M8 カブリオレ(F91)に冬用のホイールを用意したり、純正の20インチから社外ホイールへ替えたりするとき、最初に照らすのは PCD・ハブ径・ボルトと、前後それぞれのリム幅とオフセットだ。データサイトの M8(F91/F92/F93、2019〜2025年)の行では、PCD は 5×112、オフセットは前後とも ET28 で、リム幅は前 9.5J・後 10.5J と前後で違う。ホイール選びは、この前後の幅の違いと、ナットではなくボルトで留める方式をどう扱うかで分かれる。
M8 F91 のホイール寸法の早見表
次の値は、M8 の F91(カブリオレ)・F92(クーペ)・F93(グランクーペ)をまとめたデータサイトの行のもので、改良前(2019〜2022年)と改良後(2022〜2025年)の行で同じだ。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| PCD(ボルトパターン) | 5×112(5穴・ピッチ円の直径112mm) |
| ハブ径(センターボア) | 66.6mm |
| 留め方とねじ | ボルト留め・M14×1.25 |
| 前輪のホイール | 9.5J×20 ET28 |
| 後輪のホイール | 10.5J×20 ET28 |
ねじの M14×1.25 は、直径14mm・ピッチ1.25mm を表す。PCD 5×112・ハブ径 66.6mm・ボルト M14×1.25 は、社外ホイールを選ぶときに最初に合わせる値だ。
F91 はどの M8 か、データの行の範囲
F91 はカブリオレ
F91 は M8 のカブリオレ(コンバーチブル)を表す記号だ。海外の諸元データベースの見出しは「BMW M8 Convertible (F91)」で、国内のカタログ情報では「M8カブリオレ コンペティション」として載っている。
日本の型式は 7BA-AE44M
国内のカタログ情報(2020年9月版・2023年4月版)では、M8カブリオレ コンペティションの型式は 7BA-AE44M、駆動方式はフルタイム4WD で、アルミホイールは20インチが標準だ。海外のデータサイトでも、7BA-AE44M は前 20×9.5 ET28・後 20×10.5 ET28 の組み合わせとして、ほかの日本の型式の行と同じ値で載っている。
データの行は F91/F92/F93 共通
ホイールの寸法を載せているデータサイトの行は、F91(カブリオレ)・F92(クーペ)・F93(グランクーペ)を1つの行にまとめていて、カブリオレだけを分けた値は無い。PCD・ハブ径・ボルト・リム幅・オフセットは、この3つをまとめた行の値で、BMW の公式資料で F91 単独の値として確かめたものではない。
また海外のデータサイトでは、M8 と M8 Competition は同じタイヤとホイールを使う、と注記されている。
純正タイヤ・ホイールの前後サイズ
M8(F91/F92/F93)の純正は、改良前(2019〜2022年)・改良後(2022〜2025年)のどちらの行も次の組み合わせだ。
| 位置 | タイヤ | ホイール | オフセット |
|---|---|---|---|
| 前 | 275/35R20(ZR20 102Y) | 9.5J×20 | ET28 |
| 後 | 285/35R20(ZR20 104Y) | 10.5J×20 | ET28 |
F91(カブリオレ)の諸元データでも、前は 275/35 ZR20・9.5J×20、後は 285/35 ZR20・10.5J×20 と載っている。国内のカタログ情報のタイヤサイズも、前 275/35R20・後 285/35R20 だ。
前後でリム幅とタイヤが違い、オフセットは前後とも ET28 という組み合わせなので、社外ホイールは前用と後用を別のサイズで選び、前後で入れ替える前提では考えない。
データサイトには、OEM の印の無い19インチの組み合わせ(前 265/40R19・9.5J×19 ET28、後 285/40R19・10.5J×19 ET28)も M8 F91/F92/F93 の行に載っている。ただ国内のカタログ情報では20インチが標準で、19インチがブレーキに当たらずに付くかは確かめられていない。
タイヤの前後サイズは次の記事でも整理している。
オフセット(ET)とリム幅の読み方
オフセットの意味
オフセット(ET・インセット)は、リム幅の中心線からハブに当たる取付面までの距離(mm)だ。数値が大きいほどホイールは車体の内側へ入り、小さいほど外側へ出る。ET28 は、取付面が中心線より 28mm 外側にあるという意味になる。
リム幅の J はインチで、1J=25.4mm。前の 9.5J は約 241mm、後の 10.5J は約 267mm にあたる。
幅を広げたときの計算
外側と内側の動きは、次の式で出せる。
- 外側への出の変化(mm)=(新しいリム幅−今のリム幅)を mm にして2で割った値+(今の ET−新しい ET)
- 内側への入りの変化(mm)=(新しいリム幅−今のリム幅)を mm にして2で割った値−(今の ET−新しい ET)
ET を同じにしたまま幅を 0.5J(約 12.7mm)広げると、外側と内側へ約 6.4mm ずつ広がる。
オフセットを変えたときの計算
幅を変えずに ET だけを変えると、差の分だけ動く。同じ 9.5J のまま ET28 から ET23 にすると、外側へ 5mm 出る。スペーサーは厚みの分だけ ET を小さくしたのと同じなので、同じ式で計算できる。
