キャンプ道具や大型のスーツケースを積み込む前に、BMW X5 E70にどれだけ入るのかを把握しておきたい場面があります。通常時620L・後席格納時1,750Lという荷室に加え、この世代のX5には下側だけを水平に開ける2分割テールゲートが備わり、荷物の落下止めや作業台としても働くのが持ち味です。2006年から2013年に作られたE70は、初代E53とも現行G05とも荷室の数値が異なるため、別世代のカタログ値を当てはめたまま積載計画を立ててしまう取り違えも起きます。容量の実像・ゲートの使い分け・後席の倒し方・固定の手順を、積み込みの場面に沿って追います。
X5 E70の荷室容量と基本スペック
はじめに荷室の全体像を、容量と車体の数値で押さえます。開口の形や後席の作りまで合わせて見ておくと、あとの積み方の工夫がつながって理解できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通常時のラゲッジ容量 | 620L |
| 後席格納時の最大容量 | 1,750L |
| 3列目シート | オプション(2名分・使わないときは床へ格納) |
| テールゲート | 上下2分割(アッパーハッチ+ロアフラップ) |
| ボディ寸法 | 全長4,854×全幅1,933×全高1,766mm |
| ホイールベース | 2,933mm |
| 最低地上高 | 222mm |
| 車両重量 | 約2,100〜2,325kg(仕様による) |
| 生産期間 | 2006年7月〜2013年6月 |
| 大幅改良(LCI) | 2010年(後期型へ移行) |
620Lから1,750Lへ広がる荷室
BMW X5 E70のラゲッジは、後席を起こした通常時で620L、後席の背もたれを前へ倒すと最大1,750Lまで広がります。620Lは5人乗車のまま大型のスーツケースを数個並べられる広さで、家族4人の1泊旅行程度なら後席を起こしたまま収まる計算です。まず620Lと1,750Lという2つの数字を積載計画の基準に置くと、後席を倒すかどうかの見極めが早くなります。E70は全高1,766mmと背が高く、床面積だけでなく天井までの高さにも余裕があるため、同じ容量でも縦に積める分だけ体感の広さが増します。ただし高く積むほど重心が上がるので、次に触れる固定と積む順番が効いてきます。
世代で数字が違うE53・E70・G05
X5は3世代を通じて荷室の数値が変わっており、中古車情報やSNSで見かけた数字がそのままE70に当てはまるとはかぎりません。
| 世代 | 通常時 | 後席格納時 |
|---|---|---|
| 初代 E53(1999-2006) | 450L | 1,550L |
| 2代目 E70(2006-2013) | 620L | 1,750L |
| 現行 G05(2018-) | 650L | 1,870L |
現行X5の650L/1,870Lという数字を見てE70も同じと考えると、積載計画が100リットル以上ずれます。逆に初代E53の450L/1,550Lを基準にすると、E70の余力を使い切れません。E70を使う場面では620L/1,750Lだけを基準にするのが、世代混同を避ける近道です。中古車サイトの諸元表は世代のくくりが粗いこともあるため、型式(E70)で確かめるのが安全です。
2分割テールゲートを使い分ける
E70の荷室で最も特徴的なのが、上下に分かれたテールゲートです。1999年の初代E53から受け継がれた構造で、以降の世代にも引き継がれてきました。上側のハッチと下側のフラップを別々に扱えるため、積み下ろしの選択肢が広がります。
上下ゲートの役割分担
上側のアッパーハッチは、後方へ大きく跳ね上がる通常のバックドアです。下側のロアフラップは水平近くまで倒れ、荷室の床の延長として働きます。下側にも専用のボタンが備わり、上下それぞれを個別に開閉できます。買い物袋を数個積むだけなら上側だけを開ければ済み、大きな家具やキャンプ道具を入れる日は両方を開けて開口を最大にします。上下を閉じるときは、開いているゲートを検知する制御が働くため、下側を開けたまま上側だけを閉じようとすると警告が出て動きません。閉じる順番は下側から上側へ、と覚えておくと操作でつまずきません。
