スペーシアのLED化で最初に効いてくるのは、製品の良し悪しよりも自分の車がどの型式かという点だ。初代のMK32S・MK42Sと2代目MK53Sの前期までは、ヘッドライトもフォグも電球なので手を入れられる範囲が広い。2代目の後期から純正LEDの箇所が増え、3代目のMK54S・MK94Sでバルブを替えられるのはフォグ・リアウインカー・後退灯・番号灯まで減る。逆に後退灯のT16と番号灯のT10は初代から3代目まで規格が変わっておらず、どの型式に乗っていても同じものが使える。
型式別に替えられる箇所の早見表
自分の型式の列だけ見れば、どこを買えばよいかが決まる。
| 箇所 | 初代 MK32S・MK42S | 2代目 MK53S | 3代目 MK54S・MK94S |
|---|---|---|---|
| ヘッドライト(ロービーム) | H4 | 前期はH4/後期は純正LEDで交換対象外 | 純正LEDで交換品の設定なし |
| ハイビーム | ロービームと一体のため単独の設定なし | HB3(9005) | 純正LEDで交換品の設定なし |
| フォグランプ | H8 | 前期はH8/後期は交換不可 | L1B |
| ポジション(車幅灯) | T10 | T10またはLED | 純正LEDで交換品の設定なし |
| フロントウインカー | S25ピン角違い(アンバー) | T20ピンチ部違い | 純正LEDで交換品の設定なし |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い | T20ピンチ部違い | T20ピンチ部違い(アンバー) |
| 後退灯(バックランプ) | T16 | T16 | T16 |
| 番号灯(ナンバー灯) | T10 | T10 | T10 |
| 室内灯(ルームランプ) | 前・中央がT10×31/後部がT10 | T10または31型 | 適合表に記載なし |
初代の列は、適合表の平成27年5月から平成29年11月の区分・ハロゲン仕様車の値。2代目の値は、自動車用電球メーカーが公表している車種別の電球適合表による(ヘッドライトは12V60/55W、フォグは12V35W、後退灯は12V16W、番号灯は12V5Wの表記)。3代目の室内灯欄が空いているのは、適合表サイトに取扱商品が無いという意味で、純正の光源が電球なのかLEDユニットなのかを示すものではない。 箇所ごとの型番は別記事にまとめてある。
型式は車検証で確かめる
MK系という呼び方は型式記号から来ている。初代はMK32Sが2013年3月から2015年4月まで、マイナーチェンジ後のMK42Sが2015年5月から2017年12月まで。2代目はMK53Sで2017年12月から2023年11月まで続き、2020年8月以降は型式指定の記号が5AA-MK53Sになる。3代目は2023年11月からのMK54SとMK94Sで、4AA-MK54SがR06A型のターボ車、5AA-MK94SがR06D型の自然吸気車にあたる。灯火まわりについてはMK54SとMK94Sを分けて扱わないのが通例で、適合表も2つをひとまとめに記載している。
型式は車検証の「型式」欄に書かれている。ただし型式が合っていても、グレードや特別仕様車の別で灯火の構成が違うことがある。この点は後の節で確認の手順に落とす。
世代が進むほど後付けできる箇所は減る
早見表の並びを縦に眺めると、上のほうから順に純正LEDへ置き換わっていく流れが見える。
初代と2代目前期は前側も替えられる
初代と、2代目の前期にあたる平成29年12月から令和3年11月のハロゲン仕様車は、ヘッドライトがH4、フォグがH8、ポジションがT10で、いずれも電球の差し替えでLED化できる。前側をまとめて明るくしたいなら、この2世代が最も自由度が高い。
なお初代と2代目で規格が同じとは限らない。フロントウインカーは初代がS25のピン角違いで、2代目以降はT20のピンチ部違いに変わっている。世代が近いからといって、片方の値をもう片方に当てはめる読み方は成り立たない。
2代目後期から3代目にかけて選択肢が狭まる
2代目の後期(令和3年12月から令和5年11月)は純正LEDヘッドランプになり、ロービームは交換の対象外、フォグも交換不可と記載される。単独で残るハイビームがHB3だ。2代目のスペーシアカスタムに付く純正LEDフォグはバルブ単体では外せず、色や明るさを変えるならバンパーを外してフォグランプユニットごと社外品に替える作業になる。適合表でもこのフォグはユニット側の形式(Type Cレンズ)で記載されている。
3代目になるとロービーム・ハイビーム・ポジション・フロントウインカー・サイドウインカーがすべてLEDになり、交換品の設定がない。ブレーキとテールも装着不可。残るのはフォグのL1B、リアウインカーのT20ピンチ部違い、後退灯のT16、番号灯のT10という4か所だ。
室内灯は全世代で手を入れられる
室内が暗いという不満に対しては、室内灯が最も結果の分かりやすい箇所だ。前席から後席まで一度に替わるので、乗り込んだ瞬間の見え方が変わる。ここは前側と違って、どの世代でも製品が用意されている。
