F82型のM4のオイル交換は、時期はCBS(コンディション・ベースド・サービス)の表示を基本に決め、量は標準車で6.5Lを目安にすればよい。ただし6.5Lは海外のBMW専門サイトと部品店が示す値で、メーカーの公式資料では確かめられていない。粘度は海外のBMW専門サイトBMWBLOGが5W-30を指定としているが、日本で売られたF82 M4の取扱説明書の指定は確かめられていない。以下で、時期の決め方、量と規格の注意、自分で替えるときの部品と手順を順に見ていく。
F82 M4のオイル交換の時期・量・粘度の早わかり
先に要点を表にまとめる。量と粘度はどれも海外の出典による値なので、根拠の欄もあわせて見てほしい。
| 項目 | 目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 交換の時期 | CBSの表示に従う | 走り方で表示の距離が変わる |
| オイルの量(標準車) | 6.5L | BMWBLOG・FCP Euro(公式資料ではない) |
| 粘度 | 5W-30 | BMWBLOG(日本の取扱説明書の指定は確かめられていない) |
海外のBMW専門サイトBMWBLOGの作業記事では「BMWは6.5L(約6.9クォート)を指定」と書かれ、米国の欧州車部品販売店FCP Euroの車種情報も標準のF82 M4を6.5Lとしている。この6.5Lがオイルフィルター交換を含む量かどうかは、BMWBLOGにもFCP Euroにも書かれていない。BMWBLOGによれば、取扱説明書には粘度の記載はあっても量の記載は無かったという。
対象になるF82 M4とS55型エンジン
BMW ジャパンの発表によると、M4クーペは2014年2月19日にM3セダンと同時に注文受付が始まり、納車は2014年7月からの予定とされた。エンジンは3.0リッター直列6気筒DOHCのMツインパワー・ターボで、最高出力431ps、最大トルク550Nm(いずれもヨーロッパ仕様車の値)。変速機は6速MTと7速M DCTだ。なお、この発表にはエンジンオイルの量や規格の記載は無い。
米国の欧州車部品販売店FCP Euroの車種情報では、F82 M4の生産は2014年6月から2020年6月までの6年間。同店は2015〜2020年式と表記しているが、これは米国の年式の数え方だ。米国のBMW部品専門店BimmerWorldの説明では、エンジンはS55型である。
特別仕様のM4 CSとM4 GTSはオイルの量が標準車と違う。自分の車がどちらかで入れる量が変わるので、次の「オイルの量」の節で確かめてほしい。
オイル交換の時期の決め方
F82 M4には「何kmごと」という一律の決まりを当てはめるより、CBSの表示を軸に、使い方に合わせて早めるかを決めるのが筋だ。
CBSの表示の見方
BMWのCBSを解説した海外の整備情報サイトによると、CBSはエンジンオイルの寿命を監視しており、エンジン制御のコンピューター(DME)が燃料の消費とオイルの状態をもとに交換時期を示す。オイルパンの底にあるオイル品質センサーの情報も使う。表示はメーターに出る車と、iDriveの「設定」から「サービス」を選んで見る車がある。アイコンで表示する車では、オレンジが通常、黄が交換時期、赤が期限超過だ。これはBMW全般の解説で、M4専用の説明ではない。
表示の距離の例として、BMWBLOGの2015年式M4(米国の車)では、サービス表示がおよそ1万5,000マイル(1マイル約1.6kmで換算して約2万4,000km)でのオイル交換を示していた。走り方で表示の距離は変わる。
表示より早めに替える考え方
米国のBMW部品専門店BimmerWorldの説明では、LL-01のオイルが長い交換間隔で承認されていても、予防として5,000〜6,500マイル(約8,000〜1万500km)での交換を勧めている。サーキット走行や性能を上げる改造をした車には、純正とは別銘柄のオイルを勧めている。
負担の大きい使い方のとき
JAFの解説では、交換時期は車の種類や使い方で違うので取扱説明書等で確かめるよう勧めたうえで、一般的な目安としてガソリンターボ車は1万kmまたは6カ月、シビアコンディションでは5,000kmまたは3カ月を示している(2025年7月時点の表)。シビアコンディションに当たるのは、走行距離が多い、悪路・山道・短距離・低速の走行が多い場合などだ。目安の範囲内でも、汚れや減りが激しいときは交換が要るとしている。