下側ゲートを台にして積み下ろす
倒した下側フラップは、荷物をいったん置く台として使えます。重い箱を地面から一気に荷室の奥まで運ぶのではなく、まずフラップの上へ置き、そこから奥へ滑らせる二段構えにすると、腰への負担が目に見えて減ります。背が高く床面も高いE70では、この中継点があるかどうかで積み込みの疲れ方が変わります。荷室に積んだ荷物が手前へ転がってきても、閉じたフラップが受け止める壁になるため、丸い荷物や袋物の落下止めにもなります。汚れた工具や園芸用品を置くときは、フラップの上に養生シートを一枚敷いてから載せると、塗装面に傷や汚れが残りません。
天井が低い・後方が狭い場所での開け方
上側のハッチは大きく上へ跳ね上がるため、機械式駐車場や立体駐車場では天井やパイプに当たらないかを先に確かめます。狭い場所では下側フラップだけを開ける手もあり、上方向のクリアランスが足りない場面でも荷物の出し入れができます。逆に後方に十分な余裕がない縦列駐車では、フラップが後ろへ倒れるぶんの空間が要るため、上側だけを開けるほうが収まります。天井と後方のどちらが詰まっているかで、開けるゲートを選び分けるのがE70らしい使い方です。前後どちらにも余裕がある駐車位置を選んでおけば、両方を開けて一気に積み込めます。
3列目シート(7人乗り)で荷室はどう変わるか
E70はBMWとして初めて3列目シートをオプション設定した車で、7人乗り仕様が選べます。2名分の3列目は使わないとき荷室の床側へ畳み込めますが、装備の有無で荷室の作りそのものが変わります。
5人乗りと7人乗りの違い
5人乗り仕様は、荷室の床下に浅い収納スペースを持ちます。一方で7人乗り仕様は、その床下の空間に3列目シートを収める構造になるため、床下収納として自由に使える余地が減ります。中古車を選ぶ段階で、床下を収納として使いたいのか、3列目を使いたいのかを決めておくと後悔がありません。3列目を畳んだ状態なら荷室の床はほぼつながるので、620Lという公称値どおりの使い勝手に近づきます。荷室の側面に固定用のストラップやレールを備える仕様もありますが、3列目付きの車ではホイールハウス側のストラップが使えない場合があります。
3列目を使う日の積み方
3列目に人を乗せた日は、背もたれの後ろに残る空間が一気に狭まり、大きなスーツケースを立てて並べる余裕はほとんど残りません。この状態で荷物を運ぶなら、ソフトバッグや折りたたみコンテナのように形を変えられる荷物へ切り替えるのが現実的です。背の高い荷物を3列目の背もたれに寄りかからせて積むと、急ブレーキで乗員の背中を押す形になるため、天井まで積み上げるのは避けます。荷物が入り切らない日は、ルーフキャリアやヒッチキャリアなど車外側の積載を組み合わせるか、乗員を5人に絞って3列目を畳むほうが安全です。
後席を倒して1,750Lを引き出す
620Lを1,750Lへ伸ばす鍵が、2列目(後席)背もたれの分割可倒です。分けて倒せるので、乗員と荷物を同時に成立させられます。
分割比率は年式・仕様で確かめる
後席背もたれの分割比率については、E70世代の公開資料で一貫した値が確認できません。現行世代の資料に出てくる40:20:40という分割は、そのままE70に当てはめられる保証がなく、コンフォートシートなどオプションの有無でも構成が変わります。カタログの数字ではなく、実車の背もたれの割れ目とレバーの数で確かめるのが確かな方法です。中央部分が独立して倒れる仕様なら、左右に人を乗せたまま中央からスキー板や物干し竿のような長尺物を通せます。中央が独立していない仕様なら、左右どちらかを丸ごと倒す前提で荷物と乗員の配置を組みます。購入前の実車確認や、現車の背もたれを一度倒してみるだけで、この違いはすぐに判別できます。
後席を倒す手順
後席の背もたれは、荷室側または後席側にあるレバーでロックを解除して前へ倒します。手順はおおむね次の流れです。
- ヘッドレストが前席の背面に当たる仕様なら、先にヘッドレストを下げるか外しておく
- 倒したい側の座面へ荷物やチャイルドシートが残っていないか、シートベルトを挟み込んでいないかを確かめる
