雨の日に窓を少し開けて換気したい。動機はそれだけでも、ムーヴのドアバイザー選びは最初の一歩で分かれる。5代目・6代目・7代目で車体が別設計であり、同じ「ムーヴ用」でも世代が違えば別の部品になるからだ。しかも7代目は型式の表記が別車種と重なる事情を抱えている。まず自分の世代を確定させてから商品を1つに絞る。
世代がわかれば買うものは決まる
自分のムーヴがどの世代かは、車検証(自動車検査証)の「型式」欄で確認するのが確実だ。型式欄には「5BA-LA850S」のように識別記号とハイフンが先に付くので、ハイフンより後ろの「LA850S」の部分を世代の判定に使う。あわせて「初度登録年月」を見れば年式が分かり、型式と年式がそろえば商品ページの適合表記と1対1で突き合わせられる。
| 世代 | 型式 | 販売期間 | 該当する商品 |
|---|---|---|---|
| 5代目 | LA100S / LA110S | 2010年12月〜2014年12月 | BREED 取付金具・説明書付 |
| 6代目 | LA150S / LA160S | 2014年12月〜2023年7月生産モデル | MOTOR POWER 純正タイプ |
| 7代目 | LA850S / LA860S | 2025年6月〜 | Trasaburou 専用設計/FJ5942 |
5代目なら、取付金具と説明書がそろうこの1本で足りる。
BREED ムーヴ LA100S/LA110S 用 ドアバイザー(取付金具・説明書付)
6代目は標準車とムーヴカスタムの両対応をうたう製品から。
MOTOR POWER ムーヴ/ムーヴカスタム LA150S/LA160S 用 純正タイプ サイドバイザー
7代目は、商品名に適合年式まで書かれているものを選ぶ。理由は次の次の見出しで書く。
Trasaburou 新型ムーヴ LA850S/LA860S(2025年6月〜)専用設計 スモークドアバイザー
ムーヴ LA850S/860S 用 ドアバイザー(引っかけ金具付き・スモーク)
型式と年式の対応を先に確定させる
早見表の1つ前、4代目は L175S/L185S 型(2006年10月〜2010年12月)にあたる。型式末尾が偶数側(LA110S・LA160S・LA860S)は4WD、奇数側は2WDの区分だが、ドアバイザーの適合は駆動方式では変わらない。
注意したいのは、6代目の生産終了(2023年7月)と7代目の発売(2025年6月)の間に、ムーヴの新車設定がない期間があること。年式だけからの世代の推定は成り立たない。6代目には前期・後期の区分もあるが、ドアの窓枠形状は世代内で共通なので、バイザー選びでは気にしなくていい。
型式表記の注意はコンソールボックスでも起きる。
7代目の LA850S はムーヴキャンバスと同じ表記
7代目ムーヴは2025年6月5日に発表・発売された。ムーヴとしては初めてリアスライドドアを採用し、DNGA世代のプラットフォームを使う。グレードはターボの「RS」と自然吸気の「G」「X」「L」の4種で、従来あった「カスタム」の区分はない。
問題はその型式だ。7代目の LA850S(2WD)/ LA860S(4WD)という表記は、2代目ムーヴキャンバス(2022年7月〜)の型式とまったく同じ。両車はDNGAプラットフォームを共有するスライドドアの軽ハイトワゴンだが、車名も外装意匠も別のモデルとして売られている。型式だけを手がかりに通販を検索すると、ムーヴキャンバス用のドアバイザーが同じ検索結果に並ぶことになる。
この混同は商品名にも現れている。確認できたダイハツ純正用品のワイドバイザーの出品では、商品名が「ムーヴ ワイドバイザー」で始まりながら、続く適合表記は「ムーブキャンバス LA850S/LA860S」だった。先頭に自分の車名が入っているだけでは根拠にならない。見るのは、適合欄の車名が「ムーヴ」であることと、適合年式が2025年6月以降であることの2点だ。
商品ページで見る順番を決めておく
判断の基準には順番がある。上から順に潰していけば、迷う場面は減る。
1. 世代(型式)が合っているか
ドアバイザーは窓枠の外形に沿わせて貼り付ける部品なので、窓枠形状が変われば流用できない。7代目はリアがスライドドアになったため、ヒンジドアの5代目・6代目とはリアドアの形が根本から違う。世代をまたいだ流用は前提にできない。
2. 標準車かムーヴカスタムか
