2代目bBは2005年12月に発売され、2016年8月まで作られた車だ。いま乗っている個体は中古で手に入れたものが多く、走行距離も年数も伸びている。この年式帯で普段と違う音が出はじめたとき、最初に分かれるのは「メーカーの無償修理で直る話か」「機構としてもともと鳴る音か」「消耗や劣化か」の3つの筋道になる。音の名前を当てにいく前に、公式に届け出のある無償修理を先に潰すのが遠回りに見えて早い。型式がQNC20・QNC21・QNC25の3つに分かれ、扱いが変わる部分があることも先に押さえておきたい。
音の質と出る場面で当たりをつける
まず自分の音がどこに当てはまるかを見る。JAFのトラブル診断は、エンジン付近・ハンドル操作時・走行中のタイヤ付近・エンジン停止後の回転音という場面で分けて原因の見当を整理している。この表は当たりをつけるためのもので、ここで原因を決めきる表ではない。
| 音の質・出る場面 | 見当 | 読む節 |
|---|---|---|
| ハンドルを回したときに鳴る | ハンドル機構の異常の可能性 | ステアリング連結部の届出 |
| エンジン付近のガラガラ音 | オイル不足や潤滑不良の可能性 | エンジンまわりの音 |
| エンジン付近のキュルキュル音 | ベルトが滑っている可能性 | エンジンまわりの音 |
| 走行中にタイヤ付近から | 発生源が多岐にわたる | 走行中・タイヤ付近の音 |
| エンジン停止後の回転音 | 冷却ファンが回り続ける場合がある | 鳴ることが前提の音 |
| ブレーキ付近の継続的なキーキー音 | パッドの使用限度を知らせる警告音 | 鳴ることが前提の音 |
この中でハンドル操作時の音だけは、様子見に向かない側として扱われている。 JAFのトラブル診断では、ハンドル機構に異常があるとハンドル操作が行えなくなる可能性があり走行は大変危険だとして、救援要請を求めている。振動やハンドル操作の重さが同時に出ることもあるとしている。
「異音」と明記された唯一の届出はハンドルまわり
トヨタが公開しているbBのリコール情報(届出番号1950)によると、不具合の状況は「ステアリングシャフトとギヤボックスを連結しているユニバーサルジョイントの締結ボルトに締め付けが不足しているものがあります。そのため、据え切り操作を行うと連結部に緩みが生じ、そのままの状態で使用を続けると異音が発生し、最悪の場合、連結部が外れてかじ取り操作ができなくなるおそれがあります」と記載されている。改善の内容は、当該ユニバーサルジョイントを対策品に交換し、締結ボルトを規定トルクで締め付けること。届出は平成19年10月17日、リコール開始日は10月18日だ。
QNC20系を対象に含む届出のうち、不具合の状況に「異音」という語が書かれているのはこの1件だけだ。 しかも据え切り、つまりハンドルを回す場面の音である。早見表でハンドル操作時に当てはまった人は、ここから確認を始めるのが筋になる。
対象かどうかは年式ではなく車台番号で決まる
届出1950の対象は、型式ごとに車台番号の範囲で示されている。
| 型式 | 車台番号の範囲 | 製作期間 | 台数 |
|---|---|---|---|
| DBA-QNC20 | QNC20-0001008〜QNC20-0021283 | 平成18年1月6日〜平成19年3月23日 | 20,213台 |
| DBA-QNC21 | QNC21-0001017〜QNC21-0047179 | 平成18年1月6日〜平成19年3月22日 | 45,817台 |
| DBA-QNC25 | QNC25-0001010〜QNC25-0009349 | 平成18年1月6日〜平成19年3月22日 | 8,317台 |
範囲に入っていても対象とは限らない
トヨタの案内には「対象車の含まれる車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれますので、詳細については最寄りのトヨタ販売店にお問い合わせ下さい」「対象車の製作期間はご購入の時期とは異なります」という注意書きが付いている。国土交通省のリコール情報検索の案内も、車台番号が範囲内でも仕様の違いにより対象外の場合があるとして、メーカーまたは販売会社への確認を求めている。車台番号が範囲に入っていることは、対象の確定ではなく問い合わせる根拠と考えるのがいい。
確定させるまでの手順
国土交通省の検索は車名・型式・届出日から内容を調べるもので、個別の車台番号からの判定はメーカーおよび販売会社への問い合わせと案内されている。順序としては、車検証で型式と車台番号を確認する、型式で届出の内容を調べる、最終確認はメーカーまたは販売店で取る、の3段になる。届出番号の記号は「リ国」がリコール(国産)、「改国」が改善対策(国産)を指す。検索システムには収録期間の下限があり、それ以前の届出は運輸支局やメーカー、販売会社への問い合わせが案内されている。
