毎日の通勤や買い物でムーヴに乗っていると、万一の事故に備えてドライブレコーダーを付けておきたくなる。付け方を分けるのは、電源をシガーソケットから手軽に取るか、ヒューズボックスから取って配線を内装の裏に隠すか、そして後ろにもカメラを付けるかの2点だ。どちらを選んでも、貼る位置の決まりと、エアバッグや運転支援のカメラへの配慮は同じように要る。
ムーヴのドラレコ取り付けで決めるのは位置・電源・配線の3つ
貼る位置は、国土交通省の呼びかけでは、運転者の視界を妨げないよう保安基準で定められた位置にすることとされ、その例として「フロントガラス上部から20%以内の範囲など」が挙がっている(令和2年12月18日の報道発表資料)。
電源は、付属のプラグで純正のシガーソケットから取るのが一般的だ。手軽だが配線が見える。配線を隠して仕上げたいなら、シガーソケットを使わず、ヒューズボックスのACC電源かIG電源からヒューズ電源で取り出す。手軽さならシガーソケット、見た目まで整えたいならヒューズ電源と考えればいい。
配線は、ドア開口部のウェザーストリップを外して天井の隙間に押し込み、Aピラーを通して足元へ回すのが、車種を限らない一般の通し方だ。
自分で付けない道もある。7代目ムーヴでは、ダイハツの発表が10インチスタイリッシュナビとあわせて「進化したドライブレコーダー(ディーラーオプション)」を紹介している。純正の中身は後半の節で扱う。機種選びから始める人は、先に次の記事を見ておくといい。
自分のムーヴの型式と世代を確かめる
ダイハツ公式のモデルヒストリーとカタログで確かめた、世代ごとの販売期間と型式は次のとおり。
| 世代 | 販売期間 | 型式(前輪駆動・FF) | 型式(フルタイム4WD) |
|---|---|---|---|
| 7代目 | 2025年6月〜販売中 | 5BA-LA850S | 5BA-LA860S |
| 6代目 | 2014年12月〜2023年7月 | LA150S | LA160S |
| 5代目 | 2010年12月〜2014年12月 | LA100S | LA110S |
7代目はグレードX・RS・L・Gのどれも同じ型式で、2025年6月発売モデルと2026年7月発売モデルでも同じだ。ダイハツは2025年6月5日に全国一斉に発売した。6代目の型式の頭の記号は年式によりDBA-・5BA-・3BA-があり、5代目はDBA-(2010年12月発売モデルのカスタムRSだけCBA-)。ダイハツ公式のモデルヒストリーでは、2023年8月〜2025年5月のあいだに新しく売られたムーヴの世代は無い。
自分の型式は、車検証の型式の欄で確かめる。記号の後ろ側(LA850S・LA150Sなど)を見れば世代が分かる。
気を付けたいのはムーヴキャンバスとの重なりだ。ムーヴキャンバス(2022年7月発売モデル以降)も型式が5BA-LA850S(FF)と5BA-LA860S(フルタイム4WD)で、7代目ムーヴと同じ型式になる。型式の記号だけで取り付けの情報や部品を探すとキャンバス向けのものが混ざるので、車名がムーヴかムーヴキャンバスかまで確かめる。キャンバスに乗っている人は次の記事へ。
作業の前に用意する物
ドラレコは機種によって設置マウントなどの形状が違う。取り付け前に、ドラレコの取扱説明書と付属品を先に確かめる。
道具と部品は、エーモンの手順で使われている次の物をそろえる。個数やサイズは車種や取り付け方で変わる。
- 検電テスター:電源の種類を見分ける
- ヒューズクリップかラジオペンチ:ヒューズを抜く
- ヒューズ電源タイプの電源ソケット:ヒューズボックスから電源を取る場合
- 電工ペンチと端子:配線に端子を付ける場合
- 内張りはがし:内装のすき間やクリップの作業
- 配線ガイド:ピラーやゴムパーツに配線を通す
- 配線バンド・結束テープ:余った配線をまとめる
- パーツクリーナー:貼る面の脱脂
電源をシガーソケットから取るなら、ヒューズまわりの道具(検電テスター・ヒューズクリップ・ヒューズ電源)は使わない。
本体を貼る位置を決める
法令で決まった範囲
