ホンダ フィットは2001年の初代から現在の4代目まで、世代ごとにダッシュボード周りの設計とオーディオ規格が大きく変わってきた車種である。同じフィット向けの製品を探していても、GE系・GK/GP系・GR系のどれに乗っているかで選ぶべきナビやその周辺機器はまったく違う。型式別の相性を先に押さえたうえで、実際に流通している製品を年式ごとに比較していく。
フィット世代別 ナビ環境の違いを一覧で比較
型式ごとの傾向を先に一覧にした。年式と型式はグレード名だけでは判断しづらいため、車検証の型式欄と合わせて確認すると迷いにくい。
| 世代 | 型式 | 年式目安 | 純正まわりの傾向 | 後付けで人気の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 2代目 | GE6・GE7・GE8・GE9 | 2007年10月~2013年8月 | 社外ナビや外部メーカーのオーディオ装着が前提の車両が多い | 大画面ディスプレイオーディオへの載せ替え |
| 3代目 | GK3・GK4・GK5・GK6・GP5・GP6 | 2013年9月~2020年1月 | Gathers(純正ナビ)採用車が増える | 走行中のテレビ・DVD視聴用キャンセラー |
| 4代目 | GR1~GR8・GS系 | 2020年2月~現行 | Honda CONNECT対応ナビが標準に近づく | 保護フィルムとキャンセラーの併用 |
同じ「フィット」という車名でも、世代が変わるとコネクタ形状やディスプレイの取り付け穴のピッチまで変わるため、型式をまたいだ流用はほとんど期待できない。次の章では、この3つの世代ごとに実際の製品を見ていく。
世代別に見る おすすめナビ・関連パーツ
ここからは世代別に、実際に販売されている製品を具体的に見ていく。価格や在庫は変動するため、購入前に販売ページで最新の状態を確認してほしい。取り付け方法もDIYか業者依頼かで世代ごとに難易度が変わるため、あわせて見ていく。
GE系(2007年10月~2013年8月)向けの選択肢
GE系は年式の幅が広く、グレードによっては最初からナビが付いていない車両も残っている。純正オーディオレスの個体では、社外のディスプレイオーディオへ載せ替える形が現実的な選択肢になる。
GE系フィット向け 10.1インチAndroidカーナビ
この製品はGE系のフィット専用設計をうたうモデルで、CarPlayとAndroid Autoの両方に対応し、スマートフォンの地図アプリをそのまま大画面に映せる。配線もGE系の車両に合わせた専用ハーネスが付属するため、社外ナビ取り付けの経験が少ない場合でも作業の見通しを立てやすい。ただし並行輸入品のため、保証や日本語サポートの窓口は販売店ごとに条件が異なる。購入前に保証内容と返品条件を販売ページで見比べておくと、あとで困りにくい。GE系は年式によってオーディオパネルの外形が3代目以降と異なり、市販の取り付けキットも2DINタイプと1DIN+ポケットタイプのどちらに該当するかで対応製品が変わる。パネルを外す際はツメの位置を確認し、無理に引き抜くとパネルが破損しやすいため、内張り剥がしなどの専用工具を使う方法のほうが傷を防ぎやすい。
GK/GP系(2013年9月~2020年1月)向けの選択肢
GK3~GK6とGP5・GP6の世代は、ディーラーオプションのGathersナビが装着された車両の比率が上がった世代である。このクラスの主な悩みは、ナビの性能そのものより「停車中しか映像が見られない」という制限にある。
GK/GP系 純正ナビ向けテレビキャンセラー
このキャンセラーは、GK3・GK4・GK5・GK6・GP5に搭載されたGathers純正ナビを対象にした配線接続タイプで、走行中でもテレビやDVDの画面表示を可能にする。ただし後述のとおり、運転者が走行中に映像を注視することは道路交通法で禁じられているため、あくまで同乗者向けの視聴環境を整える製品として扱うのが前提になる。取り付けはナビ裏のカプラーに割り込ませる形が中心で、配線図を確認しながら進める作業になる。Gathersナビにはメーカーオプションとディーラーオプションの2系統があり、型式や年式が同じでも搭載されているナビの型番が異なるケースがある。キャンセラーを選ぶ際は、対応表に記載されたナビの型番までグレードとあわせて確認すると、配線コネクタの形状違いによる接続不良を避けやすい。
