道の駅の駐車場で後席を倒し、荷室に寝転んでみて背中の下の段に気づく。オーラで車中泊を組み立てるとき、最初に当たる壁がこれだ。日産が公表している数値では、2列目を折りたたんだときに荷室との間にできる段差は2WD(FE13)で約145mm、4WD(FSNE13)で約0mmと、駆動方式でまるごと違う。マットは寝心地を上げる道具である前に段差を埋める道具であり、格納時の荷室長約1,390mm・ストラット間の幅約1,030mmという数値から必要な寸法が決まってくる。
オーラの寸法と車中泊で効く数値
オーラはノートをベースにした上級コンパクトで、全長4,045mm・全幅1,735mm。数字だけ見ればミニバンともSUVとも違う土俵にいる。ただし車中泊の可否を決めるのは外形ではなく、室内と荷室の実寸のほうだ。
ボディ・室内の基本寸法
| 項目 | 数値(G・2WD) |
|---|---|
| 型式 | 6AA-FE13(2WD)/6AA-FSNE13(4WD) |
| 全長 | 4,045mm |
| 全幅 | 1,735mm |
| 全高 | 1,525mm |
| ホイールベース | 2,580mm |
| 室内長 | 2,030mm |
| 室内幅 | 1,445mm |
| 室内高 | 1,240mm |
| 乗車定員 | 5名 |
室内長2,030mmは前席の足元から後席背もたれまでを測った数値であり、寝床として使える長さとは一致しない。NISMOは全高が1,505mmでバンパー形状も異なるが、日産が公表する荷室寸法はグレード別ではなく2WD/4WDの駆動方式別に分かれている。つまりオーラの寝床設計を左右するのはグレードではなく、駆動方式のほうだ。
荷室の公式数値は2WDと4WDで違う
日産の公式FAQはオーラ(FE13型)の荷室寸法を、2WDと4WDの2列に分けて公表している。車中泊で使う数値だけを抜き出すと次のようになる。
| 項目 | 2WD | 4WD |
|---|---|---|
| ラゲッジルーム荷室高(標準時) | 約840mm | 約685mm |
| 2列目シート後端からバックドアまでの荷室長 | 約396mm | 約396mm |
| 2列目を折りたたんだときの1列目シート後端からバックドアまでの荷室長 | 約1,390mm | 約1,390mm |
| 2列目シート後端からリヤトリムまでの荷室長(ラゲッジボード床面上・車両中央) | 約690mm | 約570mm |
| ラゲッジルーム荷室幅(ストラット間) | 約1,030mm | 約1,030mm |
| ラゲッジルーム荷室幅(最大) | 約1,261mm | 約1,258mm |
| 2列目を折りたたんだときの荷室との段差 | 約145mm | 約0mm |
| 荷室容量(VDA方式) | 340L | 260L |
いずれも公式の参考値で、クルマの状態や測り方によって前後する。2列目は6:4の分割可倒式のため、片側だけ倒して残りを座席として使う運用もできる。
段差145mmの正体
2WDの荷室高が約840mm、4WDが約685mm。この約155mmの差は、4WDが後輪を駆動するモーターを収めるために荷室の床を上げていることによる。床が上がった4WDでは、倒した2列目の背もたれと荷室の床がほぼ同じ高さで揃うため、段差は約0mmに収まる。いっぽう床の低い2WDでは、倒した背もたれのほうが荷室床より高い位置に来て、その差が約145mmとして残る。2WDのオーラで車中泊するなら、この145mmをどう埋めるかが設計の中心になる。荷室容量が2WD 340L・4WD 260Lと逆転しているのも同じ理由で、床が低いぶん2WDのほうが多く積める。
