国産車から乗り換えた人が社外ホイール選びでつまずきやすいのが、ハブ径の見落としだ。イエローハットのコラムによると社外ホイールで主流のハブ径は73mm で、海外の販売店の適合ページが示す BMW X5(E70)のハブ径74.1mm より小さいため、そのままでは E70 のハブに入らない。PCD やボルトの規格も国産乗用車とは違うので、純正の値を基準に1つずつ照らし合わせていけば選び間違いは防げる。
E70 のホイール規格の早見表
海外のタイヤ・ホイール販売店の適合ページ(E70 前期 2006〜2010・後期 2010〜2013)の記載をまとめると次のとおり。PCD・ハブ径・ボルト・締付トルクは前期・後期とも全エンジン共通の記載で、リム幅とインセットは OEM(純正)と表示された行の値だ。
| 項目 | 適合ページの記載 |
|---|---|
| 穴数・PCD | 5穴・PCD120 |
| ハブ径(センターボア) | 74.1mm(前後で別の値は示していない) |
| 留め方・ねじ | ボルト留め・M14×1.25 |
| 締付トルク | 140N·m |
| OEM 表示の18インチ(前期の全エンジン・後期の xDrive35i) | 255/55R18・8.5J×18 インセット46 |
| OEM 表示の19インチ(後期の xDrive50i) | 255/50R19・9J×19 インセット48 |
リム幅とインセットは海外のページの値で、日本仕様の純正ホイールの値としては確かめられていない。 詳しくは後の節で触れる。
日本仕様のグレードと純正タイヤサイズ
カーセンサーのカタログでは、2代目 X5(E70)は2007年6月〜2013年10月の生産モデルで、グレードは3つの時期で入れ替わる。2010年5月には高効率のエンジンへ変わり、各期にスポーツパッケージや Mスポーツパッケージが設定されている。同カタログの日本仕様の諸元(標準の5人乗り)で確かめられる純正タイヤサイズは次のとおりで、前後同じサイズだ。
| 生産時期 | グレード(型式) | 純正タイヤサイズ |
|---|---|---|
| 2007年6月〜2008年10月 | 3.0si(ABA-FE30)・4.8i(ABA-FE48) | 255/55R18 |
| 2008年11月〜2010年4月 | xDrive30i・xDrive48i(スペシャルエディションを含む) | 確かめられていない |
| 2010年5月〜2013年10月 | xDrive35i(ABA-ZV30S) | 255/55R18 |
| 2010年5月〜2013年10月 | xDrive50i(ABA-ZV44S)・xDrive35d ブルーパフォーマンス(LDA-ZW30S) | 255/50R19 |
表で諸元が確かめられたグレードは、どれもランフラットタイヤが標準だ。 Mスポーツパッケージ・スポーツパッケージ・7人乗りの純正サイズも確かめられていない。
純正ホイールのリム幅とインセットの目安
適合ページで OEM と表示された組み合わせ
海外のタイヤ・ホイール販売店の適合ページで OEM と表示されているのは、E70 前期の全エンジン(3.0si・4.8i・xDrive30i・xDrive48i を含む)と E70 後期の xDrive35i が8.5J×18 インセット46(タイヤ255/55R18)、E70 後期の xDrive50i が9J×19 インセット48(タイヤ255/50R19)だ。ページの「Offset range」の欄には44〜48mm・46〜50mm と並記されているが、この幅が何を表すかの説明はない。車検で許される範囲や付くインセットの範囲として読まないほうがいい。
OEM 表示のない19〜21インチ
同じページには OEM 表示のない組み合わせも E70 前期・後期とも載っていて、純正の設定か代替サイズかは書かれていない。前後でリム幅とインセットが違う組み合わせがある。
| サイズ | 前輪 | 後輪 |
|---|---|---|
| 19インチ | 255/50R19・9J×19 インセット48 | 285/45R19・10J×19 インセット53 |
| 19インチ | 255/50R19・9J×19 インセット37 | 285/45R19・10J×19 インセット20 |
| 20インチ | 275/40R20・10J×20 インセット40 | 315/35R20・11J×20 インセット35 または37 |
| 21インチ | 285/35R21・10J×21 インセット40 | 325/30R21・11.5J×21 インセット38 または42 |
ここに挙げたリム幅とインセットは海外の販売店の適合ページの値で、日本仕様の純正ホイールの幅とインセットは日本語の資料では確かめられていない(カーセンサーの諸元にはホイールの幅とインセットの欄がない)。自車の純正ホイールの表示を見るか、BMW の正規ディーラーで確かめてから選ぶ。
インセット(オフセット)の意味と動き
