フィットのリアバンパーの下をのぞくと、純正マフラーのテールエンドは細く、位置も奥まっている。ここを社外品に替えれば音と見た目が同時に変わるが、フィットは「フィット用」と書かれた製品でも、型式・ミッション・生産時期の組み合わせで適合が切れる。同じ品番が GK3 では 5MT を外し、GK5 では CVT を外す、という逆転も起きている。音は変えずに見た目だけ整えるなら、マフラーカッターという別の道もある。
型式・ミッション・年式の3点で候補が決まる
最初に見るのは車検証だ。型式(GK3・GK5・GP5・GR1・GR3)とミッション、初度登録年月。この3点で候補が決まる。
HKS の製品データベースに掲載された適合情報によると、silent Hi-Power(32016-AH031)は GK5 で「4WDおよびCVTは適合外」、GK3 で「4WDおよび5MTは適合外」とされている。同じ品番なのに、外れるミッションが型式で入れ替わる。柿本改が公開している適合表のほうは、GK5 に CVT と 6MT、GK3 に CVT と 5MT の両方の騒音値が載る。「フィット対応」の表記だけで買わず、自分の型式とミッションの行が適合表にあるかを確かめる。ここが最初の関門になる。
年式も効く。GP5 は2017年6月以降、GR3 は2022年10月のマイナーチェンジ以降が適合外と、世代の途中に線が引かれる。音を変えたくないなら、見た目だけが変わるマフラーカッターという道もある。
| 型式 | HKS 32016-AH031 の適合 | 柿本改 H44395 の近接排気騒音 |
|---|---|---|
| GK3(1.3L) | 2013年9月〜2020年1月/4WD・5MTは適合外 | CVT 87dB・5MT 86dB |
| GK5(1.5L) | 2013年9月〜2020年1月/4WD・CVTは適合外 | CVT 88dB・6MT 95dB |
| GP5(ハイブリッド) | 2013年9月〜2017年5月/4WDは適合外 | 7AT 92dB |
| GR1(1.3L) | 今回確認した範囲に記載なし | CVT 85dB |
| GR3(e:HEV) | 2020年2月〜2022年9月/MC後は適合外 | CVT 93dB |
車検で問われる内容は生産日で変わる
2010年3月31日までに生産された車
柿本改がまとめているマフラーの法令解説によると、この区分の車では近接排気騒音のみが車検の項目になる。HKS が公開しているマフラーの車検対応に関する解説では、保安基準は近接排気騒音96dB以内・最低地上高9cm、業界団体の自主基準である JASMA 基準は95dBとされている。フィットの GK/GP/GR 系はいずれもこの区分には当たらない。
2010年4月1日以降に生産された車
この日以降の生産車には、近接排気騒音に加えて「加速走行騒音を有効に防止するものであること」が求められ、基準値は82dB以下になった。インナーサイレンサーのように容易に脱着できる方法で基準を満たすことは認められていない。NAPAC が公開している車検対応・保安基準適合の解説では、平成25年4月1日以降、この区分の車両に装着するスポーツマフラーは事前認証を取得したものでないと車検を受けられないとされている。
国土交通省が公表している交換用マフラー事前認証制度の説明では、国土交通大臣が登録した機関(登録性能等確認機関)が騒音防止性能などを事前に確認し、確認されたマフラーに「性能等確認済表示」を表示する。乗車定員11人以上の自動車や車両総重量3.5トン超の自動車などは制度の対象外だが、フィットは乗用車なので対象内に入る。
車検で認められる5種類の表示
NAPAC と HKS の解説では、純正品表示・装置型式指定品表示(自マーク)・性能等確認済表示・ECE規則適合品表示(Eマーク)・EU指令適合品表示(eマーク)の5種類が挙げられている。受検前に、後付消音器の性能等確認機関が発行する表示・プレートを確認したうえで受けるよう案内されている。認証番号を持つ製品であることと、その車で車検に通ることは別で、合否は実車の測定と表示の確認で決まる。
3代目(GK3・GK5・GP5)の適合
GK3(1.3L)の適合
HKS の適合情報では、silent Hi-Power は GK3(DBA-GK3・エンジン形式 L13B・2013年9月〜2020年1月)に掲載され、備考は「メインのみ。4WDおよび5MTは適合外。無限製リアアンダースポイラー装着車取付不可」。5MT なら、この品番は候補から外れる。柿本改の適合表では GK3 の近接排気騒音が CVT 87dB・5MT 86dB、アイドリング騒音が57dB・55dBとなっている。
