オーラの車高調選びは、車検証の型式を見るところから始まる。ブリッツの車種別適合表では、FE13(2WD)とFSNE13(4WD)でコードNo.が別に設定されていて、4WD側の行には「4WD専用」と書かれている。ここで取り上げる2製品はどちらもFE13用で、両者の違いは減衰力を工具で回すか運転席から操作するかという1点に集約される。まずは自分の型式を確定させ、そのうえで下げ幅の天井を純正の最低地上高から逆算する、という順番で読み進めてほしい。
オーラの車高調は型式でコードNo.が分かれる
ブリッツの車種別適合表によると、オーラ用の車高調キットは駆動方式ごとに別の品番が用意されている。
| 型式 | 駆動方式 | DAMPER ZZ-R | ZZ-R+SpecDSC Plus フルセット |
|---|---|---|---|
| FE13 | 2WD | 92586 | 98586 |
| FSNE13 | 4WD | 92675(4WD専用) | 98675(4WD専用) |
適合表にはオーラ(AURA)としてFE13が2021年8月以降と2024年6月以降、FSNE13が2021年10月以降と2024年7月以降、オーラニスモ(AURA NISMO)としてFE13とFSNE13の2024年7月以降が掲載されている。エンジン型式はFE13がHR12-EM47、FSNE13がHR12-EM47-MM48。4WDのオーラに2WD用のコードNo.は設定されていないので、買う前に車検証の型式欄を必ず見る。なお適合表のオーラの行には、いずれも「福祉車両未確認」の注記が付いている。
この記事で扱うのは、FE13用の92586と98586の2つだ。
下げてよい量の天井は純正の最低地上高から出す
製品を選ぶ前に、自分の車で下げてよい量の上限を出しておく。ここを飛ばすと、買ってから調整幅が足りない、あるいは下げすぎて戻すことになる。
純正の最低地上高はグレードで違う
日産の主要諸元表によると、オーラの標準グレード(G / G leather edition / G FOUR / G FOUR leather edition)は全長4045mm・全幅1735mm・全高1525mm、ホイールベース2580mm、トレッド前後とも1510mm、最低地上高130mm。車両重量は2WDが1260kg、4WDが1370kgで、最低地上高130mmは2WD・4WD共通の値として記載されている。日産のNISMO主要諸元表では、オーラ NISMO(2WD)が全長4125mm×全幅1735mm×全高1505mm、最低地上高115mm、車両重量1270kg。参考までに、オーテックジャパンの主要諸元表ではAUTECH SPORTS SPECが全高1505mm・最低地上高130mm、標準のAUTECH/AUTECH FOURが全高1525mm・最低地上高145mmとなっている。
下限は空車状態で9cm
一方の下限側は法令で決まる。自動車技術総合機構の説明では、最低地上高は自動車の接地部以外の部分と地面との間に必要な最低限の間げきであり、車高を低くした乗用車などでは空車状態で測定した値が自動車下面の全面で9cm以上でなければならない。同機構のよくある質問では、ホイールベース250cmの場合は9cm、オーバーハング50cmの部分では7.5cmという基準例も示され、詳細は審査事務規程の7-3および8-3を参照するよう案内されている。
測定は空車状態で行われる。人が乗った状態で足りていても判断材料にならない点は、最初に頭へ入れておきたい。
引き算した値は目安にすぎない
引き算そのものは単純で、標準グレードなら130mmと9cmの差、NISMOなら115mmと9cmの差が計算上の余地になる。ただしこれは机上の数字にすぎない。実際にどこが最低点になるかはマフラーやアンダーカバー、あとから付けたエアロで変わるので、「何mmまで下げる」と先に決めるのではなく、装着してジャッキから降ろし、車体が落ち着いた状態で実測して、足りなければ戻せるだけの調整幅を持つ製品を選ぶ、という順序で考える。
「4cm以上下げたら構造変更」がここでは当てはまらない理由
車高調の話になると必ず出てくる±4cmの枠は、オーラにショックアブソーバーを組む場面ではそのまま当てはまらない。
国土交通省の依命通達(自技第234号・自整第262号、最終改正 平成27年6月11日)は、ユーザーの嗜好により追加・変更する蓋然性が高く、安全確保・公害防止上支障が少ない部品を「指定部品」と定義し、その例としてエア・スポイラ、ルーフ・ラック、ショック・アブソーバ、トレーラ・ヒッチ等を挙げている。取付方法も3つに分けられていて、溶接またはリベットで装着する方法が「恒久的取付方法」、手で容易に着脱できる方法が「簡易な取付方法」、その中間が「固定的取付方法」だ。