インセットは、ホイールのリム幅の中心線から取り付け面までの距離を mm で表した値だ。以前はオフセットと呼ばれていて、2008年7月に JATMA(日本自動車タイヤ協会)が「インセット」に呼び名を統一した。取り付け面が中心線より外側にあればプラス(インセット)でホイールは車体の内側に収まり、中心線上ならゼロ(ゼロセット)、内側にあればマイナス(アウトセット)でホイールは外側へ張り出す。
基準にするのは自車の純正ホイールのインセットだ(適合ページの OEM 表示なら18インチ8.5J でインセット46)。純正値より小さくするほどホイールはフェンダーからはみ出しやすくなり、大きくするとサスペンションやタイヤハウスの内側に当たるおそれが出る。 どちらも車検で確かめられる。同じインセットのままリム幅を広げると、タイヤは外側にも内側にも広がり、インナーフェンダーやサスペンションアームに当たりやすくなる。幅を広げるときは、外へ出る量と内側のすき間の両方を見ておく。
PCD120 とハブ径74.1mm で合わないホイールが出る
PCD は穴数と一緒に合わせる
PCD(ピッチ円直径)は、ボルト穴の中心を結んだ円の直径を mm で表した値だ。穴数が同じでも PCD が違えばボルトの位置がずれて付かない。国産乗用車は PCD100 か114.3 が主流で、PCD100 や114.3 のホイールは5穴・PCD120 の E70 には付かない。
ハブ径は74.1mm 以上が条件
イエローハットのコラムによると、社外ホイールは多くの車に付けられるようハブ径を大きめに作ってあり、主流は73mm だ。自車のハブ径がホイールのハブ径より大きいと取り付けられないので、E70 には74.1mm 以上のハブ径を持つホイールを選ぶ。
ハブ径がそれより大きいホイールは、すき間が残ると芯が出ず、ハンドルの振動や高速走行時の振動、ボルトの損傷につながる。このすき間を埋めるのがハブリング(ハブセントリックリング)で、ハブとホイールのセンターを出しやすくし、荷重をハブの中心で支えられるようにする。大きさは車両のハブ径とホイールのハブ径の両方を確かめて決め、ツバ付きを選ぶ。金属製は錆や腐食でハブに固着しやすい。純正ホイールに戻すときはハブリングを外す。付けたままだと正しく付かず、脱輪やボルトの折損につながる。
ボルト留めの E70 でそろえる座面と長さ
E70 はハブにボルトをねじ込んで留める方式で、ねじは M14×1.25(ねじ径14mm・ピッチ1.25mm)だ。多くの輸入車がねじ径の太い M14 を採用していて、E70 もその1つにあたる。
座面の形をホイールに合わせる
ボルトの座面にはテーパー座(60°)・球面座・平面座があり、ホイール側の穴の形と一致しないと正しく締結できない。社外ホイールは60°テーパー座が主流だ。購入前に、ねじのサイズと座面の形の両方が合うかをホイールの製造元で確かめる。ボルトを別に用意するときは、車両の標準のボルトのサイズに合う物を選ぶ(二面幅は同じでなくてよい)。
長さと締め付け
ホイールを社外品に替えたりスペーサーを挟んだりすると、取り付け部の厚みが変わる。ボルトの長さ(首下)は、そのホイールやスペーサーの製造元・販売店に確かめてから選び、推し量りで決めない。 締め付けはトルクの管理が要り、締め過ぎでもタイヤが外れることがある。テーパー部分に油分が付くと摩擦が減って異常なトルクで締めてしまうことがあり、多くの自動車メーカーがグリス類の塗布を禁じている。締付トルクは適合ページの記載では140N·m だが、作業前に取扱説明書か正規ディーラーで自車の値を確かめる。
互換ボルトを選ぶなら
販売ページの商品説明では、次の互換ホイールボルト(1本売り・ブラック)は BMW 互換品で、X5 E70 を含む BMW の複数の車種に対応とし、M14・ピッチ1.25・座面60度テーパー・首下27mm・17HEX と書かれている。商品名には「純正ホイール対応」とあるが、社外ホイールやスペーサーと一緒に使えるかは商品名と商品説明の箇条書きのどちらにも記載が無い。出品者の記載であり、E70 の純正ボルトの寸法や座面を確かめた値ではないので、今のボルトと座面・長さを見比べてから選ぶ。E70 は5穴なので、4輪すべてを入れ替えるなら5本×4輪で20本になる。
BMW互換 M14×1.25 60度テーパー ホイールボルト 首下27mm(1本)
ホイールの脱着の手順は次の記事にまとめている。
スペーサーで外へ出すときの注意
ホイールスペーサーは、ハブ面とホイールの間に挟んでホイールを外側へ出す部品だ。本体に新しいボルト(スタッド)を備えたワイドトレッドスペーサーは15mm 以上の厚みが中心で、15mm前後から25mm程度がよく使われ、30mm の設定もある。誤った使い方をするとホイールが外れたり、ステアリングのぶれや振動が出たりする。購入前にホイール裏の逃げの有無と厚みを確かめ、PCD(5穴・PCD120)とハブ径(74.1mm)が E70 に合う物を選ぶ。商品名に BMW 向けとあっても、ハブ径や対応の型式が E70 と合わない物は使わない。国産メーカーには NAPAC 基準などの規格を取った製品があり、ハブリングを組み合わせたメーカーもある。
