土曜の朝にまとめ買いをして、夕方は子どものスイミング、週明けはベビーカーを積んだまま出勤する。スペーシアの荷室は、一日のうちに何度も形が変わります。後席を最後端に置いたままだと奥行きは30cmほどしかありませんが、スライドと格納という2段階の操作を覚えるだけで、1mを超えるフラットスペースまで伸びます。ここでは型式ごとの寸法、後席の動かし方、荷物の種類別の積み方を順にまとめました。
スペーシアMK系の荷室寸法早見表
先に数値をまとめます。スズキの主要諸元表には室内長・室内幅・室内高までしか載っておらず、荷室の奥行きや開口部の数値は公式には公表されていません。次の表は自動車メディアがディーラーに確認した数値と、試乗記で公表された数値です。
| 項目 | 数値 | 対象世代・出典 |
|---|---|---|
| 荷室開口幅(最大) | 1,130mm | 初代/カープライムがディーラーに確認した値 |
| 荷室開口高 | 1,110mm | 初代/同上 |
| 荷室フロアの地上高 | 535mm | 初代/同上 |
| 荷室幅 | 890mm | 初代/同上 |
| 荷室奥行き(後席・最後端) | 320mm | 初代/同上 |
| 荷室奥行き(後席・最前端) | 540mm | 初代/同上 |
| 荷室奥行き(後席・格納時) | 1,380mm | 初代/同上 |
| 荷室開口高 | 1,150mm | 2代目MK53S/Car Watch 試乗記 |
| 荷室フロアの地上高 | 510mm(先代比 −25mm) | 2代目MK53S/Car Watch 試乗記 |
| 後席スライド量 | 210mm | 2代目MK53S/Car Watch 試乗記 |
押さえておきたいのは、奥行きが320mm・540mm・1,380mmという3段階で変わる点です。 後席を最後端に固定したままだと買い物カゴがぎりぎり収まる程度ですが、スライドさせるだけで540mmまで、格納まで進めると1,380mmまで伸びます。
型式と世代の対応
自分の車がどの世代かで、荷室の作りが少しずつ違います。モンスタースポーツが公開している車体番号情報によると、型式と生産期間の対応は次のとおりです。
| 世代 | 型式 | 生産期間 |
|---|---|---|
| 初代・前期 | MK32S | 2013年3月〜2015年4月 |
| 初代・後期 | MK42S | 2015年5月〜2017年11月 |
| 2代目 | MK53S | 2017年12月〜2023年11月 |
| 3代目 | MK54S(ターボ)/MK94S(NA) | 2023年11月〜 |
3代目はターボ車がMK54S、自然吸気車がMK94Sと型式が分かれます。車検証の「型式」欄を見れば、自分がどの世代に乗っているかがすぐ分かります。
公式に荷室寸法が載っていない理由
スズキに限らず、メーカーの諸元表は室内寸法までで止まるのが通例です。荷室の奥行きは後席の位置で変わるため、単一の数値として公表しにくいという事情があります。そのため上の表の数値は、あくまで実測・確認ベースの参考値です。グレードやオプション、内張りの仕様で数mm単位の差が出ます。ミリ単位の積載計画を立てるとき、たとえば「この収納ボックスが荷室にちょうど入るか」を判断するときは、メジャーで自分の車を測っておくと失敗しません。
後席スライドで荷室を伸ばす
スペーシアの荷室活用は、まず後席スライドから始まります。Car Watch の試乗記によると、2代目MK53Sの後席は前後に210mmスライドします。しかもスライドは左右がつながっておらず、右席と左席を別々に動かせます。
この左右独立という点が、実際の使い勝手を大きく左右します。 右側にチャイルドシートを載せたまま、左側だけ前に出して長い荷物を積む、といった積み方が成立するからです。乗員と荷物のどちらかを諦める必要がありません。
車内側から操作する
後席座面の前方にあるノブを引き上げると、スライドのロックが外れます。乗り込んだ状態で足元の広さを調整したいとき、あるいは後席に人を乗せてから微調整したいときは、こちら側からの操作になります。
荷室側から操作する
同じ試乗記によると、MK53Sではスライドのロック解除が荷室側からも可能です。テールゲートを開けた状態で荷室側のストラップを引けばロックが外れ、後席を前に送れます。
買い物袋を提げたまま、車内に回り込まずに奥行きを320mmから540mmまで増やせるというのが、この機構の実質的な価値です。スーパーの駐車場で「思ったより荷物が多かった」となったとき、荷室側だけで完結します。
ワンタッチダブルフォールディングで最大化する
後席を前に送っても足りないときは、格納します。スズキ公式サイトの説明によると、スペーシアの後席はワンアクションで座面と背もたれがフラットになる「ワンタッチダブルフォールディング」機構を備えています。座面が沈み込み、その上に背もたれが重なる方式のため、背もたれを倒すだけの車より低い位置で面ができます。
