フィットのフロントドアに入れるスピーカーは、17cmを選べば本体だけで交換できる。16cmも付くが、別売の取付キットかインナーブラケットを一緒に買うことが前提になり、その分だけ合計額が上がる。用品メーカー2社の車種別適合資料はどちらも同じ構図を示していて、口径をどちらにするかが総額と手間をほぼ決めてしまう。まずはサイズの結論から見ていく。
フィットのドアに入るサイズと、必要な部品の早見表
ケンウッドの車種別適合情報(フィット用スピーカー取付適合表)によると、2007年10月以降のフィットは全年式で17cmのカスタムフィットスピーカーがフロントドア・リアドアとも「◎」。備考には「スピーカーのみのご購入で取付できます。音質アップを図るインナーブラケットを追加することも可能です」と書かれている。17cmは本体を買うだけで取り付けが成立するというのが、この記事の出発点になる。
| 口径 | フロントドア/リアドア | 本体以外に要るもの |
|---|---|---|
| 17cm | ◎ | なし(付属ブラケットを使用) |
| 16cm | 本体のみでは× | 別売インナーブラケット SKX-202S などが必要 |
| 10cm・12cm | -(設定なし) | 適合そのものが用意されていない |
同じ適合表では、16cmの KFC-RS165・KFC-RS165S と上位シリーズの KFC-XS175S・KFC-XS165S が本体だけでは「×」で、別売インナーブラケット SKX-202S を使うと「◎」に変わる。表の見出しには「純正スピーカー装着車に限る」とあり、取付場所として可否が付くのはフロントドアとリアドアの2か所だ。
自分のフィットがどの区分か、車検証で確かめる
適合表は年式ごとに型式を並べている。車検証の型式欄を見れば、どこに当てはまるかはすぐ分かる。フロントドアとリアドアの可否・必要部品は、2007年10月以降ならどの年式でも同じ組み合わせなので、区分の確認は主にグレードや装備の例外を見るためのものだと考えていい。
GE系(2007年10月〜2013年9月)
2007年10月〜2010年10月が DBA-GE6/GE7/GE8/GE9。2010年10月〜2013年9月は DBA-GE6/GE7/GE8/GE9 に DAA-GP1/GP4 が加わる。なお2007年10月より前のフィットは今回の適合資料の対象年式に入っていないため、ここでは触れない。
GK系・GP系(2013年9月〜2020年2月)
DBA-GK3/GK4/GK5/GK6 と DAA-GP5/GP6。この区分はリアドアのグレード条件に注意点があり、後述する。
GR系・GS系(2020年2月〜)
2020年2月〜2021年6月と2021年6月〜2022年10月が 6BA-GR1/GR2/GR5/GR7 と 6AA-GR3/GR4/GR6/GR8。2022年10月以降は 5BA-GS4/GS5/GS6/GS7 と 6AA-GR3/GR4/GR6/GR8 になる。
17cmと16cm、取付部品と費用がどう変わるか
本体価格が近くても、手元に届いてから必要になるものが違う。ここが選び分けの実質的な分かれ目になる。
17cm:付属ブラケットだけで完結する
ケンウッドの適合表は取付方法を「取付説明書を参照してホンダ(4)カットした付属ブラケットを使用します」と指定している。爪固定穴は2013年9月以降の年式で上段、それより前の年式で下段。スピーカーが付いていない車の上部グロメット穴には、付属の小ねじ・ナット・ワッシャーでブラケットを留める。カロッツェリア側も、2013年9月〜2021年6月のフィットで TS-F1750 の取付方法を「スピーカー付属品による取付ができます」としており、パイオニアの公式製品情報でも同機の付属品に「ウーファー用ブラケット-2(ホンダ車用)×2」が入っている。
16cm:取付キットかインナーブラケットが前提
ケンウッドの適合表は16cmについて「別売インナーブラケットSKX-202Sを使用して取付可能です。使用する取付穴はHとH2です」と指定する。カロッツェリアの車種別取付情報では、16cmの TS-F1650 は装着可否こそ「○」だが取付は「別売のスピーカー取付キットを使用します」で、「カースピーカー取付キットUD-K123(希望小売価格3,300円、税込、2個1組)使用で可。端子を上方向にして取付けます」と続く。パイオニアの公式製品情報でも TS-F1650 の付属品にホンダ車用のウーファーブラケットは載っていない。16cmを選ぶなら、本体価格に取付部品の代金を足した額で比べること。