冒頭の国交省の範囲に加えて、エーモンの取り付け手順は、フロントガラスの上縁からフロントガラスの実長の20%以内で、さらに運転席側から見てルームミラーに隠れる範囲に付けるとしている。同じ手順は、ドラレコは法令で取り付け箇所が指定されていると注意している。20%以内は国交省が挙げた例で、前提は運転者の視界を妨げないことだ。
運転支援のカメラをふさがない
7代目ムーヴ(LA850S・LA860S)はステレオカメラ(スマートアシスト)を搭載している。ダイハツ公式の安全のページは、フロントウインドゥに曇りや汚れがある時、ステレオカメラに汚れがある時などに、スマートアシストの機能が適切に作動しないことがあると注記している。ドラレコの本体・配線・両面テープはカメラの視界にかからない位置にし、カメラの位置は車の取扱説明書で確かめてから貼る位置を決める。
6代目ムーヴ(LA150S・LA160S)は、グレード名にSA(スマートアシスト)の付く車(例: X SAIII、L SAIII)と付かない車がある。SAの付く車は、運転支援のカメラやセンサーの位置を車の取扱説明書で確かめ、その視界にかからない位置に貼る。
貼る前の脱脂
パーツクリーナーなどで、取り付け箇所の汚れ・油分・水分を取り除く。両面テープを貼る部分に汚れが付いたまま取り付けると、粘着力が弱くなるおそれがある。
電源の取り方を選び、ヒューズボックスから取る
シガーソケットから取る場合
付属のプラグを純正のシガーソケットに挿す。作業はいちばん少なく済むが、配線が見える。見た目にこだわらないなら、これで足りる。
ヒューズボックスから取る場合
配線を隠すなら、ヒューズボックスのACC電源かIG電源からヒューズ電源で取り出す。付属のプラグの配線は切らずに、ヒューズ電源タイプの電源ソケットを増設してそこへ挿す方法がある。
ヒューズボックスの位置は車の取扱説明書で確かめる。各ヒューズの用途と容量は、ヒューズボックスのフタ(カバー)や取扱説明書に書かれている。ムーヴのどのヒューズを使えるかは確かめられていないので、フタと取扱説明書の表示を見たうえで、次の検電テスターで自分で確かめる。
検電テスターで電源の種類を見分ける
検電テスターのクリップを車の金属部分に挟んでボディアースをとり、テスターの針をヒューズ上部の端子部分に当てる。どの状態で点灯するかで電源の種類が分かる。
| 点灯した状態 | 電源の種類 |
|---|---|
| エンジンOFF | 常時電源 |
| アクセサリーON | ACC電源 |
| エンジンON | IG電源 |
| スモールランプON | イルミネーション電源 |
ヒューズ電源の差し込み方とアース
使うヒューズを決めたら、ヒューズクリップかラジオペンチで抜く。抜いた箇所の両端の端子のうち、検電テスターが反応する側が電源側端子だ。
抜いた純正ヒューズの形状(低背・ミニ平型・平型の3種類)と容量(A数)に合ったヒューズ電源を用意し、ヒューズ電源の電源側のコードがヒューズボックスの電源側端子とつながる向きで差し込む。エーモンのヒューズ電源の手順は、ヒューズの形状とA数が同じヒューズ電源を必ず使うよう求めている。
電源ソケットのマイナス側の線(アース線)は、車体の金属部分に接続する(ボディアース)。バッテリーの型番と交換の手順は次の記事にまとめてある。
前のカメラの配線を天井とAピラーに隠す
天井からAピラー、足元への通し方
次は車種を限らない一般の手順で、ムーヴ専用に確かめた手順ではない。
- ドア開口部のウェザーストリップを手で外す
- 内張りはがしで、天井の隙間に電源コードを押し込んで隠す
- Aピラーの中を通し、ウェザーストリップを戻しながら足元付近まで隠す
- Aピラーに通した配線は、結束テープや配線バンドなどで純正の配線にまとめて留める
- 余った電源コードは配線バンドで束ね、キックパネル奥の隙間に収める
エアバッグの展開を妨げない
