11代目アコード(CY2)に乗っていると、冬に向けてスノータイヤへ履き替える段取りを組んだり、出先のパンクに備えて手順を知っておいたりする場面がある。CY2 はジャッキを標準で積んでおらず、スペアタイヤも無いので、自分で替えるか任せるかは、まず道具をそろえるかどうかで分かれる。自分で替えるなら、ジャッキポイントは取扱説明書の図で場所を確かめ、ホイールナットは決められたトルクで本締めする。
CY2 のジャッキポイントの探し方と、この車の前提
11代目アコードは2024年3月8日に発売された(ホンダの発表)。型式は6AA-CY2(中古車カタログの諸元)。この記事の取扱説明書の値は、アコードのWeb版取扱説明書の2024年版と2026年版で同じであることを確かめたものだ。2022年版は前の世代の取扱説明書で、タイヤの荷重指数や後輪の空気圧が CY2 と違うので、値を混ぜないでほしい。
先に押さえておく前提は次のとおり。
- ジャッキ: ホンダのアコードの取扱説明書では「この車には、ジャッキが標準で搭載されていません。」とある。ジャッキアップするときはこの車専用のジャッキを使い、詳しくはHonda販売店に相談するよう案内している。
- ジャッキポイント: 同じ取扱説明書の手順では、交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの下にジャッキを置く。場所は図で確かめる(かけ方は後の節)。
- スペアタイヤ: ホンダ公式サイトのQ&Aでは、アコードはどのタイプもスペアタイヤを装備しておらず、代わりに応急パンク修理キットを装備している。
- 締め付けトルク: アコードの取扱説明書の仕様とタイヤのページでは、2024年版・2026年版の「タイヤのローテーション」のページに、締め付けトルクとして108N・m(11kgf・m)が載っている。タイヤを付け外しする作業のページの値で、ホイールナットを本締めする値として使う(ページの本文に「ホイールナット」の語そのものは無い)。
タイヤとホイールの基本の値
取扱説明書(2024年版・2026年版)の車両仕様一覧に載っている CY2 の値は次のとおり。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| タイヤサイズ | 235/45R18 98W |
| リムサイズ | 18×8J |
| 指定空気圧(前輪・後輪) | 240kPa(2.4kgf/cm2) |
指定空気圧は運転席横の車体に貼ってあるラベルにも書かれている。空気圧はタイヤ温度が低いときに測る。取扱説明書では、タイヤが熱いときに測ると冷えているときより高めに出て、正しく測れないとしている。
タイヤの選び方にも決まりがある。アコードの取扱説明書の仕様とタイヤのページでは(2024年版・2026年版)、4輪とも同一指定サイズ・同一種類・同一銘柄で、摩耗差のないものにするよう求めている。違うタイヤを使うと、運転に関わるシステムが正常に働かなくなったり、動力伝達装置に悪影響が出たりする。4本同時の交換を勧めていて、できないときは前輪か後輪の左右を一緒に替える。ホイールは、仕様が純正ホイールと同じかを確かめる。
自分で替える前にそろえる道具
CY2 のタイヤを自分で替えるなら、次の道具を用意する。
- この車専用のジャッキ(販売店で相談して用意する)
- ホイールナットレンチとジャッキハンドルバー(取扱説明書2024年版では、どちらも別売り)
- 本締めの108N・mを測れるトルクレンチ
- 輪留めと、車を支えるウマ(リジッドラック)
この車専用のジャッキ
ホンダのアコードの取扱説明書では、この車専用のジャッキ以外のジャッキだと、支えられる重量(呼荷重)が足りなかったり、形状が合わなかったりすることがある、としている。手持ちのジャッキや市販のジャッキが CY2 に合うかは確かめられていないので、使う前に販売店に相談してほしい。
相談するときの目安として、中古車のガリバーのカタログの諸元では、アコード CY2 e:HEV(2024年3月〜2025年5月の型・FF)の車両重量は1580kgとなっている。2025年5月以降に加わったグレードや、2026年の改良後の型の重量は確かめていない。
ナットを回す道具とトルクレンチ
ホンダのアコードの取扱説明書(2024年版)の「工具、非常信号灯」には、アイボルト、ホイールナットレンチ(兼ジャッキハンドル)、ジャッキハンドルバー、ジャッキの4点が載っている。このうちホイールナットレンチ・ジャッキハンドルバー・ジャッキには「(別売り)」と書かれている。工具はトランク内に収納できる、とある。荷室の使い方は次の記事にまとめた。
本締めの値を守るには、トルクレンチも一緒にそろえる(使い方は本締めの節)。
輪留めとウマ
輪留めは手順の最初に、ウマは車を上げた直後に使う。取扱説明書の手順は石などで輪留めをするとしているが、専用の輪留めを1組用意しておくと段取りが早い。ウマは、ジャッキだけで車を支えないために使う。
