M5 F90 の純正ホイールは、19インチか20インチか、前用か後ろ用かでリム幅とオフセットの組み合わせが変わる。年式・グレード・オプションで付いているホイールが違うこともあるので、まず自分の車に付いているのがどちらのサイズかを確かめ、下の表のどの行に当たるかを見てほしい。社外ホイールやスペーサーを選ぶ基準は、その行の値から決まる。
M5 F90 のPCD・ハブ径・オフセット早見表
海外のホイール適合データベースが M5 F90(2017〜2020年の前期型、2020〜2023年の改良型)について載せる値は次のとおり。PCD・ねじ・ハブ径は、前期型と改良型で同じ値が載っている。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| PCD | 5×112(ボルト穴5つ・直径112mm) |
| 留め方・ねじ | ホイールボルト留め・M14×1.25 |
| ハブ径(センターボア) | 66.6mm(66.5mm と書く資料もある) |
| 19インチのオフセット | 前 ET26・後ろ ET28 |
| 20インチのオフセット | 前後とも ET28 |
M5 F90 はナットではなくホイールボルト(ラグボルト)で留める方式なので、部品を選ぶときはボルトの規格まで見る。
ここに挙げた数値は海外のホイール適合データベースと国内の新車カタログの値で、BMW の公式の諸元表ではない。社外ホイールやスペーサーを買う前に、自分の車のホイールとタイヤを現車で確かめ、販売店に適合を確かめる。
純正のホイールとタイヤの組み合わせは前後で違う
M5 F90 の純正は前が9.5J・後ろが10.5Jとリム幅が前後で1インチ違い、タイヤの幅も前275・後ろ285と違う。社外ホイールやスタッドレス用のホイールを選ぶときは、前用と後ろ用でリム幅・オフセット・タイヤサイズを分けて確かめる。
19インチの組み合わせ
海外のホイール適合データベースでは、M5(441kW・591hp)の純正の19インチは次の組み合わせで、前期型(2017〜2020年)と改良型(2020〜2023年)のどちらのページにも同じ値が載る。M5 コンペティションのページにも、選べる組み合わせとして同じ19インチの行がある。
| 位置 | ホイール | タイヤ |
|---|---|---|
| 前 | 9.5J×19 ET26 | 275/40ZR19 |
| 後ろ | 10.5J×19 ET28 | 285/40ZR19 |
20インチの組み合わせ
同じ海外のホイール適合データベースでは、20インチは次の組み合わせで、前後ともオフセットが ET28 になる。M5 コンペティション(460kW・617hp)と改良型の M5 CS(467kW・626hp)ではこの20インチが純正の組み合わせとして載り、M5 のページでは選べる組み合わせの1つとして載る。
| 位置 | ホイール | タイヤ |
|---|---|---|
| 前 | 9.5J×20 ET28 | 275/35ZR20 |
| 後ろ | 10.5J×20 ET28 | 285/35ZR20 |
許容されるオフセットの範囲
同じデータベースは、純正値を挟む形で許容オフセットの範囲も示している。
| サイズ | 前 | 後ろ |
|---|---|---|
| 19インチ | 24〜28mm | 26〜30mm |
| 20インチ | 26〜30mm | 26〜30mm |
この範囲は社外ホイールを絞り込むときの手がかりになるが、範囲に入っていれば、はみ出さない・干渉しないと言えるわけではない。リム幅やタイヤの幅でも位置は変わるので、現車での確かめは別に要る。
日本仕様(ABA-JF44M)のタイヤサイズとカタログの食い違い
国内の新車カタログの主要諸元では、日本仕様の M5(型式 ABA-JF44M・ベースグレード、2017年10月〜2020年2月の各期間)のタイヤサイズは前275/35ZR20・後ろ285/35ZR20と載っている。
ただし同じカタログのアルミホイールの欄は、ページ(期間)ごとに「19インチ標準」「オプション設定有」「20インチ標準」「18インチ標準」と食い違い、タイヤサイズの20インチと合わないページもある。日本仕様の標準のホイールサイズはカタログの欄だけで決めず、自分の車に付いているホイールとタイヤを現車で確かめる。