そのうえで通達は、指定部品を固定的取付方法により装着した場合、長さ・幅・高さについて自動車検査証の記載事項の変更があったときに該当しないとしている。長さ±3cm・幅±2cm・高さ±4cmという枠が効くのは、指定部品を恒久的取付方法で装着した場合か、指定外部品を固定的取付方法もしくは恒久的取付方法で装着した場合になる。
ただし同じ通達には続きがある。部品を装着した状態で保安基準の各条項に適合していることが必要であり、適合しない場合は道路運送車両法第54条第1項に基づく整備命令の対象となりうる、と明記されている。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでも、指定部品は溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合に軽微な変更として扱われること、保安基準への適合はユーザーの責任において管理することが案内されている。記載事項の変更に当たらないことと、車検に通ることは別の話だと理解しておく。
絞り込みは5つの軸で行う
価格の安さから入ると、どこかで詰まってやり直しになる。次の順で見ていけば外さない。
型式と下げ幅(第1・第2の軸)
車検証の型式がFE13かFSNE13かを確認し、駆動方式に合うコードNo.の製品だけを候補に残す。次に純正の最低地上高から下げてよい量の上限を出し、その範囲に収まる調整幅を持つ製品を選ぶ。ここまでで候補はかなり減る。
減衰力調整の方式(第3の軸)
各ダンパーのダイヤルを工具で回す手動式にするか、運転席から操作できる電子制御式にするか。オーラのFE13向けでは、この選択がそのまま92586と98586の分かれ目になる。
作業量と保証(第4・第5の軸)
リア側の減衰力調整機構の取り付けに内装の加工や脱着が伴うことを受け入れられるか、作業を頼める先があるかを確認する。最後に保証期間とオーバーホール体制を見る。可動部品である以上、いつかは減衰力が落ちるからだ。
構造方式も押さえておきたい。ブリッツの使い方解説では、全長調整式はロアブラケット部分で車高を調整するのでショックのストローク量が変わらず乗り心地に影響が出にくいのに対し、ネジ式はショックの長さを変えて車高を調整するため上げすぎ・下げすぎが乗り心地に影響してくる、と説明されている。直巻スプリングはバネ径(ID)が同じなら別のスプリングへ変更できるという利点もある。今回の2製品はどちらも全長調整式だ。
DAMPER ZZ-R(92586)— 手動32段の基準機
FE13用の1本目は、手動調整の車高調としての基準になる製品だ。
適合表と仕様データの数値
ブリッツが公開している仕様データでは、コードNo.92586のフロントが基準車高-22mm・調整範囲-65mm〜0mm・バネレート5.0k・アッパーマウント純正・スプリングはID62ストレート・自由長180mm、リアが基準車高-31mm・調整範囲-50mm〜-15mm・バネレート5.5k・アッパーマウント純正・専用形状スプリング・自由長180mm。車種別適合表では推奨減衰力が前後とも16/16と記載されている。なお適合表には、車高調整範囲がフロント-60mm〜0mm・リア-35mm〜0mmと記載された92586/98586の行も存在するので、注文前にメーカーの最新の適合情報で確認してほしい。
本体構造と調整の出発点
本体側は、ブリッツの製品情報によると前後とも32段の減衰力調整機能を持ち、単筒式でφ44大径ピストンを用いて減衰力の立ち遅れを抑制する(一部車種を除く)。全長調整式については、ショックアブソーバー全体の長さをスプリングと独立して調整できるのでストローク量を変えずに車高調整ができ、底付きなどのトラブルを防げるとしている。アッパーマウント、スプリングシート、ロックシートはアルミ鍛造製、ウィッシュボーンタイプのブラケットはアルミ削り出し製。シリンダーケースはSTKM13C材にブラッククロームメッキ、スプリングはSAE9245特殊高張力材で、カートリッジ先出しのオーバーホールに対応する。
推奨減衰力16/16は32段の中央付近なので、まずは前後ともここから乗り始めるのが迷いにくい。そこから好みで動かしていけばいい。
リア側は内装の作業が前提
一方で、適合表の備考欄には92586について「リア減衰ダイアル取り付けに要内装加工または取り外し」と記載がある。リア側の減衰力を調整できる状態にするには、内装の脱着か加工が前提になる。自分でやるか、受けてくれる工場を先に見つけておくかは、買う前に決めておきたい。
BLITZ DAMPER ZZ-R 車高調 オーラ FE13 用(全長調整式・32段減衰力調整・レンチ付)
SpecDSC Plus(98586)— 減衰力調整が運転席に移る
