信号待ちでエアコンを入れた瞬間、足元から生乾きのような臭いが上がってくる。梅雨明けのムーヴでよく出る症状で、疑う先はまず助手席の奥に入っているエアコンフィルターだ。ただしムーヴは2025年6月に出た現行型から2006年発売の4代目まで4世代が現役で走っていて、世代をまたぐと入るフィルターが変わる。車名だけを頼りに買うと外す車だ、という前提から始めたい。
ムーヴのフィルターは車名ではなく型式で決まる
やることは単純で、車検証の「型式」欄を見て、その文字列が商品の適合表記に入っているかを確かめる。それだけで大半の失敗は消える。ムーヴは世代で純正品番が変わり、しかも車名の似た別車種の商品が同じ検索結果に混ざるため、車名一致で買うと当たらない。
世代と型式、そして今回選んだ4商品の対応は次のとおり。
| 世代 | 型式 | 販売期間 | 代表的な純正品番 | 今回の該当商品 |
|---|---|---|---|---|
| 7代目 | LA850S / LA860S | 2025年6月〜 | 公式適合表では未確認 | エムリットフィルター |
| 6代目 | LA150S / LA160S | 2014年12月〜2023年 | 88568-B2030 | エムリット / INEX / フェスコ |
| 5代目 | LA100S / LA110S | 2010年12月〜2014年12月 | 88568-B2030・08975-K2004 | エムリット / G-PARTS |
| 4代目 | L175S / L185S | 2006年10月〜2010年12月 | 88568-B2020 | G-PARTS |
| 3代目 | L150S / L160S | 2002年10月〜2006年10月 | オプション車のみ | 該当なし |
品番の出どころは部品販売各社の適合表記で、3代目の「オプション車のみ」は部品メーカーの適合表の注記による。3世代をまたいで使えるのはエムリットフィルターの1品番だけなので、迷ったらここから当たるのが早い。
車検証の型式でムーヴの世代を特定する
型式はアルファベットと数字の組み合わせで、車検証の上部に書かれている。DBA-やCBA-といった先頭の識別記号は排出ガス規制の区分なので、判別に使うのは後ろのLA150Sのような部分だ。
7代目 LA850S / LA860S(2025年6月〜)
現行型。FFがLA850S、4WDがLA860Sで、ムーヴとして初めてスライドドアを採用した。ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm、4WDは全高1670mm、ホイールベースは2460mm。グレードはL・X・Gとターボのcustom廃止後の4本立てで、初代から続いたカスタムモデルは設定されていない。6代目からおよそ10年半ぶりのフルモデルチェンジになる。
6代目 LA150S / LA160S(2014年12月〜2023年)
FFがLA150S、4WDがLA160S。2023年6月末に生産終了となった世代で、側面衝突試験の認証申請における不正が理由と報じられている。社外部品の適合表記が「H26.12〜R5.7」と書いていればこの世代を指す。中古車として最も多く流通している世代で、社外フィルターの選択肢もここに集中している。
5代目 LA100S / LA110S(2010年12月〜2014年12月)
FFがLA100S、4WDがLA110S。アイドリングストップ機構のeco IDLEと第2世代KFエンジンを積んだ世代で、標準のムーヴとカスタムの2タイプが用意されていた。
4代目 L175S / L185S とそれ以前
4代目は2006年10月〜2010年12月で、FFがL175S、4WDがL185S。自然吸気車がDBA-、ターボ車がCBA-の識別記号になる。3代目のL150S / L160Sは2002年10月〜2006年10月で、この世代はフィルターの扱いが別なので後述する。
世代別の純正品番と、社外品の適合表記の読み方
6代目と5代目は88568-B2030
部品販売各社の適合表記では、6代目LA150S / LA160S(カスタム含む)の代表的な純正品番は88568-B2030とされている。この番号はタント(LA650S / LA660S、2019年7月〜)など他のダイハツ車の適合表記にも同じように出てくる、軽自動車の標準サイズにあたる品番だ。同サイズの社外品が多く、価格も下がりやすいのはこのためだ。
