G81(M3 ツーリング)のホイールは、海外のタイヤ販売店の適合表とホイール適合のデータベースのどちらでも PCD 5×112・ボルト留め(M14×1.25)とされる。BMW 英国の純正部品ショップの部品表(欧州仕様の表示)では、G81 に適合と載る純正ホイールは前 9.5J×19 ET20・後 10.5J×20 ET20 で、前後とも ET は 20 だ。社外ホイールやスペーサーを選ぶときは、この純正値と比べて何 mm 外へ出るかを計算し、ハブ径・ブレーキとの逃げ・車検のはみ出しを順に確かめればよい。
G81 のホイール寸法の早見表
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| PCD | 5×112(穴数 5・PCD 112mm) | 海外のタイヤ販売店の適合表・ホイール適合のデータベース |
| 留め方・ねじ | ボルト留め・M14×1.25 | 同上 |
| ハブ径 | 66.6mm/66.5mm(資料で分かれる) | 66.6mm=タイヤ販売店の適合表、66.5mm=データベース |
| 純正(前) | 9.5J×19 ET20 | BMW 英国の純正部品表(欧州仕様の表示) |
| 純正(後) | 10.5J×20 ET20 | 同上 |
前後の幅と径(前 9.5J×19・後 10.5J×20)は、海外の諸元サイトとタイヤ販売店の適合表にも同じ値が載る。一方、ET20 の値は BMW 英国の純正部品ショップの部品表によるもので、適合の欄は欧州仕様(ECE)の表示、年式の欄は空になっている。日本の個体のホイールが同じ品番とは限らないので、純正ホイールの適合は車台番号(VIN)を伝えて販売店で確かめる。同じショップも、購入前に VIN を添えて適合を確かめるよう案内している。
純正ホイールは前 19・後 20 インチの前後異径
日本では「M3 コンペティション M xDrive ツーリング」として 2023 年 1 月 20 日に発売された。国内発表を伝えた報道によると、右ハンドルの 8 速 AT 仕様で、駆動は M 専用の 4 輪駆動システム「M xDrive」だ。
2022 年の登場時の純正ホイール
BMW の 2022 年 6 月の発表資料では、M3 ツーリングは前 19 インチ・後 20 インチの M 鍛造ホイールが標準で、オプションでトラックタイヤも選べる。英国向けの発表資料も、標準は前 19・後 20 インチのダブルスポーク(ジェットブラック)とし、オプションにバイカラーのダイヤモンドポリッシュ仕上げ、M 鍛造のダブルスポーク(バイカラーのジェットブラックかオービットグレーのマット)、専用のトラックタイヤを挙げている。資料は、数値がホイールとタイヤのサイズや選んだ装備で変わることがあると断っている。
BMW 英国の純正部品ショップの部品表では、19 インチのジェットブラック(品番 36108093836)が 9.5J×19 ET20、20 インチのジェットブラック(品番 36108093833)が 10.5J×20 ET20 で、どちらも G81 M3 Touring に適合と載る。
2024 年の改良後の純正ホイール
BMW の 2024 年 5 月の改良の発表資料では、新しい M3 Competition ツーリング M xDrive の標準も、ジェットブラックのダブルスポークの鍛造ホイールで前 19・後 20 インチだ。すべての M3 が前後で違うリムサイズの M 鍛造ホイールを標準とし、19 インチと 20 インチの新しい鍛造ホイール(シルバー仕上げ)がオプションに加わった。改良型の生産は 2024 年 7 月から順次始まる。
純正タイヤサイズは前後で違う
海外の諸元サイトの M3 ツーリング Competition M xDrive(2022〜2024 年)の欄では、純正タイヤは前 275/35 ZR19(100Y XL)・後 285/30 ZR20(99Y XL)だ。海外のタイヤ販売店の G81(2022 年〜)の適合表も前 275/35R19・後 285/30R20 としている。2024 年の改良後については、確かめられたのは前 19・後 20 インチの径までで、タイヤの銘柄やロードインデックスは改良後の資料で確かめられていない。
純正は前後で径も幅も違う組み合わせなので、ホイールとタイヤは前用と後用を分けて選び、前後を入れ替えて付ける前提で考えない。
