スープラ DB02 のタイヤを自分で履き替えるとき、いちばん起きやすい失敗は、ほかの国産車と同じ感覚で車体の下にジャッキを当てることだ。米国の修理業界紙 Repairer Driven News が伝えた、発売時の GR スープラについてのトヨタの修理業者向け資料では、ジャッキポイントは前後のロッカーパネル(サイドシル)付近の4か所にある樹脂の部品で、ほかの位置は使わないよう求めている。この資料はリフトで持ち上げるときのものなので、ガレージジャッキを当てる位置と締め付けトルクは、自分の車の生産年月に合う取扱説明書で確かめてから作業する。
自分で替える前に確かめる3つのこと
自分でやるか店に任せるかは、次の3つで決まる。
- 型式が 3BA-DB02 か。トヨタの公式サイトの中古車カタログでは、3BA-DB02 はスープラの RZ で、この記事のタイヤサイズや車両重量はこの型式の値だ(見分け方は次の節)。
- ジャッキポイントの樹脂の部品が無事か。同じトヨタの修理業者向け資料では、壊れたり無くなったりしたジャッキポイントの部品は、リフトで持ち上げる前に交換しなければならないとしている。
- 自分の車の生産年月に合う取扱説明書でジャッキを当てる位置と締め付けトルクを確かめられ、トルクレンチを用意できるか。
この記事が扱うスープラ DB02 の範囲
型式 3BA-DB02 の RZ とは
トヨタの公式サイトの中古車カタログでは、型式 3BA-DB02 はスープラの RZ で、2020年4月発売のモデルとして載っている(期間の表示は 2020年4月〜2022年10月)。エンジンは B58、総排気量 2997cc、駆動方式は FR、トランスミッションは8速スポーツAT だ。特別仕様車の「RZ ホライズンブルーエディション」(2020年10月)と「RZ 35th アニバーサリーエディション」(2021年12月)も、同じカタログで型式 3BA-DB02 になっている。
トヨタは 2020年4月28日のニュースリリースで、RZ のエンジン改良型(B58・3.0L)の発売を発表し、10月頃に発売するとした。最高出力は従来型の 250kW(340PS)から 285kW(387PS)に上がり、車両重量は従来型の 1,520kg から 1,530kg になった。カタログの「2020年4月発売」とリリースの「10月頃に発売」は表示が違う。
ほかのスープラの型式との違い
同じスープラでも、グレードと時期で型式が分かれる。
| 型式 | グレードと時期(中古車カタログの表示) |
|---|---|
| 3BA-DB42 | RZ(2019年5月・10月のモデル) |
| 3BA-DB02 | RZ(2020年4月のモデルと特別仕様車2種) |
| 3BA-DB06 | RZ(2022年10月以降のモデル) |
| 3BA-DB22 / 3BA-DB26 | SZ-R(2.0L。DB26 は 2022年10月以降) |
| 3BA-DB82 / 3BA-DB86 | SZ(DB86 は 2022年10月以降) |
この記事のタイヤサイズと車両重量は DB02(RZ)の値で、ほかの型式には当てはめない。 自分の車の型式は、車検証の型式欄で確かめる。型式の見分け方は次の記事にもまとめてある。
DB02 の純正タイヤは前と後ろでサイズが違う
トヨタの公式サイトの中古車カタログでは、DB02 の RZ のタイヤとホイールは次のとおりだ。
| 位置 | タイヤサイズ | アルミホイール |
|---|---|---|
| 前 | 255/35ZR19 | 19インチ(標準) |
| 後ろ | 275/35ZR19 | 19インチ(標準) |
タイヤの幅が前 255・後ろ 275 と違うので、外したタイヤとホイールは、前用と後ろ用を取り違えないよう置き場所を分けるか印を付けてから次へ進む。付けるときも、前には前のサイズ、後ろには後ろのサイズのタイヤが付いているかを確かめる。
ジャッキポイントの位置と扱い
トヨタの修理業者向け資料が示す4か所
米国の修理業界紙 Repairer Driven News(2019年10月14日)が伝えたトヨタの修理業者向け資料(Collision Pros)では、GR スープラのジャッキポイントは前後のロッカーパネル付近の4か所とされている。ロッカーパネルはドアの下にある車体側面の下端で、サイドシルとも呼ばれる。トヨタはこの資料で、ほかの位置は使わないよう指示している。