選び方をまとめると、街乗り中心ならCBSの表示に従う、エンジンを長く持たせたいなら専門店の考え方で表示より早めに替える、サーキット走行や短距離の走行が多いなら早める、の3つになる。どれを取るかは自分の車の使い方で決める。
オイルの量
標準のF82 M4は、前述のとおりBMWBLOGとFCP Euroが6.5Lとしている。BMWBLOGは、抜いたオイルを受けるために少なくとも7L入る容器を用意するよう勧めている。BimmerWorldのオイル交換キットには7Lのオイルが入っているが、これはキットに入れた量で、エンジンの規定量ではない。
M4 CSとM4 GTSは、FCP Euroによればオイル量が7.0Lで、標準車より500mL多い。BimmerWorldも、GTSとCSはオイルレベルセンサーとスペーサーの組み合わせを変えて0.5L増やしていると説明する。同店によれば、そのGTS/CS用のセンサーは標準のM3/M4にはそのまま付けられない。
標準のF82 M4に多めに入れても、油量は増やせない。BimmerWorldの説明では、純正の電子式オイルレベルセンサーは決まった油面に合わせて付いているためだ。同店はセンサーとアルミのスペーサーを組み合わせて3/4L増やす部品を売っており、その場合の総量を7.25Lとしているが、これは部品を替えた場合の話で、標準の車に規定量より多く入れてよい根拠にはならない。
オイルの規格と粘度の選び方
BMWBLOGの2015年の記事は、BMWが新しいM4に5W-30を指定しており、取扱説明書にも粘度は5W-30と記載されていると書いている。FCP Euroは、F82 M4(標準車・CS/GTSとも)の推奨オイルを0W-30と5W-30のBMW Longlife-01(LL-01)とLL-01 FEとしている。BimmerWorldも、交換キットに入れたBMW純正の0W-30はLL-01とLL-01 FEの承認品だと説明している。
ただし、これらは海外の作業記事と部品店の説明によるもので、日本で売られたF82 M4の取扱説明書に書かれた指定は、確かめられていない。JAFの解説では、エンジンオイルは取扱説明書に記載のものを推奨しており、指定のオイルを使わないと車本来の性能を発揮できないことがあるという。粘度の「0W」などWの前の数字は低温時の流れやすさ、Wの後の数字は高温時の粘度を表し、安易に変えると高い負荷がかかったときの保護や始動性・燃費に影響することがある。迷ったら5W-30を選び、0W-30などほかの粘度にするなら取扱説明書かディーラーで指定を確かめるのが確実だ。
交換で用意する部品と工具
用意するもの
BMWBLOGの2015年式M4の作業をもとにすると、用意するものは次のとおり。
- オイルフィルターキット(純正。BMWBLOGの部品リストでは部品番号11 42 7 854 445)とガスケット2つ
- 新しいドレンプラグ
- 86mmのフィルターハウジング用工具
- トルクレンチ
- 7L以上入る廃油の受け皿とじょうご
- 新しいオイル
BMWBLOGでは、ドレンプラグは8mmの六角で、つぶしワッシャーが外せない一回きりの部品だったため新品に替えている。BimmerWorldも、BMWは交換のたびに新しいドレンプラグを使うよう勧めていると書いている。
年式で違う部品に気をつける
部品を買う前に気をつけたいのが年式の違いだ。BimmerWorldは、2014年型のM3/M4は外せないシールワッシャー付き、2015年型は別のオイルパンで一般的なドレンプラグ(キット付属のワッシャーを使う)と説明する。一方、2015年式M4で作業したBMWBLOGはワッシャーが外せない使い捨てのドレンプラグだったと書いており、出典どうしで年式の書き方が揃わない。どちらも米国の年式の表記だ。またBimmerWorldによれば、2014年9月より前に生産されたごく初期の車はマグネシウム製のオイルパンで、部品の取り付け方(ボルトかスタッドか)が違う。
フィルターの部品番号も2015年式M4の作業記事の部品リストによる値で、全年式やCS/GTSでも同じかはこの出典だけでは確かめられない。BimmerWorldの交換キットの説明にも本文に部品番号の記載は無い。ドレンプラグ・フィルター・オイルパンまわりの部品は、車台番号で確かめてから買う。
フィルターを替える頻度
