M4 F82 にドラレコを付ける手順は、ハンドルが右か左か、駐車中も録画するかどうかで分かれる。ハンドル位置で配線を回す側が入れ替わり、駐車監視を使うかで電源の取り方が変わるからだ。先に自分の車のハンドル位置と、駐車監視を使うかを決めておくと、以下のどこを読み替えればよいかがはっきりする。
M4 F82 のドラレコ取り付けの全体像
本体はフロントガラス上部、ルームミラーの周りに付ける。国土交通省の案内では、ドライブレコーダーは運転者の視界を妨げないよう保安基準で定められた位置に取り付けるものとされ、その位置の例として「フロントガラス上部から 20%以内の範囲など」が挙がっている。
電源の取り方は 2 通りある。プラグを差すだけのシガーソケットと、配線を内張りの裏に隠せるヒューズボックスだ。駐車中も録画するなら、車を止めた後も電気が来る系統と、車の電源に連動する系統の両方をつなぐ。
BMW で気をつけたいのはバッテリーの警告だ。ドラレコ販売店 BlackboxMyCar の BMW 向けの配線の解説も、カメラを動かし続けるために警告を消したり、バッテリーの監視を迂回したりしないよう求めている。迷うなら、まずシガーソケットで付けて映り方を確かめ、配線を隠したくなったらヒューズ電源へ移る順がよい。
対象の車と、ミラー周りの純正装備
型式と年式
BMW Japan の 2014 年 2 月の発表資料では、2014 年 2 月 19 日にニュー BMW M3 セダンとニュー BMW M4 クーペの注文の受付を全国の BMW 正規ディーラーで始め、納車は 2014 年 7 月からの予定とされた。
中古車のカタログ情報では、M4 クーペ(F82)の日本向けの型式は CBA-3C30、エンジン型式は S55B30A、駆動方式は FR。トランスミッションは 6 速 MT と 7 速 M DCT Drivelogic の項目があり、この世代は 2014 年 7 月〜2021 年 9 月のモデルとしてまとめられている。車検証の型式欄が CBA-3C30 のクーペが、ここで扱う車だ。同じ世代のセダンなら
を見てほしい。
M DCT と 6MT でハンドル位置が違う
BMW Japan の 2014 年の発表資料の価格表の注記では、M4 クーペの M DCT モデルは右ハンドル仕様、6MT モデルは右ハンドルと左ハンドルの仕様とされている。右ハンドル車は助手席側が左、左ハンドル車は助手席側が右になる。助手席側から配線を回す・助手席側の内張りを外すといった手順は、自分の車のハンドル位置に合わせて左右を読み替える。
ミラー周りの純正装備
BMW Japan の 2014 年の発表資料の主な標準装備には、「ETC 車載器システム(ルーム・ミラー内蔵タイプ)」と、カメラで前方の監視を行う「ドライビング・アシスト」が挙がっている。ETC の車載器がルームミラーに組み込まれているので、ドラレコの本体を置くことが多いミラーの周りに純正の装備がある。前方カメラの取り付け位置は発表資料に書かれていない。
どれも 2014 年発表時点の標準装備で、後の年式や特別仕様車も同じかは発表資料からは分からない。自分の車のミラー周りを見て確かめる。
本体を付けてよい位置と、避けたい位置
上部 20%以内の範囲
取り付け方の解説では、フロントガラスの上部 20%の範囲は、おおむねルームミラーに隠れる位置にあたるとされる。そのうえで、レンズはワイパーの拭き取り範囲に入れる。外れていると水滴で映像が見づらくなる。ルームミラーの後ろ側に貼ってあるステッカーとも重ならないようにする。
ミラー周りの純正装備をふさがない
2014 年発表時点の M4 クーペは、ETC 内蔵のルームミラーと、カメラで前方を監視する運転支援が標準装備だった。両面テープで貼る前に、本体とステーを仮に当てて確かめる。見るのは、前方カメラの視野をふさがないか、ミラーの角度を調整しても当たらないか、ETC 内蔵ミラーの本体と配線を押していないか、の 3 つ。カメラの位置は資料で分からないので、実車で見て判断する。
電源の取り方を比べて選ぶ
| 電源の取り方 | 手間 | 配線の見え方 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| シガーソケット | プラグを差すだけ | 電源コードが車内に見える | まず手軽に付けたい人 |