選ぶときは明るさの数字より先に、基盤の形状とサイズがランプユニットに収まるかを見る。車種別専用設計をうたう製品は、その型式のユニット形状に合わせて基盤の寸法が決められているため、加工なしで収まりやすい。 汎用のバルブ形状品は、入っても光が偏ったりカバーが閉まらなかったりする。世代をまたいだ流用ができないのも、ユニットの形状とサイズが違うためだ。
初代・2代目向け(MK32S/MK42S/MK53S)
商品説明では対応型式がMK32S/MK42S/MK53Sで、マツダのフレアワゴン(MM32S/MM42S/MM53S)にも対応するとされる。色温度6000Kのホワイト、純正交換の3点セットで取付書が付く。販売はメーカーの直営店。Amazonの実売価格は確認時点で2,980円だった(価格は変動する)。
OPPLIGHT スペーシア LEDルームランプ 3点セット(MK32S/MK42S/MK53S 専用設計・6000K)
3代目向け(MK54S/MK94S)
こちらは対応型式がMK54S/MK94Sで、スペーシアとスペーシアカスタムに対応する車種専用設計。同じく色温度6000Kのホワイトで純正交換の3点セット、確認時点の実売価格は2,299円だった。3代目は純正の光源が電球なのかLEDユニットなのかを適合表から確定できないので、買う前にランプカバーを外して現物を見ておきたい。
Xangetor スペーシア LEDルームランプ 3点セット(MK54S/MK94S 車種専用設計・6000K)
ヘッドライトを替えられるのはハロゲン仕様だけ
ヘッドライトのバルブを交換して明るくできるのは、H4のハロゲン仕様が付いている車に限られる。2代目の後期以降は純正LEDのユニットなので、バルブだけを買っても入る場所がない。商品を選ぶときは「ハロゲン車専用」と明記されているかを必ず見る。
下の製品は、対応が平成29年12月以降のMK53Sでハロゲン車専用と明記されたもの。H4のHi/Lo一体型で色温度6500Kのホワイト、ファンレス、車検対応をうたう。確認時点の実売価格は3,980円だった。
RAIDOU スペーシア MK53S ハロゲン車専用 H4 LEDヘッドライトバルブ(6500K・ファンレス)
明るさをルーメンの数字だけで比べないほうがいい。ルーメンは光源が出す光の総量で、運転中に感じる明るさや車検で測る値とは別物だ。車検で測定するのは路面を照らす光度(カンデラ)なので、同じルーメン表記でも配光や取り付け位置で結果が変わる。商品タイトルの数値は出品者の表記として受け取り、比較の一要素に留めておく。
放熱方式も見ておきたい。ファン内蔵型は冷却効率が高く明るさを保ちやすい代わりに、回転音がわずかに出ることがある。ヒートシンクだけのファンレス型は無音で可動部がなく故障のリスクが低いが、放熱面積に限りがあるため最大光量ではファン式にやや劣ることがある。放熱が足りないと明るさが落ちたり寿命が短くなったりするので、静かさを取るか光量を取るかで決める。
3代目のフォグはL1Bでバルブだけ替えられる
L1Bは、バルブだけをユニットから着脱できる形状の純正LEDフォグ用の規格だ。従来の純正LEDフォグはユニット一体型でバルブ交換ができず、切れたらユニット全体を替えるしかなかった。3代目でこの規格になったことで、フォグは電球感覚でバルブだけ交換できる箇所に変わった。 前側がほぼ純正LEDで固められた3代目にとって、フォグは数少ない手の入る場所でもある。
ピカキュウ スペーシアカスタム MK54S/MK94S 対応 L1B LEDフォグランプ(ホワイト/イエロー切替)
商品説明では対応がスペーシアカスタムのMK54S/MK94S、規格はL1Bで、ホワイトとイエローの色切替に対応する。明るさはイエロー2800lm、ホワイト2500lmと表記され、品番は38-E-1/66110。販売はカーLED専門店で、確認時点の実売価格は7,700円だった。
色は白と淡黄色のどちらかから選ぶ。色温度(K)は見た目の色を数値化したもので、数値が上がるほど青白くなり、光度は落ちやすくなる。淡黄色は3000K前後で、雨や霧の日に路面の輪郭が見やすいとされる。切替式なら天候に応じて使い分けられるので、迷ったらこの手の製品にしておくと後で後悔しにくい。
後退灯と番号灯は世代をまたいで共通
後退灯のT16と番号灯のT10は、初代から3代目まで規格が変わっていない。純正LEDの箇所がどれだけ増えても、この2か所は電球のまま残っている。LED化に手を付ける最初の1か所としては、型式を問わず失敗しにくい。
乗り換えたときにも同じことが言える。初代から3代目へ買い替えても、この2か所に関しては前の車で覚えた規格がそのまま通用する。
買う前に見ておくこと
失敗の型はだいたい3つに分かれる。順に潰していけばよい。
1つ目は仕様の食い違いだ。型式が一致していても、グレード・年式・特別仕様車の別で灯火の仕様が違うことがある。電球メーカーの適合表がMK53Sのヘッドライトを「H4またはLED」、ポジションを「T10またはLED」と併記しているのがまさにそれで、この「or」表記は同一グレード内に異なる仕様が存在することを示すと適合表側が説明している。別の適合表サイトも、年式・車両型式・タイプが一致していても特別仕様車などの条件で仕様が異なる場合があると注記している。確実なのは、買う前に自分の車のバルブを1つ外して規格を目で確かめることだ。
