X5 G05 のタイヤ交換で見落としやすいのは、2軸エアサスペンション装着車なのに、車高調整を止めないままジャッキで上げてしまうことだ。取扱説明書(米国版)は、エアサスペンション装着車はタイヤ交換の前に車高調整を止めるよう指示している。ジャッキは交換する車輪に最も近いジャッキポイントの四角い凹みに差し、ホイールボルトは車を下ろしてから 140 N·m で締める。準備から交換後の空気圧モニターのリセットまで、作業の順に見ていく。
ジャッキは交換する車輪に最も近いジャッキポイントへ
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のホイール交換の項では、車載ジャッキを交換する車輪に最も近いジャッキポイント(ホイールハウスの横)の四角い凹みに差し込むよう指示している。位置は取扱説明書の図で示されているので、作業の前に自分の車の取扱説明書の図を開いておく。決められたジャッキポイント以外に当てると、ジャッキが滑ったり車を傷めたりするおそれがあると警告されている。
ほかに外せないことは2つある。
- ホイールボルトは、車を下ろしてから対角の順に 140 N·m で締める
- 2軸エアサスペンション装着車は、上げる前にセンターコンソールのロッカースイッチを約7秒操作して車高調整を止める
今すぐ交換が要るかを先に確かめる
取扱説明書によると、ランフラットタイヤやタイヤ修理キットにより、空気圧が下がった後すぐにホイールを交換しなくてよい場合がある。路肩でジャッキを出す前に、自分の車のタイヤがどちらなのかを見ておきたい。
ランフラットタイヤの見分け方
ランフラットタイヤは、タイヤの側面に RSC(ランフラット・システム・コンポーネント)の表示がある。X5 G05 の取扱説明書(米国版)のホイールとタイヤの項によると、ランフラットタイヤから普通のタイヤに替えるときは、応急用タイヤかタイヤ修理キットを車に積んでおく必要がある。
空気が抜けたときの走り方
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のランフラットタイヤの項では、空気が抜けたランフラットタイヤは控えめに走り、80 km/h を超えないとしている。トレーラーをけん引しているときは 60 km/h を超えない。空気圧が足りないと車の挙動が変わり、止まるまでの距離が長くなる。空気が抜けたまま走れる距離は、確かめた取扱説明書の範囲には書かれていない。
取扱説明書のエアサスペンションの項によると、2軸エアサスペンションの車は、あるタイヤの空気圧の低下を感知すると、そのタイヤにかかる荷重を自動で減らして走れる範囲を伸ばす。このとき選べる車高はノーマルレベルだけになる。
工具と応急用タイヤは荷室の床板の下
X5 G05 の取扱説明書(米国版)の応急用タイヤと車載工具の項によると、応急用タイヤ(装備している車)とホイール交換用の工具、車載工具は荷室の床板の下にある。応急用タイヤは次の順に取り出す。
- 装備によりボタンを押して電動のカーゴカバーを上げ、床板を起こす
- 装備によりクロスメンバーの両側のちょうナットを外し、クロスメンバーを外す
- 工具の入れ物を応急用タイヤから外す
- ちょうねじを外して押さえの板を外し、必要なら下側のテールゲートを開けて、収納の凹みから取り出す
工具が見当たらないときは、ホイール交換用の工具を販売店や整備工場でアクセサリーとして手に入れられる。どの仕様に応急用タイヤが付くかは、確かめた取扱説明書の範囲には書かれていない。荷室の床下の使い方は次の記事でも扱っている。
応急用タイヤは寸法が特殊で、操縦性が変わり止まるまでの距離が長くなることがあるので、取扱説明書は控えめに走り 80 km/h を超えないよう指示している。付けるのは1本だけ・必要なときだけの一時的な使用に限り、荷室にある応急用タイヤの空気圧も定期的に確かめて直しておく。
ジャッキアップ前の準備
止める場所と作業の順番
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のホイール交換の項の準備は次の順だ。
- 交通から離れた、固く滑らない地面に止め、ハザードを点ける
- パーキングブレーキをかけ、P に入れる
- 同乗者全員をガードレールの外など安全な場所へ降ろす
- 工具と(装備していれば)応急用タイヤを出し、必要なら停止表示板などを置く
- 車が転がらないよう輪止めをする
- ホイールボルトを半回転緩める(車を上げる前に行う)
- エアサスペンション装着車は車高調整を止める
輪止めの置き方
取扱説明書は追加の転がり止めを勧めている。平らな地面では、交換する車輪と対角の位置の車輪の前と後ろに輪止めを置く。ゆるい下り坂では、下りへ転がるのを止める側に、前輪と後輪の両方に置く。
ロックボルトのアダプター
取扱説明書によると、ロックボルト(ホイールボルトのロック)は特別なコードが付いており、合うアダプターが無いと外せない。アダプターは車載工具の中か、その近くの収納にある。外すときはアダプターをはめてボルトを緩め、アダプターを外す。付けるときはアダプターをはめ(必要なら回して合わせ)、140 N·m で締めてからアダプターを外してしまう。半回転緩める段階で要るので、準備のうちに探しておく。