| ヒューズボックス | ヒューズとアースを自分で確かめる | 内張りの裏に隠せる | コードを見せたくない人 |
| 常時と連動の 2 系統 | 使う信号を車の情報から特定する | 内張りの裏に隠す | 駐車中も録画したい人 |
シガーソケットから取る
最も手軽で、失敗しても元に戻しやすい。そのかわりコードが見えるので、見た目が気になるかどうかで決める。
ヒューズボックスから取る
コードを内張りの裏に回して隠せる。ただし、どのヒューズを使うか、アースをどこに取るかを自分で確かめる必要がある。手順は次の節にまとめた。
駐車監視をする場合
車を止めた後も電気が来る系統と、車の電源の入り切りに連動する系統の両方が要る。BMW 向けの配線の解説は、どちらの信号を使うかを、その車の正確な情報から特定するよう求めている。手探りでつなぐ配線ではないので、自信がなければここは店に任せる。
ヒューズ電源の取り方と、M4 F82 での確かめ方
テスターで通電を確かめる
電気が流れると光る検電テスターを使う。
- エンジンは止めたまま、電装品に通電する状態にする
- ヒューズにテスターを当て、通電するものを探す
- 車の電源を切ったときに通電しなくなるかを確かめる
- その中から、容量が 15A のヒューズを選ぶ
エンジンを止めて電装品に通電したままの状態を長く続けると、バッテリーが上がる。調べ終えたら電源を切る。
使ってはいけない回路
エアバッグ・ブレーキ・ステアリング・エンジン制御に関わる回路は、手軽なアクセサリー電源として使わない。電源の取り方の解説も、ECU やエアバッグに関わるヒューズは選ばないよう挙げている。
アースの取り方
車のボディ全体がマイナス側として使われているので、アースはヒューズボックスの近くのネジやボルトに取る。塗装は電気を通さないため、塗装や樹脂を貫通して金属に届いているものを選ぶ。
配置図の番号を当てにしない理由
海外のヒューズ配置図サイトを見比べると、M4(F82・F83)を名指しする配置図はヒューズボックスをエンジンルームに 1 つ・荷室に 2 つの計 3 つとして挙げ、室内の箱を挙げていない。一方、兄弟車の 4 シリーズ(F32 系)の配置図は助手席側の A ピラーの箱を挙げているが、M4 は対象に含めていない。どちらのサイトも、ヒューズの割り当ては年式や装備で変わると断っている。
BMW 向けの配線の解説も、箱の位置だけではどの回路が使えるかは分からず、ある BMW で示されたヒューズや経路が別の BMW に当てはまるとは限らないとしている。ネット上の番号ではなく、自分の車のヒューズボックスの表示とテスターで選ぶ。
前のカメラの配線を通す
天井からピラーへ
通し方の流れは次のとおり。
- 本体から出ているコードを、天井の内張り(ヘッドライナー)の隙間に入れていく
- フロントガラスの端まで来たら、ピラーのカバーを外してコードを隙間に収める
- 下からコードを出し、マットの下を通して電源までつなぐ
どちら側のピラーへ回すかは、ハンドル位置で左右を読み替える。マットの下を通した後にマットを替えるなら、
も参考になる。
エアバッグと内張りの注意
内張りの裏で配線を挟み込まないこと、エアバッグが開く経路をまたいで通さないことの 2 つは外せない。安全な経路は自分の車の内装とエアバッグの条件で決まり、ある BMW で示された配線や内張りの経路が、別の BMW に当てはまるとは限らない。
後方カメラを付ける場合
BMW Japan の 2014 年の発表資料の標準装備には「PDC(フロント&リヤ)/リヤ・ビュー・カメラ」がある。ただ、純正のリヤ・ビュー・カメラは後退時の確認のための装備で、ドラレコのように録画する装備としては発表資料に書かれていない。後ろからの追突も記録に残したいなら、後方カメラは別に付ける。
貼る位置と熱線
後方カメラは、リヤガラスの中央あたりの上部に付けるのが一般的だ。商品によって違うので取扱説明書を確かめる。リヤガラスの電熱線(熱線)に重ねて貼ると、熱で両面テープの粘着力が弱まって取れてしまうおそれがある。前のカメラと違い、後方カメラの取り付け位置は法律で定められていない。位置が決まったらマスキングテープを貼って印を付けておく。
配線を後ろへ回す