PCD・ET・ハブ径の読み方
PCD とは
PCD(Pitch Circle Diameter)は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径だ。「5×112」は、穴が 5 つで、その円の直径が 112mm という意味になる。PCD が違うホイールはボルト穴の位置が合わない。
ET(オフセット)とは
ET(オフセット・インセット)は、ホイールの取り付け面がリム幅の中心からどれだけ離れているかを mm で表した値だ。ET の数値が小さいほどホイールは外側へ出る。小さくしすぎるとフェンダーからはみ出し、大きくしすぎるとホイールの内側が足回りの部品に当たる。
ハブ径とハブリング
ハブ径はホイールの中心の穴の直径だ。車のハブより中心穴が大きいホイールは、ハブリングで隙間を埋めて中心を合わせる。
純正より何 mm 外へ出るかの計算
幅が同じなら、ET が 1mm 小さくなるごとにホイール全体が外へ 1mm 出る。ET が同じなら、幅が 1 インチ(25.4mm)広がるごとに外側と内側へ約 12.7mm ずつ張り出す。純正の前 9.5J×19 ET20 を起点にすると次のとおりだ。
| 前ホイールの例 | 外側 | 内側 |
|---|---|---|
| 9.5J ET15 | 5mm 出る | 5mm 引っ込む |
| 10.0J ET20 | 約 6.4mm 出る | 約 6.4mm 張り出す |
| 10.0J ET15 | 約 11.4mm 出る | 約 1.4mm 張り出す |
| 9.5J ET20+5mm スペーサー | 5mm 出る(ET15 相当) | 5mm 引っ込む |
後ろも同じく、純正の 10.5J×20 ET20 と比べて計算する。表は動く量の計算の例で、そのサイズが無加工で付くことや車検に通ることを示すものではない。外側の数字はフェンダーとのはみ出し、内側の数字は足回りとの干渉を見るときに使う。
ハブ径とホイールボルトの注意
ハブ径は、海外のタイヤ販売店の G81(2022 年〜)の適合表が 66.6mm、ホイール適合のデータベースの G80/G81 の欄が 66.5mm と分かれている。差は 0.1mm だが、どちらか一方の値だけで買う物を決めず、ホイールやハブリングの適合表の G81 の欄と現物で確かめる。
中心穴が大きい社外ホイールにはハブリングが要る。米国の BMW 向け部品販売店の解説によると、ハブリングが無いとホイールの中心がハブでなくボルトで決まり、高速で振動が出る元になる。
ホイールはナットではなくボルトで留める方式で、ねじは M14×1.25(呼び径 14mm・ピッチ 1.25mm)だ。締め付けトルクは、海外のタイヤ販売店の G81 の適合表とホイール適合のデータベースの G80/G81 の欄に 140N·m と載るが、BMW の公式の資料では確かめられていない。締めるときは取扱説明書か整備の資料の指定値を確かめてほしい。
ホイールスペーサーを使うときの注意
スペーサーはハブとホイールの間に挟んで取り付け面を外へ移す部品なので、厚み分だけ ET を小さくしたのと同じ動きになる。純正の前 9.5J×19 ET20 に厚さ 5mm を入れれば ET15 相当だ。
BMW 向けスペーサーの販売店の解説と BMW 向け部品の販売店の説明では、ボルト留めの BMW でスペーサーを使うと、純正のボルトではねじのかかりが足りなくなるので、スペーサーの厚み分だけ長いボルトが要るとされる。ただし長すぎるボルトはハブの奥の ABS センサーやパーキングブレーキの機構に当たるおそれがある。ねじ込みの目安として、締め付けるまでに少なくとも 7 回転(できれば 8 回転)かかる長さ、とする解説もある。これは G81 専用の値ではなく、ボルト留めの BMW 全般の注意だ。
ブレーキの装備とセンターロック式ホイール
BMW 英国の純正部品ショップの部品表では、G81 に適合と載る純正ホイールの選び分けの条件に、M カーボンセラミックブレーキ(装備コード 02NK)の有無が載る。ブレーキの装備によって合うホイールが変わりうるので、社外ホイールはホイール側の適合表でブレーキとの逃げ(隙間)を確かめる。
