アトレーのタイヤチェーンで最初に分かれるのは、着ける車輪と自車のタイヤサイズだ。装着輪は現行も先代も後輪で、前輪駆動が主流の軽乗用車とはここが逆になる。サイズは2021年12月以降の現行が145/80R12、それ以前の先代が165/65R13で、どちらの世代かによって探す製品が変わる。
世代別の装着輪・タイヤサイズ・適合品番
非金属チェーンのメーカーが公開しているダイハツ車の適合表では、アトレーは世代を問わず装着可とされ、装着輪はいずれも「後」と記載されている。世代で変わるのはタイヤサイズと適合品番だけだ。
| 世代 | 年式 | 型式 | 駆動方式 | 装着輪 | タイヤサイズ | 適合品番 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現行 | 2021年12月以降 | S700V / S710V | FR / 4WD | 後 | 145/80R12 | 0243WD |
| 先代 | 2005年5月〜2021年12月 | S32#G / S33#G系 | FR / 4WD | 後 | 165/65R13 | 0254WD |
アトレー デッキバンの行も、同じ年式・同じ装着輪・同じサイズ・同じ品番で掲載されている。デッキバンだからといって別の品番を探す必要はない。
現行アトレーの純正タイヤは「LT145/80R12 80/78N」、ホイールはリム幅4Bの12インチでオフセットはET40(適合範囲38〜42mm)。純正から履き替えていなければ、この数値がそのまま製品選びの基準になる。
後輪に着けるのはアトレーが後輪駆動だから
国土交通省の案内では、「すべてのタイヤにチェーンが必要なの?」という項目で「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です」と説明されている。原則はこの一行に尽きる。あとは自分の車の駆動輪がどちらかという話になる。
アトレーの駆動方式は、チェーンメーカーの車種別適合表で「FR / 4WD」と記載されている。2WD車は後輪駆動で、4WDの設定も用意される。軽乗用車の多くが前輪駆動なので、一般的な軽自動車向けの解説をそのまま当てはめると前輪に着けることになってしまう。
同じ適合表のダイハツ車一覧を見ると、この対応は一貫している。ウェイク・タフト・YRVなど駆動方式がFFの車種は装着輪が「前」、アトレーやグランマックス カーゴなどFRの車種は「後」と記載されている。アトレーは軽自動車の側ではなく、商用バンの側の並びに入る車だと考えておくとよい。
4WD車も適合表の装着輪は「後」だ。4WDだから前に着ける、4WDだからチェーンは要らない、という判断はできない。ただし適合表には4WD車の取り付け位置は車両のマニュアルに従う旨の注記もあるため、最終確認は自車の取扱書で行う。
適合表で自分のサイズを見落とす2つの表記
適合表を開いて「145/80R12が無い」と感じたら、たいていは表記の問題だ。チェーンメーカーの適合表の注記では、「偏平率が80の場合、偏平率が省略されている場合があります。(例:145/80R12 → 145R12)」と説明されている。145R12という行があれば、それが145/80R12と同じサイズを指している。
もう一つは純正タイヤの頭に付く「LT」だ。同じ適合表には「ラジアルタイヤの『SR』『HR』『VR』『LT』『PR』等の表示マークはタイヤサイズには関係ありません。」という注記がある。アトレーの純正タイヤは「LT145/80R12 80/78N」と表記されるが、チェーンのサイズ合わせで見るのは145/80R12という寸法そのものになる。LT表記に対応した製品を探す必要はない。
チェーン規制で本当に必要になる場面
チェーンを積む理由がいちばんはっきりするのは、スタッドレスタイヤとの関係だ。国土交通省は「スタッドレスタイヤでも規制対象なの?」という項目で、「スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません」と説明している。冬タイヤに替えているかどうかと、チェーンを持っているかどうかは別の話になる。
規制そのものは頻繁に出るものではない。実施条件について国土交通省は「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います」としており、実施区間は「急な上り下りがある峠などで、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所の中で、タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間」と説明されている。年に何度も使うものではないが、当たったときに手元に無ければ引き返すしかない。