GK5(1.5L)の適合
同じ品番が GK5(DBA-GK5・L15B・2013年9月〜2020年1月)にも載るが、備考は「メインのみ。4WDおよびCVTは適合外」で、GK3 とは逆に CVT が対象外になる。近接排気音はノーマル80dBに対し装着時92dB。マイナーチェンジ前の無限製リアアンダースポイラー装着車は、メインマフラー左側のラバーステーを HKS 製 B タイプ「17459-002100」に変更することで取付け可能とされている。柿本改側は GK5 に CVT 88dB・6MT 95dB を掲載している。
GP5(ハイブリッド)の適合
GP5(DAA-GP5・LEB-H1)の適合年式は2013年9月〜2017年5月。備考は「メインのみ。4WDは適合外。無限製リアアンダースポイラー装着車取付不可。2017/6以降適合外」で、同じ GP5 でも2017年6月以降の車両は対象から外れる。近接排気音はノーマル80dBに対し装着時89dB。柿本改の適合表では GP5(7AT)が92dB・アイドリング61dB。
なお GK 系で2017年6月以降に生産された車両は、純正ラバー「18215-S84-A30」または HKS ラバー「17459-002100」を使うことで取付け可能と記載されている。
4代目(GR1・GR3)は2022年10月で線が引かれる
HKS の適合情報では、silent Hi-Power の GR3(6AA-GR3・LEB-H5)向け適合年式は2020年2月〜2022年9月で、備考に「2022/10〜(MC後)適合外」と明記されている。近接排気音はノーマル77dBに対し装着時90dB。柿本改の適合表でも GR3・GR1 の掲載年式は2020年2月〜2022年10月までで、GR3(CVT)が93dB・アイドリング65dB、GR1(6BA-GR1・L13B・CVT)が85dB・アイドリング58dBとなっている。
現行モデルに乗っていても、後期型では選べる製品が変わる。GR 系だから新しくて安心、とはならない。GR1 については今回確認した HKS の適合情報に記載がなく、この品番での可否はここでは判断しない。
本体を替えるとき、交換されるのはどこか
HKS silent Hi-Power(32016-AH031)の共通スペックは、マフラー形状 HP(TYPE-H)、主要材質 SUS304ステンレス、テール外径65mm、中間パイプ径50mm、装着時地上高180mm、認証番号 JQR10141052。キット対象部位はメインシェルで、メーカー希望小売価格は税込49,500円(税抜45,000円)。排気抵抗の少ないストレート構造で車検対応、と製品説明にある。
替えるのは後端のマフラー本体だけで、純正の中間パイプはそのまま残る。備考の「メインのみ」はその意味で、中間パイプから交換する製品より作業範囲も外す部品も少ない。柿本改 GTbox 06&S(H44395)も分割数1の製品として掲載されている。
装着時地上高180mmはノーマルサスペンション車両のデータが基本になる。車高を落としているなら自分の車で測る。フック・ブラケット・ステーは予告なく変更される場合がある、との注記もある。Amazon の実売価格は確認時点で ¥40,818 で、メーカー希望小売価格とは別に日々動く。
HKS silent Hi-Power 32016-AH031 フィット用スポーツマフラー(SUS304・テール外径65mm・車検対応)
見た目だけ変えるならマフラーカッター
音は変わらない
グーネットのマフラーカッター解説によると、マフラーカッターは排気管用のドレスアップパーツで、マフラーの後端に装着してマフラーが太く見えるようにするもの。排気効率が上がるわけでも、排気音が大きくなるわけでもない。性能も音も振動もそのままで、変わるのは見た目だけだ。音を変えたいなら本体交換になる。
サイズと素材の選び方
アップガレージのマフラーカッター解説では、純正マフラーのテールエンドの直径を測り、商品側に書かれた対応径と合わせて選ぶよう説明されている。素材はステンレスが最も多く、錆びにくく軽く、熱に強い。取り付けはボルトやホースバンドの締め付けだけで済む一方、排気口がバンパーと一体型の車には装着できず、排気口が複数本あってパイプの間隔が狭いタイプにも付かない場合がある。バンパーやエアロパーツとの干渉も見ておく。