改良型の M5・M5 コンペティションは、Car Watch の報道で2020年9月29日付で日本導入が伝えられた(M5 の全長×全幅×全高は4990×1905×1480mm、4輪駆動の M xDrive が標準)。同年6月のドイツでの発表では20インチホイールをオプションで付けられるようにしたと報じられているが、改良型の日本仕様のタイヤ・ホイールのサイズは、この報道には載っていない。
PCD・オフセット・リム幅・ハブ径の意味
- PCD:Pitch Circle Diameter の略で、ハブボルト用の穴の中心を結んだ円の直径を mm で表したもの。M5 F90 の 5×112 では 112 がこの直径にあたる。
- オフセット(インセット):リム幅の中心線からホイールのハブ取り付け面までの距離を mm で表したもの。プラスの値が大きいほどホイールは内側寄りに、マイナスの値(アウトセット)では外側寄りに付く。早見表の ET26・ET28 がこの値にあたる。
- リム幅:タイヤがはまるホイールの幅をインチで表したもので、0.5インチ刻みで設定されている。純正の 9.5J・10.5J の数字がこれにあたる。
- ハブ径:センターボアとも呼ばれ、ホイールの中心にある穴の直径。M5 F90 は資料によって 66.6mm と 66.5mm の表記がある(後述)。
オフセットとリム幅は、片方だけでなく組み合わせでホイールの位置が決まるので、次の節もあわせて読んでほしい。
オフセットとリム幅を変えるとホイールはどう動くか
オフセットを純正値より小さく(マイナス側に)するほどホイールは外へ出て、フェンダーからはみ出す恐れがある。反対に大きく(プラス側に)すると、タイヤやホイールがサスペンションやタイヤハウスの内側に干渉する恐れがある。はみ出しや干渉は車検でも確かめられる。
インチアップやリム幅を広げるときは、ホイールメーカーのウェッズの解説のとおり、リム幅とオフセットを同時に考え、車高やフェンダーの形を踏まえてどこまで広げられるかを判断する。M5 F90 では、この判断を前と後ろで別々に行う。先に挙げた許容オフセットの範囲も、前と後ろで分かれている。
ウェッズの注意書きでは、ホイールメーカーの適合表に載るサイズでも保安基準・車検・点検への適合までは保証されないとし、タイヤを組む前に現車でのフィッティング確認を求めている。幅が太くなりすぎると車体に接触する場合もある。
ハブ径・ボルト・締め付けトルクの注意
ハブ径とハブリング
ハブ径の表記は資料で分かれる。海外のホイール適合データベースは前期型・改良型とも66.6mmと載せる一方、海外の BMW 用パーツ店が載せる H&R 製スペーサーの製品ページは、F90 M5(2018〜2023年)を適合表に載せる5×112用スペーサーについて「センターボア66.5mmの5×112の BMW 用」と書いている。どちらかの数字だけで決めず、ホイール側と部品側のハブ径の数値を販売店や現車で確かめる。
社外ホイールはハブ径を大きめに作って多くの車に合わせることが多く、その隙間はハブリングで埋めて調整する。ハブリングは、車両のハブ径とホイールのハブ径の両方の数値を確かめてからサイズを決める。
ボルトの規格と座面
M5 F90 はナットではなくホイールボルトで留め、ねじは海外のホイール適合データベースで M14×1.25 と載っている。ボルトを別に用意するときは、このねじの径とピッチに合うものを選ぶ。ホイールメーカーのウェッズの注意書きでは、二面幅は同じ寸法でなくてもよいとしている。
ホイールを留める部品の座面の形には「テーパー座(60°)」「球面座」「平面座」の3種類があり、ホイール側の穴の形と一致していないと正しく締め付けられない。社外ホイールは60°テーパー座が主流だ。M5 F90 の純正ボルトの座面の形と長さは、ここで使った出典では確かめられていないので、社外ホイールに替えるときはホイール側が指定するボルトを使う。
締め付けトルク
海外のホイール適合データベースでは、M5 F90 のホイールボルトの締め付けトルクは前期型・改良型とも140N・mと載っている。BMW の公式資料ではないので、実際に締めるときは車両の取扱説明書や販売店の指定と照らす。
