CY2 のアコードでフロアマットを選ぶとき、最初に見るのは価格ではなく2つの表記だ。型式 CY2 かつ2024年3月以降という適合表記があるか、そしてフロアに固定できると書かれているか。純正のフロアカーペットマットは税込81,400円、社外の車種専用品は1万円を下回る水準から2万円台前半まで分布している。差額の使い道を考えるのは、この2つを確認したあとでいい。
価格より先に見るのは適合表記と固定方法
理由は単純で、フロアマットで起きている不具合の大半がサイズや素材ではなく、固定していないマットの使い方に由来しているからだ。先に固定方法、次に適合表記、価格は最後に効いてくる条件という順番で見ていく。
CY2 で選べる主な選択肢を並べると次のようになる。
| 製品 | 価格 | カバー範囲 | 固定に関する記載 |
|---|---|---|---|
| 純正 フロアカーペットマット(プレミアムタイプ) | 税込81,400円(取付費別) | フロント・リアセット | 運転席用は専用ホルダーに固定 |
| 3D MAXpider | ¥23,900 | 車種専用 | 専用固定フック付き(車種により異なる場合あり)・裏地の滑り止め生地 |
| Antsvnn 1-2列目 | ¥7,789 | 運転席・助手席・2列目の3Pセット | 仕様欄に記載なし |
| BIGKON 1+2列目 | ¥7,305 | 1+2列目 | 専用クリップでフロアに固定 |
社外品の価格はいずれも Amazon の実売価格で、確認時点の値。在庫も価格も動くので、購入時に見直してほしい。
純正フロアカーペットマットに81,400円払うと何が付くのか
ホンダの純正アクセサリー公式情報によると、アコードの純正フロアマットは「フロアカーペットマット(プレミアムタイプ)」で、品番は 08P15-30A-011、価格は税込81,400円(税抜74,000円)。フロント・リアのセットで供給され、仕様はブラック、消臭・抗菌加工、ヒールパッド付き。取付所要時間は0.2Hで、取付費は別途かかる。確認した時点で、このページに載っているフロアカーペットマットはプレミアムタイプの1種類だけだった。
見落とされやすいのが同じページの注意書きで、運転席用のマットは専用ホルダーに固定して使う指定になっている。CY2 の運転席側フロアには純正マットを留めるためのホルダーが備わっていて、純正マットはそこに固定する前提で作られている、ということだ。社外品に置き換えるなら、この固定をどう代替するかが判断の中心になる。
なお現行アコードは11代目で、2024年3月8日の発売。2.0L直噴アトキンソンサイクルエンジンと2モーターハイブリッドを組み合わせた e:HEV、電気式無段変速機、FF、乗車定員5名という構成で、型式 CY2 はこの世代を指す。
国土交通省の調査が示したフロアマットの失敗のかたち
判断基準の根拠になるのが、実物を調達して行われた公的調査の結果だ。
原因の69%は純正の上への二重敷き
国土交通省が平成22年にまとめたフロアマットの使用方法に関する調査結果では、メーカー報告の事故・火災情報831件からフロアマットの使用方法に起因する13件を抜き出して分析している。マットの状態別では「未固定のフロアマットが二重敷きされていた」が11件で84%、「フロアマットが未固定であった」が2件。推定原因別では、純正マットの上に社外マットを敷いた二重敷きでアクセルペダルに干渉したものが9件、69%を占めた。ここでいう干渉とは、アクセルペダルがマットに引っかかって戻らなくなる状態を指す。
社外品51枚のうち49枚に固定装置がなかった
同じ調査は、純正マットについて「アクセルペダルやブレーキペダルの形状や位置を考慮してその形状が設計され、クリップやフック等で位置を固定できる構造となっている」と書いている。対して、全国チェーンの用品店・専門店・ホームセンター・インターネットの計16店舗等から入手した社外品フロアマット51枚のうち、49枚には固定装置が備えられていなかった。残る2枚はクリップタイプの固定装置があるものと、滑り防止用の布が備えてあるものだった。
