BMW M5 F90へのドラレコの付け方は、駐車監視を使うかどうか、前方だけか前後2カメラか、自分で付けるか店に頼むかで手順が分かれる。前方だけをシガーソケットから動かすなら自分でも付けやすいが、ヒューズからの電源や駐車監視まで使うなら、回路の選び方と保護の設定が要るので店に頼む前提で考えたい。まず自分がどちらの使い方をしたいかを決めてから、付け位置と電源の取り方を読み進めてほしい。
M5 F90のドラレコで先に決める付け位置と電源
最初に押さえることは次のとおりだ。
- 付け位置:前面ガラスの開口部の実長の20%以内か、ルームミラーで隠れる範囲に付ける。そのうえで、ルームミラー内にステレオカメラがある車では、その視角に入れない
- 電源:シガーソケット式・2芯式(ACC)・3芯式(ACC+常時電源)の主に3通り
- シガーソケット:輸入車や一部の国産車は、イグニッションをオフにしてもソケットに電流が流れている場合がある
- 駐車監視:ドラレコ販売店のBMW向けの解説が伝えるとおり、後付けのアクセサリーも駐車中の過大な電流の原因になり得るので、バッテリーの警告に気を配る
ルームミラーの裏に付ければ済む、とは考えないのがM5 F90の付け位置の決め方だ。それぞれの詳しい内容は後の節で説明する。
配線に関わるM5 F90の車体のつくり
F90世代のM5は4ドアのセダン(サルーン)で、フロントエンジン・全輪駆動。生産期間は2017〜2023年で、2017年8月に初公開され、2018年8月にコンペティションパッケージが加わり、2020年6月に改良型(2021年モデル)が発表され、2021年3月にM5 CSの生産が始まった。日本では2017年10月24日に受注が始まり、納車は2018年4月以降に順次始まる予定とされた。
ドラレコの取り付けに関わるのは2つある。1つは前面ガラスまわりだ。日本での受注開始時の報道では、新型M5は新型5シリーズと同様に、ルームミラー内にステレオカメラを内蔵し、前方3基・後方2基のミリ波レーダーと組み合わせて、急停止や飛び出しを判断して警告する運転支援を備えるとしている。報道には標準装備かオプションかの明記はないので、自分の車のミラーまわりにカメラがあるかを先に見ておく。
もう1つは車の形で、4ドアセダンなのでリヤカメラの配線の通し方がテールゲートの車と違う(リヤカメラの節で説明する)。なお、前期型と改良型、コンペティション、CSの間で取り付けの条件に違いがあるかは確かめられていない。
フロントカメラの取り付け位置
前面ガラスに付けてよい範囲
保安基準に基づく取り付けの解説では、前面ガラスに付けるドラレコは、ガラス開口部の実長の20%以内の範囲か、ルームミラー(後写鏡)で遮へいされる前面ガラスの範囲に付けることとされている。ルームミラーはおおむねこの範囲に入るので、ミラーの裏側か、ミラーと同じ高さに付けるのが目安だ。あわせて、運転者の視界を妨げないことも条件になる。
ルームミラー内のステレオカメラをふさがない
取り付け位置の目安はルームミラーの裏側周辺で、かつ衝突被害軽減ブレーキ用のカメラの視角に入らない場所だ。カメラの視角にドラレコが入ると、その機能に支障をきたすおそれがある。ミラー内にステレオカメラがあるM5 F90では、ミラーの裏ならどこでもよいわけではなく、ステレオカメラの前をふさがない位置を選ぶ。
カメラの正確な位置や視角の広さは確かめた出典がない。実車で見て確かめ、迷うときはディーラーや取り付ける店に聞く。
ワイパーの範囲と検査標章を避ける
カメラはワイパーの払拭範囲内に置く。範囲外だと、雨の日にクリアな映像が得られない。前面ガラスの上部が着色されている場合は、その部分も避ける。
検査標章(車検のステッカー)に重なると撮影の支障になる。左右に偏った位置だと映像が不自然になるので、なるべく車の中心から見た景色を撮れる位置にしたい。中心寄りであることとステレオカメラを避けることの両方を満たす位置を、本体を仮当てして探すとよい。ワイパーゴムの交換は次の記事で扱っている。
電源の取り方3通りを比べる
| 方式 | 電源を取る所 | 線 | 駐車中 |
|---|---|---|---|
| シガーソケット式 | シガーソケット | ソケットに差すだけ | ― |
| 2芯式 | ヒューズボックスのACC電源 | 黒(アース)・赤(プラス) | ― |
| 3芯式 | ACC電源+常時電源 | 2芯に黄色(バッテリー)が加わる | 駐車監視モードでバッテリーの電源を使う |
車の配線から分岐して直接つなぐ場合も、ドラレコの電源はイグニッションオフでは通電がなく、アクセサリーポジション以上で通電するものである必要がある。