この状態で荷室の奥行きは1,380mmに達します。軽自動車としては破格の長さで、大人が一人横になれる程度のスペースです。
格納する前に片づけておくもの
格納をスムーズに進めるために、先に3点を片づけておきます。ひとつはシートベルトで、座面の下に噛み込ませたまま倒すとベルトを痛めます。2つ目は後席足元の荷物で、倒れてくる座面に挟まると異音や内装の傷の原因になります。3つ目はリクライニングの角度で、背もたれを寝かせたままだと格納機構が動かない場合があります。
慣れれば10秒ほどの作業ですが、順番を間違えると座面が途中で引っかかります。荷物を積むたびに格納と復帰を繰り返すなら、後席足元に物を置かない習慣をつけておくと毎回の手間が減ります。
残る段差をならす
軽自動車情報サイトの検証によると、後席を格納した状態は「ほぼフラット」であって完全な平面ではありません。格納した後席の背もたれ部分と荷室フロアの境目に、数センチほどの小さな段差が残ります。
荷物を積むだけなら段差は問題になりませんが、人が横になるなら埋める必要があります。 車中泊用のマットを敷く、折りたたんだ毛布を段差部分にだけ挟む、あるいは同じ高さのコンテナを並べて面を作る、といった対処で解決します。
荷物の種類別・積み方の手順
荷室の形が3段階に変わるということは、荷物ごとに使う段階を選べるということです。
買い物・食材は後席を動かさずに積む
奥行き320mmは、スーパーの買い物カゴがちょうど収まる寸法です。加えてMK53S以降は荷室フロアの地上高が510mmと低く、先代より25mm下がっています。重い米袋や飲料のケースを持ち上げる量が減るため、腰への負担が小さくなります。後席を動かさずに済む荷物は、この段階で完結させるのが手数を減らすコツです。
ベビーカーは後席を前に送ってから
A型ベビーカーは折りたたんでも奥行きが出るため、320mmでは収まらないことが多くなります。後席を最前端まで送って540mmを確保してから積みます。それでも入りにくい場合は、荷室の幅が890mmあることを利用して、縦向きではなく寝かせて斜めに置くと収まる場合があります。
購入前に確認したいのは、ベビーカーの折りたたみ寸法のうち「最も長い辺」です。カタログには折りたたみ時の全長・全幅・全高が記載されているので、その最長辺が540mmを超えるかどうかで積み方が決まります。超える場合は、後席の片側だけを格納して斜めに積むか、ハンドル部分を折り返して長さを詰める形になります。B型やベビーカー兼用チャイルドシートであれば、後席を動かさずに320mmのままで収まる製品も少なくありません。
27インチの自転車を積む
スズキ公式サイトは、後席を格納したスペーシアの荷室に27インチサイズの自転車まで載せられると明記しています。さらに荷室には積み下ろしのためのガイドが設けられており、タイヤをガイドに沿わせて押し込む形で載せられます。前輪を外さずに積める点が、この車格では効いてきます。チェーンの油分が内装に付くため、古いシーツやラゲッジマットを一枚敷いてから積むと後始末が楽になります。
長尺物は片側だけ格納する
スキー板、釣竿、突っ張り棒、カーテンレールのような長尺物は、後席を左右とも格納する必要がありません。左右独立スライドと独立格納を活かして、片側だけ格納すれば「大人1名+長尺物」という積み方が成立します。人を乗せながら長い物を運べるのは、左右独立機構を持つ車種の強みです。
純正の収納スペースを使い切る
荷室だけが収納ではありません。スペーシアは車内側の収納も豊富で、荷室に置くと転がってしまう小物はそちらへ逃がすほうが合理的です。
スズキ公式サイトが挙げている収納装備は、助手席シートアンダーボックス、助手席側のインパネボックス、フロントアームレストボックスです。とくに助手席シートアンダーボックスは、Car Watch の試乗記によると取り外してバケツとしても使える構造になっています。洗車道具や長靴のような、車内に直接置きたくない物の定位置になります。
ただし同ボックスは、マイルドハイブリッド用のリチウムイオンバッテリーがフロア下に入った関係で深さが減っています。また公式サイトの注記では、スペーシア HYBRID G はこのボックスの対象外です。中古車を検討している場合は、グレードごとの装備差を現車で確認しておくと期待外れを避けられます。
転がる小物を荷室に置かず前席側の箱に振り分けるだけで、荷室は「大物専用」として素直に使えるようになります。
マルチユースフラップ(3代目)
3代目のMK54S/MK94Sには、後席にマルチユースフラップが備わります。スズキ公式サイトによると、フラップの位置や角度を調整することで、オットマン、レッグサポート、そして荷物ストッパーという3つのモードで使えます。
荷物ストッパーモードは、後席の座面に置いた荷物が足元へ落ちるのを防ぐ機能です。後席に人を乗せない日は、座面そのものを第2の荷室として使えるようになります。ケーキの箱や書類ケースのように、荷室で転がしたくない物の置き場として機能します。なおこの装備は、スペーシア HYBRID G とスペーシア カスタム HYBRID GS では対象外です。
