ZN6型の86は、同じ型式でも交換できる電球が一通りに決まらない。前期のハロゲン車、前期のHID車、後期の純正LED車という3つの系統に分かれ、系統が違えば型番だけでなく「そもそも交換できる部位」まで変わるからだ。型番を探す前に自分の車がどれかを決めて、その列だけを読むのが近道になる。3系統のどれであっても、バックランプのT16とナンバー灯のT10は共通で交換できる。
ZN6の部位別バルブ型番早見表
まず全体像を置く。前期は2012年4月から2016年6月、後期は2016年夏から2021年秋の生産分を指す。
| 部位 | 前期 | 後期 |
|---|---|---|
| ロービーム | ハロゲン車 H11(12V55W)/HID車 D4S(42V35W) | 純正LEDで交換不可 |
| ハイビーム | ハロゲン車 HB3(9005)12V65Wまたは60W | 純正LEDで交換不可 |
| フォグ | PSX24W | 純正LEDのユニット一体式 |
| ポジション | T10(12V5W) | 記載が割れる |
| フロントウインカー | T20ピンチ部違い(12V21W) | 記載が割れる |
| サイドマーカー | T10(12V5W・アンバー) | T10 |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い(12V21W) | リアコンビごとLED |
| テール・ストップ | 記載が割れる | LED |
| ハイマウントストップ | LED(交換不可) | LED(交換不可) |
| バックランプ | T16(12V16Wまたは18W) | T16 |
| ナンバー灯 | T10(12V5W) | T10 |
| ルームランプ | 前 T10×31(12V10W)/後 T10(12V5W) | 前後とも前期と同じ |
「記載が割れる」と書いた部位は、適合表の提供元どうしで値が食い違っている箇所で、確定値としては出せない。 理由は後半で具体的に書く。
自分の86がどの系統かを見分ける
年式だけでは系統が決まらない。ここを飛ばすと、規格の合った商品を買っても付かないことになる。
前期と後期の区切り
前期は平成24年4月から平成28年6月、後期は平成28年の夏から令和3年の秋。ただし後期の始まりと終わりの表記は資料によって1〜2か月ずれ、電球メーカーの後期ページは平成28年7月から令和3年9月、バルブメーカーの資料は平成28年8月から令和3年10月としている。境目の年式に当たる個体は、年式表記だけで前期・後期を決めない。
前期はハロゲン車とHID車が混ざる
前期のZN6にはハロゲン仕様とHID仕様が併存する。同じ前期でもロービームがH11とD4Sに分かれ、バルブの形も取り付け方も別物なので、片方の商品をもう片方に付けることはできない。車検証の初度登録年月に加えて、ヘッドランプに実際に入っているバルブの形を見る必要がある。
後期はLEDヘッドランプが基本
後期はBi-Beam LEDヘッドランプが型の特徴とされ、純正LED仕様車はヘッドライトのバルブ交換ができない。バルブメーカーの適合表でも後期の純正LED仕様は交換不可と明記され、ロービーム・ハイビーム・フォグ・ポジションの欄が空欄になっている。
ヘッドライトは系統ごとに別物
記事の中心になる部分。ここだけは系統を取り違えると確実に無駄になる。
前期ハロゲン車
ロービームがH11(12V55W)、ハイビームがHB3(12V65Wまたは60W)。電球メーカーの適合表、LEDメーカーの適合表、カスタム情報サイトの一覧がいずれも同じ値を示しており、3つの提供元が一致している数少ない確定値だ。
前期HID車
ロービームはHIDバーナーのD4S(42V35W・色温度3510K)。この値は電球メーカーとバルブメーカーの適合表で一致している。ハイビームは、適合表の欄が「-」で取扱いなしになっているページと、ハロゲン車と同じHB3が続くとするページがあり、資料によって扱いが違う。
後期は探しても見つからない
後期の純正LED仕様車は、そもそもバルブという形で光源が入っていない。型番を探す作業自体が空振りになるので、明るさを変えたいならユニットごとの交換を検討することになる。後継のZN8型で電球の入れ替えがどこまでできるかは、別記事にまとめてある。
フォグランプは1文字違いの型番に注意
前期はPSX24W
前期のフォグはPSX24W。電球メーカーの適合表は「PSX」と略記しているが、LEDメーカー、バルブメーカー、カスタム情報サイトの一覧はいずれもPSX24Wと記載している。
PSX26Wとは互換性がない
名前の似たPSX26Wはこの車に使えない。 消費電力は24Wで、H16ハロゲンバルブの19Wより大きいが、明るさはほぼ同等とされる。通販では数字が1文字違うだけの別規格が隣り合って表示されるため、型番の数字まで見て選ぶ。
グレードでフォグの有無が変わる
前期は「RC」にフォグの設定がなくオプション設定もない。「G」は販売店オプションでの設定になる。型番を調べる前に、自分の個体にフォグが付いているかを見たほうが早い。後期のフォグは純正LEDのユニット一体式で、バルブ交換ではなくユニット交換になる。グレード別では「G」が販売店オプション、「GT」が標準装備、2017年11月に追加された「GR」が標準装備。
ウインカー・リア・室内の灯火
「ピンチ部違い」の表記まで合わせる
前期のフロントウインカーとリアウインカーはどちらもT20ピンチ部違い(12V21W)。ピンチ部違いは口金の爪の位置が通常のT20と異なることを指す表記で、適合表にもその名称のまま載っている。商品を選ぶときはT20という数字だけで判断せず、この表記まで一致しているかを見る。 サイドマーカーは前期・後期ともT10(12V5W・アンバー)で、カスタム情報サイトは後期でもT10が続くと記載している。
