M3 ツーリング(G81)のタイヤ交換は、同じタイヤ・ホイールを元の位置へ付け直す季節の履き替えか、別のホイールのセットに替えるかで、先に確かめることが少し変わる。どちらにも共通するのは、ジャッキをかける位置を自分の車の取扱説明書の図で確かめること、前後でサイズが違うタイヤを元の位置に戻すこと、決まったトルクで締めて走った後に確かめ直すことの3つだ。別のホイールへ替えるなら、ここにサイズとボルトの規格の照らし合わせが加わる。
G81 のタイヤ交換で最初に押さえる3点
- ジャッキポイントは自分の車の取扱説明書の、車載ジャッキの支持点の図で確かめる。 手元にある公式の手順は M3 セダンの英語版の取扱説明書のもので、G81 の支持点の位置・数・形は、今回の調べでは G81 の資料で確かめられていない。
- 標準のタイヤとホイールは前後でサイズが違う。タイヤ販売店の G81 のホイールの仕様表では、前 275/35R19・後ろ 285/30R20。
- 締め付けトルクは、タイヤ販売店の G81 の仕様表で 140 Nm。作業の前に自分の車の取扱説明書の値も確かめる。
この3つを外さなければ、残りは普通のタイヤ交換と同じ流れで進められる。
日本の G81 の基本仕様と車両重量
日本での発売を伝えた記事では、G81 は「M3 コンペティション M xDrive ツーリング」として 2023 年 1 月 20 日に発売された。右ハンドルで、駆動方式は M 専用の4輪駆動「M xDrive」だ。ジャッキ選びで見るのは車両重量になる。
| 項目 | 2023 年 1 月の日本発売時の値 |
|---|---|
| 変速機 | ドライブロジック付きの 8 速 M ステップトロニック(8 速 AT) |
| エンジン | 直列 6 気筒 3.0 リッター ツインパワーターボ(ガソリン) |
| 最高出力・最大トルク | 510PS(375kW)・650Nm |
| 車両重量・車両総重量 | 1,870 kg・2,145 kg |
| 全長×全幅×全高 | 4,805×1,905×1,450 mm |
| ホイールベース | 2,855 mm |
2023 年 1 月の日本発売時の諸元で、車両重量は 1,870 kg。 ジャッキの能力はこの値を見て選ぶ。
前後で違うタイヤとホイールのサイズ
前 19 インチ・後ろ 20 インチの組み合わせ
タイヤ販売店の G81 のホイールの仕様表では、標準のタイヤとホイールは次のとおり前後でサイズが違う。
| 位置 | タイヤ | ホイール |
|---|---|---|
| 前 | 275/35R19 | 19×9.5J |
| 後ろ | 285/30R20 | 20×10.5J |
欧州の仕様の一覧では前 275/35 ZR19 100Y XL・後ろ 285/30 ZR20 99Y XL で、2022〜2024 年の 375 kW の型も、2024 年からの 390 kW の型も同じサイズだ。
前後でタイヤの幅と径、ホイールの径と幅が違うので、前後のタイヤ・ホイールを入れ替えて付けることはできない。 外したタイヤ・ホイールは、前後・左右のどこに付いていたかが分かるように印を付けて置いておく。
日本での発売を伝えた記事には、タイヤとホイールのサイズの記載が無い。上の値は海外の販売店と欧州の仕様の一覧のものなので、替えのタイヤやホイールを選ぶ前に、自分の車に付いているサイズをタイヤの側面の表示と車両の取扱説明書で確かめる。
4 本そろえて替える理由
タイヤ販売店の G81 の案内は、4輪駆動(xDrive)の車なので、タイヤは4本をそろえて替える・銘柄を混ぜない・外径(転がる径)をそろえる・荷重指数の合うタイヤにする、としている。守らないと、トランスファーケースの損傷・4輪駆動の釣り合いの乱れ・摩耗の増加が起こり得る、とも書いている。替えのタイヤを買うなら、4本1組で考えておくのがよい。
ジャッキポイントの確かめ方
取扱説明書の支持点の図で確かめる