- レバーでロックを解除し、背もたれをゆっくり前へ倒す
- 床がつながったら、荷物を開口から奥へ滑らせて積む
- 戻すときは背もたれを起こし、ロックのはまる手応えとシートベルトの通り道を確かめる
ロックが甘いまま走ると、制動のたびに背もたれが動いて異音や荷崩れの原因になります。戻したあとは背もたれを手前へ軽く引き、動かないことを確かめてから走り出します。
長尺物を通すときの養生
長い荷物を車内へ通すときは、先端を助手席側の足元へ向け、乗員の頭部から離して積みます。角のとがった板やパイプは内装や背もたれの背面をこすりやすいため、先端を布や緩衝材で包んでから差し込みます。濡れたスキー板やアウトドア用品をそのまま内装に触れさせると染みが残るので、袋やシートで覆ってから載せます。重い長尺物は倒した背もたれの上に長く載せ続けず、床側へ寄せて荷重を逃がすと、戻したときにロックがかみにくくなるのを防げます。
620Lを積み切る固定と収納のコツ
容量そのものは変えられませんが、置き方と固定でデッドスペースを減らせば、620Lは体感でずっと広くなります。車両重量が2トンを超えるE70では、積み方が乗り心地にも直結します。
重い荷物は低く・後車軸寄りに
水のケースや工具箱のような重量物は、荷室の奥(後車軸寄り)で低い位置に置くのが基本です。開口の手前に重い物を高く積むと、ブレーキのたびに前へ滑り出し、荷崩れやガタつきを招きます。重い物ほど下・奥に置き、軽くかさばる物を上に重ねるという順番を守るだけで、走行中の安定感が変わります。最低地上高222mmと重心の高いSUVでは、荷室で重心がさらに上や後ろへ偏ると、カーブでの姿勢変化が大きくなります。左右で重さが偏ると轍でふらつきやすくなるため、重量物は中央寄りに集めて釣り合いを取ります。
固定用フックとネットで動きを止める
荷室の四隅には荷物を縛るための固定用フック(ラッシングアイ)が備わり、ラゲッジベルトやネットを掛けて荷物の移動を止められます。仕様によっては床の左右にレールが通り、フックの位置を前後へずらせる車もあります。積んだ荷物とフックを結ぶベルトを2本たすき掛けにすると、前後方向と横方向の両方を同時に押さえられます。荷物が少ない日ほど荷室で自由に動きやすいので、少量のときこそネットや仕切りで区画を作ると転がりを抑えられます。牽引や急な車線変更で荷物が動く力は想像より大きく、固定していない箱は簡単に前へ飛びます。
床下スペースと車載工具の位置
荷室フロアには取っ手付きのフラップがあり、これを持ち上げると床下へ手が届きます。車載工具や応急修理キットはこの下に収まっており、使用頻度の低い洗車用品などを一緒にしまう場所としても使えます。フロアのカバーは施錠できる仕様もあるため、貴重品を一時的に隠す用途にも回せます。ただし前述のとおり7人乗り仕様では3列目シートがこの空間を占めるので、床下を収納として当てにできるのは主に5人乗り仕様です。床下に何を常備するかを決めておくと、荷室の上段を日常の荷物専用に保てます。
ラゲッジカバーの使い分け
荷室を上から隠すラゲッジカバー(トノカバー)は、車外から中身を見せたくないときに引き出して使います。背の高い荷物を積む日は外す必要があり、外したカバー自体の置き場所に困りがちです。カバーは荷室フロア下のスペースへ収められる場合があるため、外したときの収まりを先に決めておくと、大物運搬と普段使いの切り替えが速くなります。車内に荷物を置いたまま離れる駐車場では、カバーを引くだけで盗難の誘因を減らせます。
濡れ物・汚れ物を内装に残さない
濡れた傘やアウトドア用品、園芸の土をそのまま積むと、荷室の内張りやカーペットに染みと匂いが残ります。防水の袋やボックスへ入れてから積み、こぼれやすい液体は容器のふたを閉じて載せます。縁が立ち上がった防水ラゲッジマットを敷けば、こぼれた水や泥をせき止めて内張りへ回さずに運べます。マット選びの考え方は車種をまたいで共通する部分が多く、BMW5シリーズツーリングF11 防水ラゲッジマット3選の比較がE70のマット選びでも下敷きになります。使ったあとは荷室をしばらく開けて湿気を逃がすと、匂いがこもりにくくなります。
大物運搬と車中泊でフラット床を活かす
