現行アトレーの前席に後付けするコンソールボックスは、型式が合っていれば全部付く、という買い方ができない。同じ700系でも、パーキングブレーキの操作部の形と純正の肘置きの有無で対象から外れる製品があり、さらに設置したあとにシートが前後に動くかどうかも製品ごとに違う。まずは自分の車がどちら側かを確かめるところから始めたい。
買う前に見る3点と、選ぶときの2軸
車検証・ブレーキ形式・肘置きの3点
購入前に確認する項目は3つある。1つ目は車検証の型式と初度登録年月。現行アトレーの型式はS700V/S710Vで、用品メーカーの取付調査でも対象は「型式:S700V/710V 年式:R3.12~ 2021年12月20日発売」と記載されている。デッキバンを含む車体記号ではS700W/S710Wも使われる。2つ目はパーキングブレーキの操作部が運転席の左足元にあるペダルか、手で引くレバーか。3つ目は運転席まわりに純正の肘置きが付いているか。この3点を押さえてから商品説明の適合表記と照合するのが、返品ややり直しを避ける最短の道になる。
シートの動かし方と電源の要否
3点をクリアしたあとの選び分けは2軸で足りる。第一軸はシートの動かし方だ。運転者が替わる、荷物の積み下ろしで日常的にシート位置を変えるという使い方なら、設置後もスライドできると明記された製品を選ぶ。シート位置をほぼ固定して乗るなら、スライドが制限される代わりに容量や電源機能が充実した製品も候補に入る。第二軸は電源機能の要否。USBポートやシガーソケット、LED照明を内蔵する製品は車両側から給電が必要で、配線の取り回しがひと手間増える。ケーブルを増やしたくないなら電源を持たない製品のほうが扱いやすい。
本記事で扱う4モデルを、この2軸で並べたのが下の表になる。
| 製品 | 適合表記の但し書き | 設置後のシート前後 | 電源機能 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| カーメイト NZ854 | 700系(R3.12~) | 干渉せずスライド可と明記 | なし | ¥5,930 |
| LIMSTYLE | 足踏み式サイドブレーキ車用/純正肘置き付きは対象外 | 商品説明に記載なし | Type-C 2・USB 3・LED | ¥7,633 |
| NAISOR | S700系(2021年12月~) | スライド量が大きく制限されると明記 | QC3.0 USB・Type-C・LED | ¥7,800 |
| CRAFT WORKS | 手引き式パーキングブレーキ車は非適合 | 商品説明に記載なし | Type-A・Type-C・シガーソケット | ¥10,260 |
価格はいずれもAmazonの実売価格で、確認時点のもの。変動するため、購入時に商品ページで見直してほしい。
カーメイト コンソールボックス プレミアム NZ854(700系アトレー/ハイゼットカーゴ専用)
型式と年式で切り分ける
現行アトレーのグレードはRS・X・アトレーデッキバンの3つ。ダイハツ公式サイトのグレード情報では、トランスミッションはCVTで全グレード共通、駆動方式は2WD/4WD、燃料消費率はWLTCモードで14.7km/Lと記載されている。
一方、先代のアトレーワゴンは乗車定員4名のワンボックスで、型式の系統がまったく別になる。ダイハツの公式WEBカタログによると、2005年5月発売モデルがTA-S320G/TA-S330G、2015年11月以降がS321G/S331G(2017年11月・2019年11月モデルはABA-S321G/ABA-S331G、2020年8月モデルは3BA-S321G/3BA-S331G)となっている。
本記事の4製品は、いずれも2021年12月以降の700系(S700V・S700W・S710V・S710W)向けとして適合が表記されており、先代アトレーワゴンの型式はどの対応表にも含まれていない。車検証の型式欄と初度登録年月を見れば数十秒で判別できるので、注文前に一度確認しておきたい。
内装まわりの後付けを他にも考えているなら、車種全体の作り分けを押さえておくと迷いが減る。