M3 セダンの英語版の取扱説明書(2020 年 10 月の版)では、車載ジャッキの支持点は図に示した位置にあるとし、交換する車輪にいちばん近い支持点の四角いくぼみに車載ジャッキを差し込む、と書いている。ただし、これは M3 ツーリング(G81)の取扱説明書ではない。G81 の支持点の位置・数・形は、今回の調べでは G81 の資料で確かめられていない。
G81 では、自分の車の取扱説明書を開き、車載ジャッキの支持点の図で位置を確かめてからジャッキをかける。 セダンと同じだろうと見込んで床下の別の所に当てるのはやめておく。
車載ジャッキや工具の有無も車ごとに見ておく。M3 セダンの英語版の取扱説明書は、装備によっては車から交換用の工具と応急用のタイヤを取り出す、と書いており、積まれているかどうかは装備次第としている。G81 に車載ジャッキ・工具・応急用のタイヤが積まれているかは、今回の調べでは確かめられていない。自分の車の荷室と取扱説明書で確かめる。
セダン側の手順は次の記事にまとめてある。
低い車に合うジャッキの選び方
欧州の仕様の一覧では、M3 ツーリングの最低地上高は 123 mm(2022〜2024 年の 375 kW の型、2024 年からの 390 kW の型とも)。日本仕様の値は、今回見た日本の資料には書かれていない。
ガレージジャッキを使うなら、この最低地上高より低い位置に差し込める、背の低いジャッキを選ぶ。受け皿の形が車の支持点に合うかも確かめ、合わないときは支持点を傷めないように当て物を合わせる。
ジャッキの能力(定格の荷重)は、車両重量(日本発売時の諸元で 1,870 kg)に対して余裕のある物を選び、能力の表示はジャッキのメーカーの説明書の値で確かめる。
ジャッキをかける前の準備
M3 セダンの英語版の取扱説明書は、タイヤ交換の準備として次を挙げている。M3 ツーリングの取扱説明書ではないが、どの車にも通じる準備だ。
- 交通から離れた、固くて滑りにくい地面に止める
- ハザードランプを点ける
- パーキングブレーキをかけ、ギアを P にする
- 乗っている人を降ろし、安全な所で待ってもらう。必要なら停止表示板を置く
- 転がりを防ぐ手を加える(ゆるい下り坂では両方の軸の車輪に輪止め)
- 車を上げる前に、各ボルトを半回転ゆるめておく
ジャッキだけで支えた車の下に体を入れない。 車の下に入る作業が要るときはジャッキスタンド(リジッドラック)で支え、支える位置は取扱説明書の指定に従う。ジャッキを操作するときは、手や指を挟まないよう手を置く位置を変えない。M3 セダンの取扱説明書もこの危険を警告している。
ロックボルトも先に見ておきたい。M3 セダンの英語版の取扱説明書は、ロック付きのボルトはコードの合う専用のアダプターでしか外せないとしている。G81 にロックボルトが付いているかは車ごとに違い得るので、作業の前に自分の車のボルトと、専用アダプターの置き場所(車載工具の中など)を確かめる。
タイヤを外して付ける手順
ここで挙げる流れは M3 セダンの英語版の取扱説明書の手順で、M3 ツーリング(G81)の取扱説明書のものではない。上げる高さと支持点は、自分の車の取扱説明書で確かめる。
少しだけ浮かせて外す
- ジャッキの足を支持点の下でまっすぐに立てる
- ジャッキが支持点を受けたら手を離し、クランクを回し続けて、車輪が地面から少し浮くところまで上げる(セダンの取扱説明書は最大 3 cm としている)
- ボルトとホイールを外す
外したタイヤ・ホイールには、どの位置に付いていたかの印をその場で付ける。前後でサイズが違うので、戻す位置を取り違えないことが大事だ。
手で仮に締めてから下ろして本締め
- 新しいホイールを当て、少なくとも2本のボルトを手で対角の順にねじ込む
- 残りのボルトも手で入れ、対角に締める
- ジャッキを下げて車を下ろし、ジャッキを外して片付ける
- ボルトを対角の順に 140 Nm で締め、校正したトルクレンチで締め付けを確かめる