ホイールスペーサーを使うときの注意
ホイールスペーサーはハブ面とホイールの間に挟み、ホイールを車体の外側へずらして、ホイールとボディの位置関係を調整する部品だ。
海外の BMW 用パーツ店が載せる H&R 製スペーサーの製品ページでは、F90 M5(2018〜2023年)を適合表に載せる5×112用スペーサー(18mm)について、スペーサーを使うときは長いホイールボルトが必ず要る(スタッドボルトを使う場合を除く)とし、M14×1.25のホイールボルトは9回転・14mmのかかりが要ると書いている。ボルト留めの M5 F90 では、スペーサーに合わせた長いボルトを用意し、純正のボルトのまま付けない。
通販で「BMW 用」と書かれたスペーサーやボルトも、M5 F90 に合うかどうかは PCD・ハブ径・ねじの規格を販売店で確かめてから選ぶ。外へずらした分はそのままフェンダーとの位置関係に響くので、次の保安基準の決まりとあわせて考える。
はみ出しと保安基準の決まり
道路運送車両の保安基準第18条は「回転部分が突出する等他の交通の安全を妨げるおそれのあるものでないこと」と定めている。国土交通省は、回転部分が車体より突出すると歩行者の被服等を巻き込むおそれがあるとして、タイヤやホイールの車体(フェンダー)外へのはみ出しを禁じていると説明している。適切なタイヤやホイールを使わないと、車体やブレーキと干渉する恐れもある。
保安基準の一部改正で、2017年6月22日から、直進時のタイヤ中心から前方30度・後方50度の範囲で、タイヤのはみ出しが10mm未満なら認められるようになった。ただし対象はタイヤ(ゴム部分)だけで、ホイールやリムのはみ出しは認められない。オフセットを純正より小さくしたり、スペーサーで外へ出したりするときは、この線を越えないかを現車で確かめる。
よくある質問
M5 と M5 コンペティションで純正ホイールの値は違う?
違う。海外のホイール適合データベースでは、M5 は19インチ(前 ET26・後ろ ET28)、M5 コンペティションは20インチ(前後とも ET28)が純正の組み合わせとして載り、サイズと前のオフセットが分かれる。どちらのページにももう一方のサイズが選べる組み合わせとして載り、日本仕様はカタログの欄も食い違うので、グレード名より付いているホイールで判断する。
社外ホイールのハブ径が車より大きいときは?
ハブリングで隙間を埋める。車両側のハブ径は資料で66.6mmと66.5mmに分かれるので、ハブリングはホイール側と車両側の両方の数値を確かめてから選ぶ。
スペーサーを入れるとき純正のボルトのままでいい?
よくない。F90 M5(2018〜2023年)を適合表に載せる H&R 製の5×112用スペーサー(18mm)の製品ページは、長いホイールボルトを必須としている(スタッドボルトを使う場合を除く)。スペーサーの厚みに合う長さのボルトを用意する。
ホイールボルトの締め付けトルクは?
海外のホイール適合データベースでは前期型・改良型とも140N・m。BMW の公式資料ではないので、取扱説明書や販売店の指定と照らしてから締める。
先代の M5 F10 や M8 F91 の値を参考にしてよい?
M5 F90 の値として流用せず、それぞれの車の値はそれぞれで確かめる。
まとめ
まず自分の車に付いているのが19インチか20インチかを現車で確かめ、前用と後ろ用それぞれで候補のホイールを1つに絞る。そのうえで、ホイールメーカーの適合情報と販売店で、ハブ径・ボルト・はみ出しを最終確認する順番がよい。
- PCD は5×112、ねじは M14×1.25 のボルト留め(海外のホイール適合データベース・前期型と改良型とも)
- オフセットは19インチが前 ET26・後ろ ET28、20インチが前後とも ET28(同じデータベース)
- ハブ径は66.6mmと66.5mmの表記があり、ハブリングは車両側とホイール側の数値を確かめて選ぶ
- スペーサーを使うときは、ボルトの長さとはみ出しの決まりを確かめる
数値はどれも BMW の公式の諸元表ではなく、適合表に載るサイズでも車検への適合までは保証されない。最後は現車でのフィッティング確認で決める。

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