フィルターの交換頻度について、JAFは一般論としてオイル交換2回ごとに1回を目安としている。一方、F82 M4の海外の作業記事や専門店の交換キットは、オイル交換のたびにフィルターも新品にする構成だ。フィルターつながりでは、車内のエアコンフィルターの型番も確かめておくとよい。
オイル交換の手順
BMWBLOGの作業の流れを順に示す。締め付けトルクはこの作業記事の値なので、取扱説明書やディーラーの整備情報と照らしてから作業してほしい。車の下にもぐる作業は、ジャッキだけで支えた状態では行わない。
オイルを抜いてフィルターを替える
- 車を持ち上げる(BMWBLOGでは持ち上げる方法は問わないとしている)。
- 先にオイルの注ぎ口のキャップを外しておくと、温まったオイルが速く抜ける。受け皿は少なくとも7L入るものを使う。
- オイルフィルターのキャップを外し、フィルターと付属のガスケット2つを新品に替える。ガスケットには新しいオイルを薄く塗って密着させる。
ドレンプラグを締めてオイルを入れる
- オイルの滴りが細くなったら、新しいドレンプラグを付けて20Nmで締める。
- 車を下ろしてオイルフィルターを付け直し、フィルターハウジングのキャップを25Nmで締める。トルクが低めなので締めすぎに気をつける。
- じょうごを使って新しいオイルを入れる。BMWBLOGの作業では5W-30を6.5L用意した。
交換後の油量の確認と表示のリセット
量が正しく入ったかは、エンジンをかけて走行時の温度まで温めてから、iDriveで油量を確かめる。BMWBLOGは、これが唯一の確かめ方だと書いている。
確かめたら、CBSのオイル交換の表示を戻す(リセットする)。手順は車種で違うため、取扱説明書かBMWのサービス情報で確かめる。
BimmerWorldは、オイル交換のついでに、ほかの油脂類の補充と点検、エアフィルターの清掃か交換、タイヤの空気圧、ブレーキ・ベルト・ホース・吸気のゴム管の点検を勧めている。タイヤの空気圧を見るなら純正サイズも、灯火類を見るならバルブの型番もあわせて確かめておくと次の交換で迷わない。
自分で替えるか、店に頼むか
判断の材料は次の5つだ。
- 車を安全に持ち上げる設備
- 86mmのフィルターハウジング用工具
- ドレンプラグ20Nm・フィルターキャップ25Nmを守るためのトルクレンチ
- 7L以上入る廃油の受け皿
- 交換後にCBSの表示を戻す手順の確認
1つでも揃わないなら、ディーラーや輸入車を扱う整備工場に頼むのがよい。店に頼む場合は部品代のほかに工賃がかかるが、持ち上げる設備や工具を新たに揃える手間はかからない。
よくある質問
6.5Lはオイルフィルター交換込みの量か
出典には書かれていない。BMWBLOGにもFCP Euroにも、フィルター交換を含むかどうかの記載は無いので、どちらとも言えない。入れたあとはiDriveで油量を確かめる。
0W-30のオイルを入れてもよいか
FCP Euroは0W-30と5W-30のLL-01・LL-01 FEを推奨オイルに挙げているが、日本で売られたF82 M4の取扱説明書の指定は確かめられていない。0W-30にするなら、取扱説明書かディーラーで確かめてからにする。同じS55型を積むM2 Competitionも含め、M2のオイル交換は別の記事で扱っている(BimmerWorldによれば標準のM2 F87はN55系)。
CBSの表示より早く替えるべきか
表示に従ってもよいが、予防として早めに替える考え方もある。BimmerWorldは5,000〜6,500マイルでの交換を勧めており、サーキット走行や短距離の走行が多いなら早める理由はさらに強い。使い方で選べばよい。
まとめ
部品を買う前に、まず自分の車がCS/GTSかどうかと生産時期を確かめ、部品は車台番号で確かめてから買う。CS/GTSかどうかで量が、2014年9月より前に生産されたごく初期の車かどうかでオイルパンまわりの部品の取り付け方が変わるからだ。
- 時期はCBSの表示を軸に、負担の大きい使い方なら早める
- 量は標準のF82 M4で6.5Lが目安(海外の出典の値)。多めに入れても油量は増やせない
- 粘度は海外の出典で5W-30が指定とされるが、日本で売られたF82 M4の取扱説明書の指定は確かめられていない。ほかの粘度にするなら取扱説明書かディーラーで確かめる
- 交換後はエンジンを温めてからiDriveで油量を確かめ、CBSの表示を戻す
車内の手入れもあわせて見直すなら、フロアマットの選び方も参考になる。

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