純正以外のアルミホイールに替えるときは、そのホイールに付属するボルトが要る場合がある、とセダンの取扱説明書は書いている。
締め付けトルクと締め直し
タイヤ販売店の G81 のホイールの仕様表では、取り付けの規格は PCD 5×112・ハブ径 66.6 mm・ホイールボルトのねじ M14×1.25 で、締め付けトルクは 140 Nm。M3 セダンの英語版の取扱説明書(M3 ツーリングの取扱説明書ではない)も、ホイールボルトを対角の順に 140 Nm で締めるとしている。140 Nm は G81 の取扱説明書で確かめた値ではないので、自分の車の取扱説明書の値も見てから締める。 別のホイールを選ぶときは、この規格と照らし合わせる。
締め方について、タイヤ販売店の G81 の案内は次の3つを挙げている。
- ボルトを星形(対角)の順に締める
- タイヤとホイールが冷えた状態で締める
- 50〜100 km 走った後に締め付けを確かめ直す(高速で走った後は特に)
締め付けが正しくないと振動や安全の問題の元になる、とも書いている。トルクレンチは作業の日に手元に用意しておきたい。
交換の後に確かめること
M3 セダンの英語版の取扱説明書は、交換の後、早めに空気圧を確かめて合わせ、タイヤ空気圧の警告の仕組みを初期化(リセット)するとしている。G81 での初期化の操作と指定の空気圧は、自分の車の取扱説明書で確かめる。
あわせて、50〜100 km 走ったら締め付けを確かめ直す。締め直しても走行中の振動や音が気になるなら、原因を順に切り分けたい。
よくある質問
前と後ろのタイヤを入れ替えられますか
入れ替えられない。タイヤ販売店の仕様表と欧州の仕様の一覧では、G81 の標準は前 275/35R19・後ろ 285/30R20 で、タイヤの幅と径、ホイールの径と幅が前後で違う。自分の車のサイズはタイヤの側面の表示で確かめる。
タイヤは 2 本だけ替えてもよいですか
タイヤ販売店の G81 の案内は、4輪駆動(xDrive)の車なので4本をそろえて替え、銘柄を混ぜず、外径をそろえるとしている。2本だけ替えるより、4本そろえる方を選ぶ。
ホイールボルトの締め付けトルクはいくつですか
タイヤ販売店の G81 の仕様表で 140 Nm。M3 セダンの英語版の取扱説明書(M3 ツーリングの取扱説明書ではない)も 140 Nm としている。G81 の取扱説明書で確かめた値ではないので、自分の車の取扱説明書の値も確かめる。
ジャッキはどのくらいの能力の物を選べばよいですか
2023 年 1 月の日本発売時の諸元で車両重量は 1,870 kg なので、これに対して余裕のある能力の物を選ぶ。差し込める高さの見方は「ジャッキポイントの確かめ方」の節を見てほしい。
ロックボルトはどうやって外しますか
M3 セダンの英語版の取扱説明書は、ロック付きのボルトはコードの合う専用のアダプターでしか外せないとしている。G81 にロックボルトが付いているかは車ごとに違い得るので、自分の車のボルトとアダプターの置き場所を作業の前に確かめる。
まとめ:作業の前に確かめる点
- 自分の車の取扱説明書の、車載ジャッキの支持点の図でジャッキポイントを見たか(G81 の支持点は、今回の調べでは G81 の資料で確かめられていない)
- タイヤの側面の表示で自分の車の前後のサイズを見たか(タイヤ販売店の G81 のホイールの仕様表では前 275/35R19・後ろ 285/30R20)
- 外したタイヤに付いていた位置の印を付ける用意があるか
- ジャッキは差し込める低さと、車両重量に対する能力の余裕があるか
- ロックボルトの有無と専用アダプターの置き場所を見たか
- 締め付けはタイヤ販売店の G81 の仕様表の 140 Nm で対角に、取扱説明書の値も照らしたか
- 50〜100 km 走った後の締め直しと、空気圧の確かめを予定に入れたか
同じ G81 のほかの手入れも、あわせて見ておくとよい。

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