GR系(2020年2月~現行)向けの選択肢
GR1~GR8とGS系の4代目は、Honda CONNECT対応ナビがラインアップの中心になった世代である。ディスプレイのサイズや形状が先代までと変わっているため、保護フィルムやキャンセラー類は世代専用設計のものを選ぶ必要がある。
たとえばGR1~GR8を対象にしたガラスフィルムは、指紋やギラつきを抑えつつタッチ操作の感度を保つ設計で、9インチクラスのディスプレイ寸法に合わせて作られている。取り付け前にディスプレイの縦横寸法を実測しておくと、貼り付け位置のずれを防ぎやすい。
Honda CONNECT対応ディスプレイ向けのテレビキャンセラーも登場しており、フィットのほかヴェゼルやZR-Vなど同系統のディスプレイを搭載する車種と共通で使えるジャンパータイプが流通している。こちらも運転中の視聴を前提にした製品ではなく、停車時や同乗者向けの利用が原則になる。e:HEV(ハイブリッド)グレードとガソリングレードでは、メーターパネル周辺の表示レイアウトが一部異なるため、保護フィルムを選ぶ際はディスプレイの対角インチ数だけでなく、四隅の丸みや切り欠き形状まで確認すると失敗が少ない。CarPlayやAndroid Autoに対応したグレードでは純正ナビのままでもスマートフォン連携が完結する場合があり、社外品への交換自体が不要になるケースも増えている。
自分のフィットの型式を確認する方法
型式を勘違いしたまま製品を選ぶと、コネクタの形状やディスプレイサイズが合わず取り付けられないことがある。中古車として購入した場合や家族から譲り受けた場合は、型式そのものを把握していないことも多い。次の3つの方法を組み合わせると、思い違いを防ぎやすい。
車検証の型式欄で確認する
もっとも確実なのは車検証だ。「型式」の欄には「DBA-GK3」のように記号と数字が並んでおり、アルファベット部分がGE・GK・GP・GRなどの世代を示す。ハイフンの後ろの数字が細かいグレード違いを表すため、この数字まで含めて製品ページの適合表と照らし合わせる。グレード名(ホーム・クロスター・リュクスなど)は年次改良でも据え置かれることが多く、グレード名だけでは世代を判別できない。型式の記号こそが世代を確定させる情報になる。
車体番号プレートで確認する
運転席のドア開口部やエンジンルーム内に貼られた車体番号プレートにも型式が記載されている。車検証と同じ表記が基本だが、年式によって貼付位置が異なるため、見当たらない場合はホンダのディーラーで型式を照会してもらう方法もある。プレートには型式のほか、製造年月や仕向地を示すコードが並記されている場合もある。読み方が分からないときは、写真を撮ってディーラーの窓口に持ち込むと照会してもらいやすい。
年式からおおよその世代を判断する
手元に車検証がない場合は、初度登録年月からおおよその世代を絞り込める。2013年8月までの登録ならGE系、2013年9月から2020年1月までの登録ならGK・GP系、2020年2月以降の登録ならGR・GS系にあたる可能性が高い。ただし登録時期と生産時期にはずれが生じることもあるため、最終的には型式そのものを確認する方が判断を誤りにくい。中古車情報サイトの掲載情報には型式が明記されていることが多く、購入前に確認しておくと年式表記だけに頼るより誤りを避けやすい。
取り付け前に確認しておきたい注意点
製品の適合が分かったあとも、取り付け作業そのものにいくつか気をつけたい点がある。
電源とヒューズの取り出し方
ナビやキャンセラーの電源は、ヒューズボックスから常時電源とアクセサリー電源を分けて取り出す配線が中心になる。車両ごとにヒューズの配置とアンペア数が異なるため、配線図はグレードと型式の両方が一致するものを選ぶ必要がある。誤ったヒューズ位置から電源を取ると、ナビ本体だけでなく他の電装品にも影響が及ぶことがある。作業前にバッテリーのマイナス端子を外しておくと、配線同士の接触によるショートを防ぎやすい。取り外し中はナビやオーディオの時計設定・登録情報がリセットされることがあるため、作業後に再設定が必要になる点もあらかじめ把握しておくと戸惑いにくい。
オーディオハーネスと変換コネクタ
