BMW M5(F10)にドライブレコーダー(ドラレコ)を付けるなら、本体はルームミラーの裏まわりに置き、電源は駐車監視を使うかどうかで選ぶ。走行中の録画だけならシガーソケット給電が一番手軽で、エンジン停止中も録るなら別に電源が要り、内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わない場合はヒューズボックスや車両バッテリーからの配線になる。コードは天井の内張りから助手席側のピラー、足元へと隠して通せば、運転中の視界や操作の邪魔になりにくい。
M5 F10 のドラレコは位置・電源・配線の3つで決まる
作業の全体像は次の3つだけだ。
- 位置: フロントガラスの上から20%の範囲か、ルームミラーで隠れる範囲に収める(自動車情報サイト MOTA などの解説による)。ミラーの裏側か、ミラーと同じ高さが目安になる
- 電源: シガーソケット、ルームミラー裏のセンサー端子に割り込むアダプター(レインセンサー付きで3ピンの端子がある車。カバーを外して確かめる)、ヒューズボックスや車両バッテリーからの配線、の3通り
- 配線: 天井の内張り → 助手席側のピラー → フロアマットの下、の順に隠す
迷ったら、駐車監視が要らないならシガーソケット、要るなら内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わない場合はヒューズボックスかバッテリーからの配線と考えればよい。
対象の年式と、個体で変わる仕様
M5(F10)は、日本では2011年7月に受注が始まった。海外では2011年のフランクフルトモーターショーで公開されて同年11月に販売が始まり、生産は2017年3月に終わっている(後継は F90 型 M5)。エンジンは4.4リッターV型8気筒ツインターボ、変速機は7速デュアルクラッチの M DCT Drivelogic、後輪駆動だ。
ドラレコの作業で効いてくる違いは2つある。
1つはハンドル位置。日本仕様はハンドル位置を左右から選べ、2013年の限定車ナイトホークは全車左ハンドルだった。助手席側が逆になるので、コードを通すピラーの左右も個体ごとに変わる。
もう1つは2013年9月の改良だ。くるまのニュースの記事によると、このときアダプティブLEDヘッドライトと、歩行者検知機能付きの衝突回避・被害軽減ブレーキが標準装備になり、最高出力を575馬力に高めるコンペティション・パッケージもオプションで設定された。2013年式には改良前と改良後の両方があるので、ルームミラーまわりの装備は自分の車で見ておきたい。
取付位置の決まりと、M5 F10 での選び方
前面ガラスの上部20%か、ルームミラーの陰
自動車情報サイト MOTA の解説では、前方を撮るドラレコは前面ガラスの「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」か、「車室内後写鏡(ルームミラー)により遮へいされる前面ガラスの範囲」に付ける決まりがあると説明している(解説は保安基準の細目を定める告示の2010年版を引いている)。ベストカーWebや All About の記事も、フロントガラスの上から20%の範囲で、ルームミラーの取り付け位置が下限の目安になるとしている。ルームミラーの裏側か、ミラーと同じ高さに付ければこの範囲に収まりやすい。
検査標章と重ねず、ワイパーの範囲に入れる
ベストカーWebの記事によると、検査標章(車検ステッカー)を貼る位置は、2023年7月以降に車検を受けた車から「前方かつ運転者席から見やすい位置」に変わった(その位置で運転者の視野を妨げる場合は、視野を妨げない前方かつ運転者席から見やすい場所)。ドラレコはこの標章と重ならない位置にする。
あわせて、雨の日にも映像が見えるよう、レンズがワイパーの拭き取り範囲に入る位置を選ぶ。上部に色の付いた帯があるガラスなら、その帯をレンズの前に入れない。
ミラー裏のセンサーの前をふさがない
後付けアダプターのメーカーの説明では、F 系の BMW のうちレインセンサーを備えた車は、ルームミラーの裏に雨滴・光を感じ取るセンサーとその3ピンの端子がある。M5(F10)も2013年9月の改良後は、歩行者検知機能付きの衝突回避・被害軽減ブレーキが標準になった。本体やコードでミラー裏のセンサー類や運転支援の装置の前をふさがない位置を選び、装置の位置は車両の取扱説明書で確かめる。
