M5 F10 の社外ホイールや中古ホイールを探すときに起きやすいのが、前輪の純正サイズだけを調べて、4本とも同じ幅・同じインセットのホイールを選んでしまう間違いだ。M5 F10 の純正ホイールは前と後ろでリム幅もインセットも違うので、値は前後別に押さえる。取り付けの基本になる PCD とハブ径は、海外のタイヤ・ホイール販売店の適合データでは前期・後期とも 5穴・PCD 120mm・ハブ径 72.6mm だ。
M5 F10 のホイールの基本の値(PCD・ハブ径・ボルト)
海外のタイヤ・ホイール販売店の適合データ(前期 2011〜2013・後期 2013〜2017)、BMW の専門情報サイトの純正ホイールの表、H&R のスペーサーの M5 F10 用の商品ページは、PCD とハブ径について同じ値を載せている。ボルトのねじは、海外の販売店の適合データと H&R の商品ページが同じ値だ。
| 項目 | M5 F10 の値 |
|---|---|
| 穴数・PCD | 5穴・120mm(5/120) |
| ハブ径(センターボア) | 72.6mm |
| 留め方 | ホイールボルト |
| ボルトのねじ | M14×1.25(径 14mm・ピッチ 1.25mm) |
純正19インチは、前が 9J×19・インセット(ET)32、後ろが 10J×19・インセット(ET)34 で、前と後ろでリム幅とインセットが違う。BMW の専門情報サイトの表も、前用と後ろ用に別々の純正部品番号を載せている。ここまでの値はどれも BMW 以外の出典の値だ。
純正ホイールの前後サイズ一覧
19インチ(標準)
BMW の米国での発表(2011年6月)では、M5 F10 の標準はダブル・スポーク・デザインの 19インチ M ライト・アロイ・ホイールで、20インチの鍛造 M ライト・アロイ・ホイールはオプションだ。BMW Japan の発表も、ダブル・スポーク・デザインの 19インチ M ライト・アロイ・ホイールを装備に挙げる。ただし、BMW の米国・日本の発表には、リム幅・インセット・PCD・ハブ径の数値の記載が無い。
19インチの前後の組み合わせは、海外の販売店の適合データが前期・後期とも純正の印を付けた行で、BMW の専門情報サイトの表(Style 345M)も同じリム幅とインセットだ。
| 位置 | リム幅・インセット | タイヤ |
|---|---|---|
| 前 | 9J×19・ET32 | 265/40ZR19 |
| 後ろ | 10J×19・ET34 | 295/35ZR19 |
前のタイヤは、BMW の米国での発表でも 265/40 R19 だ。一方で後ろのタイヤは、BMW の米国での発表が 295/40 R19 と書くのに対し、日本の中古車情報サイトのカタログ(ABA-FV44M)と海外の販売店の適合データは 295/35ZR19 としていて、出典の間で食い違う。後ろのタイヤのサイズは、今付いているタイヤの側面の表示で確かめるのが早い。
日本の中古車情報サイトのカタログでは、日本で売られた M5(型式 ABA-FV44M・2014年10月〜2016年10月のベースグレード)のタイヤサイズは前 265/40ZR19・後ろ 295/35ZR19 だ。なお BMW Japan の発表は、載せた仕様がドイツ国内市場向け(2011年6月時点)を基準にしていて、日本仕様とは異なる場合があると断っている。
20インチ
BMW の専門情報サイトの表では、20インチの純正ホイール(Style 343M)は前が 20×9.0・インセット(ET)32・タイヤ 265/35/20、後ろが 20×10.0・インセット(ET)34・タイヤ 295/30/20 で、19インチと同じく前後でリム幅とインセットが違う。後期の M5 の海外の販売店の適合データにも、前 9J×20 ET32・265/35ZR20、後ろ 10J×20 ET34・295/30ZR20 の行がある(こちらには純正の印は無い)。
PCD・インセット・ハブ径の意味と数字の向き