マットが動き出すのに必要な力の測定でも、純正は無負荷状態で15.0N〜28.0Nと、総じて社外品より滑りにくい結果が出ている。裏面にスパイクの高密度化や不織布による加工がされていたためと説明されている。
ずれは走行中には見えない
同調査は運転席からの視認性も評価している。軽自動車・小型自動車・普通自動車の3台とも、乗り込むときにはマットを確認できるが、着座するとハンドルと自分の足が障害になって、注視してもすぐには確認できなかった。市街地の直進走行を想定した場面では、3台とも運転者の視野に入らなかった。ずれの確認は乗る前に済ませるしかない、というのがこの調査の結論だ。
CY2 で社外マットを選ぶ4つの基準
前節の結果を、そのまま購入時のチェック項目に置き換える。
1. 適合表記が型式と年式まで書かれているか
商品名だけでなく仕様欄まで見る。CY2 向けを名乗る製品は「型式 CY2」「e:HEV」「2024年3月-現行」という形で年式まで限定して書かれていることが多く、この表記がない汎用品は同じ「アコード用」でも別の世代を想定している可能性がある。前述の調査でも、社外品市場では専用タイプより汎用タイプの販売量が断然多いと指摘されている。
2. 固定方法が仕様欄に書かれているか
固定フックやクリップの記載があるか、なければ裏面の滑り止め加工がどう説明されているかを見る。純正の水準に近い記載がある社外品は限られるので、記載の有無そのものが比較軸になる。固定具が付く製品でも車種によって付属内容が異なると注記されている場合があるため、確定させたいなら販売元に問い合わせる余地を残しておきたい。
3. 素材と耐温度域
TPE や TPR などの樹脂・ゴム系は水洗いや拭き取りができて雨や雪に強い。ただし調査は、低温時に硬くなって剛性が増す材料があること、剛性の高いマットはアクセルペダルの反力に勝ちやすく不具合が起きやすいことを挙げている。耐温範囲が仕様欄に明記されている製品は、その分だけ手がかりが多い。カーペット地は足触りと質感で勝るが、濡れた靴や泥が多い使い方だと手入れの負担が増える。
4. 形状とカバー範囲
調査はマットを、縁が高く水や泥がたまるよう凹状に成形されたフランジ付きマットと、フラットマットの2種類に分けている。フランジ付きはたて壁部が高く、アクセルペダル下端とフロアの間隔が狭くなるため、ずれたときに端が引っかかりやすい。フラットマットは引っかかるとアクセルが全開近くで固定されるため、エンジン回転数がより高い状態になる。剛性の実測値はフラットが0.3〜2.0N、フランジ付きが0.5〜19.0Nだった。カバー範囲は後席の使用頻度で決める。
CY2 適合表記のある社外マット3製品
ここから挙げる素材・構造・固定方法・耐温度域は、いずれも販売ページの製品仕様欄に書かれている内容で、メーカーや販売元の自己申告にあたる。第三者の実測ではないので、製品どうしは「何が書かれているか」の違いとして比べる。
3D MAXpider(¥23,900)固定フックの記載がある3層構造
販売ページの製品仕様欄には、適合車種を「ホンダ アコード e:HEV 2023 2024 2025 2026」と表記し、車型専用品なので車に合わせて選ぶよう案内がある。構造は3層で、表面の一層目が熱可塑性ラバーの TPR 素材で防水、中間の二層目が軽量発泡素材の XPE で吸音、裏地の三層目が特殊生地による滑り止め。特許技術の特殊生地 MAXpider ファイバーが車体床面をキャッチするとし、あわせて「専用固定フック付き(※車種により異なる場合があります)」と記載されている。耐温範囲は−40℃〜85℃、SGS 認定素材、水洗い可能、高精度レーザースキャン技術による3D立体構造で縁に返しを付けた設計とも説明されている。
固定に関する記載がもっとも具体的なのはこの製品だ。ただし注記のとおり、CY2 でフックが付属するかどうかは仕様欄からは確定できない。
3D MAXpider ホンダ アコード CY2 e:HEV 専用 フロアマット
Antsvnn 1-2列目 3Pセット(¥7,789)枚数まで明記
