bB QNC20 で車載ジャッキを掛ける所は、取扱書の図に示された指定部位で決まる。一般にはボディ側面の下部にある印の奥の切り欠きが目印になり、そこで持ち上げたら、ナットは対角の順に分けて締め、最後は規定トルクで本締めする。2005年12月〜2016年8月の2代目 bB のうち、1.3L・前輪駆動の QNC20 で冬タイヤへの履き替えやパンクの交換を自分で行う人に向けて、位置の探し方から増し締めまでを順に案内する。
bB QNC20 のジャッキポイントと交換の要点
先に要点だけ並べておく。細かな理由と確かめ方は、それぞれの節で説明する。
- ジャッキは取扱書の図にある指定部位に掛ける。トヨタの公式サイトもタイヤメーカーのブリヂストンも、取扱書で正しい位置を確かめてから使うよう案内している。
- 一般的な乗用車では、ボディの側面やドアの下部にある逆三角形の印(車種によっては矢印)の奥の切り欠きが目印になる。実際の位置は自分の車の取扱書の図で見る。
- タイヤサイズは、グレード・年式によって 14 インチ(175/65R14)と 15 インチ(185/55R15)がある。
- ナットは対角の順で 2〜3 回に分けて締め、最後は取扱書の規定トルクで本締めする。
- タイヤメーカーのコンチネンタルの案内では、交換の後 50〜100km ほど走ってからナットを点検し、必要に応じて締め直す。
bB QNC20 のタイヤサイズとホイールの基本
bB QNC20 は、2005年12月〜2016年8月に販売された2代目 bB(生産はダイハツ工業)のうち、K3-VE 型 1.3L エンジン・前輪駆動(FF)の型式だ。2代目 bB の変速機は 4速AT になる。
グレード・年式ごとのタイヤサイズ
中古車カタログのグレード別の諸元で確かめた bB QNC20 のタイヤサイズは次のとおり。
| グレード(型式・時期) | タイヤサイズ(前後) |
|---|---|
| S(DBA-QNC20・2005年12月〜2007年8月) | 175/65R14 |
| S(CBA-QNC20・2013年2月〜2014年4月) | 175/65R14 |
| S Q Ver(DBA-QNC20・2006年5月発売) | 185/55R15 |
| S エアロパッケージ(CBA-QNC20・2010年7月〜2011年11月) | 185/55R15 |
| S(CBA-QNC20・2014年9月〜2016年8月) | 185/55R15 |
2014年8月の一部改良では、S に 15 インチのアルミホイールが採用された。表に無い仕様(たとえば 2007年8月〜2013年2月の S など)のサイズは、参照した資料では確かめられていない。履き替えるタイヤを用意する前に、今付いているタイヤの側面のサイズ表示と取扱書で、自分の車のサイズを確かめる。
ホイールとナットの基本
海外のタイヤ・ホイール寸法の情報サイトでは、2代目 bB(DBA-QNC20・CBA-QNC20 を含む)のホイールは 4 穴・PCD100、ねじは M12×1.5、ハブ径は 54.1mm と載っている。メーカーの資料ではない点は頭に入れておきたい。
ナットを回す工具は、整備の情報サイトの bB(QNC20系)の記事が 21 ミリのソケットとしている。こちらもメーカーの資料ではない。社外のホイールナットに替えている車は、付いているナットに合う工具を使う。
なお、2代目 bB にはダイハツ・クー、スバル・デックスという兄弟車がある。ここで挙げた値は bB QNC20 の頁から取ったもので、兄弟車や初代 bB の資料の値は使っていない。
ジャッキポイントの見つけ方と掛けてはいけない所
車載ジャッキは取扱書の指定部位に掛ける
トヨタの公式サイトの案内では、ジャッキは取扱書に記載された指定部位にセットする。ブリヂストンの案内も、ジャッキは取扱説明書で正しい位置を確かめてから使うとしている。bB QNC20 の取扱書の図そのものは、参照した資料では確かめられていない。作業の前に、自分の車の取扱書でジャッキの図の頁を開いておこう。
ジャッキは自分の車に積まれている車載のものを使う。整備の情報サイトの bB(QNC20系)の記事では、純正のジャッキは荷室の下に入っているとしている。荷室の床下の様子は次の記事で確かめられる。