10cm・12cmは候補から外す
同じ適合表で、12cmの KFC-RS125、10cmの KFC-RS105、および KFC-E1057J・KFC-ST1005 は、フィットの全年式・全取付場所で「-」=設定なしになっている。通販の検索結果には同じシリーズの小口径が安く並ぶが、フィットのドアに取り付ける適合は用意されていない。
グレードとメーカーオプションで生じる例外
サイズの結論は全年式共通でも、車ごとの装備差は別問題として残る。買う前に現車で見ておく箇所を挙げる。
リアドアはグレードで有無が分かれる
カロッツェリアの車種別取付情報は、2013年9月〜2020年2月のフィットのリアドアについて「グレード「13G」、「HYBRID」(H25年9月現在)は除きます」と注記している。括弧書きでは、未調査のため詳細は不明としたうえで車両にスピーカー用配線がない可能性を挙げ、Fパッケージ/Lパッケージ/Sパッケージなら取付可能としている。2020年2月〜2021年6月のリアドアは「純正スピーカー付車の場合に可(純正スピーカーなし車は配線の有無が不明のため除きます)」。リアまで替えるかは、自分のグレードにリアスピーカーがあるかを確かめてから決める。
純正スピーカーなし車は配線の確認から
ケンウッドの適合表はリアドアに年式ごとの補足を付けていて、2020年2月以降は「リアドアスピーカー無し車でも取付可能です」、2010年10月〜2013年9月は「スピーカー無し車でも取付可能ですがスピーカー配線が来ていない場合は引き直ししてください」となっている。配線が来ているかどうかは、内張りを外して見るまで分からない。
プレミアムオーディオ装着車とサテライトスピーカー
ケンウッドの適合表のうち2021年6月〜2022年10月の年式には「メーカーオプションのプレミアムオーディオ(8スピーカー)装着車は未確認です」という備考が付く。この装備がある車では、適合資料の内容がそのまま当てはまるとは限らない。またカロッツェリアの取付情報では、2020年2月〜2021年6月のフィットはサテライトスピーカー(TS-STH1100/TS-STX510/TS-STX710AS)が「×」で、理由は「全車標準でサイドカーテンエアバッグシステムが装着されているため、サテライトスピーカーは取付不可」。2013年9月〜2020年2月はリアピラー部トリムに取付可だが「メーカーオプションのカーテンエアバッグ付車は除きます」とされる。
候補4モデルを同じ物差しで比べる
本体だけで付く17cmが2モデル、取付部品が前提の16cmが2モデル。この4本が現実的な候補になる。
| モデル | 口径 | 本体以外に要る部品 | 再生周波数帯域の下限 | 能率/出力音圧レベル | 実売価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| ケンウッド KFC-RS175 | 17cm | なし | 37Hz | 87dB/W | ¥7,430 |
| カロッツェリア TS-F1750 | 17cm | なし | 30Hz | 91dB | ¥7,600 |
| カロッツェリア TS-F1650 | 16cm | UD-K123(3,300円・税込) | 38Hz | 90dB | ¥7,327 |
| ケンウッド KFC-RS165+SKX-202S | 16cm | SKX-202S(セットに同梱) | 45Hz | 87dB/W | ¥12,878 |
価格は2026年8月31日時点のAmazon実売価格で、変動する。能率と出力音圧レベルは数値が大きいほど同じ出力で音量を取りやすい指標だが、測定の基準が各社で異なるため、ケンウッドとカロッツェリアをまたいで大小を比べる材料にはしない。定格入力は TS-F1750 と KFC-RS175 が35W、TS-F1650 と KFC-RS165 が30Wで、純正のヘッドユニットにそのままつなぐ使い方では選び分けの決め手になりにくい。
4モデルをフィットに載せるなら、どれを選ぶか
ケンウッド KFC-RS175(17cm)
