中古で買った ZE4 に純正マットが付いてこなかった、あるいは敷いたままのマットが擦り切れてきた。ZE4 のフロアマット選びは、たいていこのどちらかから始まる。そこから先は使い方で答えが分かれる。純正に近い見た目を保ちたいのか、雪解け水や泥を丸洗いで流したいのか。ただし、どちらへ進む場合でも先に片づける一点がある。運転席側のマットを ZE4 の足元で動かないように留められるかどうかだ。
ZE4 のマットは固定・形状・素材・枚数の順に絞る
順番はこの4つで固定する。固定できるかを最初に決め、素材や見た目は最後に回す。素材の好みが外れても敷き直せば済むが、固定の失敗はペダルの操作に関わるからだ。
ZE4 に適合表記のある社外マット4製品を、この順番で並べると次のようになる。
| 製品 | 素材 | 構成 | 適合表記 | ずれ止めの記載 | 実売価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| SEIKOH 4点セット | カーペット | 4枚 | HONDA INSIGHT HYBRID ( ZE4 ) | 裏面スパイク加工・面ファスナー | 3,236円 |
| DEQPC 3Dフロアマット | TPE | 前席2枚+後席2枚 | 2018年12月-2022年12月 | 記載なし | 5,280円 |
| ZURGI カーマット | TPE | 4枚 | ZE4系 ZE2系/右ハンドル専用 | 記載なし | 5,999円 |
| DEQPC 全囲い型 | 商品名はABS・仕様欄はPVC | 4枚 | 6AA-ZE4 | 記載なし | 7,900円 |
価格は Amazon の実売価格(確認時点)で、変動する。行き先の目安はこうなる。純正に近い見た目と踏み心地が欲しいならカーペット、水濡れや泥汚れを丸洗いしたいなら樹脂系、水を溜めて受け止めたいなら縁の立った全囲い型。どれを選んでも、敷いたあとの固定確認はセットで付いてくる。
自分の車が ZE4 か、まず車検証で確かめる
ホンダが3代目インサイトの発売時に出したニュースリリースによると、ZE4 は2018年12月14日発売のハイブリッド専用ミドルセダンで、1.5L DOHC i-VTEC と2モーターの SPORT HYBRID i-MMD を組み合わせた FF・乗車定員5名の車だ。発売時のタイプは LX・EX・EX・BLACK STYLE の3種だった。
ホンダが公開している生産終了車のカタログアーカイブでは、3代目は「2018.12〜2020.04」と「2020.05〜2022.12」の2期に分けて掲載されている。販売期間は2018年12月から2022年12月まで、途中に前期と後期の区切りがある。社外品の適合欄に「2018年12月-2022年12月」とあれば、この販売期間の全体を指している。
型式は全期間を通じて 6AA-ZE4 と表記される。車検証の「型式」欄がこの表記なら ZE4 だ。適合表記が「ZE4」でも「6AA-ZE4」でも、指しているものは同じ。
「インサイト用」だけでは世代が分からない
2026年4月17日に4代目インサイトが発売された。ホンダが4代目の発売時に出したニュースリリースによると、こちらはクロスオーバー SUV の乗用 EV で、3,000台限定、WLTC モードの航続距離は535km。ZE4 のハイブリッドセダンとはボディ形状も年式も別のクルマだ。用品も別系統で、ホンダの純正アクセサリー公式情報に載っている現行インサイト用のフロアカーペットマット(プレミアムタイプ)は品番 08P15-33T-010、税込79,200円で、ZE4 用ではない。「インサイト用」「INSIGHT対応」とだけ書かれたマットは4代目向けの可能性があるので、商品名か適合欄に ZE4・6AA-ZE4・2018年〜2022年の年式のどれかが出ているかを見る。
同じ考え方は他の用品にも効く。
純正マットは固定を前提に作られている
ホンダの純正用品情報によると、ZE4 用の純正は「フロアカーペットマット(プレミアムタイプ)」で、品番は 08P15-TXM-010。消臭・抗菌加工、ヒールパッド付き、ブラック、フロント・リアのセットで、適用タイプは EX・BLACK STYLE、EX、LX。純正のオールシーズンマットとの同時装着ができると案内されている。