700系でも分かれる2つの条件
型式が合っていても付かないケースがある。商品側が但し書きで示している分岐は2つだ。
1つはパーキングブレーキの形式。LIMSTYLEの適合表記は「ハイゼットカーゴ S700V/S710V&アトレー S700V/S700W/S710V/S710W 足踏み式サイドブレーキ車用」で、足踏み式が前提になっている。CRAFT WORKSのほうは逆方向から「手引き式パーキングブレーキ車は適合しません」と明記し、あわせて「型式は車検証をご確認ください」「グレードはメーカーのグレード検索サービスにてご確認ください」と案内している。どちらの製品も、車両側の操作部を実際に見て判断してほしいという立て付けになっている。運転席に座って左足元と手元のどちらに操作部があるかを見れば済む話なので、注文画面に進む前に済ませておく。
もう1つは純正の肘置きだ。LIMSTYLEの商品説明には「もともとの肘置きが付いてるアトレーには適用しません」という注記があり、純正の肘置きが付いた個体は対象外とされている。同じ説明の中で「年式・グレード・オプション等により適合しない場合が御座います」「形状をご確認いただいた上、お買い求めください」とも書かれている。グレードごとの装備差は公式の装備一覧で確認するとして、まずは自分の車の運転席まわりに肘置きがあるかどうかを見るのが早い。
同じ700系の商用バンであるハイゼットカーゴとは製品が共通なので、そちらの記事も選択肢の確認に使える。
設置後にシートが動くか
700系専用をうたう製品でも、設置後のフロントシートの動きに関する記載は一様ではない。設置状態でも前後スライドが可能と明記する製品、スライド量が大きく制限されると明記する製品、前後移動そのものができなくなると明記する製品が実際に併存している。商品説明のこの一文は読み飛ばさずに確認したい。ここが購入後の満足度を最も左右する。
カーメイトの商品ページには、NZ854は純正で備え付けのシガーソケットやUSBポートとのクリアランスを確保した位置取りで、設置した状態でも運転席・助手席ともに座席へ干渉せず前後にスライドできると記載されている。ただしドリンクホルダーにドリンクや小物が入っている場合は座席と干渉する可能性がある、との但し書きが付く。
対してNAISORには「本製品を取り付けた場合、フロントシートのスライド量が大きく制限されますのでご了承ください」との注記がある。あわせて「購入前に必ず車両の年式・型式をご確認ください」とも案内されている。
判断としては単純だ。運転者が替わる車、シート位置を頻繁に変える車ならスライド可と明記された製品にする。1人でしか乗らず、ポジションを決めたら動かさない車なら、スライド制限を受け入れて他の機能を取ってもいい。
NAISOR アトレー/ハイゼットカーゴ 700系 コンソールボックス(RGB7色LED・QC3.0)
電源機能が要るかどうか
車両側の給電先を先に確かめる
車両側にどの電源が備わるかはグレードで異なる。ダイハツ公式サイトのグレード情報では、RSに荷室アクセサリーソケット(12V)、アトレーデッキバンにUSBソケット(インパネ1口・電源用)が挙げられている。手元で充電したいのに前席に給電先がない、という状況なら電源内蔵型の価値が出る。
3モデルのポート構成
各製品の電源仕様は次のとおり。LIMSTYLEは前部に急速充電のType-Cソケット1個とQC3.0のUSB 1個、後部にType-Cソケット1個とUSB 2個を備える。ドリンクホルダーと携帯ホルダーにはボタン操作で7色に切り替わる照明があり、ダブルクリックでグラデーション、5秒長押しで消灯する。フタを開けるとブルーの照明が自動点灯する。
CRAFT WORKSはType-A 1口、Type-C 1口、シガーソケット1口という構成で、USB電力はPD(5V 4A 20W)/QC(5V 4.5A 22.5W)、シガーソケットはDC12V 60W、同時使用時の合計出力は60W、ヒューズは設定電流5Aを超えるとショートする仕様と記載されている。電源の口数と合計出力が数字で示されているのはこのモデルだけで、後席用のケーブルまで賄いたいなら見比べる価値がある。