5代目と6代目には標準車の「ムーヴ」と「ムーヴカスタム」があり、社外品の商品名は両方をまとめて書くものと片方しか書かないものに分かれる。取り付くのは窓枠なので共通のことが多いが、適合欄に自分のタイプがあるかは見ておく。7代目にはカスタムというグレード区分自体がないので、この確認は不要だ。
3. 固定方式は両面テープだけか、金具併用か
固定方式は「両面テープのみ」と「両面テープ+固定金具(ブラケット)の併用」に分かれる。ダイハツ純正用品のワイドバイザーの商品仕様では後者で、付属のブラケットで固定したうえで両面テープで貼り付ける。金具を併用するタイプはテープの粘着力が落ちても部品が一気に外れにくい。「取付金具付」「止め具付き」の記載があるものを選びたい。
4. 幅と、ドアミラーバイザーとの取り違え
雨よけ面積を広げたワイドタイプは吹き込みに強い一方、大きすぎるものは車検で引っかかる可能性がある(後述)。極端に大きい・尖った形状は避けたい。もう1つ、検索結果には別カテゴリの「ドアミラーバイザー」が混ざる。ミラー本体の上に付ける小さな部品で、役割も価格帯も違う。左右2枚セットで千円前後の商品はこちらだ。
外装まわりをまとめて手を入れるなら、こちらも参考になる。
世代別4本を並べて比べる
| 商品 | 適合型式 | 固定方式 | 説明書 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| BREED | LA100S / LA110S | 両面テープ+取付金具 | 付属 | ¥3,480 |
| MOTOR POWER 純正タイプ | LA150S / LA160S(カスタム含む) | 両面テープ+金具 | 付属 | ¥8,800 |
| Trasaburou 専用設計 | LA850S / LA860S(R7.6〜) | 強力両面テープ+取付固定金具 | 記載なし | ¥8,360 |
| FJ5942 | LA850S / 860S | 引っかけ金具付き | 記載なし | ¥8,480 |
価格はAmazonの実売価格を確認時点で転記したもの。通販価格は動くので購入時に現在値を見てほしい。
5代目(LA100S/LA110S)なら BREED。バイザーの付いていない中古車を後から仕上げる用途が中心の世代で、取付金具と説明書がそろって数千円台なら初めての作業でも手を出しやすい。
6代目(LA150S/LA160S)なら MOTOR POWER の純正タイプ。純正の形状に寄せた意匠で、両面テープ・金具・取付説明書がひとまとめで付く。標準車とムーヴカスタムの両方をうたうので、どちらでも適合欄で悩まない。
7代目(LA850S/LA860S)向けの2本は性格が分かれる。Trasaburou の専用設計品は商品名に「R7.6〜」と適合年式が入っており、ムーヴキャンバスとの取り違えを商品ページの段階で排除できる。FJ5942 は型式表記だけなので、購入前に販売者へ車名と適合年式を確認したい。7代目は年式表記のあるほうが安全側だ。
純正用品と社外品はどこが違うのか
ダイハツ純正用品のワイドバイザー(ステンレスモール付きタイプ)の商品仕様では、1台分4枚セットで材質は樹脂(アクリル)、取付方法は「付属のブラケットを利用して固定と両面テープで貼付ます」とある。金具固定と両面テープの併用という点は社外品と同じ考え方だ。純正にはふちにステンレスモールが入るタイプとないタイプがあり、見た目の質感で選べる。社外品の「純正タイプ」はモールなしのスモークが主流だ。
差が出るのは適合確認を誰が持つかのほうだ。純正用品の販売ページにも「車体番号や年式によっては適合しない場合がございます」との注意書きがあり、適合確認には車体番号が必要とされている。取寄商品のため注文後のキャンセルができないという条件も付く。純正を選ぶなら、販売店で車体番号を伝えて適合を確認してから発注するのが確実だ。なお7代目ムーヴ専用の純正品番は今回の調査で特定できなかったため、品番と価格はここには書かない。
同じ世代の内装まわりは別記事にまとめている。
得られるものと、引き換えに受け入れるもの
中古車情報サイトのドアバイザー解説記事によると、中心的な利点は雨天時の換気にある。雨が降っていても窓の上部を少し開ける程度なら吹き込みを防げるとされ、車内にこもった空気や湿気を外に出せる。渋滞などで長く停まる場面で窓を少し開ければ、ガラスの曇りも防げるという。防犯面も挙げられていて、窓が開いていても隙間から器具を入れてロックを解除しにくく、駐車時は遠目に窓の開閉が分かりにくいとされている。