社外ホイールを選ぶときに照らす順
PCD とハブ径
PCD が 5×112 でないホイールは付けない。ハブ穴が M8 F91 のハブ径 66.6mm より大きいホイールは、ハブリング(ハブとホイールの隙間を埋める輪)で芯を合わせる。ハブ穴が 66.6mm より小さいホイールは付かない。
ボルトのねじ・座面・長さ
ボルト留めなので、ホイールを替えるときはボルトも一緒に考える。ねじは M14×1.25 を選び、座面の形(テーパーか球面か)はホイール側の指定に合わせる。純正ボルトが社外ホイールの座面に合うとは限らない。
ホイールの取付部の厚みが変わるときは、ボルトの首下の長さも合わせる。短いとねじが十分にかからず、長すぎると奥で当たる。
オフセットの目安
タイヤ・ホイールの車種別データ(改良後の M8 の行)では、改良後(2022〜2025年)の M8 F91/F92/F93 の20インチの純正サイズについて、オフセットの範囲が 26〜30mm と載っている。改良前(2019〜2022年)の行には範囲の記載が無い。これは販売店のデータの目安で車検の基準ではなく、範囲の中でもはみ出しやブレーキとの隙間は実車で確かめる。
ブレーキとの隙間
PCD・ハブ径・オフセットが合っても、ホイールの内側の形(スポークの張り出し)やインチの違いでブレーキキャリパーに当たることがある。M8 F91 は純正が20インチなので、社外ホイール、とくにインチを下げるときは、販売店で実車の隙間を確かめる。
スペーサーを入れるときのはみ出しの決まり
スペーサーを入れると、その厚みの分だけホイールとタイヤが外側へ出る。
乗りものニュースの2017年の解説記事によると、2017年6月22日から保安基準が一部緩和され、ハンドルを直進にしたときのタイヤ中心から前方30度・後方50度の範囲で、10mm未満ならタイヤのはみ出しが認められるようになった。タイヤ側面のリブも突出とみなされなくなった。ただし認められたのはタイヤだけで、ホイールのはみ出しは対象外だ。スペーサーを入れたら、ホイールのリムやボルトが車体より外に出ないかを確かめる。
M8 F91 はボルト留めなので、スペーサーを挟むときは厚みに合わせてボルトの首下の長さも選び直す。
ホイールを替える前の確かめ方と作業の注意
買う前の確かめの順
- 車検証で型式を確かめる(国内の M8カブリオレ コンペティションは 7BA-AE44M)
- 今のホイールの内側の刻印で、リム幅とオフセット(例 9.5J×20 ET28)を前後それぞれ見る
- 買うホイールの PCD・ハブ穴・ボルトのねじと座面・リム幅・オフセットを前後別に照らす
- 外側への出の変化を計算する
- 販売店で実車に当てて、はみ出しとブレーキとの隙間を確かめる
脱着の注意
ボルト留めの車は、ホイールを外すとハブにねじ穴だけが残り、付けるときに穴の位置を合わせにくい。ハブのねじ穴に仮に差し込むガイドバー(セッティングボルト)を1本使うと位置合わせがしやすい。M8 F91 で使うなら、ねじが M14×1.25 のものを選ぶ。M14×1.5 は合わない。
締付トルクは、タイヤ・ホイールの車種別データ(改良前・改良後の M8 の行)では 140N·m と載っている。BMW の取扱説明書や整備書では確かめていない値なので、作業では車両の取扱説明書か販売店の指定に従う。
よくある質問
ほかの BMW のホイールは付く?
PCD が同じ 5×112 でも、それだけで付くとは言えない。M8(F91/F92/F93)の行のハブ径 66.6mm、ボルト M14×1.25 と座面の形、前後のリム幅とオフセット、ブレーキとの隙間を、社外ホイールと同じ順で1つずつ照らす。
19インチにできる?
データサイトの M8 F91/F92/F93 の行には、OEM の印の無い19インチの組み合わせが載っている。ただ国内のカタログ情報では20インチが標準で、19インチがブレーキに当たらずに付くかは確かめられていない。冬用などで考えるなら、ブレーキの仕様と実車での隙間を販売店で確かめてから決める。
スペーサーは何 mm まで?
一律の数値は言えない。入れられる厚みは、車ごとの実車の余裕とボルトの長さで決まる。タイヤの10mm未満のはみ出しの緩和はホイールには当てはまらないので、リムやボルトが車体より外に出ない範囲で考える。
まとめ:まず今のホイールの刻印を見る
最初に、いま付いているホイールの内側の刻印を前後それぞれ実車で見て、リム幅とオフセットを確かめる。刻印の値は、M8(F91/F92/F93)をまとめたデータサイトの行の純正値(前 9.5J×20 ET28・後 10.5J×20 ET28)と並べて控えておく。そのうえで車検証の型式を確かめる。
- PCD 5×112・ハブ径 66.6mm・ボルト M14×1.25(M8 F91/F92/F93 をまとめたデータサイトの行の値)
- 純正は前 9.5J×20・後 10.5J×20 で、オフセットは前後とも ET28(同じくデータサイトの行の値。改良前・改良後とも同じ)
- 社外ホイールは前後別に選び、外側への出の変化を計算してから、はみ出しとブレーキとの隙間を実車で確かめる
同じ M8 F91 のほかの記事もあわせて見ておくとよい。

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