床の高さの違いは、荷室の奥行きにも表れる。2列目背面からリヤトリムまでの荷室長は2WDで約690mm、4WDで約570mmと120mmぶん短い。4WDは床が上がったことで、荷室として使える奥行きそのものが浅くなっている。段差が消える代わりに容積を差し出している、と捉えると両者の性格がつかみやすい。
寝床の長さを1,390mmから逆算する
公式値のうち車中泊に最も効くのが、2列目を折りたたんだときの荷室長 約1,390mmだ。荷室側で体を伸ばせる最大の長さがここになる。
公式値は「前席を最後端」で測った数値
この1,390mmには注釈が付いている。日産の公式FAQは、1列目シートを最後端までスライドさせ、背もたれを垂直に立てた状態で測った数値だと明記している。要するに1,390mmは前席をいちばん後ろに下げた条件、車中泊にとっては最も条件の悪い測り方での数値だ。前席を前方へ送れば、寝床に使える長さはこの1,390mmから実際に伸びる。ホイールベースは2,580mmあり、前席のスライド代は小さくない。ここを読み落として「1,390mmしかないから無理」と決めつけるのは早い。
身長別に足りない長さ
大人が足を伸ばして眠るには、身長に10cmほど足した平らな面が要る。荷室だけで確保できる約1,390mmと比べると、不足はこうなる。
| 身長 | 必要な長さの目安 | 約1,390mmに対する不足 |
|---|---|---|
| 155cm | 約1,650mm | 約260mm |
| 165cm | 約1,750mm | 約360mm |
| 175cm | 約1,850mm | 約460mm |
不足ぶんは前席から借りる。助手席を前いっぱいまでスライドさせ、背もたれを前方へ倒すと、その背面が荷室から続く面の一部になる。ヘッドレストが抜ける形状なら外しておくと、面のつながりがよくなる。運転席は起こしたまま荷物置き場として残すと、就寝スペースを削らずに済むうえ、移動が必要になったときすぐ動かせる。
表の数値はあくまで目安で、実際に要る長さは肩幅や寝る姿勢によっても動く。買う前に一度、自分の車で荷室床からスライドさせた助手席の背面までメジャーを当てておきたい。実寸が分かれば、マットの長さと継ぎ足す枚数はその場で決まる。
就寝レイアウトの3パターン
同じオーラでも、1人か2人か、一晩泊まるのか仮眠なのかで組み方が変わる。成立する型は大きく3つある。
パターン1|荷室+助手席(1人泊の王道)
2列目を全倒しし、助手席を前端までスライドさせて背もたれを前へ倒す。荷室の約1,390mmに助手席の背面がつながり、大人1人が足を伸ばせる面ができる。2WDなら、この作業の前に荷室の低い床を埋めて背もたれの高さに合わせておく。頭を荷室側(バックドア側)に、足を前席側に向けると、幅の広いストラット間に肩が収まって寝返りが打ちやすい。
パターン2|前席リクライニング(設営ゼロの仮眠)
荷物を降ろしたくない、設営に手間をかけたくないときは、運転席か助手席を目一杯倒すだけで済ませる。オーラの前席は座面が厚く、腰の落ち込みは少ない。ただし背もたれは水平まで倒れないため、長時間眠ると腰に負担が出る。数時間の仮眠までと割り切り、腰の下にクッションを一つ入れて反りを支えると持ちがよくなる。
パターン3|荷室1人+前席1人(2人泊)
2人で泊まるなら、荷室と前席に分かれる。荷室で使える平らな幅は後述のとおり約1,030mmで、大人2人が横に並ぶには足りないためだ。荷室側の1人は6:4の背もたれを全倒し、前席側の1人はリクライニングで寝る。オーラで2人が並んで平らに寝られる面は作れないという前提を最初に置くと、装備選びの無駄がなくなる。
段差を埋める3つの手段
2WDの約145mmは、市販の車中泊マットの厚み(多くは5〜10cm)では埋めきれない。マット1枚で解決しようとせず、床の高さを合わせてからマットを敷く、という順序で考える。