デメリットも4点挙げられている。水をはじくので洗車がしにくくなること、バイザー部分が視界を遮って運転に危険が生じる場合があること、高速走行時に風切り音の発生原因になること、付けてみたら思っていた外観と違うと感じることだ。窓を開けたまま換気したい場面がどれだけあるかで、付ける価値は決まる。年に数回しか窓を開けないなら、無理に付ける部品ではない。
夏場の車内の暑さ対策なら、こちらのほうが効く。
雨の日の視界そのものを改善したいなら、先にこちらを見直したい。
車検はどう扱われるか
中古車情報サイトの車検解説記事によると、ドアバイザーはオプション品であるため車検時の保安基準に特に規定はなく、装着の有無は自由とされている。色についても、塗装・スモークコート・ステッカー貼付を含めて制限はないという。
ただし規定がないことと、どんな製品でも必ず通ることは別だ。同じ記事では、視界やドアミラーを遮るもの、窓ガラスに触れるもの、鋭角で歩行者を傷つけるようなでっぱりのある形状は、車検に通らない可能性があるとしている。車種専用設計の製品なら、この線を踏む場面はまずない。
取り付けは下ごしらえで決まる
貼る前の準備
両面テープが接する窓枠まわりの汚れとホコリを落とし、油分を拭き取る。以前バイザーが付いていた車両は、古いテープの残りが面を凸凹にするので取り除く。汚れたまま貼ると密着せず、走行風で浮きやすくなる。雨天や低温時を避け、乾いた状態で作業したい。
仮合わせから圧着まで
金具併用タイプの流れはこうなる。4枚を左右・前後で仕分けし、剥離紙を付けたまま窓枠に当てて位置と向きを仮合わせする。金具を窓枠の内側に引っ掛けて位置を保持し、決まったら剥離紙をはがして端から順に圧着していく。
取り外すときは固定金具を外したうえで両面テープを剥がす2段階になり、粘着剤が窓枠に残ることがある。売却や下取りの直前に外すつもりなら、テープ跡の処理まで時間を見ておきたい。
作業に自信がなければ、取付説明書が同梱される製品を選ぶか販売店に依頼するのが早い。6代目向けに挙げた製品は説明書が付いてくる。
MOTOR POWER ムーヴ/ムーヴカスタム LA150S/LA160S 用 純正タイプ サイドバイザー
よくある質問
新車のときに付け忘れた。後付けはできるのか
できる。窓枠に貼り付ける部品なので車体側の加工は伴わない。自分で付けても、販売店に持ち込んでもいい。
ドアバイザーを付けたまま車検は通るのか
オプション品で保安基準に特段の規定がないため、装着自体は問題にならないとされている。ただし視界やドアミラーを遮る大きさ、窓に触れるもの、鋭角な突起のある形状は通らない可能性がある。
LA850S と書いてあれば、ムーヴキャンバス用でも付くのか
型式表記が同じでも、車名の違う製品を流用できるとは考えないほうがいい。両車の表記が一致することは確認できているが、ドアまわりの意匠が共通かどうかは確認が取れていない。適合欄の車名が「ムーヴ」のものを選ぶ。
ドアミラーバイザーとは何が違うのか
ドアバイザーは窓枠に付けて上部からの吹き込みを防ぐ部品で、1台分4枚セットが基本。ドアミラーバイザーはミラー本体の上に付けて雨だれを減らす小さな部品で、左右2枚のセットになる。商品名と枚数で見分ける。
気に入らなかったら外せるのか
外せる。ただし固定金具を解除したあと両面テープを剥がす手順で、粘着剤が窓枠に残ることがある。跡の処理まで自分でやるか整備工場に相談するかを決めてから作業に入りたい。
換気してもにおいが取れないときは
窓を開ける前にエアコン側を疑う手もある。
まとめ
先に候補を1つに絞り、そのうえでメーカーの適合情報で最終確認をする。この順番なら、ムーヴのドアバイザーで失敗する余地はほとんど残らない。
- 車検証の型式欄でハイフンより後ろを読み、世代を確定させる
- 5代目(LA100S/LA110S)なら BREED、取付金具と説明書付き
- 6代目(LA150S/LA160S)なら MOTOR POWER の純正タイプ
- 7代目(LA850S/LA860S)なら Trasaburou、「R7.6〜」の表記があるもの
7代目に乗っている人にだけ、もう一度書いておく。LA850S/LA860S という表記はムーヴキャンバスと共通なので、型式だけで検索を終わらせない。車名と2025年6月以降という適合年式、この2つがそろってはじめて自分の車のものだと言える。
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