樹脂の部品なので、上げる前に割れを見る
同じ資料では、GR スープラのジャッキポイントは樹脂(プラスチック)製で、車体の丈夫な部分にクリップで留められている。トヨタは、壊れたり無くなったりしたジャッキポイントの部品は、リフトで車を持ち上げる前に交換しなければならないとしている。
自分で作業するときも、上げる前にジャッキポイントの樹脂の部品に割れ・欠け・外れが無いかを目で確かめる。どれかが見つかったら、その日は上げずに店へ持ち込む。
資料の範囲と、取扱説明書で確かめること
この4か所の内容は、2019年に発売された GR スープラ(米国の 2020年モデル)について、トヨタが修理業者向けに示したもので、修理工場のリフトで持ち上げるときの話として書かれている。トヨタの取扱説明書に書かれた DB02 のオーナー向けの手順ではない。
トヨタの公式の取扱説明書のサイトでは、スープラ(2019年3月〜)のガソリン車の取扱説明書が、生産年月の区切りごとに別の版として公開されている。2019年3月から22の区切りがあり、DB02 の時期にあたる 2020年〜2022年の生産分も、2020年4月〜6月、2020年7月〜10月、2020年11月〜2021年2月、2021年3月〜6月、2021年7月〜10月、2021年11月〜2022年2月、2022年3月〜6月、2022年7月〜10月のように分かれている。
ガレージジャッキを当てる位置と当て方、締め付けトルクの値は、自分の車の生産年月に合う版で確かめる。 この記事の手順のなかで、ここだけは省かないでほしい。
用意する道具とジャッキの選び方
用意するもの
- ガレージジャッキ
- リジッドラック(上げた車体を支える台)
- 輪止め
- 留め具を緩めるレンチと、締める力を設定できるトルクレンチ
- 自分の車の生産年月に合う取扱説明書
ジャッキは能力と、いちばん下げたときの高さで選ぶ
- 持ち上げられる重さ(能力)に余裕があること。トヨタの公式サイトの中古車カタログでは、DB02 の RZ の車両重量は 1530kg。片側を上げるときにジャッキにかかるのはその一部だが、能力は車両重量を目安に余裕を持たせる。
- いちばん下げたときの高さが、車体の下に差し込める低さであること。同じカタログには最低地上高の記載が無いので、差し込めるかどうかは自分の車で確かめる。
- 受け皿が、樹脂製のジャッキポイントに安定して当たる形であること。
ジャッキと一緒にリジッドラックも必ず用意する。上げた車をジャッキだけで支えたまま作業しないためだ。
トルクレンチが要る理由
タイヤメーカーのコンチネンタルタイヤの解説では、ホイールの留め具を正しく締めたり緩めたりするには、トルクレンチという専用の工具が要るとしている。規定のトルクで締めるには、締める力を設定できるトルクレンチを用意する。
タイヤを外すまでの手順
手順1:固く平らな場所で輪止めをする
トヨタの公式サイトのよくある質問では、地面が固く平らな安全な場所で作業し、外すタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをするとしている。ジャッキで上げても車が動かないようにするためだ。走った直後はホイールやブレーキのまわりが熱く、やけどのおそれがあるので、冷えてから始める。レンチは足で踏んで使わない。
手順2:上げる前に留め具を少しだけ緩める
車を持ち上げる前に、レンチでホイールの留め具(ナット/ボルト)を少しだけ緩めておく。乗りものニュースの記事が紹介している手順の順番だ。
手順3:指定の部位にジャッキをかけて少しずつ上げる
トヨタのよくある質問は、ジャッキを取扱書(取扱説明書)で指定された部位にセットするよう求めている。乗りものニュースの記事も、ジャッキアップポイントなど車体を持ち上げられる部分以外にかけると、車体の重さで車を壊してしまう可能性があると書いている。
受け皿を当てたら、タイヤが地面から離れる前の少し上げたところでいったん止める。受け皿が正しく当たっているか、車体が傾いていないかを見直してから上げ、タイヤが地面から少し離れる高さまでにとどめる。