PCD はボルト穴の中心を通る円の直径、インセット(海外の表記では ET)はリム幅の中心線からホイールの取り付け面までの距離(mm)だ。ハブ径はホイールハブの径で、多くのホイールは汎用に大きく作られ、一部に専用のものがある。
リム幅が同じなら、インセットの数字が小さいホイールほどリムが外側(フェンダー側)へ寄り、大きいほど内側(ブレーキ・サスペンション側)へ寄る。M5 F10 では前 ET32・後ろ ET34 が基準になるので、社外品のインセットは前後それぞれの純正と比べて、外へ出るか内へ入るかを見る。
社外ホイールを選ぶときの見方
海外のタイヤ・ホイール販売店の適合データは、M5 F10 の純正19インチの組み合わせに対して、オフセットの目安の幅を前 30〜34mm、後ろ 32〜36mm としている。これは販売店の目安で、BMW が示した許容の範囲ではない。この幅を手掛かりにしつつ、次の3つを見て絞り込む。
幅とインセットを変えたときの出面
リム幅を 1J(1インチ=25.4mm)広げると、インセットが同じなら外側と内側へ半分ずつ、約 12.7mm ずつ広がる。外側のリムの位置の変化は「リム幅の増えた分の半分」から「インセットの増えた分」を引いた量、内側は「リム幅の増えた分の半分」に「インセットの増えた分」を足した量で見積もれる。純正の幅とインセットが前後で違うので、計算は必ず前後それぞれで行う。
ハブリングとボルト
社外ホイールの中心の穴が M5 F10 のハブ径(72.6mm)より大きいときは、隙間を埋めるハブリングが要るかを、ホイールの会社の M5 F10 用の指定で確かめる。中心の穴が 72.6mm より小さいホイールはハブに入らない。ホイールボルトは座面の形(テーパー・球面など)と首下の長さを付けるホイールの指定に合わせる。純正ホイール用のボルトが社外ホイールにそのまま合うとは限らない。
ブレーキとの当たり
BMW の米国での発表では、M5 F10 は 6ピストンの固定式キャリパーのブレーキを備える。社外ホイールは径・幅・インセットが数値で合っても、スポークの形やリムの内側の形でキャリパーと当たることがある。ホイールの会社が M5 F10 への装着を明記しているかで確かめたい。
世代や車種の取り違え
M5 には F10 の後に F90・G90 などの世代があり、ホイールの値は世代ごとに確かめる。別の世代の M5 や通常の5シリーズの適合表を F10 の M5 に当てはめず、「M5」と「F10」の両方の字がある行を使う。
スペーサーで出面を変えるときの換算
スペーサーを挟むと、ホイールの取り付け面がスペーサーの厚みの分だけ外へ移り、ホイールもその分外へ出る。インセットに直すと、厚みの分だけ小さくしたのと同じで、純正の前 ET32 に 5mm なら ET27 相当、後ろ ET34 に 5mm なら ET29 相当になる。外へ出した分だけ、フェンダーからのはみ出しの余裕は減る。
ボルトの長さも見落とせない。H&R のスペーサーの M5 F10 用の商品ページは、H&R の DR 型のホイールスペーサーにはどれも長いホイールボルトが要り、ボルトは別に注文すると書いている。スペーサーを付けるときは、厚みに合ったボルトの長さと、ボルトが付属するかを、スペーサーの会社の指定で確かめる。
5mm だけ出面を外へ寄せたい人の候補になるのが、次の BMW 車用のアルミ鍛造ワイドスペーサーだ。販売ページの商品名と商品説明では、厚さ 5mm で「5/120」「72.6」の表記があり、前後共通の2枚セット、挙げる型式は F10・F11・F07・E60・E61・E34・E28。ただし、このスペーサーの商品名と商品説明の箇条書きには「M5」の名は無く、M5 F10 への装着を明記していない(出品者の記載)。ボルトが付属するか、必要なボルトの長さも、どちらにも記載が無い。買う前に出品者へ M5 F10 への装着とボルトの扱いを問い合わせてから決めたい。
BMW車用 アルミ鍛造 ワイドスペーサー 5mm 5/120 72.6 2枚セット