bBの名前で出ている他の無償修理は、いまの音の説明にならない
QNC20系にはリコール以外の無償修理も出ているが、公表されている現象は音ではない。
トヨタが公開しているbBを含むサービスキャンペーンの案内では、ルーフパネル前端左右接合部のシーラ塗布量が不足し、使用過程で亀裂が入って雨水等が車内に浸入し前席足元が濡れるおそれがある、として全車両のシーラ補修を行うとされている。もう一件、トヨタが公開している4WD車向けのサービスキャンペーンの案内では、リヤアクスルのオイルシールの材料および形状が不適切でオイル密封性が低下し、デフオイルが外部へ漏れるおそれがあるとして、対策品への交換が案内されている。どちらも公表されている現象は水漏れとオイル漏れで、音についての記載はない。
探すときに引っかかるのは掲載のされ方だ。bBはパッソ・パッソセッテ・ピクシスと同じ届出にまとめて公表されている。トヨタ自動車75年史の車両系統図によると、2代目bBはパッソのプラットフォームを流用し、2006年1月からダイハツ工業池田工場で生産された車で、無償修理の案内も他車種名が並んだ見出しの中にbBが含まれる形になる。車名だけで探すと見落としやすい。なお、同じ届出に載っていても対象の型式と車台番号は車種ごとに別に示されているので、他車種の範囲を自分の車に読み替えることはできない。
エンジンまわりの音と、bBの点検基準値
ガラガラ音とキュルキュル音
JAFのトラブル診断では、エンジン付近のガラガラ音はエンジンオイルの不足や潤滑不良が発生している可能性、キュルキュル音はベルトが滑っている可能性として整理され、どちらも点検が必要な状態とされている。潤滑不良や冷却不良によってエンジンが焼き付き、かからなくなることもあるとしている。オイル量の確認は自分でできる範囲なので、ガラガラ音に心当たりがあるならまずそこを見る。
ベルトの張りを見る値は、自分のエンジンで変わる
bBの取扱説明書には、Vベルトのたわみ量(押力100N{10kgf}・冷間時)の点検基準値がエンジン別に載っている。K3-VEが7.0〜9.5mm、3SZ-VEが8.0〜11.0mmだ。取扱説明書の車両仕様表では、QNC20がK3-VEの1.3L・FF、QNC21が3SZ-VEの1.5L・FF、QNC25がK3-VEの1.3L・4WDとされている。整備工場で数値の話になったとき、自分の型式がどちらのエンジンかで見る値が違うことは知っておきたい。
もう一点、取扱説明書は指定燃料を無鉛レギュラーガソリンとし、指定以外の燃料を使うと始動性が悪くなったりノッキングが発生したりする場合があるとしている。給油先を変えた直後に音の質が変わったなら、心当たりとして伝える材料になる。
走行中・タイヤ付近の音は自分で絞り込まない
JAFのトラブル診断では、走行中にタイヤ付近から異音がする場合について、タイヤに異物が刺さっている、走行関係の部品が痛んでいるなど発生源は多岐にわたり複数の原因が推測されるとしている。症状から部品を1つに決められる性質の音ではないので、ここは見当をつけて終わりにしておく。
自分でできるのは状態の確認までだ。取扱説明書の日常点検には、タイヤ接地面のスリップサイン(摩耗限度表示)が現われていないか、極端な片べりなどの偏摩耗がないかを点検する項目がある。また、異常があるタイヤを装着していると走行時にハンドルが取られたり異常な振動を感じることがあり、異常な振動を感じた場合はすみやかに販売店で点検を受けるよう求めている。車体床下やタイヤ・ディスクホイールに強い衝撃を受けたときは、ただちに安全な場所に止めて下まわりを点検することも書かれている。段差や縁石に当てた記憶があるなら、その日付ごと伝えたい。
QNC25(4WD)だけに増える音源
取扱説明書は4WD車の駆動方式をVフレックスフルタイム4WDと呼び、通常はほぼFF走行で、コーナリング時や雪道・登坂時・発進時・加速時など前輪と後輪の回転差が発生すると自動的に後輪に駆動力が伝達されると説明している。つまりQNC25には後輪側に駆動系が通っていて、FFのQNC20・QNC21には無い部位がある。前述のリヤアクスルオイルシールの無償修理がbBではQNC25だけを対象にしているのも、この構造の差による。取扱説明書は、この駆動方式ではタイヤの状態が車の性能に大きく影響するとして細心の注意を求め、オンロード専用としている。
自分の個体が4WDかどうか自信がないときは、車検証の型式を見る。 メーカーの主要諸元表では、2015年2月版に載っている車両型式はQNC21とQNC20だけで駆動方式はいずれも前輪駆動方式、QNC25の記載はない。後期はFFのみの掲載になっている。
鳴ることが前提の音と、走行をやめる音
