M3 ツーリング(G81)のオイル交換は、何 km ごとと一律に決まっておらず、同じ G81 でも街乗り中心かサーキットを走るかといった使い方で次の時期が変わる。量と規格も、見つかる数字の多くは同じエンジンを積む M3 セダン(G80)向けのもので、自分の G81 の指定とは分けて読む必要がある。自分の車の表示で分かることと、取扱説明書やディーラーで確かめることを分けて押さえていこう。
G81 のオイル交換の時期・量・規格の要点
先に答えをまとめておく。
- 交換時期は、車両が走行条件などから計算してサービス・インターバルの表示で知らせる方式で、決まった走行距離では決まらない(ベストカーWeb の 2018 年の記事や webCG の 2012 年の取材による)。次の時期は自分の車の表示で確かめる。
- オイル量は、同じ S58 エンジンの M3 セダン(G80)向けの海外の情報で約7L とされる。G81 を名指しした数字ではなく、BMW の G81 の取扱説明書の値でもない。
- 規格と粘度は、G80 向けの出典どうしで「5W-30・BMW Longlife-01 FE」と「0W-30・BMW LL-04」に食い違っている。どちらも G81 を名指ししていない。
- 量・規格・粘度は、取扱説明書や整備手帳で自分の車の指定を確かめ、分からなければ正規ディーラーに車台番号で確かめてもらう。
M3 ツーリング(G81)のエンジンと登場時期
BMW の 2022 年6月の発表資料では、M3 ツーリングは M TwinPower Turbo の直列6気筒エンジン(最高出力 375kW/510hp・最大トルク 650Nm)に、Drivelogic 付きの8速 M ステップトロニックと四輪駆動の M xDrive を組み合わせ、Competition の M xDrive の仕様だけが用意された。ドイツの自動車誌 AUTO BILD は、このエンジンを S58 のツインターボ直列6気筒、車両の社内の型式を G81 と伝えている。
発表資料によると、M3 ツーリングは 2022 年9月に受注が始まり、2022 年11月の生産開始とともに市場に出るとされ、ミュンヘン工場で M3 セダンと並んで生産される。AUTO BILD は、最初の車両が 2022 年12月から市場に出ると伝えている。
オイルにかかわるところでは、BMW の発表資料によると、M3 ツーリングのエンジンの冷却とオイル供給の系統は、サーキットでの非常に大きな前後・横方向の力に耐えるように設計されている。オイルの量や規格を調べると G80 の情報に行き当たりやすいのは、G80 も同じ S58 を積んでいるからだ。
交換時期は車が計算して表示する
BMW のオイル交換の時期は、決まった走行距離で一律に決まるのではない。車両が走行条件などから交換時期を計算し、サービス・インターバルの表示で知らせる方式だ。ベストカーWeb の 2018 年の記事はこれを「走行条件に応じた交換サイン」と説明し、webCG の 2012 年の取材で BMW ジャパンの技術担当者は「クルマ自体が計算しています。あとどのくらいで交換が必要なのかは、インジケーターに表示されます」と答えている。G81 の次の交換時期は、自分の車の表示で確かめるのが出発点になる。
2万5000km や 24カ月という数字の読み方
ベストカーWeb の 2018 年の記事は、BMW などは 2万5000km という突出した距離が指定されているが、単純に走行距離で管理しているのではなく走行条件に応じた交換サインで、何が何でも 2万5000km というわけではない、と説明している。同じ記事の写真では、当時の 3シリーズの 1台で交換時期が 1万5000km と表示されており、表示は車ごとに違う。どちらの数字も M3 や G81 についての記載ではない。
webCG の 2012 年の取材では、BMW ジャパンの技術担当者が、交換時期の計算でいちばん重要なのはインジェクターの開弁時間の積算だと述べ、「BMWでは24カ月たったら交換するようにしています」「走行距離はあくまでも目安ということです」と説明した。これは 2012 年当時の説明で、G81 の今の指定として読まないほうがいい。数字だけを覚えて表示を見ないのが、いちばん外れやすい付き合い方だ。