7代目ムーヴ(LA850S・LA860S)について、ダイハツ公式の安全のページは、6つのエアバッグで前からの強い衝撃時に乗員の頭部・胸部への重大な傷害を軽減し、車両側方からの衝撃も緩和すると案内している。SRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグは前突・後突では膨らまず、側突時のみ(衝突した側だけ)膨らむとも注記している。同じページは装備がグレードで違うことを述べ、装備一覧表を案内している。6代目・5代目のエアバッグの装備は確かめられていない。
Aピラーや天井の内張りの裏に配線を通すときは、エアバッグの展開を妨げない経路にする。 自分の車のエアバッグの装備と注意は、車の取扱説明書のエアバッグの項目と装備一覧で確かめ、通してよい経路が分からなければ販売店に相談する。エアバッグの部品や配線には触れない・傷つけない。
前後2カメラの後ろの配線を通す
ここも車種を限らない一般の手順だ。
- マスキングテープでリヤカメラの取り付け位置に印をつける。ドラレコの取扱説明書を参考に、運転の妨げにならない位置にする
- ウェザーストリップを外し、天井の隙間に接続コードを隠す
- 内張りはがしでクリップや内装パネルを外してから、ゴムパーツを外す
- 配線ガイドで接続コードをゴムパーツに通す。無理に引っ張らず、慎重に通す
- 付属の両面テープでカメラを付け、カメラ側から順に内張りはがしで隠しながらリアハッチ付近まで配線する
- 余った接続コードは配線バンドで束ねて天井の隙間に隠し、内装パネルとゴムパーツを元に戻す
ムーヴのバックドアまわりの通し方は世代ごとに確かめられていないので、実車のゴムパーツを見て判断し、分からなければ販売店に聞く。天井を通す区間も、前と同じくエアバッグの展開を妨げない経路にする。
内張りを戻す前の動作確認と作業後の点検
配線を固定して内張りを戻す前に、動作確認をする。 IG電源から取った場合はエンジンをON(IG-ON)にし、ドライブレコーダーの電源が入れば配線の接続は完了だ。ACC電源から取った場合は、アクセサリーONで電源が入るかを見る。
作業後も気を抜かない。JAFは車両火災の予防として、購入後に取り付けたドライブレコーダーなど電源を必要とする機器が正しく接続され、ショートすることがないかを適宜確かめるよう勧めている。
エアバッグ警告灯にも目を向ける。JAFの解説では、エアバッグ警告灯が点灯するのはエアバッグシステムに異常が起きている状態で、エアバッグが作動しない可能性がある。すみやかに販売店や整備工場で点検を受けるよう案内し、警告灯が点灯・点滅している状態での走行は保安基準違反となる可能性があるとしている。ピラーや天井の内張りを外した後に警告灯が点いたら、そのまま乗り続けずに点検を受ける。
ダイハツ純正ドラレコという選択肢
2つのモデルの違い
ダイハツ純正用品のムーヴ用ドライブレコーダーのページには、2つのモデルが載っている。
| 項目 | ナビ・ディスプレイオーディオ連動モデル | スマホ連携モデル |
|---|---|---|
| 映像の見方 | 録画された場所をナビやディスプレイオーディオの地図で確かめながら見る | スマホアプリ「withDR」で確認・ダウンロード・設定の変更 |
| 画素数 | 前方カメラ約200万画素 | 約207万画素 |
| 駐車録画 | あり(バックカメラ側では使えない) | あり(フロント・後方HDカメラ) |
| 監視録画 | あり(バックカメラ側と、ディスプレイオーディオに装着する場合は使えない) | 無い |
連動モデルは、前後方または前方、車室内(追加オプション)の映像を見られる。駐車録画は、ほかの車の接触やいたずらなどの振動を検知すると自動でイベント録画を始める。監視録画はエンジン停止後もしばらく録画を続けるが、続く時間はページに記載が無い。
このページには対象の型式・年式、取り付け位置、電源・配線の記載は無い。 自分のムーヴの型式・年式に付けられるかは、販売店で確かめる。
バックカメラを後ろの録画に使うときの制約
ダイハツ純正のドライブレコーダー機能一覧によると、連動モデルは標準装備またはメーカーオプションのバックカメラを使って前後同時に録画できる。この場合、後方の映像はパノラマモニターの映像とは別で、映像の文字は反転して録画される。駐車録画と監視録画はバックカメラ側では使えない。