一般的な目印の探し方
一般的な乗用車では、ボディの側面やドアの下部(スカート)に逆三角形の印、車種によっては矢印があり、その奥のプレスラインの切り欠きがジャッキアップの位置になっている。ジャッキはこの切り欠きに合わせてセットする。ブリヂストンの案内も、ボディの縁の凹みや三角の印に確実に合わせるとしている。
これは車種共通の説明なので、印を見つけたら取扱書の図と見比べて位置を決める。車体の重さを支える強度のない所にジャッキを入れると、車体やプレスラインが変形するおそれがある。ジャッキが安定していないと倒れて危険で、死亡事例もある。
フロアジャッキを使うとき
フロアジャッキで車体の前側・後ろ側の中央寄りを持ち上げる位置は、bB QNC20 については参照した資料で確かめられていない。フロアジャッキを使うときも、車載ジャッキと同じ取扱書の指定部位を使うか、中央寄りの位置は整備書や販売店で確かめてから掛ける。位置が分からないまま、エンジンや床下の部品の下に掛けない。
作業の前にそろえる道具と場所
そろえる道具
- ジャッキ(自分の車の車載ジャッキ)
- ナットを回す工具(L 型または十字のレンチ)
- 規定の力で締めるトルクレンチ
- 輪止め
- 軍手
作業中は手袋をして、けがや部品の破損に気をつける。
場所と車の止め方
作業は、地面が固く平らで舗装された安全な場所で行う。砂利や土の上は危険な場合があるので避ける。路上でパンクしたときは、周囲の安全を確かめ、ほかの車の通行を妨げない場所を選ぶ。
車を止めたら、AT 車なのでシフトを P レンジに入れてサイドブレーキをかけ、交換するタイヤと対角線上にあるタイヤに輪止めをかける。
付けるタイヤの点検
回転方向や内外の向きが決まっているタイヤは、側面の刻印(矢印と ROTATION、または OUTSIDE・INSIDE)で向きを確かめる。亀裂・偏摩耗・溝の深さも見ておく。残り溝が 1.6mm になるとスリップサインが出て、そのタイヤは法律上使えない。長く保管していたタイヤは、ゴムの劣化に特に注意する。
bB QNC20 のタイヤ交換の手順
1. ナットを少し緩める
ホイールキャップが付いている場合は外し、車を持ち上げる前に、ナットを反時計回りに少しだけ緩めておく。ここではまだ外さない。固いときはレンチの先端を持って体重をかけると緩めやすい。
2. ジャッキで持ち上げる
ジャッキを指定部位にずれなく合わせ、タイヤが路面から少し浮くまで持ち上げる。高く上げすぎると車体が不安定になって危険だ。
3. ナットを外してタイヤを外す
ナットをすべて外してタイヤを外す。一番上のナットを最後に外すと、タイヤが手前に倒れてくるのを防げる。外したタイヤ(または付ける予定のタイヤ)は車体の下に置いておくと、ジャッキが外れたときの備えになる。
4. 付け替えて手で仮締めする
ナットは使っているホイール専用のものを使う。ホイールの接触面とナットのネジ部の汚れを拭き取り、ナットの内側にゴミや異物が無いことを確かめてから、時計回りに手で仮締めする。接触面やネジ部につぶれ・亀裂・錆があるときや、仮締めで引っ掛かりがあるときは、販売店で点検を受ける。
5. 対角の順で締める
ガタがなくなるまでレンチで締める。一度に締め切らず、対角線の順で 2〜3 回に分けて締める。乗りものニュースの記事は、地面に近い位置から対角線の順に締めるとしている。
6. 下ろしてから本締めする
タイヤが地面に着いて力がかからなくなったらジャッキを外し、トルクレンチを規定トルクに合わせて、同じく対角線の順で本締めする。輪止めを外すのは、本締めが済んでからだ。
締め付けトルクと増し締め
規定トルクは取扱書の値で締める
トヨタの公式サイトの案内では、ナットの仕上げは取扱書に書かれた締め付けトルクで締める。bB QNC20 の値について、整備の情報サイトの記事は「105N・m(10.5kg・m)」と載せている。ただ、10.5kgf・m を N・m に直すと約 103N・m で、同じ記事の中の 2 つの表記が一致しない。メーカーの資料ではこの値を確かめられていないので、トルクレンチに合わせる値は車の取扱書か販売店で確かめる。
半分の値から締めて、締めすぎない