車検で問題になる条件
車検で不合格になる条件として、最低地上高が9cm未満になるもの、リアバンパーから10mm以上はみ出しているものが挙げられている。逆に、カッターの端に2.5mm以上の曲率半径があれば突起としては問題ないとされている。
4代目のハイブリッド(GR系)向けには、ステンレス製のシングル出しがブラックとシルバーで販売されている。実売価格は確認時点でどちらも ¥2,399。テールエンドの外径が対応径に収まるかは、購入前に測って合わせる。
フィット ハイブリッド GR系 GR3型/4型用 マフラーカッター ステンレス製 シングル(ブラック)
フィット ハイブリッド GR系 GR3型/4型用 マフラーカッター ステンレス製 シングル(シルバー)
比較で見る項目と、買う前の手順
比べるときに見る7項目
見るのは、1) 適合(型式・ミッション・年式が適合表にあるか)2) 近接排気騒音値 3) 素材 4) 重量 5) テール径と出口方向 6) 交換範囲 7) 認証番号の有無、の7つ。価格から並べても適合が合わなければ意味がないので、適合を先頭に置く。
重量とテール径は数字で差が出る。柿本改 GTbox 06&S は単体重量3.5kg(純正3.7kg)、テール径φ80、パイプ径φ50、タイコ径φ115、出口方向S(右)、認証は JQR10131250、希望小売価格は税込66,000円(税抜60,000円)。オプションのインナーサイレンサー(SIS001)が税込7,700円(税抜7,000円)で用意されている。HKS 側はテール外径65mmなので、同じ1本出しでも見え方は変わる。
近接排気騒音値は同じ製品でもミッションで動く。柿本改の適合表では GK5 が CVT 88dB・6MT 95dB で7dBの差があり、GK3 は CVT 87dB・5MT 86dB とほぼ並ぶ。数値が大きいほど音は大きい。代表値ではなく自分の仕様の行を読む。
買う前に踏む5つの手順
- 車検証で型式・ミッション・生産時期を確認する。
- メーカーの適合表で、自分の型式とミッションの行が掲載されているかを見る。
- 無限製リアアンダースポイラーなど後付けの外装があるなら、備考の条件を読む。
- 2017年6月以降の GK 系なら、指定されたラバー部品への交換が要るかを確認する。
- 受検前に、性能等確認機関が発行する表示・プレートを確認する。
在庫の有無は、注文時に販売店へ確認する前提で進める。柿本改の製品ページにもその案内がある。
よくある質問
「フィット対応」と書いてあれば必ず付きますか
付くとは限らない。HKS と柿本改では適合するミッションの扱いが違い、同じ品番でも GK3 と GK5 で外れるミッションが入れ替わる。型式・ミッション・年式の3つが揃った行が適合表にあるかどうかで判断する。
マフラーを替えると車検に通らなくなりますか
2010年4月1日以降に生産された車なら、事前認証を受けた製品で、認められる5種類の表示のいずれかが付いていることが前提になる。ただし認証番号があることと、その車で車検に通ることは同じではない。受検前に販売店や整備工場で表示を見てもらう。
マフラーカッターを付けると音は大きくなりますか
大きくならない。マフラーカッターは見た目を変えるパーツで、排気効率も排気音も変わらない。音を変えたいなら本体交換になる。
GK5 の CVT 車でも社外マフラーは選べますか
HKS silent Hi-Power(32016-AH031)は GK5 の CVT が適合外なので、この品番は選べない。一方、柿本改の適合表には GK5 の CVT の行があり、近接排気騒音88dBが掲載されている。メーカーごとに適合表を見比べることになる。
まとめ
まず車検証で型式と初度登録年月を確認する。GK3・GK5・GP5・GR1・GR3 のどれで、ミッションは何で、生産時期はいつか。この3点が揃えば、適合表のどの行を読めばよいかが決まる。GK3 と GK5 で外れるミッションが逆転し、GP5 は2017年6月、GR3 は2022年10月で線が引かれる以上、型式名の一致だけでは足りない。
音と見た目の両方を変えるなら HKS silent Hi-Power のような本体交換、見た目だけでよいならステンレス製のマフラーカッター。どちらを選ぶかは、音をどうしたいかで決まる。
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