ジャッキポイントの確かめ方とかけ方
取扱説明書の本文には、ジャッキポイントの位置を言葉で書いた説明が無く、場所は「ジャッキの取り扱い」の図だけで示されている。作業の前に、取扱説明書(Web版も公開されている)の図で、交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの場所を自分の目で確かめる。乗りものニュースの記事では、ジャッキアップポイント以外にかけると、車体の重さで車を壊すおそれがあるとしている。
かけるときは、取扱説明書の手順のとおり、ジャッキの上部がジャッキポイントに当たるまで回し、ジャッキの溝にジャッキポイントがはまったことを確かめてから上げる。
取扱説明書には、ジャッキを使うときの注意として次が挙がっている。
- パワーシステムを起動したままにしない
- 固く平らな地面以外では使わない
- ジャッキポイント以外にはかけない
- 人や荷物を乗せたままにしない
- ジャッキを使っている間は車内に入らない
- ジャッキの上や下に物を入れない
あわせて、車がジャッキだけで支えられているときは、車の下に入らない。ジャッキが外れると、車の下にいる人が重大な傷害を負うおそれがある、と警告している。
タイヤ交換の手順
取扱説明書の手順を軸に、JAF などの解説で補いながら順番に並べる。
停めて輪留めをする
- 地面が固く平らで滑らない所に停める。
- パーキングブレーキをかけ、シフトポジションをPにし、パワーモードをOFFにする。
- 交換するタイヤの対角線上にあるタイヤの前後に、石などで輪留めをする。
ナットを少し緩めてから上げる
- タイヤが地面に着いた状態で、ホイールナットを少しだけ緩めておく(JAF・乗りものニュースの解説)。
- 交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントにジャッキをかける(かけ方は前の節)。
- ジャッキハンドルとジャッキハンドルバー(奥まで差し込む)を使い、タイヤが地面から離れるまで車体を上げる。JAFの解説は「タイヤが路面から少し離れるまで」としており、上げすぎない。
- 乗りものニュースの記事では、車を上げたらウマを掛けて支えるとしている。ジャッキだけで支えていると、ジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険がある。ウマが無いときは、外したタイヤ・ホイールを車体の下に置いて備える。
付け替えて仮締めする
- ナットを外してタイヤを付け替え、ホイールのがたつきが無くなるまで、ナットを2〜3回に分けて仮締めする(JAFの解説)。
- ウマなどを外して車をゆっくり下ろし、ジャッキを外してから本締めする。
締める順序は、タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、ナットが5個以上なら星を描くように、4個なら対角線の順に締める。整備士は規定トルクの半分の値でいったん締め、その後に規定トルクまで締める、とも書いている。
本締めは108N・m、走った後に増し締め
本締めは108N・m(11kgf・m)で締める(値の出どころは最初の節)。タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、正しいトルクで締めるにはトルクレンチが要るとしている。規定トルクは車ごとに違うので、CY2 は取扱説明書の値で締める。無理に締め付けるとボルトが破損する場合もある。JAFの解説では、トルクレンチが無いときは、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場などで本締めをしてもらうよう案内している。
交換した後は、50〜100kmを目安に走ってから、ホイールナットを増し締めする。コンチネンタルの解説では、取り付けのときのトルクが適切でなかったり、走り始めの環境の変化などで、まれにナットが緩むことがあり、最悪の場合は走行中にホイールが外れる。締めすぎも、ねじ山やホイールのスタッドを傷めるおそれがある。
空気圧も、タイヤが冷えているときに指定空気圧になっているかを確かめておく。
スノータイヤへ履き替えるときの決まり
アコードの取扱説明書の仕様とタイヤのページでは(2024年版・2026年版の「冬期のタイヤ」)、スノータイヤは4輪すべてに装着し、4輪とも同じ種類・指定サイズのものを選ぶとしている。夏タイヤと同じく、4輪をそろえる決まりは変わらない。
そのうえで、「タイヤチェーンは使用できません。」とある。チェーンを使うと、ボディやサスペンション、ブレーキ配管などを破損するおそれがある。雪道や凍結路では速度を落とし、車間距離を十分にとる。
パンクしたときは交換ではなく応急修理か依頼