同じ案内には「運転席側のマットは、必ず専用ホルダーに固定して使用してください」という注意書きがある。ZE4 の運転席足元には純正マットを留める専用ホルダーがあり、純正はそこに掛けて使う設計になっている。社外マットへ履き替えるときは、この固定の役割をどう引き継ぐかが分かれ目になる。
ZE4 はすでに生産を終えており、ホンダの純正アクセサリー公式サイトのインサイトのページは4代目用に入れ替わっている。そのため ZE4 用純正マットのメーカー希望小売価格は公式には確認できない。純正で行くなら、品番 08P15-TXM-010 を伝えてホンダの販売店に価格と供給状況を聞くのが早い。通販に出ている純正品の値段は販売店ごとの値付けなので、定価として受け取らない。
同じホンダのセダンでの選び方は、こちらでも扱っている。
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公的調査が示した失敗のしかた
国土交通省が平成22年にまとめたフロアマットの使用方法に関する調査結果では、自動車メーカーから報告された事故・火災情報831件のうち、フロアマットの使用方法に起因する事故情報13件が分析されている。状態別では「未固定のマットが二重敷きされていた」が11件で84%、「未固定であった」が2件。13件すべてが未固定か二重敷きだった。推定原因では「2重敷きによるフロアマットとアクセルペダルとの引っかかり」が9件(69%)を占める。走行状態別では走行または加速時が53%(7件)、後退時や発進・停車時などの低速時が47%(6件)で、ほぼ半々に分かれた。
社外品51枚のうち49枚に固定装置が無かった
同じ調査は、メーカー純正のマットについて「アクセルペダルやブレーキペダルの形状や位置を考慮してその形状が設計され、クリップやフック等で位置を固定できる構造となっている」と記している。一方、用品店やホームセンター、インターネットの計16か所から集めた社外品51枚のうち、固定装置が備えられていたのは2枚だけだった。専用タイプより汎用タイプの販売量が断然多いことも記録されている。
滑りやすさの測定でも差が出ている。マットが動き出すのに必要な力は無負荷状態で1.5N〜18.0N、5.0kg 負荷で34.0N〜108.0N と製品ごとのばらつきが大きく、裏面のスパイクが密なほど滑りにくかった。純正は無負荷状態で15.0N〜28.0N で、測定したすべての純正マットの裏面に滑りにくい工夫が施されていた。同じ「滑り止め」という言葉でも中身の差は大きい。
ハイブリッド車でも起きる
同調査の再現実験に使われた6台のうち1台は、1.5L エンジンとモーター(77+68PS)を組み合わせた FF のハイブリッド車で、ブレーキ倍力装置の油圧源をモーターで駆動する方式だった。この車でもアクセルとブレーキの同時踏みでエンジンのハンチングが確認され、通常の制動では制動距離が伸びている。評価表には「2700rpm でハンチングし、はっとする」といった記述が並ぶ。駆動方式が違えば無関係、という話ではない。
社外マットを選ぶ4つの基準
1. 固定できるか
純正の上に重ねず、外して単独で敷くことを前提にする。そのうえで、裏面のスパイクや面ファスナーなど、ずれ止めの方法が仕様欄に書かれている製品を優先する。運転席側は純正の専用ホルダーがあるので、そこに掛かる形状か、掛からないなら別のずれ止めが効くかを見る。ただし今回の4製品はいずれもホルダーへの適合が販売ページに書かれておらず、掛かるかどうかは実車で確かめるしかない。
2. 形状と素材と枚数
形状は、縁の高い全囲い型を選ぶなら点検の頻度を上げる前提で選ぶ。素材は見た目と踏み心地ならカーペット、丸洗いのしやすさなら樹脂系。枚数は前席2枚+後席2枚の4枚が基本形で、3点セットのように枚数が少ない製品は後席の覆い方が変わるため、何枚がどの席に対応するのかを仕様欄で確かめる。ラゲッジ用マットはフロアマットとは別扱いで、セットに含まれるかは製品ごとに違う。
コンパクトカーでの選び分けはこちらが近い。
ZE4 適合表記のある社外マット4製品