仮に当ててから本固定する
貼り付け式の取付台は貼り直しが難しいものが多い。まず仮に当てて、運転席から前方の視界を妨げないか、映像の角度が合っているか、ルームミラーを動かしたときに当たらないかを見る。問題がなければ、ガラスの汚れや油分を拭き取ってから本固定する。
電源の取り方3通りを比べる
| 電源の取り方 | 作業の難しさ | コードの見え方 | 電気が来るとき | 前もって確かめること |
|---|---|---|---|---|
| シガーソケット | 3通りで最も簡単 | ソケットまでのコードが見えやすい | ACC電源(エンジン停止中は止まる) | 特になし |
| ミラー裏のセンサー端子 | 中間(ミラーのカバーを外す) | 配線が短く済む | イグニッションや解錠に連動 | 3ピンの端子の有無・ドラレコの電源の形 |
| ヒューズボックス・バッテリー | 3通りで最も高い | 内装の奥に隠せる | 常時電源も取れる | ヒューズの割り当て・内装の脱着 |
駐車監視まで使うなら、内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わない場合は、常時電源も取れるヒューズボックスか車両バッテリーからの配線を選ぶ。
シガーソケットから取る
All About の取付解説のとおり、シガーライターソケットに電源プラグを挿せば本体に電気を送れる。2014年式 M5 の取扱説明書をもとにしたヒューズ一覧には「前後の12Vソケット・シガーライター」の項目があり、前席側と後席側に12Vソケットがある。工具が要らず、まず付けてみたい人はここから始めればよい。
ルームミラーの裏のセンサー端子から取る
後付けの電源アダプターを売る海外メーカーの製品説明では、レインセンサーを備えた F 系の BMW 向けに、ミラー裏の3ピンのレイン/ライトセンサー端子に割り込ませる製品がある。純正コネクターを外してアダプターを挟む方式で、配線の切断や加工は要らず、給電はイグニッションや解錠に連動する。
ただし確かめた製品はレーダー探知機向けで、製品ページに F10 や M5 F10 の明記は無い。レインセンサーの無い車や端子の形が違う車では使えないので、ミラーのカバーを外して3ピンの端子があるかを見て、ドラレコ側の電源の形に合うかも確かめてから選ぶ。
ヒューズボックス・バッテリーから取る
常時電源も取れるので、内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わずに駐車監視まで使うならこの方法になる。代わりに内装の脱着とヒューズの割り当ての確認が要り、3通りのうちで作業の難しさは最も高い。ヒューズボックスの位置は次の節で書く。
ヒューズボックスの位置と、使うヒューズの確かめ方
車室内のグローブボックスとトランクの2か所
5シリーズ F10 のヒューズを解説する海外サイトでは、車室内のヒューズ・リレーボックスはグローブボックスの中(保護カバーの奥)にあり、トランクでは右側の内張りのカバーを開けた奥にもヒューズボックスがある。大電流用のヒューズは、トランクにあるバッテリーのプラス端子付近にある。この解説は5シリーズ F10 全般のもので、M5 を個別に挙げたものではないので、実車で位置を見ておく。
2014年式 M5 の割り当ての例
2014年式 M5 の取扱説明書をもとにした海外サイトのヒューズ一覧では、ヒューズのパネルは「車室内」「荷室(トランク)」「追加のパネル」の3か所に分かれている。同じ一覧では、車室内パネルの54番(20A)が前後の12Vソケット・シガーライター、48番(40A)が自動防眩ルームミラーとエンジンのクランクケースヒーターの共用になっている。レインセンサー単独のヒューズは一覧に載っていない。
実車のヒューズ表で用途と電源の種類を確かめる
F10 世代のヒューズとリレーの割り当ては、製造年や装備によって違うことがある。上の番号は2014年式の一覧の例で、ほかの年式や装備で同じ番号とは限らない。ネットの一覧の番号をそのまま使わず、実車のヒューズ表で用途とアンペア数、ACC(キー連動)か常時電源かを確かめてから選ぶ。
配線を内装に隠して通す手順
All About の取付解説にある流れに沿って、本体から電源まで次の順に運ぶ。内装の隙間には無理に押し込まない。