フェンダーからのはみ出しの決まり
保安基準の改正を伝えた乗りものニュースの記事では、2017年6月22日の保安基準の一部改正で、タイヤの中心から前方30度・後方50度の範囲では、タイヤのはみ出しが 10mm 未満なら認められるようになった。製造年月日は問わない。
ただし、緩和の対象はタイヤだけで、ホイールは対象外だ。インセットの小さいホイールを選ぶ、スペーサーを挟む、といった出面を外へ出す選択は、この決まりとセットで考える。外へ出す量を決める前に、今のホイールとフェンダーとの余裕を前後それぞれで実車で測っておくと判断を誤りにくい。
自分の M5 F10 のホイールの値を確かめる手順
- 今付いているホイールの裏側(リムの内側)の刻印で、リム幅・径・インセットを読む
- 前と後ろの両方を読む(純正は前後で違う)
- タイヤの側面のサイズ表示を前後で読む
- 車台番号を伝えて、BMW の正規ディーラーで純正の仕様を確かめる
- 社外のホイールやスペーサーは、その会社の適合表に「M5」と「F10」の記載があるかを確かめる
限定車「30 Jahre M5(30 Years M5)」の純正ホイールは、出典の間で値が食い違う。BMW の専門情報サイトは前 20×9.0 ET32・後ろ 20×10.0 ET34(Style 601M)とし、海外の販売店の適合データは前 9.5J×20 ET31・後ろ 10.5J×20 ET19 の行を載せる(純正の印は無い)。この限定車は、付いているホイールの刻印で確かめる。日本仕様の値も、BMW の発表には数値の記載が無いので、手順の 1〜4 で見るのが早い。
よくある質問
前期と後期で PCD やハブ径は違う?
海外の販売店の適合データは、前期(2011〜2013)・後期(2013〜2017)の両方に 5穴・PCD 120mm・ハブ径 72.6mm を載せている。どちらも同じ値だが、BMW 以外の出典の値なので、中古ホイールは刻印とホイールの会社の適合表でも確かめたい。
5mm のスペーサーなら純正のボルトのままでよい?
言い切れない。H&R の M5 F10 用の商品ページは DR 型のスペーサーにはどれも長いボルトが要るとしている。紹介した BMW 車用のアルミ鍛造 5mm ワイドスペーサーは、商品名と商品説明の箇条書きにボルトが付属するか・必要な長さの記載が無く、M5 F10 への装着も明記していない。長さはスペーサーの会社の指定で確かめる。
20インチの純正ホイールのサイズは?
BMW の専門情報サイトの表では、20インチ(Style 343M)は前 20×9.0・ET32、後ろ 20×10.0・ET34 で、前後で幅が違う。タイヤサイズは上の「20インチ」の項にまとめた。限定車 30 Jahre M5 は出典の間で値が食い違うので、刻印で確かめる。
通常の5シリーズや別の世代の M5 の適合表を使ってよい?
使わない。F90・G90 など別の世代の M5 や通常の5シリーズの値を F10 の M5 に当てはめず、適合表は「M5」と「F10」の両方の字がある行を使う。
足回りから気になる音が出ているときは、こちらで切り分けの順を確かめられる。
まとめ
最初にやることは、今付いているホイールの刻印とタイヤの側面の表示を、前と後ろの両方で実車で読むことだ。そのうえで、車検証の車台番号を控えて BMW の正規ディーラーで純正の仕様を確かめると、取り違えが防げる。
海外の適合データなど BMW 以外の出典では、M5 F10 は 5穴・PCD 120mm・ハブ径 72.6mm、ボルトのねじは M14×1.25 で、純正19インチは前 9J・ET32、後ろ 10J・ET34 と前後で違う。社外ホイールやスペーサーは、前後それぞれの純正を基準に出面を見積もり、ホイールの会社やスペーサーの会社が M5 F10 への装着を明記しているかで選ぶ。
この記事にはAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を含みます。

コメント