手順4:リジッドラックで支えてからタイヤを外す
タイヤを交換できる高さまで上がったら、リジッドラックをかける。乗りものニュースの記事のとおり、ジャッキだけで車を支えていると、ジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険がある。車の下に体を入れない。ラックを当てる位置も取扱説明書で確かめ、分からなければ店に任せる。
タイヤを付けて締める手順
留め具と接触面の汚れを拭く
トヨタのよくある質問では、そのホイール専用のナット/ボルトを使い、接触面とネジ部の汚れを拭き取るとしている。つぶれ・亀裂・錆があれば、販売店で点検を受ける。付ける前に、前用と後ろ用を取り違えていないかも見ておく。
手で仮締めしてから、対角線の順に分けて締める
まず手で仮締めし、引っかかりがあれば販売店で点検を受ける。次に、取扱書の順序(対角線)で2〜3回に分けて締めていく。コンチネンタルタイヤの解説では、留め具が5〜10個あるホイールは星を描くように締めるのが正しい順番だとしている。
最後はトルクレンチで取扱説明書の値に締める
最後はトルクレンチで、取扱書に書かれたトルクで締める(トヨタのよくある質問・乗りものニュースの記事)。トルクの値は、自分の車の生産年月に合う取扱説明書の値を使う。公開されている情報だけでは DB02 の値を確かめきれなかったので、ここでは数値を書いていない。ほかの車の値や一般的な目安を流用しない。
交換した後にやること
コンチネンタルタイヤの解説では、交換後 50〜100km を目安に走ってから、ホイールの留め具を増し締めするとしている。どの車でも同じトルクでよいわけではなく、規定トルクは車種ごとに違うので、増し締めも取扱説明書の値で行う。
走っていて普段と違う音などの異常を感じたら、トヨタのよくある質問のとおり、すぐにトヨタの販売店へ相談する。
店に任せた方がよい場合
次のどれかに当たるなら、自分ではやらず、トヨタの販売店やタイヤ店に交換を任せる。
- ジャッキポイントの樹脂の部品が割れている、または無い
- トルクレンチを持っていない
- 自分の車の生産年月に合う取扱説明書で、ジャッキの位置や締め付けトルクを確かめられない
- 手順を読んでも不安が残る
季節ごとの履き替えを毎回自分でやる必要はない。道具がそろわないうちは、店に任せる方が早くて確かだ。
よくある質問
DB42 や DB06 のスープラでも同じ手順でよいか
手順の流れはトヨタのよくある質問などが示す一般的なものだが、この記事のタイヤサイズと車両重量は DB02(RZ)の値で、2019年の RZ(DB42)や 2022年10月以降の RZ(DB06)には当てはめない。それぞれの車の取扱説明書で値を確かめる。
締め付けトルクは何 N·m で締めればよいか
数値はここでは書いていない(確かめきれなかったため)。自分の車の生産年月に合う取扱説明書の値で、トルクレンチを使って締める。
前と後ろのタイヤを入れ替えてもよいか
DB02 の純正タイヤは前 255/35ZR19・後ろ 275/35ZR19 でサイズが違うので、付けるときは前に前のサイズ、後ろに後ろのサイズのタイヤを付ける。左右で入れ替えてよいかどうかはここでは確かめられていないので、タイヤ店や販売店に相談する。
ジャッキポイントの樹脂が割れていたらどうするか
その状態では上げずに、販売店やタイヤ店に任せる。部品の交換が先になる。
まとめ:作業の前の確認リスト
- 車検証の型式欄が 3BA-DB02(RZ)になっているか
- トヨタの修理業者向け資料が示す、前後のロッカーパネル付近の4か所の樹脂の部品に、割れ・欠け・外れが無いか
- 生産年月に合う取扱説明書で、ジャッキを当てる位置と締め付けトルクを見たか
- 輪止め・リジッドラック・トルクレンチがそろっているか
- 外したタイヤを、前用と後ろ用に分けて置く用意があるか
- 50〜100km 走った後の増し締めを予定に入れたか
車高を下げている車や、エアロを付けた車は、ジャッキを差し込む前に下回りの高さも気にしておきたい。

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