オイルの量を測る道具
ベストカーWeb の 2018 年の記事は、最近の BMW 車にはエンジンオイルの汚れやオイルレベルを測るためのオイルレベルゲージが無く、車内の画面でオイル量を量ることができ、オイル交換時期も教えてくれると紹介している。G81 を名指しした記載ではないので、G81 でのオイル量の確かめ方は取扱説明書で確かめる。
表示より早めの点検を考えたい乗り方
JAF の解説では、エンジンオイルの交換時期はクルマの種類や使用状況によって異なるので、取扱説明書等で確かめるよう勧めている。次のようなシビアコンディションでは、通常より短い間隔が求められることがある。
- 悪路走行が多い
- 走行距離が多い
- 山道の上り下りが頻繁
- 短距離の繰り返し
- 低速走行が多い
条件は自動車メーカーが定めて、整備手帳に載っている。JAF は、ターボ車はエンジンの負荷が高く、オイルの管理がより大切だとも説明している。webCG の 2012 年の記事で筆者は、日本の渋滞やストップ&ゴーの多さが、ドイツでの走行とはオイルの劣化の度合いを大きく変えると指摘している。
G81 はツインターボだ。通勤の渋滞や近所への短い移動が多い使い方で、整備手帳のシビアコンディションの条件に当てはまるなら、表示を待つだけにせず早めの点検を考えたい。オイルが汚れて見える・減りが早い・漏れが疑われるときは、JAF の勧めのとおり整備工場やディーラーで点検を受ける。
オイル量の目安と、その数字の出どころ
オイル量は、同じ S58 エンジンを積む M3 セダン(G80)向けの海外の情報で約7L とされている。
- 米国の BMW 専門店 Kies Motorsports の G80 M3 向けオイル交換ガイド(フィルター交換を含む作業)は、「S58 エンジンの G80 M3 は 7 リットルの 5W-30 を使う」と書いている。
- BMW の情報サイト BimmerTalk の G80 のページは、7L(7.4 クォート)としている。フィルター込みかどうかは書かれていない。
どちらも M3 ツーリング(G81)を名指しした数字ではなく、BMW の G81 の取扱説明書の値でもない。オイルを買う量の見当をつける材料にはなるが、入れる量は自分の車の取扱説明書や整備手帳で確かめる。G80 側の詳しい情報は次の記事にまとめている。
入れるオイルの規格と粘度の確かめ方
S58 エンジンの M3(G80)向けのオイルの規格と粘度は、出典によって記載が食い違う。
| 出典 | 粘度 | 規格 |
|---|---|---|
| Kies Motorsports の G80 M3 向けガイド | 5W-30 | BMW Longlife-01 FE の認証 |
| BimmerTalk の G80 のページ | 0W-30 | BMW LL-04 |
どちらも G81 を名指ししていないので、G81 に入れる規格と粘度を、このどちらかに決めてしまわないほうがいい。
選ぶ基準は銘柄より、自分の車が指定する BMW のロングライフ規格の承認と粘度が、容器の表示(裏のラベル)に書かれているかだ。BimmerTalk も、オイルを買うときに容器の裏のラベルで規格を確かめるよう勧めている。指定そのものは、量と同じく取扱説明書かディーラーで確かめる。
自分で交換するときの流れ(G80 向けガイドの例)
ここで紹介するのは、Kies Motorsports の G80 M3 / G82 M4 / G83 M4 向けのオイル交換ガイドの内容で、M3 ツーリング(G81)は対象として名指しされていない。G81 も同じ S58 エンジンだが、エンジンまわりの部品の配置や締め付けトルクが同じかは、ここで使った出典では確かめていない。作業の前に実車と取扱説明書で確かめ、不安があれば整備工場やディーラーに任せる。
必要な工具
Kies Motorsports の G80 M3 向けガイドが挙げる道具は次のとおり。
- 車高の低い車に入るフロアジャッキ
- ジャッキスタンド
- 廃油の受け皿
- 17mm のソケット
- 32mm のソケット
- T6 のトルクス
- トルクレンチ
- ピックツール
オイルを抜く
同じガイドの抜き取りの流れは次のとおり。
- オイルが早くよく抜けるよう、給油口のキャップを外す