ラゲッジアンダーボックスで床面を上げる
日産はオーラ用のラゲッジアンダーボックスをディーラーオプションとして設定している。低い荷室床に収まる箱で、これを入れると床面が上がり、倒した2列目背もたれとの段差が縮まる。純正オプションのため寸法の相性で悩む要素が少なく、車中泊をしない日は荷室の整理箱としてそのまま使える。2WDのオーラで泊まる前提があるなら、最初に検討する価値がある。
硬い詰め物で高さを作る
オプションを足さない場合は、低い荷室の床を自前で埋める。収納ボックスやクーラーボックス、畳んだ衣類を敷き詰めて背もたれの高さに近づけ、その上からマットを通しで敷く。ここで効くのが詰め物の選び方で、埋め物は「柔らかいもの」ではなく「潰れないもの」を選ぶ。潰れる詰め物の上にマットを載せると、体重がかかった場所だけ沈んで段が復活する。硬い箱で高さを作り、マットは表面をならす役に回すと安定する。
ベッドキット・自作ボードで面を作る
段差を根本から消すなら、荷室から後席背面までをまたぐ板を渡し、その上にマットを載せる。コンパクトカーではイレクターパイプやすのこで組む例が多く、板の下がそのまま収納になる。手間と費用はかかるが、いちど寸法を出してしまえば設営は板を置くだけになる。泊まる頻度が高いほど見返りは大きい。
マットのサイズ・厚み・素材の決め方
段差の処理方針が決まって、はじめてマットの仕様が決まる。オーラの数値から導ける制約は幅と厚みの2つだ。
幅は1,030mmが実質の上限
荷室幅は最大で約1,261mm(2WD)あるが、これはいちばん広い部分の数値にすぎない。平らな面として使えるのはストラット間の約1,030mmまでで、これを超える幅のマットはタイヤハウスの張り出しに乗り上げて波打つ。シングルの車中泊マットは幅600〜700mmの製品が多いため、1枚なら余裕をもって収まる。2枚並べると1,200〜1,400mmとなり約1,030mmを超えるため、荷室で大人2人が横並びに眠る構成は寸法的に成立しない。
厚みは段差処理とセットで決める
床の高さをアンダーボックスや箱で揃えた前提なら、マットの厚みは5〜8cm程度で足りる。床合わせをせずマットだけで押し切るなら10cm級の厚手を選び、それでも残る段の上に体の重い部分(腰)が来ないよう頭と足の向きを調整する。厚みを増やすほど天井までの余裕は減る点にも注意したい。室内高1,240mmに対して10cmのマットを敷けば、車内で身を起こしたときの頭上空間はそのぶん削られる。
素材別の性格
| 種類 | 段差への強さ | 携帯性 | 備考 |
|---|---|---|---|
| インフレータブル(自動膨張式) | 中〜高 | 中 | 厚みを出しやすく、空気量で硬さを調整できる |
| ウレタン・EVAフォーム | 中 | 低(かさばる) | 潰れにくく、床合わせの土台に向く |
| エアーマット(空気式) | 低〜中 | 高 | 薄く畳めるが、段の上では沈み込みが出やすい |
オーラのように段差を前提とする車では、潰れにくさが効く。空気だけで体を支えるタイプは段の角に当たった部分から沈んでいくため、床合わせを省いた使い方とは噛み合わない。厚手のインフレータブルを1枚通しで敷くか、フォーム材で土台を作って薄いマットを重ねるか、どちらかに寄せると失敗が減る。
マット以外に揃える車中泊グッズ
寝床が決まれば、残るのは光・電源・空気・温度の管理になる。
目隠しは全窓ぶんを想定する
夜の車内は、室内灯を点けた瞬間に外から丸見えになる。フロントだけでなくリヤドアとバックドアのガラスまで覆って、はじめて落ち着いて眠れる。オーラはリヤガラスが寝た角度のデザインで、汎用の吸盤タイプでは浮く箇所が出やすい。車種の型に合わせた製品なら隙間が出にくく、選び方はオーラ用サンシェードの比較記事にまとめてある。プライバシーガラスは日中の視線対策にはなるが、夜に灯りを点ければ中は見えると考えておく。
