買い物袋が走るたびに転がる、工具を出したいのに床下から荷物を全部おろす羽目になる。2代目bBの荷室でよく起きるこの2つは、床下収納の使い方をひとつ間違えたところから始まっている。床下のトレイの下には工具とジャッキと応急用スペアタイヤが入っていて、ここを私物で埋めると、いざというときに掘り返す作業が増える。荷室を広く使う順番は、床下を空けたまま保つ、フックで固定する、それでも足りないときだけ後席を倒す。この3段で考えると散らからない。
荷室を広げる順番は3段で決まっている
bBの荷室は、いきなり後席を倒すところから始めると失敗する。まず床下のデッキアンダートレイを開けて、めったに使わない物をそこへ移す。次に荷室のデッキフックで荷物を留める。そのうえで長い物や大きい物が残ったときに、リヤシートを倒して床を伸ばす。
リヤシートは6:4分割可倒式で、左右を別々に倒せる。長い物を積みながら後席に1人乗せる、という使い方ができるのはこの分割のおかげだ。ただし倒す手順は、自分の車が後席スライド装着車かどうかで1か所変わる。スライド機構は全車には付いていないので、手順に入る前に自分の車がどちらかを確かめておくと早い。見分け方は後の節で扱う。
荷室のサイズは、カタログに載っている数字と載っていない数字がある
積みたい物が入るかどうかを調べようとして、最初に行き止まるのがここだ。
室内寸法から見当をつける
トヨタが公開しているbBの主要諸元表(2015年2月版)によると、室内長は素のZとSが1,935mm、煌(きらめき)系が1,970mm。室内幅は1,420mm、室内高は1,330mmで、こちらはグレード共通だ。車体側は全長3,795mm(煌系は3,800mm)、全幅1,690mm、全高1,635mm、ホイールベース2,540mm、乗車定員5名。荷室の広さを想像するときは、この室内長から前席と後席が占める分を差し引いた残りが荷室にあたる、という見当のつけ方になる。
室内長は年式でも動く。トヨタが運営するクルマ情報サイトのbBカタログによると、2005年12月から2007年8月のSは室内長1,915mm・全長3,785mm、2014年9月以降のZは室内長1,935mm・全長3,795mm。室内幅と室内高は初期も最終期も変わらない。他所で見た数字と自分の車が一致しないときは、たいてい年式が違う。
荷室そのものの数値は公表されていない
諸元表には、荷室に関する数値が1つも載っていない。荷室容量も、荷室長・荷室幅・荷室高も、バックドア開口部の寸法も、最大積載量も、項目自体が無い。寸法欄にあるのは全長・全幅・全高・ホイールベース・トレッド・最低地上高・室内長/幅/高だけだ。つまりbBの荷室サイズにメーカー公表値は存在しない。ベビーカーや自転車が入るかを知りたいなら、実車の荷室にメジャーを当てて、荷物の3辺と突き合わせるしかない。数字を探す時間より、メジャーを持って駐車場に行くほうが早い。
なお型式(QNC20/QNC21/QNC25)が分かれているのは排気量と駆動方式の違いで、荷室まわりの装備の有無はグレードと年式のほうで決まる。装備を調べるときに見るのは型式ではない。
同じ考え方で荷室を扱った他車種の記事もある。
と
デッキアンダートレイは「めったに出さない物」専用にする
bBの取扱書(2011年11月版)には、デッキボードの下に荷物を収納できるトレイがあり、使うときはストラップを持ち上げる、と書かれている。トヨタのbB主要装備一覧表(2014年8月版)では、デッキアンダートレイは全車標準装備の欄に載っている。開け方はこれだけで、ロックも工具もいらない。