後席を倒して現れる長い床は、大物の運搬にも車中泊にも活きます。1,750Lという最大容量を、実際の荷物と寝床へ翻訳します。
積める大物の目安
620Lの通常時でも、9型前後のゴルフバッグを横向きに寝かせて複数積める広さがあります。後席を倒して1,750Lまで広げれば、自転車を前輪だけ外して積む、大型スーツケースを何個も並べる、といった使い方に届きます。角のある荷物は開口の縁に当てないよう先に奥へ入れ、手前を詰める順番で積むと内張りを傷めにくくなります。床面が高いぶん重い荷物を持ち上げる高さも増えるので、下側フラップへいったん載せてから奥へ滑らせる動作を習慣にすると腰を守れます。同じBMWのSUVで荷室の使い方を見比べたいときは、BMW X3 F25の荷室は550L|収納術と純正品番が近い世代の参考になります。
段差と傾きの対策
後席を倒した面は水平から少し前傾し、荷室フロアとの間に段差やすき間が残ります。車中泊やマットレスを敷く用途では、この傾きと段差をクッションや畳んだ毛布、専用のフラットボードで埋めると、寝転がったときの体の落ち込みを抑えられます。段差を埋めてから厚手のマットを敷けば、内張りを汚さずに広い床を使えます。頭を荷室の奥、足を後席側へ向けると、傾きの緩い方向へ体を伸ばせます。段差対策の具体的な手順は、BMWX3 F25 車中泊マット|段差と斜め寝の対策でも同じ考え方が使えます。なお同じE70世代の車体を土台にした兄弟車がX6(E71)で、装備の世代を見分ける考え方はBMWX6 E71 ナビおすすめ|CCC/CIC見分け方がまとまっています。
よくある質問
X5 E70の荷室でつまずきやすい点を、質問の形でまとめます。
BMW X5 E70の荷室容量は何リットルですか
後席を起こした通常時が620L、後席を倒した最大時が1,750Lです。初代E53は450L〜1,550L、現行G05は650L〜1,870Lと世代ごとに数字が違うため、E70の積載計画には620L/1,750Lだけを使います。全高1,766mmと天井までの余裕もあるので、床面積以上に積める体感があります。
テールゲートは下側だけ開けられますか
E70のテールゲートは上下2分割で、下側のロアフラップだけを水平近くまで開けられます。下側専用のボタンが備わり、上側のハッチを開けずに荷物を出し入れできます。天井の低い駐車場では下側だけを開ける使い方が効きます。ただし下側を開けたまま上側だけを閉じようとすると制御が働いて動かないため、閉じるときは下側から順に戻します。
3列目シート付きでも荷物は積めますか
3列目を畳んだ状態なら、床がつながって620Lに近い荷室として使えます。3列目に人を乗せると背もたれの後ろの空間はごくわずかになり、大きなスーツケースを立てて並べる余裕は残りません。加えて7人乗り仕様は3列目が床下の空間を使うため、5人乗り仕様のような床下収納は当てにできません。
後席の分割比率は40:20:40ですか
E70については、公開資料で一貫した分割比率が確認できません。40:20:40という表記は主に後の世代の資料で見られるもので、E70にそのまま当てはめられる保証はなく、コンフォートシートなどオプションでも構成が変わります。実車の背もたれの割れ目と、荷室側のレバーの数を見て判断するのが確かです。
まとめ
BMW X5 E70の荷室は、通常時620L・後席格納時に最大1,750Lという広さを持ち、初代E53(450L〜1,550L)とも現行G05(650L〜1,870L)とも数字が違います。この世代のX5らしさは上下2分割のテールゲートにあり、下側フラップを倒せば積み下ろしの中継台と荷物の落下止めを兼ね、天井の低い駐車場では下側だけを開ける逃げ道にもなります。3列目シートはオプションで、装備すると床下の空間を使うため、床下収納を当てにできるのは主に5人乗り仕様です。後席の分割比率は年式と仕様で変わるので、カタログ値ではなく実車の割れ目とレバーで確かめます。重い荷物を低く後車軸寄りに置き、四隅の固定用フックにベルトとネットを掛けて動きを止めれば、620Lは数字以上に使い切れます。
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