シガーソケット式
シガーソケットにつなぐだけで動く。見た目が気になるなら、裏側でソケットを増設して接続する方法もある。配線の加工が少なく、自分で付けやすい方式だ。
注意したいのは、輸入車や一部の国産車は、イグニッションをオフにしてもシガーライターソケットに電流が流れている場合があることだ。ドラレコをつないだままだと、バッテリー上がりの可能性がある。M5 F90のソケットが停車後も通電を続けるかどうかは確かめた出典がないので、付けたら停車後にドラレコの電源が切れるかを実車で確かめる。
ヒューズからACC電源を取る2芯式
黒のマイナス線(アース)と赤のプラス線があり、ヒューズボックスのACC(アクセサリー)電源から取るのが一般的だ。ドラレコの取り付けの解説では、ヒューズボックスに近づくために、助手席側はグローブボックス、運転席側は足元付近のパネルを外すとしている。
ただし、M5 F90のヒューズボックスの位置と外す内装は確かめた出典がない。ヒューズ番号や電源を取る場所は、車台番号に合った資料で確かめるか、ディーラーやBMWの施工に慣れた店に確かめる。
駐車監視に使う3芯式
2芯にバッテリーにつなぐ黄色の線が加わる。通常はACC電源で動き、エンジン停止を検知すると駐車監視モードに移って、その間はバッテリーの電源を使う。常時電源は、ハザードやホーン、ドアロックなどの常時電源から取り出す。M5 F90でどこから取るかは、2芯式と同じく資料か店で確かめる。
ACC電源や常時電源の取り出し、駐車監視は、使う回路の選び方と保護のための遮断設定が要る。2芯式と3芯式は、取り付ける店に組み合わせに合わせて設定してもらう前提で考える。
駐車監視とバッテリー警告の扱い
ドラレコ販売店のBMW向けの解説では、BMWのサービス公報は、故障した制御ユニットに加えて後付けのアクセサリーも、駐車中の過大な電流の原因になり得るとしている。バッテリーの警告は軽く扱わず、出たら表示された内容と出た時期を記録する。カメラを動かし続けるために、バッテリーの監視の仕組みを回避したり、警告を止めたりはしない。
車のバッテリーから駐車録画をするときは、低電圧での遮断などの保護の設定を、取り付ける人に組み合わせに合わせてもらう。遮断の電圧を高めにすると、駐車中に録画できる時間は短くなることがある。駐車中は、別体のバッテリーにためた電気でカメラを動かす方法もある。駐車中の録画を長く取りたいなら、遮断の設定と別体バッテリーのどちらで対応するかを店と相談しておきたい。
ある車のヒューズ番号・配線経路・スリープまでの時間は、ほかの車に当てはまらないことがある。BMWの公報は世代や装備ごとに違うスリープの確かめ時間を挙げており、すべてのBMWに共通の確かめ方はない。ほかのBMWの取り付け例をそのまま写さないことだ。
前方カメラの配線ルートと固定
配線は、前面ガラスと天井の隙間に押し込んで横へ送り、内張り剥がしでピラーカバーを外して、ピラーの中に線を通して足元側へ下ろし、電源(増設ソケットなど)につなぐ。
通すときは次の点を守る。
- 配線を内装の裏で挟み込まない。コネクター・内装のクリップ・可動部・点検に要る余裕を見て通す
- 基本的に助手席側を取り回す。万が一外れても、運転に支障をきたしにくい
- ダッシュボードの裏を通すときは、テープで固定する
- エアバッグ・ブレーキ・ステアリング・エンジン制御・高電圧系の回路を、手軽なアクセサリー電源として使わない。配線をエアバッグの展開経路をまたいで通さない
固定は、ルームランプなどの線があれば一緒に結束バンドで留め、無ければ配線クリップで線が遊ばないようにする。ソケットの接続部は外れるおそれがあるので、エプトシーラーで巻いて固定する。前面ガラス付近の配線もエプトシーラーを何か所か巻いておくと、後から出てきにくい。2芯や3芯は、必要に応じてそれぞれをギボシ加工して接続する。
リヤカメラの配線(4ドアセダンの場合)
M5 F90は4ドアのセダンで、リヤガラスごと開くテールゲートの車ではない。そのため、リヤカメラをリヤガラスに付けても、配線がテールゲートの開閉部をまたぐ形にはならない。配線は前方カメラと同じく天井やピラーの内装の裏に収めて後方へ延ばし、挟み込まない・点検の余裕を見る、という基本に沿って通す。英国のBMW販売店も、純正ドラレコの前後カメラの取り付けで「リヤガラス付きテールゲートの車」を別の区分にしている。
前方のみなら、前面ガラスまわりから電源までの配線で済む。前後2カメラは、リヤカメラの配線を車内の後方まで延ばす分、内張りの脱着と配線の固定が増える。同じ販売店も、純正ドラレコを「前方のみ」と「前後」で別の取り付けの区分にしている。初めて自分で付けるなら前方のみから始め、前後2カメラは内張りの扱いに慣れた店に任せるのも手だ。BMWのほかの車での配線の例は次の記事にある。