電源は補機バッテリーの負担を意識する
オーラはe-POWER専用車で、駆動用のリチウムイオンバッテリーと12Vの補機バッテリーを別々に積む。車内のシガーソケットやUSBから取れる電気は補機バッテリー側から出ており、システムを止めたまま長時間使えば上がる。照明やスマホ充電はポータブル電源を別に持ち込み、車両側のバッテリーは動かすための電源として温存するのが安全側だ。補機バッテリーの規格や交換の目安はオーラのバッテリー交換ガイドで扱っている。
換気と結露
大人1人が一晩で吐き出す水分は無視できず、朝には窓の内側が白く曇る。窓を数センチ開けて空気の通り道を作るのが基本だが、そのままでは虫が入る。ドアガラスに被せる防虫ネットを使えば、開けたまま眠れる。前後で対角に開けると空気が流れやすく、結露も減る。
季節別の備え
夏は閉め切った車内の温度が上がるため、標高の高い場所や風の抜ける駐車場を選ぶ判断が効いてくる。冬は逆に底冷えする。冷えは床から上がってくるため、断熱マットを寝具の下に一枚足すと体感が変わる。エンジンを回し続けての空調維持は、排ガスと騒音の面で駐車場のルールに触れることが多い。寝袋と断熱で温度を作るほうが無難だ。
よくある質問
オーラで大人2人の車中泊はできる?
荷室に2人並んで寝るのは寸法的に難しい。平らに使えるのはストラット間の約1,030mmまでで、大人2人ぶんの肩幅には足りないためだ。2人で泊まるなら、1人が荷室、もう1人が前席のリクライニングという分割型になる。プラットフォームを共有するノートでも事情は変わらず、ノートe-POWERの車中泊レイアウトでも前席の活用が前提に置かれている。
4WD(FSNE13)なら段差ゼロでそのまま寝られる?
段差は約0mmだが、長さの問題は残る。2列目を倒したときの荷室長は2WDと同じ約1,390mmで、しかもこれは前席を最後端に下げた条件での数値だ。さらに4WDは床が高いぶん荷室高が約685mmと低く、天井までの余裕は2WDより小さい。段差処理から解放される利点は大きいが、前席を前に送って長さを稼ぐ手順は4WDでも省けない。
マットは車種専用品でないと駄目?
車中泊マットに車種専用品はほとんど存在せず、汎用サイズから選ぶことになる。オーラなら幅は約1,030mm以内、長さは荷室ぶんの約1,390mmを目安にし、前席まで延ばすぶんは別のマットやクッションで継ぎ足す形になる。専用設計が効いてくるのはサンシェードやベッドキットのほうで、マットは寸法さえ合えば汎用品で足りる。
一晩エアコンを付けたままにしてもいい?
e-POWERはバッテリーの電力が減ればエンジンが自動で始動して発電するため、空調を維持すると夜通しエンジンが始動と停止を繰り返す。排ガスがこもる場所では一酸化炭素中毒のおそれがあり、騒音も周囲に及ぶ。多くの道の駅がアイドリングを控えるよう求めていることもあり、寝袋と断熱で温度を作るほうが筋がいい。
オーラの寝床づくり まとめ
オーラの車中泊は、日産が公表している荷室の数値をそのまま設計図に使える。2列目を倒したときの段差は2WD(FE13)で約145mm、4WD(FSNE13)で約0mm。まず自分の車がどちらかを確かめ、2WDならラゲッジアンダーボックスか硬い箱で床の高さを揃える。そのうえでマットは幅約1,030mm以内・厚み5〜8cmを目安に選び、足りない長さは前席を前へスライドさせて補う。公式の約1,390mmは前席を最後端に下げた条件での数値であり、そこからは伸ばせる。この順序で決めていけば、4m級のコンパクトカーでも一晩眠れる面は作れる。

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