適合は「ホンダ アコード Accord e:HEV CY2/年式 2024年3月-現行」と表記され、セット内容が「運転席用1P、助手席用1P、二列目用1P(合計3Pセット)」と枚数まで書かれている。素材は防水性・耐汚れ性に優れた柔軟な TPE、3D立体設計でズレやシワがなくペダル周りの安全性を確保するとし、水洗い可能、極寒や高温にも強い素材特性で変形・劣化が少ないとされる。固定具の有無については仕様欄に記載がない。
届くまで何枚入りか分からない、という不安が一番少ないのがこの書かれ方だ。
Antsvnn ホンダ アコード CY2 専用 3D立体フロアマット 1-2列目 3Pセット
BIGKON 1+2列目(¥7,305)専用クリップで固定
適合は「型式 Accord e:HEV CY2/年式 2024年3月-現行」と表記され、購入前に車の形状・年式・モデルを確認するよう案内がある。素材は劣化しにくい高耐久 TPE で完全防水、汚れは水拭きや水洗いで落とせる。ドライバーの足元を包み込む3D形状で運転中のマットずれを防止し、滑りにくい表面加工としている。取り付けは「専用クリップでフロアに固定するだけ」で工具不要と明記されている。
1万円を下回る価格帯で固定具に触れているのはこの製品だった。
BIGKON ホンダ アコード CY2 専用 3D防水フロアマット 1+2列目
1列目だけ買うか、2列目まで揃えるか
純正がフロント・リアのセットで供給されるのに対し、社外品には分売がある。今回確認できた範囲では、運転席用1P・助手席用1Pの合計2Pという1列目のみのセット、運転席用1P・助手席用1P・二列目用1Pの合計3Pという1-2列目のセット、そして2列目のみを称する単品があった。ただし2列目のみを称する商品には、タイトルが「2列目 フロアマット」なのに仕様欄の説明が荷室用マットの文言になっているものがあり、記載だけでは用途を確定できない例も見られた。
後席に人を乗せるのが年に数回なら1列目のみで足りるし、家族を日常的に乗せるなら1-2列目のセットにする。範囲を絞る場合でも、残りの席に元のマットを敷いたまま新しいマットを足す形にはしない。二重敷きが不具合の推定原因の69%だったという結果は、前後どちらの席でも変わらない。
Antsvnn ホンダ アコード CY2 専用 3D立体フロアマット 1-2列目 3Pセット
荷室をどう守るか
セダンのトランクは濡れた荷物や買い物袋で汚れやすい。ホンダの純正アクセサリー公式情報の荷室用品のページでは、「トランクカーペットマット 消臭・抗菌加工」が品番 08P11-30A-010 で税込18,700円(税抜17,000円)、「トランクトレー 縁高・防水タイプ」が品番 08U45-30A-000 で税込24,200円(税抜22,000円)と案内されている。トランクトレーは濡れた荷物も気にせず積める防水性のあるマットという説明だ。この2つは同時に使えないと両ページに明記されているので、どちらかを選ぶことになる。
社外にも CY2 専用表記のものがある。ANDOULAI のトランクマットは「2024年ホンダアコードCY2 11代専用設計で隙間なし」と表記された荷室用の半カバータイプで、素材はナパ皮、撥水処理で液体をはじくとされる。表面は特殊加工で荷物が滑りにくく、底面には滑り止め加工があり吸着式でブレーキ時も位置が固定されると説明されている。強化縫製で長期使用可能、汚れは拭くだけで手入れできるとされ、色はオレンジ。
荷室はペダル周りの安全に直結しない領域なので、ここは汚れの種類と手入れのしやすさで決めていい。
ANDOULAI ホンダ アコード CY2 専用 トランクマット 撥水・防滑タイプ
敷いたあとにやること、やらないこと
国土交通省がフロアマットの使用について公表している注意事項では、4つの点が挙げられている。マットを固定して使うこと、重ね敷きをしないこと、運転前に正しく固定されているか確かめること、そしてマットとアクセルペダルが干渉して加速した場合にブレーキ操作を繰り返すと、ブレーキ倍力装置の機能が大幅に低下して大きな踏力が必要になること。
4つ目は仕組みまで押さえておきたい。ブレーキ倍力装置はエンジンのインテークマニホールドからの負圧を使っているため、スロットルが開いたままだと必要な負圧を補充できない。その状態でブレーキを踏み続けると残っていた負圧もなくなり、利きがさらに悪くなる。「ブレーキが利かない」と感じて数回踏み直すと、かえって利きが落ちるというのが調査で確認された挙動だ。