追加オプションの後方録画用HDカメラを使うと、バックカメラの映像は録画されない。HDカメラはリヤガラスに付くので、自車のバックドア付近は映らない。後方車両接近検知は後方録画用HDカメラの利用時だけで、検知するのは自動車のみ(人・自転車・オートバイは検知しない)。
ディスプレイオーディオとの組み合わせと取付費
機能一覧の注記では、連動モデルをディスプレイオーディオに装着する場合は監視録画機能が使えない。ディスプレイオーディオと室内カメラは同時に装着できず、室内カメラはサンバイザーを下ろすと視野が遮られる。
純正を選ぶと、本体のほかに取付費がかかる。純正用品のページは、標準取付費が地域によって違う場合があること、仕様や価格が予告なく変わることがあることを注記している。ナビから組み合わせを考えるなら次の記事も見ておきたい。
自分で付けるか、店に頼むかの決め方
決める軸は3つある。
- 電源の取り方:シガーソケットから取るなら、作業は本体を貼って配線を隠すところまで。ヒューズボックスから取るなら、検電テスターでの電源の見分けとヒューズの形状・容量の合わせが加わる
- カメラの数:前後2カメラは、天井・ゴムパーツ・リアハッチ付近まで内装を外して配線を通す作業が加わる
- 純正の連動モデルにするか:ナビやディスプレイオーディオとの連動とバックカメラの流用ができる一方、取付費がかかり、組み合わせによって使えない機能がある
前だけのカメラをシガーソケットから取るなら、自分で付ければいい。 ヒューズ電源と前後2カメラが重なると、内装を外す範囲が車の前から後ろまで広がる。手順を読んで迷いが残るなら店に頼む。JAFも、取り付けには専門知識が必要で、自信がない場合は専門店に依頼するとしている。
市販のドラレコで駐車中も録画したい場合は、機種ごとの取扱説明書が指定する電源コードと接続のしかたに従う。機種ごとの駐車中の録画の配線は、ここでは扱わない。
よくある質問
シガーソケットから電源を取ってもいい?
いい。付属のプラグで純正のシガーソケットから取るのは一般的な方法で、作業もいちばん少ない。配線が見えるのが気になったら、ヒューズ電源に替えればいい。
純正のバックカメラを後ろの録画に使える?
ダイハツ純正の連動モデル(ナビ・ディスプレイオーディオ連動モデル)なら、標準装備またはメーカーオプションのバックカメラで前後同時に録画できる。ただし映像の文字は反転し、駐車録画と監視録画はバックカメラ側では使えない。純正用品のページに対象の型式・年式の記載は無いので、自分のムーヴに付くかは販売店で確かめる。
ムーヴキャンバスの取り付け情報をそのまま使える?
そのまま使えるとは限らない。ムーヴキャンバス(2022年7月発売モデル以降)と7代目ムーヴは型式が5BA-LA850S(FF)・5BA-LA860S(フルタイム4WD)で同じだが、車名が違う。情報や部品を探すときは、車名まで確かめる。
どのヒューズから電源を取ればいい?
ヒューズボックスのACC電源かIG電源から取る。ムーヴのどのヒューズを使えるかは確かめられていないので、取扱説明書とフタの表示で用途と容量を見て、検電テスターで電源の種類を確かめてから選ぶ。差し込むヒューズ電源は、抜いた純正ヒューズと形状・A数を合わせる。
まとめ
最初にやるのは、車検証で型式と初度登録年月を確認することだ。そのうえで次の4つを押さえる。
- 貼る位置:国交省が例に挙げるフロントガラス上部から20%以内の範囲などで、7代目ムーヴ(LA850S・LA860S)のステレオカメラや、6代目ムーヴ(LA150S・LA160S)のグレード名にSAの付く車の運転支援のカメラの視界を避ける
- 電源:ヒューズ電源は抜いた純正ヒューズと形状・A数を合わせ、電源側の向きで差し込む
- 配線:ピラーと天井はエアバッグの展開を妨げない経路にし、分からなければ販売店に相談する
- 確認:内張りを戻す前に電源が入るかを確かめ、作業後にエアバッグ警告灯が点いたら点検を受ける
ほかの電装の作業に進むなら、LED交換の手順も参考になる。

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