問題は中身のほうだ。このトレイの下には、工具袋(ホイールナットレンチ、ジャッキハンドル、けん引フック)とジャッキ、そして応急用スペアタイヤが格納されている。床下を洗車用品やレジャー用品で満杯にすると、パンクしたときに路肩でそれを全部おろすことになる。床下に入れてよいのは、数か月に一度も出番が来ない物と、いざというとき自分ひとりで動かせる重さの物に限る。取扱書も、ジャッキ・工具の種類や発炎筒の使い方は万一のとき困らないようあらかじめ確認しておくよう促している。買った直後に一度開けて、何がどこに入っているかを見ておきたい。
もうひとつ、デッキボードの上に乗ってはいけない。取扱書が破損のおそれとして禁止している。荷物を積むための床であって、体重をかける場所ではない。
床下の使い分けは他の車でも同じ考え方になる。
デッキフックで荷物を留める
荷室にはデッキフックが備わっている。取扱書の説明は、ラゲージルームに備えられていてネットやロープを利用できる、というもの。ネットやロープ自体は付属せず、市販品を自分で用意する。販売店装着オプションのユーティリティーバーの固定にも使える。走行中に荷物が転がるのは、たいてい積み方ではなく留めていないことが原因なので、ここを埋めるだけで荷室の印象は変わる。
禁止事項がひとつ明記されている。シートのレバーにネットを固定しないこと。掛けやすい位置にあるが、掛ける場所ではない。
荷室脇のデッキサイドポケットと、荷室左側のラゲージルームランプも装備一覧表では全車標準装備だ。ランプはエンジンスイッチの位置に関係なく点くので、暗い場所での積みおろしには使えるが、エンジン停止中に長時間点けたままにするとバッテリーがあがる。荷物を運び終えたら消したか見る癖をつけたい。
リヤシートを倒して床を伸ばす
取扱書が案内している操作名は「クッションの前倒し」で、手順は6段階ある。
倒す前にやっておく3つの準備
- 安全な場所に駐車し、パーキングブレーキをしっかりかける
- 背もたれが当たらないよう、前席の前後位置とリクライニング位置を調整する
- リヤ左右席のシートベルトをベルトハンガーにかけ、リヤシートのヘッドレストを一番下まで下げる
この3つを飛ばすと、背もたれが前席につかえて途中で止まる、ベルトを巻き込む、ヘッドレストが引っかかる、のどれかで必ずやり直しになる。
倒す操作と、戻すときの確認
準備が済んだら、スライド装着車はスライドレバーを引きながらリヤシートを車両後方いっぱいまで移動させてから背もたれを倒す。スライドが無い車は、背もたれ側のシートバックフックを操作して前に倒す。スライド装着車は座面横のリクライニングレバーを引いたまま倒す。レバーはいっぱいまで引き上げたまま動かす。引き上げ切らずに動かすと、リクライニング機構の故障につながる。左右は別々に操作でき、取扱書の説明は左側席のものだが右側席も同じだ。
倒すときは荷室の荷物に背もたれを当てない。背もたれにもたれたままレバーを操作すると、操作が重くなったり、突然倒れたりする。戻すときは背もたれを起こして固定し、軽くゆさぶって確実に固定されたことを確かめる。固定が甘いと、急ブレーキで背もたれが倒れたり荷室の物が前に飛び出す。なお倒したあとの床がどうなるかは実車で見てほしい。取扱書は平面になるとは書いていない。
倒した荷室で寝る前提の準備は別の話になる。
後席スライドが付いているかを見分ける
装備一覧表(2014年8月版)では、リヤシートのスライド機構はZ煌とS煌に標準装備で、素のZとSには設定が無い。取扱書も「スライドシート装着車」と「スライドシート装着車を除く」で手順を書き分けている。見分け方は、リヤシート座面の横にスライドレバーがあるかどうか。座り込んで座面の脇を手で探れば1分で分かる。
装着車なら、荷室を広げる手が1つ増える。後席を前寄りにスライドさせれば、後席に人を乗せたまま荷室を少し伸ばせる。子どもを乗せる日に後席の足元を削って荷室を稼ぐ、という配分ができるのはスライド装着車だけの利点だ。リクライニングの調整角度も、スライドが無い車は起こした位置とリクライニング位置の2段階になる。