ZE4 は2022年12月で生産を終えているので、専用設計をうたう社外マットの数は現行車ほど多くない。そのぶん適合表記が複数世代をまたいでいたり、「専用設計」と「汎用」が同じ説明文に同居していたりする製品が混じる。適合表記の粗さは、そのまま自分の車の足元に合わない可能性として読む。
SEIKOH 4点セット(カーペット・3,236円)
販売ページの製品仕様欄には「車名:HONDA INSIGHT HYBRID ( ZE4 )」と車種が明記され、「マットのズレ防止の為、裏面はスパイク加工」「裏面はマジックテープでフロアカーペットにガッチリ固定」と、4製品で唯一ずれ止めの方法が具体的に書かれている。運転席マットのかかとが当たる部分にヒールパッドを採用、素材は難燃性、毛足は短めで水洗いができる。注意点は商品名に「4P 4点セット フルセット」と「ラゲッジ付き」の両方の表記がある一方、仕様欄の記載は「フロアマット4点セット」であること。ラゲッジマットが同梱かどうかは注文前に確認する。
SEIKOH 丸洗いできるフロアマット インサイトハイブリッド ZE4 4点セット(カーペット・裏面スパイク加工)
DEQPC 3Dフロアマット(TPE・5,280円)
適合年式が「2018年12月-2022年12月」と書かれており、ホンダのアーカイブが示す ZE4 の販売期間そのままで、4製品のなかで適合表記がいちばん具体的だ。前席2枚+後席2枚の構成で、防水・耐汚れ・耐摩耗をうたい、取り外して水洗いできる。仕様欄にも商品名にも固定クリップやフックへの言及は無いので、敷いたあとのずれ止めは自分で確かめることになる。
DEQPC ホンダ インサイト ZE4 専用 3Dフロアマット TPE 前席2枚・後席2枚
ZURGI カーマット(TPE・5,999円)
「右ハンドル専用」を商品名に明記している数少ない製品で、3D 立体デザイン、防水・防汚・耐摩耗、折りたたんでも変形しないことをうたう。引っかかるのは適合表記だ。商品名には「ホンダ インサイト ZE4系 ZE2系 対応」と2世代分がまとめて書かれ、末尾のバリエーション表記は「(黒,対応インサイトZE2/3型)」=2代目向けの選択肢になっている。ZE4 用を買うなら購入画面でバリエーションの選択を必ず確認する。仕様欄に固定クリップ・フックの言及は無い。
ZURGI ホンダ インサイト対応 TPEカーマット 右ハンドル専用 4枚セット
DEQPC 全囲い型(盆型設計・7,900円)
適合に型式 6AA-ZE4 を明記した4枚セットで、縁が立ち上がって水や泥を受け止める。注意点が2つある。素材の記載が食い違っていること(商品名は「ABS素材」、仕様欄は「PVC素材」)と、6AA-ZE4 に適用と書きながら仕様欄では「各種普通車に適合する汎用設計」と汎用性を強調しており、どこまで ZE4 専用の型取りなのかが説明から読み取れないこと。
DEQPC ホンダ インサイト 6AA-ZE4 全囲い型カーマット 盆型設計 4枚セット
全囲い型とフラット、どちらを取るか
国土交通省の同じ調査は、マットを縁が高く水や泥が中にたまる「フランジ付きマット」と、平らな「フラットマット」に分けている。まとめでは、フランジ付きはたて壁部が高くアクセルペダルの下端とフロアとの間隔が狭くなるため、ずれた場合に端がアクセルペダルに引っかかりやすくなると指摘されている。足のかかとがたて壁部に当たるためずれやすい、という指摘もある。剛性の測定値はフラットが0.3〜2.0N、フランジ付きが0.5〜19.0N だった。
一方のフラットにも別の話がある。ずれて端が引っかかるとアクセルが全開近くで固定されるため、フランジ付きよりエンジン回転数が高い状態になるとされている。どちらにも別種のリスクがあり、選択で消えるものではない。
ずれ方の実測も出ている。剛性の低いフラットマットは二重敷き状態で、直進では縦4mm・横−5mm だったのに対し、右旋回で縦62mm・横40mm、左旋回で縦44mm、登坂で縦45mm、降坂で縦41mm 動いた。カーブや登降坂では足からマットに大きな力が加わり、位置を確認しないまま走り続けると徐々に前へずれていく、と結論づけられている。
全囲い型の DEQPC を選ぶなら、装着後にペダル周りの余裕を自分で確かめる工程を必ず入れる。SUV での選び方はこちらも参考になる。
カーペットか樹脂系かは使い方で決まる