NAISORはQC3.0の急速充電USBポートとType-Cポートを搭載する。カーメイトのNZ854は、商品説明にUSBポートやシガーソケットなど電源機能の記載がない。
給電の取り方も先に決めておきたい。アクセサリー電源から取れば降車後の消費を避けられる。常時電源から取る場合、乗らない期間が長い車ではバッテリーの消耗につながるため、使わないときはケーブルを抜くといった運用を決めておく。
CRAFT WORKS アトレー/ハイゼットカーゴ S700系 コンソールボックス(ワイヤレス充電無)
4モデルの位置づけ
カーメイト NZ854:シートを動かす人の第一候補
カーメイトの商品ページによると、適合は「ダイハツ アトレー、ハイゼットカーゴ(S700V・S710V・S700W・S710W、R3.12~)、トヨタ ピクシスバン (S700M/S710M、R3.12~)、スバル サンバーバン、ディアス (S700B/S710B、R4.1~)」。本体サイズはH230×W220×D250(mm)で、外観はマットブラック基調、天板にカーボン調のデザインを採用する。ドリンクホルダー部は直径もしくは1辺の長さが約74mmまでの容器に対応し、細缶・500mlペットボトル・500ml紙パックなどが入る。側面から出し入れできる容量約2.8Lのゴミ箱を備える。電源機能は持たない代わりに、設置状態でのシートスライドを明記している唯一の1台で、4モデルの中では価格も最も抑えられている。
LIMSTYLE:ポート数と照明を優先するなら
前後合わせてType-C 2口・USB 3口という口数の多さと、7色の照明が特徴になる。表面はPUレザーと記憶クッションで、運転席と助手席の間に設置し、底部の粘着テープで固定する方式。適合年式は2021年12月~。足踏み式サイドブレーキ車用で、純正の肘置きが付いた個体は対象外という2つの条件が付くため、買う前の確認がこの4台で最も多い。
LIMSTYLE アトレー/ハイゼットカーゴ S700系 コンソールボックス(足踏み式サイドブレーキ車用)
NAISOR:置くだけで済ませたいなら
適合表記は「アトレー/ハイゼットカーゴ S700系(S700V・S700W・S710V・S710W 2021年12月~)」。PUレザーと木質フレームで構成され、RGB7色LEDはワンタッチ切替・ダブルクリックでグラデーション・長押しで消灯、4段階の明るさ調整と前回設定を再現する記憶機能を備える。小引き出しは磁石で閉じる方式で、急ブレーキ時に勝手に開かないとされている。加工不要・工具不要で置くだけの設置、1年間の保証付き。シートのスライド量が大きく制限される点だけは了解して選ぶ必要がある。
CRAFT WORKS:純正トレイに被せて使う
適合表記はアトレーが全グレード、ハイゼットカーゴがクルーズ/クルーズターボ/デッキバンG、ピクシスバンがクルーズ/クルーズターボ、サンバーバンがVC/VCターボ。適合年式はダイハツ・トヨタが2021年(令和3年)12月~、スバルが2022年(令和4年)1月~。素材はABS樹脂・合成革皮・MDF(中密度繊維板)で、カラーはブラック。設置は純正センタートレイに被せるように置く方式で、リクライニングレバーとシートベルトには干渉しないとされている。手引き式パーキングブレーキ車は適合しない点が唯一かつ最大の分岐になる。
選ぶ前に、普段使うボトルやカップの直径を測って商品説明の対応径と照合しておくと「入らない」失敗を避けられる。ゴミ箱や引き出しの有無、フタを肘掛けとして使えるかどうかも日常の使い勝手を分ける。
設置の流れ
700系の前席の間には純正のセンタートレイがあり、専用設計品はその上に被せるように置くか、前席足元中央へ置くかのどちらかで設置する。製品によっては装着の際にフロアマットを外す必要があると案内されているものもある。
順序は次のとおり。
- 車検証で型式と初度登録年月を確認する
- パーキングブレーキの形式と純正の肘置きの有無を確認する
- 商品説明の適合表記と照合する
- 組み立て式なら説明書どおりに組み立てる