ずれる量の実測も出ている。二重敷き状態の走行では、剛性の低いフラットマットの縦方向移動量が直進で4mm、右旋回で62mm、左旋回で44mm、登坂で45mm、降坂で41mm。剛性の低いフランジ付きマットは直進2mm、右旋回−5mm、左旋回−5mm、登坂10mm、降坂20mm。カーブや山道で移動量が大きくなるのは、運転操作で足からマットに強い力が加わるためと説明されている。直進でも前方への移動が確認されていて、位置を見ないまま乗り続ければ徐々に前へずれていく。
作業自体は難しくない。元のマットを外してから新しいマットを敷き、固定具があれば使う。純正マットを使う場合は運転席側の専用ホルダーに留める。あとは乗り込むたびに足元を一度見る、それだけだ。
よくある質問
先代アコード(CV3)用のフロアマットは CY2 に使えるか
CY2 は2024年3月発売の11代目で、先代までのアコードとは別の世代にあたる。今回確認した CY2 向け社外マットは、いずれも仕様欄で適合を CY2 かつ2024年3月以降(一部は2023-2026年)と限定して表記していて、他の型式のアコードに使えるという記載はない。逆方向の流用も同じ理由で避けたい。先代に乗っている場合は
を参照してほしい。
2026年7月の一部改良後の車両でも同じマットでよいか
ホンダのニュースリリースによると、アコードは2026年7月31日に一部改良を受けて発売された。記載されている変更は外装が中心で、フロントグリル周りやロアガーニッシュの変更、サイドマーカー・ヘッドライトガーニッシュ・ロアガーニッシュ・フロントグリル・シャークフィンアンテナのボディー同色化が挙げられている。内装の変更点はリリース本文に書かれていない。ただし記載がないことは変更がなかったことの証明にはならないので、改良後の車両については販売元の適合表記を確認してから買うのが安全だ。改良後の価格は e:HEV が5,951,000円、e:HEV Honda SENSING 360+ が6,351,400円。
純正マットの上に社外マットを重ねて敷いてもよいか
これは避ける。事故情報13件のうち11件が未固定の二重敷きの状態で、推定原因では純正の上に社外品を重ねたものが9件を占めていた。国土交通省の注意事項でも重ね敷きは行わないとされている。社外マットを使うなら、純正は外して保管する。
純正と社外品では何が一番違うのか
固定の作り込みだ。純正はペダルの形状と位置を考慮して形が設計され、クリップやフック等で位置を固定できる構造になっている、と調査に記されている。滑り出しに必要な力の測定でも純正のほうが総じて滑りにくい。社外品の仕様欄に書かれた内容は自己申告なので、価格差をそのまま性能差として読むことも、逆に社外品が純正より優れていると読むこともできない。
冬に硬くなるという話は本当か
調査は、マットの剛性に材料の温度依存性があり、低温時に硬くなって剛性が増す材料が存在することを確認している。まとめでも、ゴムや樹脂製は低温時に剛性が上がるため不具合現象が発生しやすいと述べられている。ただし個々の製品が CY2 の車内でどこまで硬くなるかを測った資料は確認できていない。耐温範囲が仕様欄に書かれている製品を選べば、少なくとも想定使用域は分かる。
まとめ
CY2 のフロアマット選びで確認する順番を並べ直しておく。
- 型式 CY2 かつ2024年3月以降という適合表記が仕様欄にあるか
- 固定フックやクリップ、裏面の滑り止め加工の記載があるか
- 素材と耐温範囲が使い方に合うか
- 1列目までか、2列目まで揃えるか
- 元のマットは必ず外し、重ねない
純正の仕様をそのまま欲しいなら税込81,400円のフロアカーペットマット、固定の記載を優先して社外品から選ぶなら3D MAXpider、費用を抑えて1-2列目を覆うなら Antsvnn か BIGKON、荷室まで守るならトランクマットを足す。予算をどこに配分するかという形で考えると決めやすい。
この記事にはAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を含みます。

コメント