取扱説明書に位置づけのある音もある。エンジンが停止していても冷却水温が高いときは冷却ファンが急にまわり出すことがある、という注意書きがあり、エンジンを切ったあとの回転音はこの車の説明書上も想定された挙動だ。パーキングブレーキのカチカチという音も、ペダルが止まるまでゆっくり踏んで基準値の範囲で止まるかを見る点検の手がかりとして扱われ、基準値は5〜7ノッチとされている。ただし、いま鳴っている音がそれに当たるかどうかは記事側では決められない。JAFも、停止後の回転音が長時間続く場合は故障の可能性も考えられるとして点検を勧めている。
逆の側もはっきりしている。取扱説明書は、走行中に継続的にブレーキ付近から「キーキー」という警告音が発生したときはブレーキパッドの使用限度だとして、販売店での点検を求めている。これはブレーキパッドウェアインジケーターが出している音で、発生したまま走り続けるとパッドがなくなり、ブレーキ部品を損傷させたり効きが悪くなったりするおそれがあるとされている。さらに、けん引の項には「異常な音がする」場合は駆動系の故障が考えられるので、けん引される前にまず販売店に連絡するようにと書かれている。 走行を続けるかどうかの線引きに、この記述はそのまま使える。高水温警告灯の点滅・点灯や出力低下、ボンネットからの蒸気がある場合は、音の切り分けより先にオーバーヒートの手順が優先される。
販売店に持ち込むときに伝える4点
音は現地で再現しないことが多い。伝える内容を先に整理しておくと、預ける時間が短くなる。整理するのは、音が出る場所(エンジンルーム/ハンドルまわり/足元やタイヤ付近/車外か車内か)、出る場面(始動直後/アイドリング/回転を上げたとき/据え切りやハンドルを回したとき/走行中の速度域/ブレーキを踏んだとき)、音の質(ガラガラ/キュルキュル/キーキーの金属音/カチカチ)、再現条件(毎回か時々か、冷間時か暖まってからか、雨の日か)の4点だ。
場面のメモは取扱説明書の日常点検がそのまま雛形になる。 「運転席に座っての点検」のエンジンのかかり具合の項は、始動の際に異音がないか、アイドリング状態と少し回転を上げた状態で異音がないかを点検する作りで、場面が3つに分かれている。この3つで鳴る/鳴らないを書き出せば、そのまま伝える形になる。走行しての点検にはブレーキの効きや片効き、停車時のエンジン回転のむら、アクセルを踏み込んだときの加速、前日までに異常があった箇所の確認が挙げられている。車検証を持っていけば、型式と車台番号がその場で確認でき、無償修理の対象確認まで一度で進められる。
よくある質問
年式だけで自分のbBがリコール対象かどうか分かりますか
分からない。届出1950の対象は型式ごとの車台番号の範囲で示されていて、製作期間は購入の時期とも異なる。車検証の車台番号で範囲を照らし、最終的な判定はメーカーまたは販売会社に確認することになる。
ハンドルを回したときだけ音がします。そのまま走ってもいいですか
JAFはハンドル操作時の異音について、ハンドル操作が行えなくなる可能性があり走行は大変危険だとして救援要請を求めている。QNC20系には据え切り操作に関わる届出(届出番号1950)も出ているので、自走を続ける前に販売店へ連絡する側の音として扱いたい。
エンジンを切ったあとに回転音がするのは故障ですか
bBの取扱説明書には、エンジンが停止していても冷却水温が高いときは冷却ファンが急にまわり出すことがあると書かれている。ただし鳴っている音がそれかどうかは実車を見ないと分からず、JAFは長時間回っている場合は故障の可能性も考えられるとしている。
型式がQNC20・QNC21・QNC25で分かれているのはなぜですか
エンジンと駆動方式が違うためだ。取扱説明書の車両仕様表では、QNC20が1.3LのK3-VE・FF、QNC21が1.5Lの3SZ-VE・FF、QNC25が1.3LのK3-VE・4WDとされている。トヨタ自動車75年史の車両系統図も、この3型式を挙げている。
4WDだけが対象の無償修理があると聞きました
トヨタが公開している4WD車向けのサービスキャンペーンの案内で、bBの対象はQNC25だけ、車台番号QNC25-0018131〜QNC25-0022998とされている。内容はリヤアクスルオイルシールからのデフオイル漏れで、音についての記載はない。実施状況は販売店で確認してほしい。
まとめ
順序は、無償修理の対象かを潰す、場面で切り分ける、記録して持ち込む、の3段でいい。持ち込む前に手元で確認しておくことを並べておく。
- 車検証で型式(QNC20/QNC21/QNC25)と車台番号を控える
- ハンドル操作時の音なら、自走を続ける前に販売店へ連絡する
- 音の場所・場面・質・再現条件の4点をメモにする
- 始動直後、アイドリング、少し回転を上げた状態の3場面で鳴るかどうかを書き分ける
- タイヤのスリップサインと偏摩耗、段差や縁石に当てた記憶の有無を確認する
今日できる1手は、車検証を撮影して型式と車台番号を控えることだ。それだけで、届出の対象確認を販売店に頼む準備は済む。

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