5代目LA100S / LA110Sも同じ88568-B2030に加えて08975-K2004が挙げられており、この2世代は同サイズでカバーされることが多い。一方で4代目L175S / L185Sは88568-B2020(08975-K9000を併記する例もある)で、番号が別になる。ここを混同すると、5代目用として売られている物を4代目に買ってしまう。
純正番号でない数字が書かれている場合
社外品の説明文に「014535-1660」という数字を見かけたら、それはデンソーのクリーンエアフィルターDCC7003の純正相当品番で、同社がムーヴのLA150 / LA160(2014年12月〜)向けとして設定している規格を指している。品番の表記が純正番号でなくても、この数字があれば6代目向けだと読める。
現行型だけは品番からたどれない
現行のLA850S / LA860Sだけは事情が違う。兄弟車のムーヴキャンバスのLA850Sで88568-B2030が使われたという交換記録は見つかるが、ムーヴ側の純正品番をメーカーの公式適合表で確認できた記録は2026年8月時点で取れていない。だから現行型のオーナーは品番から逆引きせず、商品ページに「LA850S」「LA860S」と型式が書かれているか、年式が2025年6月以降をカバーしているかを直接見て選ぶ。確実を取るならディーラーで純正品番を照会するのが早い。
買う前に潰しておく落とし穴が3つある
車名が似た別車種の商品を掴まない
「ムーヴ」と検索して出てくるフィルターには、実際の対象がムーヴキャンバス(LA800S / LA810S、LA850S / LA860S)やムーヴコンテ(L575S / L585S)である商品が混ざっている。商品名の先頭が「ムーヴ」でも、後ろの型式表記がLA800.810SやL575.585Sになっていればそれは別車種向けで、ムーヴには合わない。判断材料にするのは車名ではなく、自分の車検証の型式が商品名か適合表に書かれているかどうかだけだ。
4代目はフィルターケースの有無を先に確認する
4代目L175S / L185Sには、エアコンフィルターが最初から付いていない個体がある。部品メーカーの適合表は、2008年12月以降にフィルター未装着車の設定があり、フィルターケース自体を持たない車両にはケース付きの品番(CD-6003KA / CD-6003KBなど)を使う必要があると注記している。フィルター単体を買っても、ケースが無ければ入れる場所が無い。4代目に乗っているなら、注文する前にグローブボックスの裏を覗いてケースの有無を見ておく。
3代目L150S / L160Sはさらに手前で、同じ適合表がエアコンフィルターを「オプション車のみ」と注記している。この世代は未装着のほうが一般的だと考えたほうがいい。
型式が合っていても現物確認が要る場合がある
部品メーカーは、同じ型式でも製造年月によってエアコンユニットが変更されている場合があるとして現物確認を促している。届いた新品をいきなり差し込まず、外した古いフィルターとサイズ・形状を並べて突き合わせてから入れる。これで取り付け直前に気づける。
除塵だけで足りるか、活性炭まで要るか
選ぶときの4つの軸
適合が決まったら、次は性能をどこまで買うかだ。選択の軸は4つある。
1つ目は適合。これは前述のとおり型式と年式の一致で、ここが外れると他が全部無意味になる。2つ目はろ材の段階で、除塵だけの安価なタイプか、活性炭入りで脱臭まで担うタイプかの分岐。臭いが主訴なら活性炭入り、花粉やホコリが主訴なら除塵側の記載を見る。3つ目は付加機能で、抗菌・防カビ・抗ウイルス、PM2.5対応の有無。梅雨時のカビ臭が気になるなら防カビ表記のある製品を選ぶ。4つ目は価格と継続性で、年1回替える消耗品として無理なく買い直せる価格帯かどうか。
高い製品を3年放置するより、手頃な社外品を毎年替えるほうが結果として車内の空気は良い。 迷ったらこちらに倒していい。
ろ材の構造と、活性炭が増えたときの副作用