ここで注意がひとつある。この装備一覧表が収録しているのは最終期の4グレードだけだ。2005年から2014年の間にはXバージョン、Qバージョン、エアロパッケージ、煌-G、ガーネットエディションなど多くの派生グレードがあり、それらの装備はこの表では確認できない。グレード名から装備を推し量らず、実車を見る。
荷室に運ぶ前に、車内の置き場所へ逃がす
荷室が散らかる原因の半分は、本来は車内に置ける小物まで後ろへ放り込んでいることにある。トヨタは2代目bBの発売時の発表資料で、使い勝手のよい多彩な収納スペースを設置したと説明している。大きな箱を1か所つくるのではなく、小さな置き場所を各所に散らす設計だ。散らした置き場所を使わなければ、全部が荷室に集まってくる。
装備一覧表が全車標準装備に挙げている収納は、グローブボックス、コインボックス、コインポケット(運転席)、ボックス付大型アームレスト、ドアポケット、ボトルホルダー(前後席)、デッキサイドポケット、カードホルダー(運転席)。カードホルダーだけは注記があり、ETCユニットをメーカーオプションで選んだ場合は非装着になる。コンソールボックスは全車標準ではなく、素のZとSに標準、Z煌とS煌には設定が無い。上位グレードほど装備が多いとは限らない例だ。
買い物袋はフックに吊るす
運転席と助手席には買い物袋を吊るすフックがある。呼び名は資料で違い、取扱書は「コンビニフック」、装備一覧表は「買い物フック」だ。フックの下部を押すと展開し、使わないときは格納しておく。最大荷重は約3kgで、これを超える重い物や大きい物を掛けるとフックが折れたり走行中にはずれたりする。飲み物や生鮮品の袋を荷室で転がさずに済ませる第一の手段がこれになる。
助手席の下と背もたれ裏を使う
助手席の下にはシートアンダートレイがある。トレイを上に持ち上げて前に引き出す構造で、走行中は閉めておく。ここで守りたいのは、前席の下に物を直接置かないこと。取扱書は、物が挟まってシートが固定されず事故につながること、ロック機構の故障につながることを理由に禁じている。前席下に置きたい物は必ずトレイの中へ入れる。
助手席の背もたれ裏にはシートバックポケットがあり、上のファスナーから箱入りティッシュ(薄型)を入れて下のファスナーから取り出す構造になっている。アクセサリーソケットはDC12V・最大電流10A(最大電気容量120W)で、これを超える電気製品を使うとヒューズが切れることがある。
フタは閉めてから走る
グローブボックスもコインポケットも、フタを開けたまま走らない。急ブレーキで中身が飛び出す。カップホルダーのトレイも引き出したままにしない。ボトルホルダーに入れるのはフタを閉めたペットボトルだけで、紙コップやガラス製のコップは入れない。コインボックスとカップホルダーは、手をついたり足で踏んだりすると壊れる。ライターやスプレー缶を小物入れに放置するのも避けたい。荷物を押し込んだりシートを動かしたときに着火するおそれがある。
車内の装備をひととおり見直すなら、配線が絡む機器も一緒に整理しておくといい。
積み方の決まりごと
取扱書が示す原則は、荷物はラゲージルームに安定した状態で置くこと、具体的にはラゲージルーム前方に均等に置くことだ。後席の背もたれ寄りに、左右のバランスを取って置く。助手席や後席に荷物を積み重ねるのは禁止で、理由は急ブレーキや旋回で荷物が飛び出し、乗員に当たったり気を取られたりすることにある。
積んではいけない物もはっきりしている。燃料が入った容器やスプレー缶は、万一のとき引火して車両火災につながるおそれがあるため積まない。使っていないチャイルドシートは、車から取りはずして保管するか、荷室で動かないように固定する。座席に緩めたまま置いておかない。
人については例外なしだ。倒した背もたれの上やラゲージルームに人を乗せて走ることは、生命にかかわる傷害のおそれとして禁じられている。背もたれを前倒ししたときは、子どもが荷室に入り込まないよう見ておく。走行中にシートの操作もしない。