2本目は、同じ車高調に電子制御の減衰力調整を組み合わせたフルセットだ。適合表では98586の行に「ZZ-R+SpecDSCPlusフルセット」と記載され、マウント・バネレート・自由長・スプリング形状は92586と同じ値で掲載されている。つまり車高まわりの設定は共通で、変わるのは減衰力の操作方法になる。
ブリッツの製品情報によると、DAMPER ZZ-R SpecDSC PLUSは減衰力最大96段の伸/縮同時電子制御式調整機能を備え、最大96段階の電子制御で4輪独立の減衰力調整を行う。Gセンサーを標準搭載し、乗車人数や走行状態から適切な減衰力で姿勢を安定させる「フルオート」モードを業界初として搭載する。コントローラーは2.5インチVA液晶ディスプレイで4輪の減衰力を常時表示でき、合計22種類のモードを用意。高性能バイポーラ(2相反転)制御モーターの採用で従来比17%の小型化と5%のスピードアップを実現し、環境光センサーによるオートディマー機能を持つ。別売のGPSセンサーキットを追加すると車速連動制御が使える。
価格差で買っているのは、ジャッキアップせずに4輪の減衰力を変えられる操作系だ。段数を触るのが年に数回なら手動で足りるし、乗車人数や路面で頻繁に変えたいなら電子制御が効いてくる。
こちらもリア側の作業は避けられない。適合表の備考は98586について「リアモーター取り付けに要内装加工または取り外し」としている。
BLITZ DAMPER ZZ-R SpecDSC Plus 車高調キット オーラ FE13 用(Gセンサー内蔵・電動減衰力調整)
2機種の使い分け
| 項目 | DAMPER ZZ-R(92586) | SpecDSC Plus(98586) |
|---|---|---|
| 減衰力調整 | 前後とも32段・手動 | 最大96段・4輪独立の電子制御 |
| 操作場所 | 各ダンパーのダイヤル | 運転席のコントローラー(2.5インチVA液晶) |
| 自動制御 | なし | Gセンサー標準搭載・フルオートモード |
| 車高・バネレート | フロント5.0k/リア5.5k | 同じ値で掲載 |
| リア側の作業 | 減衰ダイヤル取り付けに内装加工または取り外し | リアモーター取り付けに内装加工または取り外し |
| 保証 | 3年または60,000km以内 | 同じ |
| Amazon実売価格(確認時点) | ¥132,552 | ¥184,971 |
価格は変動するので、確認時点の目安として見てほしい。
保証条件は共通だ。ブリッツが案内している使用上の注意では、DAMPER ZZ-Rの保証は購入後3年間または走行距離60,000km以内で、同社の他の車高調製品の1年間または10,000km以内より長い。保証を受けるにはカスタマー登録とシリアルナンバーが必須で、想定していないパーツの組み合わせでの使用は保証対象外になる。
選び方は単純で、自分で工具を持って段数を合わせる作業を楽しめるなら92586、運転席から変えたいなら98586でいい。乗り心地の優劣で決める材料はここにはない。
4WD(FSNE13)とNISMOに乗っている場合
FSNE13の場合、ここまで挙げた92586・98586は使えない。適合表では92675および98675が別に設定され、備考欄に「4WD専用」と明記されている。2WD用を流用する前提の記載はどこにもないので、4WDの人は自分のコードNo.で情報を取り直してほしい。
NISMOはもう一段事情が違う。日産のNISMO主要諸元表による最低地上高115mmは標準グレードより15mm低く、全高も20mm低い。9cmまでの計算上の余地が標準グレードより小さいということだ。さらに日産のNISMO紹介ページによると、モノチューブ式リヤショックアブソーバーを採用し、ツインチューブよりも受圧面積が大きくガス圧が高いことで応答性を向上させたうえで、前後のサスペンションおよびショックアブソーバーを専用チューニングしている。フロント・リヤオーバーハングの延長やサスペンションのローダウン、リヤスポイラー形状の最適化も実施され、タイヤはMICHELIN PILOT SPORT 5、ホイールは6.5Jから7Jへワイドリム化されている。同ページに具体的なバネ定数やバンプラバー仕様の数値記載はない。
専用に仕立てられた足を置き換えるので、標準グレードより「何を得て何を手放すか」がはっきりしている。車高の自由度を取るのか、専用チューニングをそのまま使い続けるのかを先に決めたい。福祉車両ベースのオーラについては、適合表が「福祉車両未確認」としているため、メーカーまたは販売店へ個別に確認する。
取り付けと調整でつまずかないために
締め付けは工具を使い分ける
ブリッツの解説では、車高調整は付属の車高調レンチを使い、締め込む際はトルクレンチで説明書の規定トルクに従うこととされている。走行中にロアシートが緩むと車高そのものが変わってしまうので、手の感覚で済ませてよい箇所ではない。締付トルクの値は製品の説明書で確認する。