2つ目は商品名の紛らわしさ。通販の検索結果には、商品名の用途表記と中身の規格が食い違うものが混ざる。商品名に「ヘッドライト」と付いていても中身はT10のウェッジ球で、ヘッドランプ用のH4とは用途がまったく別、という例がある。言葉ではなく、規格(H4・L1B・T10・T16など)と対応型式の表記で判断する。
3つ目は室内灯の収まり。ここだけは規格が合っていても形状で落ちる。ランプカバーを外して基盤の入る空間を見ておけば、届いてから困らずに済む。
車検で見られる点と2026年8月の変更
見られるのは光度・光の色・光軸
道路運送車両の保安基準では、走行用前照灯とすれ違い用前照灯について、灯光の色や明るさに関して告示で定める基準に適合しなければならないと定めている。前部霧灯についても同様に、前方の照度を増やしつつ他の交通を妨げないものとして、告示で定める基準に適合することが求められる。つまり色や明るさの具体的な数値は法令の本則ではなく告示側にある。
実務上ヘッドライトで見られるのは光度・光の色・光軸の3点だ。前部霧灯の灯光の色は白色または淡黄色とされ、製品選びの目安としてはヘッドライトが白く見える5000から6500K程度、フォグが3000から6500K程度が選ばれている。
2026年8月1日から検査がロービーム計測に変わった
国土交通省と自動車技術総合機構、軽自動車検査協会が連名で出したお知らせによると、2026年8月1日から前照灯検査は前照灯試験機によるロービームの計測に移行した。 対象は1998年9月1日以降に製作された自動車で、二輪車・側車付二輪車・大型特殊自動車・トレーラは除かれる。ロービームで基準を満たさない場合にハイビームの計測で合否を判定する経過的な扱いは、これで終わった。
交換したら光軸を点検する
バルブを替えると光軸がずれることがある。正しい状態はカットオフライン(明暗の境目)がヘッドライトの地上高より下に来る状態で、通常は1パーセント程度の下向きに調整されている。交換後に上を向いていると感じたら点検し、必要なら調整する。前照灯は左右で色と明るさが揃っている必要があるので、片側だけの交換は避けて左右セットで替えること。
LED化でつまずきやすい2つの現象
どちらも製品の不良ではなく、仕組みの上で起きる。先に知っておけば慌てずに済む。
ウインカーをLEDにすると、点滅が通常より速くなるハイフラが起きる。球切れをドライバーに知らせる仕組みが働くためで、LEDは純正の電球より消費電力が小さく、車両側が球切れと判断してしまう。対策には抵抗を入れるかリレーを交換する必要があり、適合表にもウインカーのLED化には別途対策が要ると注記されている。 バルブ代だけで見積もると足りなくなるので、最初から対策部品込みで考えておく。
室内灯では、消したはずのランプがうっすら点いたままになるゴースト点灯が起きることがある。微弱な電流にLEDが反応して光ってしまう現象で、抵抗器を並列に入れて微弱電流を熱に変える方法が知られている。
よくある質問
3代目のMK54S・MK94Sでヘッドライトをもっと明るいLEDに替えられるか
適合表ではロービーム・ハイビームとも純正LEDで交換品の設定がないとされている。バルブを買い替えて明るくするという方向では対応できない箇所だ。
2代目のフォグをバルブ交換だけで明るくできるか
前期のハロゲン仕様車ならフォグはH8なので、バルブの差し替えでLED化できる。一方、カスタムに付く純正LEDフォグはバルブ単体で外せないため、ユニットごとの交換になる。
LEDに替えると車検に通らなくなるのか
車検で見られるのは光度・光の色・光軸で、製品が車検対応をうたっていても合否は実測で決まる。交換後に光軸を点検しておくのが現実的な備えになる。
初代と2代目で同じ室内灯セットを使い回せるか
上で挙げたセットは商品説明でMK32S/MK42S/MK53Sの3型式に対応するとされているので、この範囲なら共通で使える。3代目は別の製品になる。
ウインカーをLEDにすると点滅が速くなるのはなぜか
車両側が球切れと判断して知らせようとするためで、LEDの消費電力が純正の電球より小さいことが原因だ。抵抗かリレーで対処する。
まとめ
最初にやることは、替えたい箇所のカバーやバルブを外して現物を見ることだ。口金の形と刻印を目で確かめてから買えば、規格違いで返品する手間がなくなる。型式が知りたければ車検証の型式欄を見れば足りる。
型式ごとの一手目はこうなる。初代とMK53Sの前期はヘッドライトのH4から入ると変化が大きい。MK53Sの後期はフォグもロービームも触れないので、室内灯と後ろ側から手を付ける。3代目はフォグのL1Bが最も分かりやすく変わる箇所だ。そして後退灯のT16と番号灯のT10は、どの型式でも同じものが使える。灯火以外も見直したいときは、こちらに一覧がある。
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