- 製品の指示に従い、必要ならフロアマットを外したうえで、純正センタートレイの上または前席足元中央に置く
- 電源付きなら給電し、ケーブルがペダル側へ垂れないように取り回す
- パーキングブレーキ・シフト・シートベルト・シートの可動を順に確かめる
組み立ての手間は製品による。カーメイトのNZ854は組み立て式で、ドライバー1本で8か所のネジ止めをしたあと天面とゴミ箱をはめ、クッションを貼れば完了する。所要時間は5分程度と案内されている。組み立て後は前席足元中央へ置くだけなので、工具や加工の準備はほぼ要らない。
手順5でフロアマットを外す必要が出たときは、この機会に足元の状態も見直しておきたい。
設置後の確認と、外す場面
置いたら次の順で確かめる。パーキングブレーキを最後まで操作できるか、シフト操作の妨げにならないか、シートベルトの引き出しと着脱が普段どおりできるか、シートのリクライニングとスライドが必要な範囲で動くか、乗り降りのときに足の通り道を塞いでいないか。ひとつでも引っかかるなら設置位置を見直す。
コンソールボックスは運転操作の妨げにならない状態で使うのが前提になる。ペダル・シフト・パーキングブレーキの動きを制限する置き方や、急ブレーキで動いて足元へ落ちるような固定の甘さは避けたい。工具なしで外せる置き型なら、点検や整備の際に取り外して対応できる。固定方法に迷う場合は取り付け先の整備工場に相談する。
外す前提がある点も知っておきたい。NZ854には「クルマのエンジンルーム、ヒューズボックスを開ける時は、本製品を外してください」との注意書きがある。ほかに、悪路走行時やドリンクの形状によっては安定しない場合があること、シートを動かす際にドリンクが干渉する可能性も案内されている。
よくある質問
先代のアトレーワゴンに700系用のコンソールボックスは付きますか
本記事の4製品はどれも先代アトレーワゴンの型式を対応表に含めていない。公式WEBカタログにあるとおり、アトレーワゴンの型式はS320G/S330G/S321G/S331Gの系統で、700系とは別の車になる。700系専用品を装着できるとは言えないので、アトレーワゴン用として別途探すことになる。荷室側の収納から検討する手もある。
純正の肘置きが付いている車でも使えますか
製品による。LIMSTYLEは商品説明で純正の肘置きが付いた個体を対象外としている。他の3製品には同様の注記が見当たらないが、肘置きとの物理的な干渉は現車の状態で決まるため、運転席まわりの形状を確認したうえで注文するのが確実になる。座面まわりの装備を見直すなら、シートカバーとの組み合わせも先に考えておきたい。
手持ちのボトルはドリンクホルダーに入りますか
対応径が数字で公表されているのはカーメイトのNZ854で、直径もしくは1辺の長さが約74mmまでの容器に対応する。細缶・500mlペットボトル・500ml紙パックが入る範囲になる。他の製品は商品説明に対応径の記載がないため、普段使うボトルの直径を測ってから商品ページの寸法表記と見比べてほしい。
点検や車検のときは外す必要がありますか
工具なしで外せる置き型なら、点検や整備のときに取り外して対応できる。NZ854にはエンジンルームやヒューズボックスを開ける際に外すよう注意書きがある。電源付きのモデルを常時電源から取っている場合は、長期間乗らないときにケーブルを抜いておくとバッテリーの消耗を避けられる。
まとめ
先に現物を見る。運転席に座って、パーキングブレーキの操作部が左足元のペダルか手引きのレバーか、純正の肘置きが付いているか、この2つを目で確かめる。そのうえで車検証の型式と初度登録年月を照合すれば、買える製品の範囲は自動的に絞られる。
そこからはシートの動かし方と電源の要否で決まる。シート位置を頻繁に変えるならスライド可と明記された製品、位置を固定して乗るなら電源や収納の充実した製品でいい。確認の順序さえ守れば、この価格帯で選び間違えることはほとんどない。
車内をまとめて作り込むなら、レイアウト全体から逆算する方法もある。
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