スペーサーの解説記事にあるナットのかかり量の目安は、ハブから出たスタッドボルトをナットで締める国産車に多い構造の話で、ボルト留めの E70 にはそのまま当てはまらない。 スペーサーの製造元が示す使い方と、合う長さのボルトに従う。厚みを足すとインセットを小さくしたのと同じくホイールが外へ出るので、次のはみ出しの決まりも合わせて確かめる。
フェンダーからのはみ出しの決まり
国土交通省の不正改造の解説では、回転部分が車体から突出すると歩行者の被服などを巻き込むおそれがあるとして、タイヤやホイールのフェンダー外へのはみ出しを不正改造の具体例に挙げている。根拠は、回転部分の突出など他の交通の安全を妨げるおそれのあるものでないことを求める保安基準第18条だ。適切なタイヤやホイールを使わないと、車体やブレーキなどと干渉するおそれもある。
乗りものニュースが国土交通省に取材した記事では、2017年6月22日の保安基準の一部改正で、ハンドルを直進方向にしたとき、タイヤの中心から前方30度・後方50度の範囲で、タイヤのはみ出しが10mm未満なら認められるようになった。製造年月日を問わず適用され、タイヤ側面のリブも突出部分と見なされなくなった。認められたのはタイヤだけで、ホイールのはみ出しは対象外だ。 インセットを小さくしたりスペーサーを足したりするときは、ホイールのリムがフェンダーの内側に収まるかを先に確かめる。
X5 M(E70)は値が違う
同じ販売店の X5 M(E70)の適合ページは X5(E70)とは別のページで、ハブ径は前74.1mm・後72.6mm と前後で違い、OEM 表示のホイールも前10J×20 インセット40・後11J×20 インセット35 だ。X5(E70)のページはハブ径が前後とも74.1mm、OEM 表示は18インチ8.5J インセット46 などなので、X5 M のオーナーはここまでの値をそのまま使わず、X5 M として確かめ直す。
社外ホイールを買う前の照らし合わせ
- 穴数と PCD が5穴・PCD120 か
- ホイールのハブ径が74.1mm 以上か(大きければ合うハブリングを用意する)
- ボルトのねじ(M14×1.25)・座面の形・長さがホイールに合うか
- リム幅とインセットを自車の純正値と比べ、外へ出る量と内側の干渉を確かめたか
- タイヤサイズとロードインデックスが純正を下回らないか(日本仕様の諸元が確かめられたグレードは純正がランフラット)
- はみ出し(ホイールは不可・タイヤは10mm未満の範囲)を確かめたか
- 販売店で現車に合わせて確かめたか
ホイールメーカーのウェッズの注意書きでは、適合表のサイズはノーマル車両の静止状態でのすき間を基準に作った物で、保安基準・車検・点検への適合を保証するものではないとし、タイヤを組む前に現車でのフィッティング確認を求めている。タイヤは基本的に純正装着タイヤのロードインデックスを下回らないサイズを選ぶ。日本仕様の純正のリム幅とインセットは確かめられていないので、4の比較には自車の純正ホイールの表示を使う。
よくある質問
国産車用の社外ホイールは付く?
国産乗用車で主流の PCD100 や114.3 のホイールは、5穴・PCD120 の E70 には付かない。PCD120 のホイールでも、ハブ径が74.1mm に満たない物は E70 のハブに入らない。
ハブリングは必要?
ホイールのハブ径が74.1mm より大きいなら、すき間を埋めて芯を出すために使う。純正ホイールに戻すときは外す。交換後にハンドルの振動や異音が気になるときは、次の記事も参考になる。
純正のボルトはそのまま使える?
社外ホイールに替えるなら、座面の形がホイールの穴の形と一致し、長さが取り付け部の厚みに合うかで決まる。E70 の純正ボルトの座面の形と首下の長さは確かめられていないので、使えるかはホイールの製造元・販売店に確かめる。
タイヤが少しはみ出しても車検に通る?
タイヤだけなら、ハンドルを直進にした状態で前方30度・後方50度の範囲、10mm未満のはみ出しが認められている。ホイールのはみ出しは認められていないので、リムがフェンダーから出ていればこの扱いにはならない。
X5 M も同じ規格?
同じではない。同じ販売店の X5 M(E70)の適合ページでは後輪のハブ径が72.6mm で、OEM 表示のホイールも20インチの前後異幅だ。X5 M は X5 M の値で確かめる。
まとめ
まず PCD・ハブ径・ボルトの3つで候補のホイールを1つに絞り、そのホイールの製造元の適合情報と現車で最後に確かめる。X5(E70)は5穴・PCD120、ハブ径74.1mm、M14×1.25 のボルト留め(海外の適合ページの記載)で、リム幅とインセットは自車の純正ホイールの値を基準に動かす。 ボルトは座面と長さまで合わせ、ホイールのはみ出しは認められない。
ほかの整備は次の記事にまとめている。
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