純正オーディオ用のハーネスは世代ごとに形状が異なり、社外ナビを取り付ける際は車種専用の変換コネクタを介して接続するのが一般的だ。変換コネクタを使わずに配線を直接カットして接続する方法もあるが、将来売却する際に原状回復がしにくくなるため、コネクタ接続で進める方法のほうが扱いやすい。内張りパネルはクリップで固定されている箇所が多く、無理な力を加えるとクリップの爪が折れて浮きや異音の原因になる。パネルの取り外し順序は世代ごとに解説動画や整備書で紹介されていることが多いため、事前に手順を把握してから作業に入ると迷いにくい。
走行中の映像視聴と道路交通法
テレビキャンセラーを取り付けると、停車中しか映らなかった映像を走行中にも表示できるようになる。しかし道路交通法では、運転者が走行中に自動車に取り付けられたカーナビやテレビなどの画面に表示された映像を注視することを禁止している。キャンセラーは同乗者が座席から視聴する、あるいは駐車中に確認する用途で使うものと考え、運転者自身が走行中の画面を見ないようにする意識が欠かせない。製品によっては、走行中と停車中を車速信号で自動判定し、走行中は一部機能を自動的に制限するタイプも存在する。運転中の操作をできるだけ減らしたい場合は、そうした車速連動タイプを選ぶという考え方もある。
よくある質問
型式がわかったところで、購入前によく寄せられる疑問をまとめておく。
GE系の純正オーディオでもBluetoothは使えますか
グレードや装着されたオーディオの世代によって対応状況が分かれる。純正オーディオがBluetoothに非対応の場合は、Bluetooth対応の外部オーディオやディスプレイオーディオへ載せ替えることで、スマートフォンの音楽や通話を車内スピーカーで扱えるようになる。近年のディスプレイオーディオはApple CarPlayやAndroid Autoにも対応するモデルが多く、Bluetoothに加えてケーブル接続でのスマートフォン連携も選べる製品が増えている。
社外ナビへの載せ替えでステアリングリモコンは使えなくなりますか
車種専用のステアリングリモコン変換アダプターを併用すれば、社外ナビでもハンドル手元のボタンで音量調整や選曲を続けられることが多い。製品ごとに対応アダプターが異なるため、ナビ本体の適合表とあわせてアダプターの型番も確認しておくと安心だ。アダプターを使わずに配線を直結する方法もあるが、リモコンの一部ボタンが正しく動作しないケースが報告されており、まずは車種専用アダプターの利用を検討する方法が無難である。
GK/GP系のGathersナビは社外品に交換できますか
Gathers純正ナビも配線変換コネクタを使えば社外ナビへの交換自体は可能である。ただしエアコンパネルやハザードスイッチと一体になった形状のモデルもあり、その場合は内装パネルごと対応した製品を選ばないと隙間や浮きが出やすい。交換前に自車のパネル形状がどちらのタイプかを確認しておくと選びやすい。交換後に純正のバックカメラや音声認識機能を引き続き使いたい場合は、それらの機能に対応した変換ユニットが必要になることもあるため、社外ナビ側の対応状況もあわせて確認しておきたい。
テレビキャンセラーの取り付けは違法になりますか
キャンセラー自体の販売や取り付けを直接禁止する規定はないが、走行中に運転者が映像を注視する行為は道路交通法違反にあたる。取り付け後の使い方が問われる製品と理解したうえで、同乗者向けの用途にとどめる運用が前提になる。販売店によっては保険の扱いに関する案内が見られることもあるが、保険の扱いは保険会社ごとに規定が異なるため、契約している保険会社に個別に確認する方法が確実である。
まとめ
フィットのナビ選びは、GE系・GK/GP系・GR系という世代の違いがそのまま選ぶべき製品の違いにつながる。型式を車検証で確認し、その世代に合わせた製品を選べば、社外ナビへの載せ替えでもキャンセラーの取り付けでも、迷う場面は大きく減る。走行中の映像視聴に関する道路交通法の制限だけは世代を問わず共通の前提として、取り付け後の使い方まで含めて考えておきたい。型式さえ間違えなければ、GE系・GK/GP系・GR系のいずれでも社外ナビやキャンセラーの選択肢は十分に用意されている。購入前には車検証の型式欄を確認し、対応する製品ページの適合表と突き合わせる一手間を惜しまないようにしたい。
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