天井の内張りに沿わせる
本体から出たコードを、天井の内張り(ヘッドライナー)の隙間に入れ、端まで沿わせていく。車内の電装品を自分で触る作業は、次の記事でも扱っている。
助手席側のピラーを通す
フロントガラスの端まで来たら、ピラーのカバーを外してコードを隙間に収める。通すのは運転席の反対側、つまり助手席側のピラーにすると、運転中の視界や操作の邪魔になりにくい。右ハンドル車なら左側、左ハンドル車なら右側だ。
BMW の2010年の報道資料では、新型5シリーズ(F10 世代)は前席・後席の両列にカーテンヘッドエアバッグを備え、前席エアバッグと腰・胸部用のサイドエアバッグとあわせて安全用の電子制御で動く。M5 を個別に挙げた資料ではないが、同じ世代の車として扱う。天井やピラーの中では、エアバッグの部品や配線にコードを巻き付けたり、無理に押し込んだりしない。不安があれば専門店に頼む。
足元はフロアマットの下へ
ピラーから足元まで下ろしたら、フロアマットの下を通して電源の位置まで運ぶ。
駐車監視を使うときの電源とバッテリー
ACC電源から電気を受けるドラレコは、エンジンが止まっているときには基本的に止まる。エンジン停止中に録る駐車監視を使うには別に電源が要り、内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わない場合は車両のバッテリーから直接配線を引く。5シリーズ F10 世代のヒューズの解説では、バッテリーはトランク側にある。
カー用品の解説メディア CARPRIME の記事では、車両のバッテリーから取る場合、電圧が下がると自動的に録画を止める仕組みや、バッテリーあがりを防ぐ機能の付いた専用の電源ケーブルを使う方法があるとしている。車のバッテリーで長く駐車監視を続けると、過放電でバッテリーの劣化が早まるので、止める電圧や監視の時間は控えめに設定したい。
自分で付けるか、お店に頼むか
シガーソケット給電と、天井・ピラーへの配線隠しまでなら自分でも作業しやすい。内装の脱着、ヒューズボックスやバッテリーからの直接配線、駐車監視の設定に不安があれば、カー用品店や輸入車を扱う整備工場・ディーラーに頼めばよい。その場合は部品代のほかに工賃がかかる。
まず自分でシガーソケット給電で付けてみて、駐車監視が欲しくなったら直接配線だけをお店に頼む、という分け方もできる。灯火類など、ほかの電装品の型番は次の記事にまとめている。
よくある質問
シガーソケット給電だけで足りる?
走行中の録画だけなら足りる。ACC電源なのでエンジン停止中は止まり、駐車監視には使えない。
ルームミラーの裏から電源は取れる?
レインセンサーを備えた F 系の BMW 向けに、ミラー裏の3ピン端子に割り込むアダプターはある。ただし確かめた製品はレーダー探知機向けで、製品ページに F10 や M5 F10 の明記は無い。ミラーのカバーを外して3ピンの端子があるか、ドラレコ側の電源の形に合うかを確かめてからにする。
ヒューズ番号は全年式で同じ?
同じとは限らない。2014年式 M5 の一覧の番号は例で、ほかの年式や装備では違うことがあるので、実車のヒューズ表で確かめる。
車検で問題になりにくい位置は?
前面ガラスの上部20%の範囲か、ルームミラーで隠れる範囲に収め、検査標章と重ねない位置だ。ミラーの裏側か同じ高さに付ければ収まりやすいが、本体の大きさによってははみ出すので、仮に当てて範囲を見てから固定する。
まとめ
M5 F10 のドラレコは、まず電源の取り方を1つに絞るところから始める。
- 走行中だけ録るならシガーソケット、駐車監視まで使うなら、内蔵バッテリーや専用バッテリーを使わない場合はヒューズボックスか車両バッテリーからの配線
- 本体は前面ガラスの上部20%かルームミラーの陰に収め、検査標章やミラー裏のセンサー類と重ねない
- コードは天井の内張り → 助手席側のピラー → フロアマットの下へ。エアバッグの部品には巻き付けない
方式を決めたら、作業の前に実車で3つを確かめる。ミラー裏の3ピンの端子があるか、ヒューズ表の用途と電源の種類、ハンドル位置(コードを通すピラーの左右)だ。あわせて、使うドラレコのメーカーが示す電源の条件に合うかを見てから取り付けに入ればよい。

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