BMW の M Performance パーツの発表資料では、M3 ツーリング向けの Y スポークの M Performance 鍛造ホイール(ジェットブラックのマット)は前 19・後 20 インチで、すべてセンターロック式だ。クロススポークの M Performance 鍛造ホイールは前 20・後 21 インチとされる。センターロック式は 1 本の中心の締結で留める方式で、5 本のボルトで留める一般のホイールとは取り付けの仕組みが違う。M Performance の鍛造ホイールを選ぶときは、センターロック式かどうかを先に確かめる。
車検のはみ出しはタイヤだけ 10mm 未満
乗りものニュースの報道によると、2017 年 6 月 22 日から、ハンドルを直進方向にした状態で、タイヤ中心から前方 30 度・後方 50 度の範囲で、はみ出しが 10mm 未満なら認められるようになった。対象はタイヤだけで、ホイールのはみ出しは認められない。ET を小さくするときは、リムがフェンダーの内側に収まるかを先に見ておく。
先代 F80 の M3 とは PCD が違う
BMW 向けスペーサーの販売店の解説では、先代の M3(F80・2014〜2018 年)は PCD 5×120・中心穴 72.5mm とされ、G81 の PCD 5×112 とは違う。F80 用のホイールやスペーサーは G81 にはそのままでは合わない。「BMW M3 用」とだけ書かれた部品は、どの世代向けかを確かめよう。
社外ホイールを選ぶときの確かめの順
- PCD が 5×112 で、ボルト留め(M14×1.25)に合うか
- 中心穴がハブ径(資料で 66.6mm と 66.5mm に分かれる)より大きければ、合うハブリングを用意する
- 幅と ET を純正(前 9.5J×19 ET20・後 10.5J×20 ET20)と比べ、外側と内側に何 mm 動くかを計算する
- ブレーキの装備(M カーボンセラミックブレーキの有無など)との逃げを、ホイール側の G81 の適合表で確かめる
- 前用と後用を分けて選ぶ
- タイヤのはみ出しは 10mm 未満まで、ホイールははみ出させない
- 純正の品番は VIN で確かめる
迷ったら 3 の計算から始めると、候補のサイズが純正からどれだけ離れているかがすぐ分かる。
よくある質問
先代 F80 のホイールは付く?
そのままでは付かない。販売店の解説で F80 は PCD 5×120 とされ、G81 の 5×112 と違う。
ハブ径は 66.6mm と 66.5mm のどちら?
資料で分かれており、どちらとも決められない。海外のタイヤ販売店の適合表は 66.6mm、ホイール適合のデータベースは 66.5mm だ。ハブリングやホイールは、それぞれの適合表の G81 の欄と現物で選ぶ。
スペーサーは純正ボルトのまま使える?
BMW 向けスペーサーの販売店の解説では、ボルト留めの BMW は純正ボルトだとねじのかかりが足りなくなり、厚み分長いボルトが要るとされる。長すぎても奥の部品に当たるので、長さはスペーサー側の案内で選ぶ。
ホイールがフェンダーから少し出てもよい?
認められていない。乗りものニュースの報道では、直進状態でタイヤ中心から前方 30 度・後方 50 度の範囲で 10mm 未満のはみ出しが認められるのはタイヤだけだ。
セダンの G80 と純正ホイールは同じ?
BMW 英国の純正部品ショップの部品表では、G81 に適合と載る前 19 インチ(品番 36108093836)と後 20 インチ(品番 36108093833)は、同じ品番が G80 M3 セダンや G82/G83 M4 の欄にも適合と載る。ただし同じ部品表でも適合は装備の条件で分かれるので、品番は VIN で確かめる。セダンのタイヤ交換は次の記事にまとめている。
まとめ:購入前に見る項目
- PCD は 5×112、ボルト留めで M14×1.25(海外のタイヤ販売店の適合表・ホイール適合のデータベース)
- 純正は前 9.5J×19 ET20・後 10.5J×20 ET20(BMW 英国の純正部品表・欧州仕様の表示。日本の個体は VIN で確認)
- ハブ径は 66.6mm と 66.5mm に分かれるので、適合表と現物で確かめる
- 社外ホイール・スペーサーは純正からの出っ張りを計算し、ブレーキとの逃げは適合表で見る
- はみ出してよいのはタイヤだけで、直進状態でタイヤ中心から前方 30 度・後方 50 度の範囲の 10mm 未満まで

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