2way2スピーカーシステムで、ウーファー振動板17cm PP+MICA CONE、ツィーター振動板30mm PEIバランスドドームツィーター。再生周波数帯域37Hz〜41kHz(-10dB)、能率87dB/W、インピーダンス4Ω、外形寸法156W×156H×61D mm、質量0.72kg(1個)、瞬間最大入力160W、定格入力35W。本体だけで完結する構成のうち、後からインナーブラケットを足す前提でも組みやすい1本。まず余計な出費を作らずに交換したい人はここから。
ケンウッド KFC-RS175 17cmコアキシャル2ウェイスピーカー
カロッツェリア TS-F1750(17cm)
コアキシャル2ウェイで、ウーファー口径φ170mm(耐水スピーカー、特殊耐熱ボイスコイル、ストロンチウムマグネット300g)、トゥイーターφ29mmバランスドドーム(磁性流体使用、ネオジムマグネット3g)。インピーダンス4Ω、出力音圧レベル91dB、再生周波数帯域30Hz〜60000Hz、瞬間最大入力160W、定格入力35W、質量0.90kg(付属品を含む1個)。付属品にホンダ車用のウーファー用ブラケットが入っているので、こちらも本体だけで取り付けに入れる。4本の中で公表値の低域下限が最も低いのはこのモデルだ。
カロッツェリア TS-F1750 17cmコアキシャル2ウェイスピーカー
カロッツェリア TS-F1650(16cm)
コアキシャル2ウェイ、ウーファー口径φ160mm(ストロンチウムマグネット260g)、トゥイーターφ29mmバランスドドーム、インピーダンス4Ω、出力音圧レベル90dB、再生周波数帯域38Hz〜60000Hz、瞬間最大入力160W、定格入力30W、質量0.75kg(付属品を含む1個)。フィットで使うには UD-K123 が別途要るため、本体価格の安さはそのまま総額の安さにならない。すでに手元に取付キットがある場合や、16cmで揃えたい理由がある場合の選択肢になる。
カロッツェリア TS-F1650 16cmコアキシャル2ウェイスピーカー
ケンウッド KFC-RS165+SKX-202S(16cm)
KFC-RS165 は2way2スピーカーシステムで、ウーファー振動板16cm PP+MICA CONE、ツィーター振動板30mm PEIバランスドドームツィーター、再生周波数帯域45Hz〜41kHz(-10dB)、能率87dB/W、インピーダンス4Ω、外形寸法160W×161.9H×56.7D mm、質量0.65kg(1個)、瞬間最大入力150W、定格入力30W。16cmを選ぶなら、必要な SKX-202S が最初から組み合わさっているこのセットが手配としては素直。部品を別々に注文して型番を間違える余地がない。
ケンウッド KFC-RS165 16cmスピーカー+インナーブラケット SKX-202S セット
音質のために足せる取付部品と、合計額の見積もり
インナーブラケット SKX-202S の位置づけ
インナーブラケットやインナーバッフルは、適合を成立させるためだけの部品ではない。ケンウッドの SKX-202S は「ホンダ・スズキ・トヨタ・ダイハツ・日産・三菱・フォルクスワーゲン車用 スピーカーインナーブラケット(対応可能スピーカーサイズ:17cm、16cm)」でオープン価格。公式の説明は「剛性の高いアルミダイキャストと制振用のラバーの組み合わせで、さらなる高音質を実現したブラケット。138車種に対応可能。(2019年3月現在)」で、ツィーターブラケットも付く。17cmでも後から追加できる部品にあたる。
インナーバッフルは3種類から選べる
カロッツェリアの取付情報は、フィットのフロントドア・リアドアで別売インナーバッフルを使う取付も選べるとしている。UD-K5310 と UD-K534 は「高剛性MDFに制振塗料採用で、共振を抑え、大幅な音質向上を実現する 高音質インナーバッフル スタンダードパッケージ」で、希望小売価格はそれぞれ6,600円(税込)と4,950円(税込)。UD-K624 は「異種金属の組み合わせにより、スピーカー本来の能力を引き出す 高音質インナーバッフル プロフェッショナルパッケージ」で13,200円(税込)。いずれも2個1組で、「前モデルのインナーバッフルUD-K5210はスピーカー取付ネジ穴ピッチが狭いため、この商品の取付けは推奨しません」との注記が付く。
合計額は本体と取付部品を足して見る