デンソーの製品情報によると、同社のクリーンエアフィルターは2層の除塵フィルターと帯電不織布のろ材を組み合わせ、緑色の層に抗菌剤、さらに防カビ剤と活性炭を持たせた構造になっている。抗菌試験では生菌数が1/100以下、防カビ試験では表示0(菌糸の発育が認められない)という結果で、抗ウイルスはSEKマーク認証を取得している。ただし同社は空気中の有害物質の全てを除去できるものではないとも明記しており、フィルターは空気清浄機の代わりにはならない。
脱臭を狙って活性炭を増やすほど空気の通り道は狭くなり、通気抵抗が上がって風量が落ちやすくなる。デンソーが帯電不織布で空気の流れを妨げずに微粒子を捕らえると説明しているのも、集塵と風量の両立をろ材の構造で稼ぐ設計だからだ。もともと風量の弱さが気になっている車なら、活性炭を厚く積んだタイプより通気性を優先した製品のほうが体感は良くなる場合がある。
ムーヴのエアコンフィルターおすすめ4選
世代のカバー範囲と性能で役割を分けて4つ選んだ。価格はいずれもAmazonの実売価格で、確認時点の値。変動するので購入前に商品ページを見てほしい。
エムリットフィルター D-030_MOVE|現行型を含む3世代をカバー
商品ページの適合表記はLA850 / 860、LA150 / 160、LA100 / 110で、現行の7代目を含む3世代を1品番で受けている。訴求は花粉対策・抗菌・抗カビ・防臭で、「ガラスが汚れにくい」という切り口を掲げる。メーカー公式は基となるD-030を、2006年以降のダイハツ車を中心とした軽自動車のスタンダードサイズで、日本国内販売の57車種に適合すると説明している。ただし公式ページ本文にLA850S / LA860Sという型式表記は無く、現行世代への適合の根拠は商品ページ側の表記にある点は踏まえておきたい。確認時点のAmazon実売価格は¥1,875。
現行型に乗っていて選択肢の少なさに困っているなら、まずここから当たるのが現実的だ。
エムリットフィルター D-030_MOVE ムーヴ用エアコンフィルター
INEX 車用エアコンフィルター|6代目を安く毎年替える
商品ページの適合表記はLA150S / LA160S、H26.12〜R5.7。参照品番として014535-1660が示されており、これはデンソーDCC7003の純正相当品番と同じ数字だ。活性炭入りで脱臭まで担う構成で、確認時点のAmazon実売価格は¥980。
6代目に乗っていて、臭い対策込みで年1回替える前提なら扱いやすい価格帯にある。掲載4商品のうち、活性炭入りで最も手が出しやすいのがこれだ。
INEX 車用エアコンフィルター 活性炭入 014535-1660 ムーヴ LA150S/LA160S
フェスコ DA-3D-712|6代目でPM2.5対応まで欲しいとき
商品ページの適合表記はLA150S、2014年12月〜。特殊構造の濾紙を使い、活性炭入り・PM2.5対応・抗菌・除塵をうたう。確認時点のAmazon実売価格は¥950。
6代目向けで、除塵に加えて脱臭とPM2.5対応まで1枚で済ませたい場合の選択肢になる。幹線道路沿いを日常的に走るなら、この構成が効いてくる。
FESCO 高性能カーエアコンフィルター DA-3D-712 ムーヴ LA150S用
G-PARTS LA-C9102|4代目と5代目の受け皿
商品ページの適合表記はL175S・L185S(初年06/10-10/12)とLA100S・LA110S(初年10/12-)で、4代目と5代目の2世代を1品番でカバーしている。確認時点のAmazon実売価格は¥1,875。
旧型のムーヴは適合する社外品自体が減っていくので、この受け皿は貴重だ。なお別の適合表にはLA150S世代への掲載もあるが、商品ページの表記と範囲が食い違うため、ここでは商品ページに書かれた2世代向けとして扱う。4代目の場合は、前述のフィルターケースの有無を先に確認してから注文する。
G-PARTS エアコンフィルター LA-C9102 ムーヴ L175S/L185S・LA100S/LA110S用
純正とどう使い分けるか
ダイハツ公式の案内では、新車時に付くクリーンエアフィルター・スーパークリーンエアフィルターとは別に、用品としてエアクリーンフィルター(高機能タイプ・コラーゲン&カテキンプラス)とクリーンエアフィルター(プレミアムタイプ)が用意されている。高機能タイプは帯電フィルターで2.0μm粒子も80%以上ブロックし、価格は軽自動車で税込3,630円(小型車は税込3,850円)、交換作業は10分程度とされる。プレミアムタイプは2.5μm粒子にも対応し、6つの効果に加えてペット臭(アンモニア)にも対応する最高品質タイプと説明されている。