種類については、同じ案内で「自動車用品店などで販売されているものであれば問題ありません」とされる一方、「スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものではチェーン規制中に通ることはできません」と明記されている。手軽さでスプレー式を選ぶと、規制のときには役に立たない。
金属・非金属・布製をどう選び分けるか
JASAA認定は非金属チェーンの制度
非金属タイヤチェーンには、一般財団法人 日本自動車交通安全用品協会(JASAA)の認定制度がある。日本自動車交通安全用品協会の案内によると、協会規格JASA432(非金属製タイヤチェーン)に基づいて製造された製品に各種の実車走行試験を行い、性能が確認されたものを認定する仕組みだ。認定マークは収納ケースの外側に、認定票はチェーン本体に表示される。同協会の認定品ページに金属製チェーンの認定規格の記載はないため、この制度は非金属製を対象にしたものだと理解しておく。金属チェーンに認定が無いことは、金属チェーンの性能が劣ることを意味しない。
アトレーで見る6つの軸
比較の軸を先に決めておくと、製品ページの情報量に振り回されずに済む。
- 自車のタイヤサイズ(現行なら145/80R12、先代なら165/65R13)への対応が販売ページや適合表に明記されているか
- 後輪2本分がセットで揃うか
- 非金属タイプならJASAAの認定表示があるか
- ジャッキアップ不要かどうかなど、装着のしやすさ
- 収納したときの大きさと重さ
- 年に数回の緊急脱出用か、冬の間ずっと積んでおく常備用か
荷室に置く場所を先に決める
アトレーは荷室の広さで選ぶ車だから、6番目の収納性は実用上の判断材料になる。使うかどうか分からないものを冬の間ずっと積むことになるので、収納ケースの大きさと重さ、そして荷室のどこに固定して置くかを買う前に決めておくと、シーズン中の使い勝手が変わる。
買う前に自車で確認する4項目
タイヤ周りの隙間を実測する
非金属チェーンは、タイヤ周辺の隙間(クリアランス)が足りないと装着できない。適合表が判断箇所として挙げているのは、タイヤショルダー部(内側)とショックアブソーバーの間、タイヤショルダー部(外側)とフェンダーエッジ部の間、ロアアームとタイヤ・ホイール内側の間、タイヤ外周とフェンダーとの間の4カ所だ。メーカーはこの判断箇所の隙間が基準値以上あることを装着可の条件とし、1カ所でも基準を下回れば装着不可能車種としている。購入前にこの4カ所を測っておく。
除外されるタイヤを履いていないか
チェーンメーカーは「オフロード専用タイヤ(タイヤブロックのすき間が大きいタイヤ)、スパイクタイヤ、ダブルタイヤ、オールテレーンタイヤ…は、バイアスロンを装着できません。」と明記している。別メーカーの適合表にも「マッドテレーンタイヤへの装着はできません」との記載がある。アトレーは見た目を変えて乗る人も多い車なので、社外タイヤに替えている場合はこの除外条件に当たらないかを先に見る。
純正以外のサイズに替えている場合
適合表の品番は純正のタイヤ・リムを基準に組まれており、メーカーは「タイヤ・リムが変わると取り付かない場合があります」と注記している。インチアップなどで純正と違うサイズを履いているなら、上の表の品番をそのまま使えるとは限らない。実際に履いているサイズで適合表を引き直す。
車種名の表記だけを根拠にしない
商品名に「アトレー S700V / S710V / S700W / S710Wに適用」と型式が並んでいても、同じページの商品説明に書かれた対応寸法が自車のタイヤと合わないことがある。実例として、商品名でアトレーへの適用をうたいながら、説明欄では対応範囲を「165mm-275mm/R12-19」と明記し、あわせて購入前にタイヤサイズを確認するよう注意している商品が販売されている。現行アトレーの純正タイヤの幅は145mmで、この対応範囲の下限を下回る。車種名の記載ではなく、対応タイヤサイズの数値のほうを見る。
アトレー向けに買える非金属チェーン3製品
ここで挙げるのは、商品名にアトレーの型式が記載されて販売されている非金属タイプだ。ただし3製品とも販売ページに対応タイヤサイズの数値の明記が無い汎用品で、メーカーが車種別適合表で品番を指定している製品(現行の0243WD、先代の0254WD)とは、買う前に確認できる情報の量が違う。届いてから自車のタイヤに合うかを確かめられる前提で、雪の降る前に余裕をもって手配してほしい。
| 製品 | 素材・方式 | セット内容 | 価格(確認時点) |
|---|---|---|---|
| 布製スノーソックス | 布製・タイヤ全体を覆う | 記載なし | 6,599円 |
| 軟質ゴム製 10本入り | 軟質ゴム・ストラップ固定 | 本体10本 | 3,499円 |