見積もりは「本体+取付部品」で立てる。 17cmを本体だけで付ければ部品代はゼロ、16cmなら UD-K123 の3,300円(税込)が上乗せ、音質目的でバッフルまで足すなら4,950円〜13,200円(税込)の幅が乗る。パーツ別の相場感は
も参考になる。
取り付けで迷いやすいところ
端子の向きと配線の処理
端子の向きは、カロッツェリアの取付キット利用時と付属ブラケット利用時が「端子を上方向にして取付けます」。UD-K624/UD-K534 を使う場合は「取付面に向かって端子を右斜め上方向にして取付けます。なお、バッフルは鉄板穴の下部に隙間があかないように最も下側に寄せて固定します」となる。ケンウッド側は「端子は鉄板に触れない位置にします」「配線は図を参照して加工または付属の接続キャップで接続します」と指定している。
トリム裏の円形リブへの干渉
もう1つ引っかかりやすいのがトリム裏のリブだ。カロッツェリアの取付情報は「トリムのグリル部裏側の円形リブに、スピーカー取付ネジの頭が少し当たる取付けになります(円形リブの切取加工は不要でそのまま取付可)。但し、車両によって強く当たる場合は、当たる部分のリブの切取加工が必要です」としており、2013年9月〜2020年2月のフロントドアでは機種とバッフルの組み合わせに応じて「円形リブの切取加工(約4〜5mm)が必要です」「UD-K624使用時は3〜4mm」といった寸法の注記も付く。
最終確認は自分の車で
適合情報には調査時点がある。 カロッツェリアの車種別取付情報は「本サイトの情報内容は、2026年7月16日までの調査データに基づいています」「※販売店によるお取り付けが基本ですので、ご自身で作業される場合は、ご自身の責任の上で行ってください」と明記している。型式・グレード・純正スピーカーの有無を手元で確かめ、迷うなら取付先に現車確認を頼むのが早い。内張りを外す作業に慣れていない場合は、
や
で手順の感触をつかんでおくといい。
よくある質問
フィットのスピーカーは16cmと17cmのどちらを選べばいいですか
特別な理由がなければ17cmから検討する。本体だけで付くうえ、公表値の低域下限も17cm側のほうが低い(TS-F1750が30Hz、TS-F1650が38Hz、KFC-RS175が37Hz、KFC-RS165が45Hz)。
リアドアのスピーカーも一緒に交換したほうがいいですか
まずリアにスピーカーがあるかを確かめてからになる。グレードによってはリアスピーカーや配線がないと出典に明記されており、その場合は交換ではなく新設の作業になる。
純正の位置にツィーターを追加できますか
ケンウッドの適合表の「純正ツィーター位置」の行は、2007年10月以降の全年式・全機種で「-」。フィット向けにその位置へ落とし込む適合は用意されていない。セパレート型を選ぶなら、ツィーターをどこに置くかは適合表の外の判断になる。
本体以外にいくらぐらいかかりますか
17cmを本体だけで付けるなら追加はゼロ。16cmで UD-K123 を使うなら3,300円(税込・2個1組)。音質目的のインナーバッフルは UD-K534 が4,950円、UD-K5310 が6,600円、UD-K624 が13,200円(いずれも税込)で、SKX-202S はオープン価格。なお工賃はここには含めていない。
スピーカーが付いていないグレードでも交換できますか
年式によっては可とされている。2020年2月以降のリアドアは「リアドアスピーカー無し車でも取付可能です」、2010年10月〜2013年9月は配線が来ていなければ引き直しが要る、という条件が適合表に書かれている。
音まわりをまとめて手を入れるなら、
と
も同じタイミングで見ておくと段取りが立てやすい。
まとめ:17cmなら本体だけ、16cmなら部品込みで考える
フィットのドアスピーカーは、17cmを選べば本体だけ、16cmを選ぶなら取付キットかインナーブラケット込みで予算を組む。この一本の線で候補は自然に絞れる。先に候補を1つに決めてから、自分の型式・グレード・純正スピーカーの有無をメーカーの適合情報で最終確認する、という順番で進めるのが手戻りが少ない。
本体だけで完結させたいなら KFC-RS175 か TS-F1750 の2択で、あとは低域下限と価格をどう見るかの判断になる。フィットのほかの手入れとまとめて計画するなら
も合わせて読んでおくといい。
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