純正ドラレコと依頼先の考え方
BMW(ベトナム)の純正アクセサリーの案内では、BMWの純正ドライブレコーダー「Advanced Car Eye 3.0 PRO」は、前方のQHD(2560×1440)のフロントガラス用カメラと、フルHD(1920×1080)のリヤウインドウ用カメラの2カメラ構成で、対角150°の画角としている。振動・動き・衝撃を検知すると駐車中も自動で記録し、周囲の動きはレーダーで検知する。64GBのSDカードが付く。同じ案内では、ほぼすべてのBMWモデルで使えるとし、正規のサービスセンターで扱っている(車種によって費用が変わる)。
英国のBMW販売店の案内では、純正ドラレコはコンバーチブル(オープンカー)には前方カメラしか付けられないとしている。M5 F90は4ドアのセダンで、コンバーチブルではない。
ただし、純正ドラレコの案内は海外のBMWと販売店のもので、日本での取り扱いや日本仕様のM5 F90への適合は確かめられていない。純正を検討するときは、ディーラーに車台番号を伝えて、取り扱いと適合を確かめる。
依頼先は配線の難しさで決めればよい。シガーソケット式の前方のみなら自分で、ヒューズからの電源・駐車監視・前後2カメラのどれかが入るなら店かディーラーに頼む、という分け方を勧める。市販品の選び方は同じBMWの次の記事も参考になるが、そこで挙げた商品がM5 F90に付くかは別に確かめる。
取り付けの流れと取り付け後の確認
取り付けの流れ
- 本体を仮当てして、フロントカメラの節の条件(20%の範囲かルームミラーで隠れる範囲・視界を妨げない・ステレオカメラの視角に入らない・ワイパーの払拭範囲内)を満たす位置を決める
- 前面ガラスと天井の隙間からピラー内を通して、足元へ配線する
- 電源(シガーソケット・ACC・常時電源)につなぐ
- 動作を確かめる
- 本体と配線、接続部を固定する
取り付け後に確かめること
エンジンをかけて録画が始まること、停車してから電源が切れること(駐車監視を使う場合は設定どおりに動くこと)を確かめる。車両にバッテリーの警告が出たら、取り付けた店かディーラーに相談する。
よくある質問
シガーソケットにつなぐだけでよい?
動かすだけなら、つなぐだけで済む。ただし輸入車や一部の国産車は、イグニッションをオフにしてもシガーソケットに電流が流れている場合があり、M5 F90のソケットがどちらかは確かめられていない。付けたら、停車後にドラレコの電源が切れるかを見ておく。
ルームミラーの真裏に付けてよい?
ルームミラーで隠れる範囲はおおむね付けてよい範囲に入るが、ミラー内にステレオカメラがある車では、カメラの前をふさぐ位置は避ける。どこまでがカメラの視角かは、実車で確かめる。
M5 F90のヒューズ番号はどこで確かめる?
車台番号に合った資料か、ディーラーやBMWの施工に慣れた店で確かめる。ほかの車のヒューズ番号やスリープまでの時間は当てはまらないことがあるので、他車の取り付け例をそのまま使わない。
前後2カメラは付けられる?
配線の通し方では、M5 F90は4ドアのセダンなので、リヤカメラの配線がテールゲートの開閉部をまたぐ形にはならない。前方のみより内張りの脱着と配線の固定が増えるので、作業に慣れていなければ店に頼む。使う製品が付くかは、製品ごとに確かめる。
BMW純正のドラレコは付けられる?
純正の「Advanced Car Eye 3.0 PRO」の案内は海外のBMWと販売店のもので、日本での取り扱いや日本仕様のM5 F90への適合は確かめられていない。ディーラーに車台番号を伝えて確かめる。
まとめ
まずは電源の取り方を、主な3通りを比べて1つに絞り、決めたら取り付ける店かディーラーに車台番号を伝えて、電源を取る場所と保護の設定を最後に確かめる。この順番なら、付けてからやり直す手間が少ない。
- 付け位置は開口部の実長の20%以内かルームミラーで隠れる範囲で、ミラー内のステレオカメラの前はふさがない
- 後付けのアクセサリーも駐車中の過大な電流の原因になり得る(ドラレコ販売店のBMW向けの解説)。駐車監視を使うなら、警告の仕組みを回避せず、保護の設定を店に合わせてもらう
- 4ドアセダンなので、リヤカメラの配線はテールゲートの開閉部をまたがない
同じM5 F90のほかの作業は、次の記事にまとめている。

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