M2(F87)のドラレコ取り付けで見落としやすいのは、ルームミラーの陰に本体を寄せたまま、純正装備との干渉を確かめずに本貼りしてしまうことだ。BMWジャパンの2016年の発表資料では、M2クーペはETCの車載器をルームミラーに内蔵し、カメラで前方を監視する「ドライビング・アシスト」も標準装備としている。位置の決まりを守り、仮留めの段階でこれらの装備との干渉を確かめてから、配線と電源を決める順に進めればよい。
M2 F87のドラレコ取り付けで押さえる4つのこと
全体の流れを先にまとめておく。詳しくは各節で書く。
- 位置: 国土交通省の案内では、保安基準で定められた位置(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)に付ける。All Aboutの解説では、ルームミラーに隠れる位置がこれにあたる。
- 干渉: BMWジャパンの2016年の発表資料にあるとおり、M2クーペはETC内蔵のルームミラーとカメラ式のドライビング・アシストを標準装備している。仮留めの段階で動作を確かめる。
- 配線: 天井の内張りからピラーを通し、足元のマットの下を通して電源まで回す。M2 CSは天井がCFRP製で、内張りに配線を押し込めるかは確かめられていない(配線の節で書く)。
- 電源: シガーソケットか常時電源か。駐車中も録画したいかどうかで選ぶ。
対象のM2(F87)と取り付けに関わる装備
M2クーペ・Competition・CSの流れ
BMWジャパンの発表資料をたどると、日本でのF87型M2は2016年1月12日に「M2クーペ」の注文受付が始まり、同年10月25日に6速マニュアル・トランスミッション車が加わった。2018年8月23日に「M2 Competition」が発表され、2020年4月6日には日本全国60台限定の「M2 CS」が発表されている。エンジンはいずれも3.0リッター直列6気筒のMツインパワー・ターボ・エンジンで、3つの資料とも右ハンドル仕様としている。
標準装備のETC内蔵ミラーとドライビング・アシスト
BMWジャパンの2016年の発表資料では、M2クーペの標準装備として「ITSスポット対応DSRC車載器(ルーム・ミラー内蔵、ETC機能付)」を挙げている。ETCの車載器がルームミラーに入っているということだ。同じ資料は、カメラで前方を監視する「ドライビング・アシスト」(レーン・ディパーチャー・ウォーニング、前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ)も標準装備としている。
2018年のM2 Competitionと2020年のM2 CSの発表資料には、ETC・DSRCやドライビング・アシストの記載が無い。同じ装備かはこれらの資料では確かめられないので、Competition や CS では実車のルームミラーとフロントガラスの周りを見て確かめたい。
2016年の資料は「BMW SOSコール」も挙げており、エアバッグが展開するような深刻な事故が発生した際に、車両から自動的にSOSコールセンターに接続するとしている。事故の様子を映像で残すドラレコとは役割が別なので、SOSコールがあってもドラレコの意味は変わらない。
また2020年のM2 CSの発表資料では、ルーフにCFRP(カーボン・ファイバー強化樹脂)を使ったサンドイッチ構造を取り入れたとしている。配線の節で改めて触れる。
本体を貼る位置の決まりと目安
フロントガラス上部20%以内に収める
国土交通省の案内では、ドラレコは運転者の視界を妨げないよう保安基準で定められた位置に取り付けるよう案内しており、その例として「フロントガラス上部から20%以内の範囲など」を挙げている。All Aboutの解説では、取り付け位置はフロントガラスの上部からガラス全体の20%の範囲内、または運転者の前方視界を妨げない位置とし、これはルームミラーに隠れる位置にあたるとしている。オートバックスの解説でも、この範囲を満たしていないと車検にも通らないとしている。
迷ったら、運転席から見てルームミラーの陰に入る高さを目安にするとよい。
ワイパーと黒セラを避ける
オートバックスの解説では、位置決めの目安として次の点を挙げている。