カーペット(起毛)は純正に近い見た目と踏み心地で、砂や土を毛足の中に落とすので表面が汚れて見えにくい。反面、飲みこぼしや雪解け水はしみ込むため乾かす手間がかかる。SEIKOH のカーペットタイプはこちら側で、価格も4製品で最も低い。
TPE や PVC の樹脂系は水をはじいて丸洗いでき、雪国や現場仕事、ペットや子どもの乗り降りが多い使い方に向く。DEQPC の TPE と ZURGI がこの系統だ。ただし国土交通省の調査は、ゴムや樹脂製のマットは低温時に硬くなって剛性が上がり、低温時に不具合現象が発生しやすいと記している。冬に樹脂系を使うなら、乗車前の位置確認をより丁寧に行う前提で選ぶ。
同じ分かれ道はシビックでも整理している。
届いたあとにやること
国土交通省がフロアマットの使用について公表している注意事項は4つある。マットを確実に固定して使うこと、重ね敷きをしないこと、運転前に正しく固定されているか確認すること、そしてマットとアクセルペダルが干渉して加速した場合にブレーキ操作を繰り返し行うとブレーキ倍力装置の機能が大幅に低下するため、ブレーキ操作に大きな踏力が必要になることだ。
作業としてはこうなる。まず純正マットを外し、社外マットを単独で敷く。次に運転席側で、ホルダーに掛かるか、掛からないなら裏面のずれ止めが効いているかを手で押して確かめる。以後は乗り込む前に足元を目で見る。同調査は、乗車前なら目視でずれを確認できるが、運転中の着座姿勢では確認が困難であることを確かめている。確認は必ず乗る前に済ませる。
万一ペダルへの干渉が起きたときは、ポンピングブレーキをしない。同調査では、ブレーキ踏力100N での制動力が1回目の10297N に対し、スロットルが開いたままポンピングブレーキを行った後は1030N まで落ちた。干渉時の駆動力は1591N で、ポンピング後の制動力を上回る。踏み直さず、強く踏み続ける側に倒す。
よくある質問
純正マットの上に社外マットを重ねて敷いてもいいのか
敷かない。国土交通省が公表している注意事項は重ね敷きをしないことを明記しており、同省の調査では事故情報13件のうち11件が未固定の二重敷き状態だった。社外マットに替えるときは純正を外す。
「インサイト用」と書いてあれば ZE4 に付くのか
付くとは限らない。2026年4月に発売された4代目インサイトは EV のクロスオーバー SUV で、用品も別系統になる。商品名か適合欄に ZE4、6AA-ZE4、または2018年〜2022年の年式が出ているかを見る。
3点セットと4枚セットはどちらを選べばいいのか
ZE4 は乗車定員5名のセダンで、社外マットは前席2枚+後席2枚の4枚が基本形になる。枚数の少ない製品は後席の覆い方が変わるので、何枚がどの席に対応するのかを仕様欄で確かめてから選ぶ。
ZE4 用純正フロアマットは今いくらで買えるのか
公式の価格が確認できない。ホンダの純正アクセサリー公式サイトのインサイトのページは4代目用に入れ替わっており、ZE4 用のメーカー希望小売価格は公開されていない。品番 08P15-TXM-010 を伝えて販売店に問い合わせる。
社外マットは運転席の専用ホルダーに固定できるのか
今回の4製品については、販売ページにホルダーへの適合が書かれておらず判断できない。ホルダーに掛からない場合は、裏面のスパイクや面ファスナーでずれを止められるかが代わりの判断材料になる。
まとめ:買う前に確認する5点
- 車検証の型式欄が 6AA-ZE4 か
- 商品の適合欄に ZE4・6AA-ZE4・2018年〜2022年のいずれかが出ているか
- 仕様欄にずれ止めの方法が書かれているか
- セットの枚数と、どの席に対応するかが分かるか
- バリエーションの選択欄が ZE4 用になっているか(ZURGI は既定が2代目向け)
そのうえで行き先を1つに絞る。純正に近い見た目と最も低い価格なら SEIKOH のカーペット、適合年式が ZE4 の販売期間そのままで丸洗いしたいなら DEQPC の TPE、右ハンドル専用の記載を重く見るなら ZURGI、水や泥を溜めて受け止めたいなら DEQPC の全囲い型。どれを敷いても、最初の乗車前に運転席の足元を目で見る作業だけは省かない。
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