コンチネンタルの案内では、整備士はまず規定トルクの半分の値にトルクレンチを合わせて各ナットを締め、その後に規定トルクに合わせ直して締める。規定トルクは車種ごとに違うので、ほかの車の値をそのまま使わない。
手の感覚だけで締めると、締め不足や締めすぎになり、脱輪事故につながるおそれがある。締めすぎるとネジ山がつぶれたり、ホイールのボルトが伸びたりする。トルクレンチは決めた値で音がして知らせるので、音がしたらそこで手を止める。そこからさらに力をかけると締めすぎになる。
交換後の確かめと増し締め
交換後は、車両指定の空気圧になっているかを確かめる。保管していたタイヤや新品は空気圧が足りないことがある。試運転では急加速や急なコーナリングを避けて、振動や異音がないかを確かめ、普段と違う音など異常を感じたら、すぐに販売店に相談する。音の出どころの見当の付け方は次の記事にまとめてある。
増し締めは、コンチネンタルの案内では交換の後 50〜100km ほど走ってからホイールナットを点検し、必要に応じて締め直す(ブリヂストンの案内は約 100km 走行後に増し締め)。車重・回転・温度変化・段差の衝撃でナットの座面がずれたり、ネジ部のゴミや錆で見かけだけのトルクになったりして、走行後に緩むことがある。緩むと最悪の場合は走行中にホイールが外れるので、この点検は省かない。
事故を防ぐための注意
- 走行直後はホイールやブレーキ周辺が高温になっていて、触れるとやけどのおそれがある。
- レンチを足で踏んで回さない。
- ジャッキだけで支えている車の下に体を入れない。ジャッキが外れて落ちると挟まれる危険がある。車体の下に潜り込む作業が要るときは、ジャッキスタンドで車を固定してから行う。
- 外したタイヤは車体の下に置いておく(手順 3)。
- ジャッキアップの位置以外の所に掛けると、車体の重さで車を壊すおそれがある。
- 別の車のジャッキを使うと事故につながることがある。使うのは自分の車の車載ジャッキだ。
自分でやらない方がよいときと、パンクのとき
トルクレンチが無いときは、早めにガソリンスタンドや修理工場で規定トルクでの本締めを頼む。作業の場所が取れないときや手順に不安があるときはタイヤ専門店に頼み、パンクのときは無理をせずロードサービスを呼ぶのがよい。
応急用(テンパー)タイヤはあくまで応急用で、パンクしたタイヤは速やかに修理し、直せなければ交換する。bB QNC20 に応急用タイヤとパンク修理キットのどちらが積まれているかは、参照した資料では確かめられていない。いざというときに慌てないよう、自分の車の荷室の下と取扱書で先に確かめておこう。
タイヤ以外にも、自分で手を入れやすい整備は次の記事にまとめている。
よくある質問
bB QNC20 の締め付けトルクは何N・m?
メーカーの資料では確かめられていない。整備の情報サイトに載る値は表記が食い違っているため(締め付けトルクの節を参照)、取扱書か販売店で確かめた値を使う。
フロアジャッキはどこに掛ければよい?
中央寄りを持ち上げる位置は、bB QNC20 については確かめられていない。車載ジャッキと同じ取扱書の指定部位を使うか、整備書や販売店で確かめてから掛け、エンジンや床下の部品の下には掛けない。
自分の bB は14インチと15インチのどちら?
bB QNC20 でもグレード・年式によって 14 インチ(175/65R14)と 15 インチ(185/55R15)がある。今付いているタイヤの側面のサイズ表示と取扱書で確かめるのが確実だ。諸元で確かめた仕様はタイヤサイズの節の表のとおりで、表に無い仕様のサイズは確かめられていない。
増し締めはいつ行う?
コンチネンタルの案内では、交換の後 50〜100km ほど走ってから点検し、必要に応じて締め直す。ブリヂストンの案内は約 100km 走行後としている。
まとめ
作業に入る前に、車検証で型式と初度登録年月を確かめ、取扱書のジャッキとタイヤの頁を開いておく。そのうえで押さえるのは次の 3 つだ。
- ジャッキは取扱書の図の指定部位に掛ける。
- ナットは対角の順で分けて締め、下ろしてから規定トルクで本締めする。
- 交換後は 50〜100km ほど走ってからナットを点検し、必要なら締め直す(コンチネンタルの案内)。
次に自分で替えやすい消耗品として、ワイパーのサイズもまとめてある。

コメント