バックドアは、閉めるときに外から軽く押して閉める。ストラップを持ったまま閉めない。半開のまま使わない。屋根や後端に雪や氷が積もっているときは、開ける前に取り除く。開いたあとに落ちてくる。そして走り出す前にバックドアを軽くゆさぶり、ロックされていることを確かめる。
満載で走る日は、ヘッドランプの光軸を下げる
荷室を満載にすると車両の前が持ち上がり、ヘッドランプの照らす先がいつもより上を向く。対向車から見ればまぶしいだけなので、取扱書はダイヤルで下向きに調整するよう案内している。ダイヤルはロービーム点灯中に使える。
ダイヤル位置の目安
取扱書の目安は2WDと4WDで数値が違う。2WD/4WDの順に並べると、運転席のみ乗車時は0/0、運転席と助手席に乗車時は0/0、5名乗車時は2/1.5、5名乗車時でかつ荷室満載時は3.5/2.5、運転席のみ乗車時でかつ荷室満載時は4/3。荷物や人をおろしたら、必ず0の位置に戻す。通常は0で使うものだ。車検などで光軸調整をするときも、ダイヤルを0に戻してから行う。
1.3Lにはフルタイム4WD(QNC25)の設定があり、同じ荷物を同じように積んでも回すべき位置が2WDとは違う。自分の車がどちらかを把握しておくと、この表がそのまま使える。
ダイヤルが見当たらないとき
ディスチャージヘッドランプ装着車には、このダイヤルが装着されていない。自動的に調整されるからだ。探しても無い場合は、自分の車がそちらだと考えていい。ヘッドランプまわりの型番を確認するなら
を見てほしい。
季節の話をひとつ。スタッドレスへの履き替えでタイヤを外した日は、荷室がタイヤの分だけ埋まる。取扱書には、応急用スペアタイヤの収納場所に外した標準タイヤは収納できず、ラゲージルームに置くようにと書かれている。タイヤ1本が荷室に居座る前提で、その日の荷物を組み立てておく。
よくある質問
bBの荷室は何リットル入りますか
メーカーが公表していないため、答えられる数値がない。諸元表に荷室容量という項目そのものが存在しない。積みたい物が決まっているなら、その3辺を測って実車の荷室と突き合わせるのが確実だ。
後席を倒すとフラットになりますか
取扱書はそう書いていない。「フラット」「フルフラット」「シートアレンジ」という語は取扱書に1か所も出てこず、案内されている操作名は「クッションの前倒し」だけだ。段差があるかどうかは実車で見て判断してほしい。
自分のbBに後席スライドは付いていますか
リヤシート座面の横にスライドレバーがあれば装着車だ。2014年8月時点のラインアップでは煌系のみの装備だが、それ以前の派生グレードは資料で追えないので、レバーの有無で確かめるのが早い。
床下のトレイには何を入れてもいいですか
工具・ジャッキ・応急用スペアタイヤの上に置く形になるので、出し入れの頻度が低い物に限りたい。買い物袋のような日常的に出す物は、車内側のフック(最大荷重約3kg)や収納に回すほうが手間が少ない。
まとめ
bBの荷室は、床下を空けたまま保つ、デッキフックで留める、足りないときだけ6:4分割の後席を倒す、この順番で使うと散らからない。小物は荷室に運ばず、グローブボックスやアームレスト、買い物フックといった車内の置き場所に割り振る。満載で出かける日は、ヘッドランプの光軸ダイヤルを目安値まで回し、荷物をおろしたら0に戻す。
ひとつだけ残しておきたいのは、ここに書いた装備の有無がグレードと年式で変わるということだ。中古で買って自分の車の素性がはっきりしないなら、車検証で型式と初度登録年月を確認するところから始めるといい。そのうえで座面横のレバーとデッキボードの下を実際に見れば、自分のbBで使える手はその日のうちに全部そろう。

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