| 軟質ゴム製 20本入り | 軟質ゴム・ストラップ固定 | 本体20本 | 4,999円 |
価格はAmazonの実売価格で、いずれも確認時点の値。日々変わるものなので、購入前に商品ページで見直してほしい。
布製スノーソックス
金属チェーンによるタイヤの傷や車体の擦り傷を避ける構造とされる非金属タイプ。走行中に騒音が発生しにくい点と、織物構造による排水性で路面の雪水を排出して接地性を高める点が仕様に挙げられている。伸縮素材でタイヤに密着し、ジャッキアップ不要で一人でも短時間で着脱できるとされ、耐摩耗加工により繰り返し使用できる。3製品のなかでは価格が最も高い代わりに、装着の手数はいちばん少ない部類に入る。年に一度使うかどうかという人が、いざというときに手間取りたくないなら候補になる。
布製スノーソックス(アトレー S700V/S710V/S700W/S710W 適用表記・非金属・静音タイプ)
軟質ゴム製 10本入り
軟質設計で、取り付け時や走行時にタイヤを傷つけないとされるタイプ。高強度素材に加厚・補強加工を施し、雪道や凍結路での圧迫・引き伸ばしに耐えるとする。加厚・幅広の防滑パーツを配置してトラクションを高める構造で、素材は耐低温・耐摩耗・抗老化。ジャッキアップは不要で、伸縮性のある本体とストラップ固定により数分で装着できるとされる。3製品で最も安く、凍結路からの脱出用に一組置いておく用途に向く。
軟質ゴム製 非金属スノーチェーン 10本入り(ストラップ固定式・ジャッキアップ不要)
軟質ゴム製 20本入り
上と同じシリーズで、本体の本数が20本の設定。1本あたりで見れば10本入りより安く、タイヤ1本に巻く本数を増やして間隔を詰められる。冬の間ずっと積んでおき、使う場面もそれなりに想定するなら、本数に余裕のあるこちらを選ぶ。
軟質ゴム製 非金属スノーチェーン 20本入り(ストラップ固定式・装着本数を増やせるセット)
後輪に着けるときの段取り
雪の中でぶっつけ本番にしないことが、この作業でいちばん効く。降り出す前に自宅などで一度装着してみて、手順と所要時間を体で覚えておく。雪の中では説明書を広げる余裕も、素手で細かい部品を扱う余裕もない。
実際の装着は、交通の妨げにならない平坦で安全な場所を選ぶ。路肩の坂道で始めると車が動く危険がある。アトレーは後輪に装着する。装着後は少し走ってから一度停め、緩みがないか締め直す。この一手間を飛ばすと、走行中に外れて車体を叩くことがある。
走行速度は製品ごとに上限が定められているため、付属の取扱説明書に従う。ジャッキアップの要否やタイヤ周りの作業に自信が無ければ、先にタイヤ交換の手順を押さえておくと動きが変わる。
よくある質問
4WDのアトレーでもタイヤチェーンは必要ですか
必要になる。適合表では4WD車も装着輪が「後」と記載されており、4WDだからチェーンが不要という扱いにはなっていない。チェーン規制の区間は駆動方式で通行可否が分かれるものではないので、雪の可能性がある土地へ行くなら積んでおく。
チェーンを前輪に着けてはいけないのですか
適合表の装着輪は現行・先代とも「後」だ。国土交通省も駆動輪に着けるのが基本と説明しており、後輪駆動のアトレーで前輪に着ける根拠は無い。前輪に着けても駆動輪は空転したままになる。
スタッドレスタイヤを履いていればチェーンは要りませんか
チェーン規制中は、スタッドレスタイヤだけでは通行できない。冬タイヤに替えていることと、チェーンを持っていることは別に扱われる。
適合表に145/80R12が見当たりません
偏平率の80が省略されて「145R12」と表記されている場合がある。同じサイズを指しているので、その行を見ればよい。純正タイヤの頭に付く「LT」も、サイズ合わせには関係しない。
先代アトレー(S321G / S331G)はどのサイズで探せばよいですか
165/65R13で探す。適合品番は0254WDで、装着輪は現行と同じく後輪だ。世代が変わってもチェーンを着ける車輪は変わらない。冬の遠出に備えるなら、チェーンと合わせて消耗品の状態も見ておきたい。
まとめ
アトレーのチェーンは後輪に着ける。現行なら145/80R12、先代なら165/65R13で製品を探し、適合品番を使うならそれぞれ0243WDと0254WDが指定されている。自分がどちらの世代かはっきりしないなら、車検証で型式と初度登録年月を確認するところから始めればよい。
買う前にやっておくことは2つ。タイヤ周りの4カ所の隙間を実測して、非金属チェーンが入るかを確かめること。そして雪が降る前に一度装着して、手順を体で覚えておくことだ。この2つを済ませておけば、規制に当たった日の路肩で初めて箱を開ける事態を避けられる。
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