社外品なら同じ予算で3枚前後になる。年1回の消耗品と割り切るなら社外品を毎年、車検や点検のついでに任せたいなら純正、という配分が素直だ。純正を選ぶ意味は品番の確実さと作業込みで頼める点にあって、ここは値段だけの比較では出てこない。
交換は工具なしで10分から15分
ムーヴを含むダイハツの軽自動車は、助手席前のグローブボックスを外してフィルターケースにアクセスする方式になっている。手順はこうだ。
- グローブボックスを開ける
- 左右のストッパー部を内側に押し込みながら手前に引き、グローブボックスを外す
- 奥に現れるフィルターケースの蓋を開ける
- 古いフィルターを引き出す
- 新しいフィルターを入れる
- 蓋を閉じ、逆の手順でグローブボックスを組み付ける
工具は基本的に要らない。グローブボックスは無理に引っ張らず、ストッパーが外れる位置を手で探りながら動かす。多くの製品には上下や空気の流れる向きの指定があるので、古いフィルターを抜く前に向きを写真に撮るか印を付けておく。 カー用品店の作業事例では、ムーヴLA150Sの交換作業は約10〜15分と案内されている。店に頼む場合は部品代とは別に工賃がかかる。
交換の目安は1年または10,000キロ
ダイハツ正規販売会社は、エアクリーンフィルター(高機能タイプ)の交換目安を12ヶ月または10,000キロと案内している。別の正規販売会社も1年もしくは10,000キロに1回の交換を勧めており、汚れたまま使い続けるとエアコンの効きが悪くなることがあると注意している。デンソーも、走行距離に比例してチリやホコリで目詰まりが起き通風性能が低下するとしたうえで、1年を交換推奨想定期間として示している。
体感で言えば、風量が以前より弱い、送風開始の数秒だけ臭う、という2つが交換を考えるサインだ。ただしフィルターを替えても臭いが残るなら、原因はエバポレーターのカビなどフィルターの外側にある。異音が伴う場合も別の切り分けが要る。
よくある質問
ムーヴキャンバス用のフィルターはムーヴに使えますか
別車種向けなので、そのまま使えるとは考えないほうがいい。ムーヴキャンバスはLA800S / LA810S、LA850S / LA860Sという型式で、商品名に「ムーヴ」とあっても対象はキャンバスというケースが実際にある。判断は自分の車検証の型式が適合表に載っているかどうかで行う。
エアコンフィルターを交換しないとどうなりますか
ダイハツ正規販売会社は、汚れたまま使い続けるとエアコンの効きが悪くなることがあると案内している。デンソーもチリやホコリの目詰まりで通風性能が低下すると説明しており、風量の低下という形で出てくる。
活性炭入りにすると風量は落ちますか
活性炭を増やすほど空気の通り道が狭くなり、通気抵抗は上がる方向に働く。どの程度落ちるかは製品の構造によって違い、数値で示せる根拠は確認できていない。風量の弱さがすでに気になっている車なら、通気性を優先した製品を選ぶという判断はある。
新型ムーヴ(LA850S)の純正品番はどれですか
2026年8月時点で、ムーヴのLA850S / LA860Sの純正品番をメーカーの公式適合表で確認できた記録は取れていない。商品ページに型式が明記されているものを選ぶか、ディーラーで品番を照会するのが確実な手順になる。
まとめ:型式を確かめてから買う
いま付いている物を先に見るのが一番早い。グローブボックスを外して古いフィルターを抜き、サイズと形を手元で確かめる。ケースが入っていない車両もあるので、この確認は注文前に済ませておきたい。そのうえで車検証の型式欄を見て、LA850S / LA860Sなら現行型、LA150S / LA160Sなら6代目、L175S / L185Sなら4代目と世代を確定させる。
あとは世代に合う商品を選び、臭い重視なら活性炭入り、花粉やホコリ重視なら除塵側、と性能を予算で決めるだけだ。年1回の消耗品なので、続けられる価格帯を選ぶことが結局いちばん効く。
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