コードは目立たないよう、助手席と後部座席の足元をはわせる。内張りを外すのが不安ならフロアカーペットの下を通す。映像が正しく撮れていることを確かめてから、ブラケットを両面テープで固定し、余ったコードは結束バンドなどで束ねる。内張りとエアバッグの注意は前のカメラと同じだ。
駐車監視と BMW の電源管理
止めた後の通電を確かめる
BlackboxMyCar の BMW 向けの配線の解説は、電源が切れるかの確認を、車の電源を切った直後ではなく、車両が定める停止の手順を経た後に行うよう勧めている。同じ解説が引く BMW のサービス情報(2018 年 12 月)では、世代と装備によってこの確認の時間が違い、全部の BMW に共通の確認時間は無いとされる。
警告が出たとき
同じサービス情報は、駐車中の電流が多すぎる原因の候補に、制御ユニットの不具合と後付けの用品の両方を挙げている。ドラレコだけが原因とは限らない。バッテリーの警告が出たら、表示された文言と出た時期を記録する。警告を消してまで録画を続けるのはやめたい。
駐車監視用の外付けバッテリーパックを使っても、車両側にすでにある電気の不具合は直せない。警告が続くなら、まずは車の側を点検してもらう。
取り付け後の確認と日ごろの使い方
国土交通省は、記録できていないトラブルは本体よりも SD カードが原因で起こっているとして、事故のときに映像を記録できないこともあるので、各メーカーに問い合わせるとともに映像を定期的に確認するよう呼びかけている。
事故のときは、安全な場所へ移動した後に記録停止のスイッチを押すか、電源を抜いて録画を止める(国土交通省の案内)。電源が入ったままだと撮り続けるので、事故の映像が上書きされるのを防ぐための手順だ。
自分で付けるか、店に任せるか
DIY での電源取りが難しい車両もあり、自分で行う作業は自己責任になる。シガーソケットで付けるところまでは自分で、ヒューズの選び方や内装の外し方に自信がなければ、取り付けを店に任せるのが無理のない分け方だ。
本体は、販売者の連絡先や適切な保証期間、適切な性能表示があるものを選ぶよう国土交通省は案内している。同じ BMW M の別の車種なら
も参考になる。
よくある質問
ミラーの裏ならどこに付けてもよい?
ミラーの裏であっても、国土交通省の案内にある「フロントガラス上部から 20%以内の範囲など」に収まっているかを確かめる。そのうえで、ワイパーの拭き取り範囲、ステッカーとの重なりを見る。ETC 内蔵ミラーと前方カメラ(どちらも 2014 年発表時点の標準装備)が付いている車なら、それとの干渉も仮当てで見る。
M4 F82 のヒューズの番号は決まっている?
公開の情報からは番号を決め打ちできない。M4 を名指しする公開の配置図と 4 シリーズの配置図は食い違い、どちらも年式や装備で割り当てが変わると断っている。自分の車のヒューズボックスの表示とテスターで選ぶ。
左ハンドルの 6MT でも同じ手順?
2014 年の発表資料の注記では、6MT は右ハンドルと左ハンドルの両方の仕様がある(M DCT は右ハンドル仕様)。左ハンドル車でも流れは同じで、助手席側から回す配線や外す内張りの左右を入れ替えて読む。
駐車監視でバッテリーは上がらない?
上がらないとは言い切れない。駐車中の電流が多すぎる原因の候補には、後付けの用品も制御ユニットの不具合も挙がっている。警告が出たら文言と時期を記録し、警告を消したり監視を迂回したりしない。
純正のリヤ・ビュー・カメラがあっても後方のドラレコは要る?
純正のリヤ・ビュー・カメラ(2014 年発表時点の標準装備)は後退時の確認のための装備で、録画する装備としては発表資料に書かれていない。後方の映像も記録に残したいなら、後方カメラを別に付ける。
まとめ
ドラレコを買う前・付ける前に、次の点を確かめておく。
- 車検証の型式が CBA-3C30 か、ハンドルは右か左か
- 本体はフロントガラス上部 20%以内の範囲などに収まり、ワイパーの拭き取り範囲に入るか
- 2014 年発表時点の標準装備だった ETC 内蔵ミラーと前方カメラが付いている車なら、仮当てでふさいでいないか
- 電源はシガーソケットかヒューズボックスか、駐車監視まで使うか
- ヒューズはネットの番号でなく、表示とテスターで選んだか
- バッテリーの警告が出たら記録し、消さずに点検に回すか
同じ車のほかの手入れは、次の記事にまとめている。

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