バックランプとナンバー灯は前期・後期共通
バックランプはT16(12V16Wまたは18W)、ナンバー灯はT10(12V5W)。電球メーカーの前期ページと後期ページ、バルブメーカーの適合表、カスタム情報サイトの一覧が全て一致していて、後期の純正LED仕様車でも交換できる。後期に乗っていて何か替えたいなら、まずこの2か所になる。なおバルブメーカーの適合表には、2色に光るタイプのバックランプは取り付けが未確認との但し書きが付いている。
テールとハイマウントは手を付けにくい
ハイマウントストップランプは前期・後期ともLEDで、電球メーカーの適合表はどちらのページも規格欄が「LED」になっている。差し替えるタイプの交換はできない。後期はリアコンビネーションランプのデザインが水平基調に変わり、あわせてLED化されている。前期のテール・ストップは、同じ電球メーカーの中でもページによって記載が割れる。一方はテールとストップをまとめてT20点灯型(リア用・12V21W)とし、もう一方はブレーキを「LED」、ストップを「T20透明ソケット(12V21W)」と分けている。この部位は実物のソケットとバルブを見て決めるのが確実だ。
ルームランプは系統に関係なく同じ
フロントがT10×31(12V10W)、リアがT10(12V5W)。電球メーカーの前期ページと後期ページで記載が同じで、車外の灯火と違って前期・後期の分岐がない。後期の読者でも迷わず手を付けられる箇所になる。
一覧表をそのまま信じる前に確かめること
後期のヘッドライトとフォグは資料が食い違う
ここが実務でいちばん効く話。自動車用電球メーカーの車種別電球適合表の後期ページは、ロービーム・ハイビーム・フォグをいずれもH11と記載している。一方でHID・LEDバルブメーカーの適合表と国産LEDメーカーの資料は、後期をヘッドランプがバルブ交換不可、フォグはユニット一体式の純正LEDとして扱っている。同じ車の同じ部位で結論が正反対なので、後期についてはどちらの値も確定として扱わない。 実際に装着されている光源を見てから商品を選ぶ。
ポジションとフロントウインカーも同じ状況
電球メーカーの後期ページはポジションをT10、フロントウインカーをT20ピンチ部違いとしているが、カスタム情報サイトは後期でヘッドライト・フォグ・ポジション・ウインカー・テールが全面的にLED化され、従来のバルブが残るのはサイドウインカー・バックランプ・ナンバー灯だけだと書いている。バルブメーカーの適合表も、後期の純正LED仕様車ではポジションの欄を空欄にしている。
適合表の側にも注記が付いている
適合表そのものに、年式や車両型式が一致していても実際に装着されているバルブを確認してほしいという趣旨の注記がある。特別仕様車やメーカーオプションの組み合わせで表の値と実車が違うことがあるためで、適合表は最終確認ではなく当たりを付けるための資料と考えたほうがいい。バルブメーカーの資料には、後期について純正オプションやグレードによって純正LEDの場合があり、その場合は商品を装着できないことがあるという注意書きも出ている。
買う前に踏む確認の順番
型番を探すところから始めない。系統の確定、部位ごとの規格照合、複数の適合表の突き合わせ、という3手の順で進める。
1手目は、車検証の初度登録年月と、ヘッドランプに入っている光源の見た目の両方で系統を決める。年式表記だけで決めると境目の個体で外す。2手目で、決まった系統の列だけを上の表と照らす。3手目は、買おうとしている部位について提供元を2つ以上見比べる。2社以上で値が一致していればそのまま採用してよく、割れていれば実物を見てから買う。規格が合っていても、光源が純正LEDなら社外バルブは装着できない。 迷ったら注文を止めて、現車のバルブを1本抜いて確かめるほうが早い。
よくある質問
ハイビームのHB3と9005は同じものですか
同じ規格を指す2通りの呼び方だ。適合表や商品ページではどちらの表記も使われるので、前期ハロゲン車のハイビームを探すときはどちらで書かれていても同じものと考えてよい。
前期のHID車はハイビームも交換できますか
資料によって扱いが分かれる。適合表の欄が「-」で取扱いなしになっているページと、ハロゲン車と同じHB3が続くとするページがあるため、確定値としては示せない。実車のハイビーム側に入っているバルブを見て判断してほしい。
後期でも交換できる電球はありますか
バックランプのT16とナンバー灯のT10は後期でも交換対象として残る。室内のルームランプも前期と同じ記載になっている。ヘッドライトとフォグは純正LEDのため、バルブの差し替えはできない。
PSX24WのかわりにPSX26Wを使えますか
使えない。名前が似ているだけで互換性のない別規格になる。通販で並んで表示されることが多いので、型番の数字を必ず確認する。
GR86やBRZの型番を参考にしてよいですか
流用しないほうがいい。GR86はZN8型で別の型式であり、この記事で確認したのはZN6の適合表だけだ。同じ系列の車でも灯火の構成は世代で変わるので、対象の型式で書かれた適合表を見る。
まとめ
ZN6の電球は、型番を探す前に系統を決める順番で扱う。前期ハロゲン車ならロービームH11とハイビームHB3、前期HID車ならロービームD4S、この3つは複数の提供元が一致している。3系統に共通で交換できるのはバックランプのT16とナンバー灯のT10。後期のヘッドライトとフォグは純正LEDで交換の対象にならず、後期のポジションやフロントウインカー、前期のテール・ストップのように資料の割れる部位は、確定値を追わずに現車のバルブを見てから買う。候補を1つに絞ったら、最後にメーカーの適合表でもう一度型式と部位を照合して注文する。

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