減衰力は数え方を決めてから回す
減衰力調整は、ダイヤルをハード側にいっぱいまで回し切ってからソフト側へ戻していき、クリック音で段数を数える方法が案内されている。基準を決めずに回すと左右で段数がずれるので、左右を合わせるのが基本だ。段数を変えるときも片側だけ動かさない。
装着後は点検を続ける
ブリッツは取り付け前・取り付け作業時・取り付け後の定期点検について注意事項を案内していて、異音や不具合を感じた場合は検査の前にチェック項目を確認するよう求めている。可動部品なのでシリンダー内部は必ず劣化していくとされ、減衰力が低下した場合は保証期間後でも交換対応が可能だが、カートリッジ交換には約1ヶ月かかる。預ける期間を見込んでおきたい。
車高を下げると足回りの前提も動く
車高調は単体で完結しない。国土交通省の通達が明記しているとおり、部品を装着した状態で保安基準の各条項に適合していることが必要で、その管理はユーザーの責任になる。最低地上高だけでなく、ヘッドライトの光軸、灯火類の取り付け高さ、タイヤと車体の干渉なども影響を受ける。下げ幅を決めたら、ハンドルを左右いっぱいに切った状態でのクリアランスと、走行中のフェンダー干渉を実車で見ておく。
タイヤ側の前提値も確認しておきたい。日産の公式FAQによると、オーラ FE13型(2021年8月以降)の基準車はタイヤ205/50R17 89V、ホイール17×6.5J、PCD100mm、インセット40mm、ハブ穴径60mm、空気圧は前輪230kPa・後輪210kPa。NISMOはタイヤ205/50ZR17 93W XL、ホイール17×7J、インセット42mmで空気圧は基準車と同じ、AUTECH SPORTS SPECはタイヤが205/50R17 93W XLでその他は基準車と同仕様とされている。車高を落とすとタイヤとフェンダーの位置関係が変わるので、ホイールを替える予定があるなら車高調と同時に検討したほうが手戻りが少ない。
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よくある質問
車高調を入れると車検に通らなくなりますか
装着したこと自体で通らなくなるわけではないが、通ると断定もできない。自動車技術総合機構の説明では、車高を低くした乗用車などは空車状態で測定した値が自動車下面の全面で9cm以上必要とされる。加えて国土交通省の通達は、部品を装着した状態で保安基準の各条項に適合していることが必要で、その管理はユーザーの責任だとしている。数値を実測して判断する。
どのくらいまで下げられますか
車両ごとに違うので、一律の数字は出せない。日産の主要諸元表による純正の最低地上高は標準グレードが130mm、NISMOが115mm。ここから9cmまでの差が計算上の余地になるが、最低点がどこになるかはマフラーやアンダーカバー、装着したエアロで変わる。装着後に実測して決める。
構造変更の手続きは必要ですか
国土交通省の依命通達では、ショック・アブソーバは指定部品に挙げられていて、固定的取付方法により装着した場合は長さ・幅・高さについて自動車検査証の記載事項の変更に該当しないとされている。恒久的取付方法とは溶接またはリベットでの装着を指す。ただしこれは記載事項の変更の話であって、保安基準への適合が免除されるわけではない。
4WDのオーラにも同じ品番が使えますか
使えない。適合表ではFSNE13向けに92675および98675が設定され、備考に「4WD専用」と記載されている。FE13用の92586・98586がFSNE13に適合するという記載はない。
リアの減衰力調整に内装加工は必要ですか
適合表の備考は、92586について「リア減衰ダイアル取り付けに要内装加工または取り外し」、98586について「リアモーター取り付けに要内装加工または取り外し」としている。どちらも内装の脱着か加工が前提だ。作業を依頼する場合は、この工程を含めた見積もりを取る。
まとめ
オーラの車高調は、判断の順番さえ守れば難しくない。第1に車検証でFE13かFSNE13かを確定させる。第2に純正の最低地上高から下げ幅の天井を出し、実測で詰める前提を持つ。第3に減衰力の調整を手動でやるか運転席からやるかを決める。この3段階で、FE13なら92586と98586のどちらかへ収束する。
候補を1つに絞ったら、注文前にメーカーの適合表で自分の型式・年式のコードNo.をもう一度突き合わせてほしい。適合表の値は更新されるし、福祉車両のように未確認と明示されている領域もある。工具で段数を合わせる手間を許容できるなら92586、操作を運転席へ持ってきたいなら98586を選べばいい。
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