エアサスペンション装着車の車高調整の止め方と戻し方
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のエアサスペンションの項では、2軸エアサスペンション装着車はタイヤ交換の前に車高調整を止めるとしている。
- 止め方: センターコンソールのロッカースイッチを前へ押すか後ろへ引いたまま約7秒保つ。離すとスイッチの表示灯(LED)が消える
- 戻し方: 同じくロッカースイッチを前へ押すか後ろへ引いたまま約7秒保つ。離すと表示灯がまた点く
取扱説明書は、車高を変えると体の一部をはさんだり車の部品を傷めたりするおそれがあると警告し、車高を変えるときは車の周りとホイールハウスの周りに何も無いことを確かめるよう求めている。車高の調整はドアを全部閉めたときに行われる。戻すのは、ジャッキと工具を片付けて車の周りから人と物を離してからにする。
自分の車がエアサスペンション装着車かは、型式やグレード名だけで決めない。中古車情報サイトの新車カタログでは、型式 3DA-CV30A(2019年2月〜9月販売分)がグレード名で「X5 xDrive 35d Mスポーツ エア・サスペンション装着車」と載る一方、同じ頁のサスペンション形式の欄は前後ともコイルスプリングと載っており、字が食い違う。自分の車の取扱説明書か販売店で確かめる。
ジャッキポイントへの当て方と上げ方
上げる手順
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のホイール交換の項の手順は次のとおり。
- 片手でジャッキ、もう一方の手でハンドルを持つ(指をはさまないよう注意)
- ジャッキを、交換する車輪に最も近いジャッキポイントの四角い凹みに差し込む
- ハンドルを時計回りに回してジャッキを伸ばし、荷重がかかったら片手で回し続ける
- ジャッキの足がジャッキポイントの真下で、地面に垂直に立っていることを確かめる
- ジャッキの足が地面に全面で着き、タイヤが地面から最大で約3cm浮くまで上げる
守る決まり
取扱説明書の車載ジャッキの警告は次のとおり。
- ジャッキはタイヤ交換のための短時間の持ち上げ専用。持ち上げた車の下に横にならず、走行可能状態にしない
- ジャッキの下に台などを置かない
- 柔らかい地面・凹凸のある地面・滑りやすい地面(雪・氷・タイルなど)は避け、できるだけ平らで固く滑らない地面を使う
- ジャッキはこの車のジャッキポイントだけに使い、ほかの車や荷物を持ち上げない
- 持ち上げた車に横から力をかけたり急に引っぱったりしない。固着したホイールは販売店や整備工場に外してもらう
車載ジャッキ以外を使うとき
ガレージジャッキなどを使う場合も、取扱説明書の決まりは「この車のジャッキポイントだけに当て、交換する車輪に最も近いジャッキポイントを使う」ところまでだ。ガレージジャッキの受け皿や市販のジャッキパッドがジャッキポイントに合うかは確かめられていないので、使う道具の説明書に従い、合うかは自分の車で確かめる。どのジャッキで上げたときも、持ち上げた車の下に体を入れない作業にとどめる。
ホイールの付け方と締め付けトルク
X5 G05 の取扱説明書(米国版)の取り付けの手順は次のとおり。
- ホイールボルトを外してホイールを外す
- 新しいホイール(または応急用タイヤ)を付け、少なくとも2本のボルトを対角に手で入れる
- 残りのボルトも手で入れ、全部を対角の順に締める
- ハンドルを反時計回りに回して車を下ろし、ジャッキを外してしまう
- 最後にボルトを対角の順に 140 N·m で締める(米国版の表記は 101 lb-ft/140 Nm)
ボルトとホイールにも決まりがある。合わないホイールボルト(1ピース型など)は緩んだり外れたりするおそれがあり、そのホイールの種類に合うと分類された2ピース型のボルトだけを使う。純正でない軽合金ホイールでは、そのホイールに付属のボルトが要る場合がある。スチールホイールは、ボルトが不意に緩んだりブレーキディスクを傷めたりするおそれがあるので付けない。
交換した後にやること
取扱説明書の交換後の手順に、エアサスペンションの戻しを加えると次のようになる。
- 外したタイヤは必要なら荷室にしまう
- 早めにタイヤの空気圧を確かめて直す
- パンク表示(フラット・タイヤ・モニター)を初期化し、タイヤ空気圧モニターをリセットし直す
- 校正したトルクレンチでボルトの締め付けを確かめる
- 傷んだタイヤは販売店や整備工場で交換してもらう
- エアサスペンション装着車は、止めた車高調整をロッカースイッチで戻す
空気圧モニターのリセット
X5 G05 の取扱説明書(米国版)のタイヤ空気圧モニターの項では、空気圧と温度はバルブのセンサーが測り、タイヤやホイールを替えるたびに、付けたタイヤの正しい情報をタイヤ設定に入れる必要がある。リセットの手順は特別承認のタイヤの場合として載っており、メニュー名は米国版の英語表記だ。日本仕様の画面の日本語表記は確かめられていない。