アコードの取扱説明書の「パンクしたとき」では(2024年版)、「スペアタイヤの装備はありません。」とあり、タイヤの損傷が激しい場合はけん引が必要になる。パンクのときはタイヤを替えるのではなく、応急パンク修理キットで直すか、販売店やロードサービスに頼む。キットの収納場所と付属の説明書は、事前に確かめておくよう案内している。
修理キットが使えないとき
取扱説明書(2024年版)では、次のときは応急修理キットを使えないとしている。
- 応急修理剤の有効期限が切れているとき
- タイヤが2本以上パンクしているとき
- 約4mm以上の切り傷や刺し傷によるパンクのとき
- 路面に接する所以外が損傷したとき
- ほとんど空気が抜けた状態で走行したとき
- タイヤがホイールから外れているとき
- ホイールが破損しているとき
タイヤに刺さったくぎなどは抜かない。キットは荷室(カーゴスペース)から取り出して使う。
修理した後の走り方
取扱説明書(2024年版)の応急修理の後の扱いは次のとおり。
- 10分または5km走行したら、安全な場所に停めて空気圧を確かめる
- 130kPa未満なら応急修理剤では修理できない。運転をやめて販売店やロードサービスに連絡する
- 130kPa以上240kPa以下なら、コンプレッサーで指定空気圧まで上げて点検走行を繰り返す。240kPaなら応急修理完了
- 10分以内に指定空気圧にならないときは応急修理できない。コンプレッサーは15分以上使わない
高速道路では80km/h以下を守り、急な操作を避ける。応急修理はつなぎなので、速やかに販売店か専門修理工場で修理・交換する。そのとき、応急修理剤を使ったことを伝える。
ローテーションと摩耗も見ておく
取扱説明書では、特定のタイヤだけが偏って減るのを防ぐために、5,000km走行したときにタイヤローテーションをするよう案内している。回転方向が指定されたタイヤは、回転指示マークが前へ向くように取り付ける。
摩耗は、取扱説明書(2024年版)のタイヤの点検で確かめる。ウェアインジケーター(摩耗限界表示)は接地面にあり、ほかの部分より溝が1.6mm浅い。接地面が減ってウェアインジケーターと同じ高さになったら交換する。タイヤ側面に裂け目や亀裂があるときも交換が必要だ。
自分でやらずに任せる選択
乗りものニュースの記事では、年に2回ほどの履き替えなら、ディーラーや整備工場、カー用品店に任せるのがおすすめとしている。JAFの解説では、工具が無いときや、整備に不慣れで自信が無いときは、無理をせずロードサービスに任せるよう勧めている。
CY2 はジャッキも工具の一部も別売り(取扱説明書2024年版の工具の一覧)なので、道具をそろえるかどうかも含めて決める。履き替えが年に2回だけで、道具を置く場所も無いなら、店に任せるほうが話は早い。
よくある質問
タイヤチェーンは付けられる?
付けられない。CY2 の取扱説明書(2024年版・2026年版)は、タイヤチェーンを使用できないとしている。冬はスノータイヤを4輪すべてに、同じ種類・指定サイズでそろえる。
パンクしたらスペアタイヤに替えられる?
替えられない。ホンダ公式サイトのQ&Aでは、アコードはどのタイプもスペアタイヤを装備しておらず、応急パンク修理キットを装備している。キットが使えない条件と修理後の走り方は、パンクの節にまとめた。
手持ちのパンタジャッキは使える?
CY2 に合うかは確かめられていない。ホンダのアコードの取扱説明書では、この車専用のジャッキ以外では呼荷重が足りなかったり形状が合わなかったりすることがあるとしているので、使う前に販売店に相談する。
交換した後の増し締めは要る?
要る。タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、50〜100kmを目安に走ってから、ホイールナットを増し締めするよう案内している。
まとめ
まずは自分で替えるか店に任せるかを1つに決め、自分で替えるなら、ジャッキはこの車専用のものをHonda販売店で相談して用意する。そのうえで、作業の前に取扱説明書の図でジャッキポイントの場所を確かめる。
- CY2 はジャッキを標準で積んでおらず、ホイールナットレンチとジャッキハンドルバーも別売り(取扱説明書2024年版)
- ジャッキは交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントにかけ、溝にはまったことを確かめる
- ホイールナットは108N・m(11kgf・m)で本締めし、50〜100km走ったら増し締めする
- タイヤは4輪とも同一指定サイズ・同一種類・同一銘柄で摩耗差のないものにし、スノータイヤも4輪すべてに付ける。タイヤチェーンは使えない(取扱説明書2024年版・2026年版)
ほかの CY2 の記事もあわせて見てほしい。

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