方を紹介している。無理に押し込まず、ピラーカバーが外れないときは市販のテープで固定してもよいとしている。ただしピラーまわりを触る前に、次の節のエアバッグの確認を済ませる。
足元では、助手席の前後に動くシートレールの部分に電源コードが挟まれないように通す。86 ZN6 の電装まわりをほかにも触るなら、
もあわせて読んでおくとよい。
ピラーまわりとエアバッグ
ガリバーの車種カタログでは、86 ZN6 の G(4BA-ZN6・2019年10月〜2021年10月)とレーシング(DBA-ZN6・2016年10月〜2017年9月)のどちらも、運転席・助手席・サイドエアバッグが「標準」になっている。
カーテンエアバッグは、同じカタログで G(2019年10月〜2021年10月)が「標準」、レーシング(2016年10月〜2017年9月)が「-」の表示で、グレードや年式で載り方の表示が違う。ZN6 のすべての車にカーテンエアバッグがあるとも無いとも言えないので、自分の車の装備を車検証の型式・グレードと取扱書で確かめてから、ピラーの中に配線を通すかを決める。
ケンウッドの取付手順は、サイドエアバッグ装備車など、ピラー内にエアバッグが装備されている場合は、配線方法によってはエアバッグが正しく動作しない恐れがあるとし、車を買ったディーラーへの相談を勧めている。助手席エアバッグが動作する範囲に配線をしないことも求めている。装備を確かめられないうちは、ピラーの中に通す作業に手を付けず、ディーラーに相談するのが筋だ。
リアカメラの付け方と前後ケーブルの配線
86 ZN6 はドア2枚・4人乗りのクーペ。リアカメラの位置と前後をつなぐケーブルの通し方は、使うドラレコの取扱説明書の手順を先に確かめ、ケーブルの長さが前から後ろまで足りるかを見てから作業する。
リアカメラの位置と固定
グーネットマガジンの解説では、リアカメラには前カメラのような取付位置の決まりはなく、製品にもよるが、リアガラスの上寄りの中央に付けることが多い。熱線(デフォッガー)の上は熱で両面テープの粘着力が弱まるので避ける。先にマスキングテープで位置に印を付けておく。
固定は、ブラケットを仮止めして電源を入れ、映像を見ながら角度を合わせる。2人で行うのが理想だ。ガラスの油分と水分を拭いてから両面テープで固定し、ナットを締めて角度を固定する。
前後をつなぐケーブル
グーネットマガジンの解説では、前後をつなぐケーブルは助手席足元から後席足元へ通す(フロアカーペットの下を通してもよい)。余りは結束バンドやクリップでまとめ、クッションテープを巻いてびびり音を抑え、両面テープ付きのコードクリップで固定する。内張りやドアパネルの中に隠す作業は手間がかかるので、同じ解説は専門業者を勧めている。
仕上げと映像の確認
配線が終わったら、エンジンをかけて映像の写り方を確かめる。オールアバウトの解説では、カメラの視野が水平な地面と平行かを見て、角度調整ノブで合わせ、時刻などの細かい設定もこのときに行う。
映像と角度に納得してから、前カメラを両面テープで本固定する。最初に挙げた4工程の最後がこれにあたる。
よくある質問
シガーソケットからの電源だけでもよい?
よい。いちばん簡単な取り方だ。弱みはコードが見えることと、引っかかると抜けることがあることなので、気になったらヒューズボックスか電源取り出しハーネスに切り替えればよい。
どのヒューズから取ればよい?
特定のヒューズを名指しで決めることはできない。ヒューズボックスの節に書いた3つの条件で検電テスターを使って探し、迷ったらディーラーに聞く。
GR86 用の配線部品は使える?
使えるものとして扱わない。GR86 は ZN6 の次の型にあたる別の車で、GR86 用・新しい型の BRZ 用と書かれた部品は、商品名や適合表に型式 ZN6 の表記があるかで確かめる。
自分で付けるかお店に頼むかの目安は?
シガーソケットにつなぐだけなら自分でも行いやすい。ヒューズボックスからの電源取り、内張りの中への配線、エアバッグがあるピラーまわりの作業に自信がなければ、ディーラーや専門業者に頼む(部品代のほかに工賃がかかる)。作業後に車内で音が出るなら、まず配線の固定を見直す。それ以外の音の原因は
で調べられる。
まとめ:作業前に確かめる点
- 前カメラは、国土交通省が呼びかける保安基準の範囲(フロントガラス上部から20%以内など)に本体ごと収まっているか
- 両面テープを貼る前に、仮固定で位置と確認項目を詰め切ったか
- 電源の取り方を、シガーソケット・ヒューズボックス・電源取り出しハーネスから決めたか
- ピラーの中に配線を通す前に、自分の車のエアバッグの装備を車検証と取扱書で確かめたか(ピラー内にエアバッグがある車は配線方法でエアバッグが正しく動作しない恐れがある)
- ZEROLIBERTY の電源取り出しハーネスを選ぶなら、商品名(86 ZN6)と箇条書き(スバル専用)の書き方の違いを踏まえ、年式・グレードで使えるかを出品者に確かめたか
- 電源取りや内張りの中への配線に自信がなければ、ディーラーや専門業者に頼むと決めたか
ライトまわりにも手を入れるなら、
で型番を先に確かめておく。
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