- 「CAR」→「Vehicle status」→「Tire Pressure Monitor」を開き、タイヤ設定が正しいか確かめる
- 走行可能状態にして、発進しないまま「Perform reset」を選ぶ
- 走り出すとホイールが灰色になり、リセット中の表示が出る
- 数分走ると自動で終わり、ホイールが緑になって完了の表示が出る
モニターは数分走るまで働かない。途中で止まっても、走り直すと続きから進む。交換後に走り出して気になる音が出たときは、次の記事で原因を切り分けられる。
夏冬の履き替えと前後の入れ替え
X5 G05 の取扱説明書(米国版)は、車載ジャッキは季節ごとのタイヤの履き替えのような頻繁な使用向けに作られておらず、引っかかったり壊れたりするおそれがあるとしている。車載ジャッキはパンクしたときの道具と考え、夏冬の履き替えは店に任せるのが手堅い。
前後でタイヤサイズが違う仕様
中古車情報サイトの新車カタログでは、型式 3DA-CV30A(X5 xDrive 35d Mスポーツ エア・サスペンション装着車・2019年2月〜9月販売分)のタイヤサイズは前 275/45R20・後 305/40R20 で、前後でサイズが違う。取扱説明書は、前後でタイヤサイズやリムサイズが違う車では、タイヤや車を傷めるおそれがあるとして前後の入れ替えをしないよう指示している。前後で同じサイズの車は、摩耗をそろえるために前後で2本ずつ入れ替えてよく、入れ替えた後は空気圧を確かめて直す。自分の車が前後同じサイズかは、付いているタイヤの側面の表示で確かめる。
組み付けとバランスは店に任せる
取扱説明書は、タイヤの組み付けとホイールバランスを販売店か整備工場に任せるよう勧めている。承認されたホイールとタイヤの組み合わせ・リムの形・タイヤサイズ・銘柄は販売店に問い合わせる。タイヤサイズごとにメーカーの推奨銘柄があり、タイヤ側面の星印で見分けられる。車に合わないホイールやタイヤは、表示のサイズが同じでも車体に当たるなどして部品を傷め、事故のおそれがある。
ホイールとタイヤの誤った組み合わせは操縦性を損ない、ABS や横滑り防止の働きに影響する。同じメーカーの同じトレッド(溝の形)のタイヤだけを使い、タイヤが傷んだ後はできるだけ早く元のホイールとタイヤの組み合わせに戻す。再生タイヤは勧められていない。
冬用タイヤに替えるとき
取扱説明書は冬の道では冬用タイヤを勧めている。M+S 表示のオールシーズンタイヤは夏用タイヤより冬の性能が良いが、ふつうは冬用タイヤには及ばない。車の最高速度が冬用タイヤの許容速度を超えるときは、許容最高速度のラベル(販売店で手に入る)を視界に入る所に貼り、その速度を超えない。新品のタイヤは最初は路面をつかむ力が最適でないので、最初の 300 km は控えめに走る。
外したタイヤの保管
涼しく乾いた暗い場所に置き、油・グリス・溶剤に触れさせない。ビニール袋に入れたままにせず、ホイールやタイヤの汚れを落としておく。空気は、タイヤ側面に書かれた最大空気圧を超えて入れない。
2世代前の X5 の作業と比べたいときは次の記事がある。別の世代の値や手順は G05 に当てはめず、G05 の作業には G05 の取扱説明書を使う。
よくある質問
車載ジャッキで夏冬タイヤの履き替えをしてよい?
取扱説明書は、車載ジャッキを頻繁な使用向けには作っていないとしている。履き替えには使わず、パンクしたときの道具にとどめたい。
ランフラットタイヤは空気が抜けても何km走れる?
走れる距離は、確かめた取扱説明書の範囲には書かれていない。書かれているのは速さの上限で、控えめに走り 80 km/h を超えない(トレーラーをけん引しているときは 60 km/h)。距離を当てにせず、早めに販売店や整備工場へ向かう。
ロックボルトのアダプターはどこにある?
車載工具の中か、その近くの収納にある。ボルトを緩める前に要るので、輪止めの段階で手元に出しておく。
前後のタイヤを入れ替えてよい?
前後でタイヤサイズやリムサイズが違う車では入れ替えない。前後で同じサイズの車なら、前後で2本ずつ入れ替えてよい。どちらに当たるかは、付いているタイヤの側面の表示で見分ける。
交換した後に空気圧モニターの設定は要る?
要る。X5 G05 の取扱説明書(米国版)では、タイヤやホイールを替えるたびにタイヤ設定を入れ直し、リセットする。手順は「交換した後にやること」の節に載せた。
まとめ:作業の前に確かめること
- 交換する車輪に最も近いジャッキポイントを、取扱説明書の図で見つけたか
- ロックボルトのアダプターと工具を手元に出したか
- 輪止めをして、車を上げる前にボルトを半回転緩めたか
- 2軸エアサスペンション装着車は、車高調整を止めたか(作業後に戻したか)
- 車を下ろしてから、対角の順に 140 N·m で締めたか
- 空気圧の確認、パンク表示の初期化、空気圧モニターのリセットを済ませたか
同じ車のほかの整備は次の記事で扱っている。

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