荷崩れを防ぐ3つの対策
低床でフラットという荷室の作りは、積みやすさと引き換えに荷物が滑りやすいという性質を持ちます。ブレーキのたびに荷物が前へ動くのは、床が平らで摩擦が少ないためです。
フックとネットで面を押さえる
荷室のフックにネットを渡し、荷物の上から面で押さえると前後の動きが止まります。個々の荷物をひとつずつ固定するより、まとめて上から押さえるほうが積み下ろしは速くなります。ネットは荷室の幅に対して少し小さめを選ぶと、伸ばしたときにテンションがかかって荷物が浮きません。買い物袋のように形が定まらない荷物ほど、面で押さえる効果が出ます。
コンテナで仕切る
折りたたみコンテナを2つ並べると、荷室の幅890mmをほぼ使い切れます。箱の中で荷物が動かないうえ、箱そのものが多少滑っても中身が散らばりません。買い物用と工具用のように用途で分けておくと、荷室の中で物を探す時間が減ります。
高さをそろえたコンテナを選ぶのがコツです。天面が平らにそろうと、その上にさらに荷物を重ねられ、後席を格納したときには段差を埋める台としても使えます。使わない日は畳んで荷室の隅に立てておけば、荷室の奥行き320mmを圧迫しません。
滑り止めマットを一枚敷く
床とコンテナの間に滑り止めマットを挟むだけで、前後の移動量が大きく減ります。荷室の汚れ防止も兼ねられるため、ラゲッジマットと組み合わせるのが定番です。
スペーシアの荷室フロアは低くて平らなぶん、素の状態では荷物が横方向にもよく滑ります。カーブのたびに荷物が片側へ寄る場合は、荷物が重いのではなく床との摩擦が足りていません。数百円のホームセンター製ロールマットを荷室のサイズに切って敷くだけでも、体感できるほど動きが収まります。
車中泊で荷室を使うときの注意
後席格納時の1,380mmという奥行きは、軽自動車としては車中泊の現実味がある数字です。ただし前述のとおり、格納面と荷室フロアの境目には数センチの段差が残ります。この段差は寝ているあいだ腰の位置に当たりやすく、放置すると眠りの質を落とします。
段差を埋めるマットと、外からの視線を遮る目隠しの2点をそろえるところから始めると、装備の追加が最小限で済みます。スペーシアでの実践例は
にまとめています。
よくある質問
スペーシアの荷室に自転車は積めますか
積めます。スズキ公式サイトは、後席を格納した状態で27インチサイズの自転車まで載せられると案内しています。荷室には積み下ろし用のガイドも設けられているため、前輪を外さずに押し込めます。ただし荷室の幅は890mm前後のため、自転車を積んだ状態で人を乗せる余地はほとんど残りません。
後席を格納すると完全にフラットになりますか
完全な平面にはなりません。ワンタッチダブルフォールディングで座面と背もたれが重なる方式のため段差は小さく抑えられていますが、格納した背もたれと荷室フロアの境目に数センチの段差が残ると報告されています。荷物を積むぶんには支障がなく、人が横になる場合はマットや毛布で埋める前提で考えます。
助手席シートアンダーボックスはどのグレードにも付きますか
全グレードではありません。スズキ公式サイトの注記では、スペーシア HYBRID G は対象外とされています。また搭載されるグレードでも、マイルドハイブリッド用のリチウムイオンバッテリーがフロア下に入った関係で、初期の世代より深さが浅くなっています。中古車で装備を期待している場合は、現車で有無と深さを確かめておくと安心です。
MK53Sと3代目で荷室の広さは変わりますか
荷室の基本寸法は大きく変わりません。全長・全幅が軽自動車規格で固定されているため、パッケージングの余地が限られるためです。ただしMK53Sではフロアの地上高が先代比で25mm下がって510mmになり、開口高が1,150mmに拡大しています。3代目ではマルチユースフラップが加わり、後席座面を荷物置き場として使う選択肢が増えました。数値より機構の差で選ぶ形になります。
まとめ:後席の2段階操作が荷室活用の軸
スペーシアの荷室は、後席を「スライドさせる」「格納する」という2段階の操作で、奥行き320mm・540mm・1,380mmと姿を変えます。MK53Sの後席スライド量は210mmで、荷室側のストラップからも解除できるため、テールゲートの前に立ったまま奥行きを増やせます。
日常の買い物は後席を動かさず320mmで完結させ、ベビーカーは540mmまで送り、自転車や車中泊では格納して1,380mmを使う。この振り分けを決めておくだけで、毎回の積み込みで迷う時間がなくなります。荷崩れ対策としてネットとコンテナ、滑り止めマットの3点をそろえ、転がる小物は助手席シートアンダーボックスなど車内側の収納へ逃がす。3代目に乗っているなら、マルチユースフラップの荷物ストッパーモードで後席座面も荷室として使えます。
数値はいずれもメディアの実測・確認値であり、公式諸元には荷室寸法の記載がありません。収納ボックスの購入など寸法が効く場面では、自分の車をメジャーで測ってから決めるのが確かです。

コメント