- ドレンプラグのカバーを反時計回りに回して外し、17mm のドレンプラグを外す
- オイルが抜けている間に、ドレンプラグのクラッシュワッシャーを、オイルフィルターに付いてくる新品に替える
- ドレンプラグを 25N·m で締め、樹脂のカバーを戻す
25N·m は G80 M3 向けガイドの値で、G81 で同じかは確かめていない。
オイルフィルターを替える
- 冷却水のリザーバータンクを留める T6 トルクスのねじ 2本を外し、タンクを避ける
- 32mm のソケットでオイルフィルターのキャップを外す(ハウジングの根元にタオルを置いて垂れを受ける)
- キャップから古いフィルターを外し、新しい O リングを正しい溝に付ける
- 新しいフィルターをキャップに付け、小さい O リングに新しいオイルを塗る
- フィルターの切り欠きをハウジングの穴に合わせる
- キャップを 25.5N·m で締め、リザーバータンクのねじ 2本を戻す
25.5N·m も同じく G80 M3 向けガイドの値だ。フィルターは、ディーラーか部品商に車台番号で G81 用を出してもらうのが手堅い。
新しいオイルを入れる
同じガイドの最後の流れは、エンジンに新しいオイルを入れ、給油口のキャップを戻すこと。同じガイドには、オイル交換の後にサービスの表示をリセットする節もある。G81 で入れる量と表示のリセットのやり方は、取扱説明書で確かめる。
同じ BMW の M モデルのオイル交換は、次の記事も参考になる。
ディーラーや整備工場に任せるかの判断
webCG の 2012 年の取材で、BMW ジャパンの技術担当者は、純正以外のオイルやフィルターを使うと劣化が早まるおそれがあるとして、「基本、とにかく正規ディーラーに持っていってください」と勧めていた。2012 年当時の説明だが、規格の選び方から表示のリセットまでまとめて任せられる。
自分で作業するなら、車高の低い車をジャッキで上げ、冷却水のタンクを避けてフィルターを替える手間がかかる(G80 向けガイドの例)。工具がそろっていない、締め付けトルクを G81 の指定で確かめられない、という状態なら、ディーラーか整備工場に任せるほうが早い。オイルの汚れ・減り・漏れが気になるときも、交換と一緒に点検を頼める。
よくある質問
交換は何kmごと?
決まった距離では決まらない。車両が走行条件などから計算し、サービス・インターバルの表示で知らせる方式だ。2万5000km や 24カ月といった数字は、別の車や 2012・2018 年当時の説明で、G81 の指定ではない(上の「交換時期は車が計算して表示する」の節を参照)。
オイルは何リットル入る?
同じ S58 エンジンの M3 セダン(G80)向けの海外の情報では約7L とされている。G81 を名指しした数字ではなく、BMW の G81 の取扱説明書の値でもないので、入れる量は取扱説明書かディーラーで確かめる。
どのオイルを選べばいい?
G80 向けの出典で「5W-30・BMW Longlife-01 FE」と「0W-30・BMW LL-04」に分かれ、どちらも G81 を名指ししていない。自分の車が指定する BMW のロングライフ規格の承認と粘度が、容器の裏のラベルに書かれているものを選ぶ。
オイルの量はどこで確かめる?
ベストカーWeb の 2018 年の記事は、最近の BMW 車はオイルレベルゲージが無く、車内の画面でオイル量を量れると紹介している。G81 を名指しした記載ではないので、G81 での確かめ方は取扱説明書を見る。
まとめ:まず実車の表示を見る
最初にやることは、G81 の実車でサービス・インターバルの表示を見て、次の交換時期を自分の車で確かめることだ。そのうえで、取扱説明書や整備手帳で入れる量・規格・粘度の指定を確かめ、分からなければ車検証の車台番号を控えて正規ディーラーに確かめてもらう。
- 時期:車両の表示で決まる
- 量:G80 向けの海外の情報で約7L(G81 を名指しした値ではない)
- 規格・粘度:出典で食い違うので、容器の裏のラベルが自分の車の指定と合うかを見る
オイルと一緒に、ほかの消耗品も確かめておこう。

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