- カメラがワイパーの払拭範囲越しに前を向く位置にする(届かない位置では水滴で映像が歪むことがある)
- 車検ステッカーが近すぎると影が映り込む
- GPS内蔵の機種は、ガラスの上端だと受信しにくい場合がある
- ルームミラー裏の「黒セラ」と呼ばれる黒いドット部分は避ける
最終的な位置は仮留めして決める。
ETC内蔵ミラーと運転支援カメラとの干渉を避ける
オートバックスの解説では、ETCのセンサー、カーナビのGPS、地デジのアンテナ、運転支援用のカメラなど、ほかの車載機器との電波干渉を確かめるよう勧めている。本体を仮留めして配線し、ほかの機器やドラレコ自体に問題がないか動作を確かめる流れだ。
2016年の発表資料にあるM2クーペはETCの車載器をルームミラーに内蔵しているので、ミラーの近くに本体や配線を置くなら、仮留めの段階でETCが正常に使えるかも確かめる。
ドライビング・アシストのカメラについても、ドラレコの本体や配線でカメラの視界を遮らないようにする。カメラがフロントガラスのどこにあるかは確かめられていないので、実車でカメラの位置を見てから本体の位置を決めたい。
電源はシガーソケットか常時電源かで選ぶ
分かれ目は、駐車中も録画したいかどうかだ。シガーソケットはプラグを差すだけで手軽だが、ケーブルの固定が要る。常時電源への接続は駐車監視に要る場合があるが、エンジンを切っても通電するのでバッテリーへの負担が増え、ヒューズの位置と割り当ての確認も要る。走行中の記録だけならシガーソケット、駐車中も録画したいなら常時電源を検討する、という分け方で考えればよい。
シガーソケットから取る
All Aboutの解説では、シガープラグをシガーソケットに差し込めば電源が供給されるとしている。オートバックスの解説では、電源ケーブルを垂らしたままだと視界の妨げになるので、配線留めなどで固定するよう勧めている。ソケットの場所は実車で見て、ケーブルの取り回しを決める。
常時電源から取る(駐車監視)
オートバックスの解説では、駐車監視など停車中に録画するには常時電源への接続が必要になる場合があるとしている。エンジンを切っても通電するのでバッテリーへの負担が増え、劣化したバッテリーではバッテリー上がりを招くこともあるとして、電圧の管理や必要に応じたバッテリー交換を勧めている。
M2(F87)のヒューズボックスの位置や、どのヒューズから常時電源・アクセサリー電源が取れるかは確かめられていない。ヒューズから電源を取るなら、車両の取扱説明書かBMW正規ディーラーで確かめてから作業する。分からなければ取付店に任せる。
配線の通し方
天井の内張りからピラー、足元へ
All Aboutの解説では、次の順で配線する。
- 本体から出ているコードを、天井の内張り(ヘッドライナー)の隙間に入れていく
- フロントガラスの端まで来たら、ピラーのカバーを外してコードを隙間に収める(ピラーカバーが外れない場合は市販のテープで固定してもよい)
- 下からコードを出す
- マットの下を通して電源まで配線する
日本仕様のM2は右ハンドルなので、助手席側は左側になる。配線はステアリングやペダルの周りにかからない経路を選ぶ。運転の妨げにならないことを、見た目より優先する。
M2 CSは天井の作りが違う
M2 CSは天井(ルーフ)がCFRP製で、ほかのM2と作りが違う。天井の内張りの裏の作りや、内張りに配線を押し込めるかは確かめられていない。CSで天井の内張りに配線を通すときは無理に押し込まず、BMW正規ディーラーか取付店に確かめる。
エアバッグと擦れの確認
M2(F87)のピラーや天井の内張りの内側にエアバッグがあるか、その位置は確かめられていない。ピラーカバーを外したり内張りに配線を押し込んだりする前に、取扱説明書かBMW正規ディーラーで確かめる。自信が無ければ取付店やディーラーに任せる。
オートバックスの解説では、内装パネルの裏に配線を通すと見栄えはよくなるが、走行中の振動で配線が金属部と擦れて被覆が破れ、ショートや異音の原因になることがあるとして、干渉しそうな箇所は配線チューブやスポンジで保護するよう勧めている。取り付け後に車内から音が出たときの切り分けは
も参考にしてほしい。
仮留めから本貼りまでの仕上げ
オートバックスの解説では、ベストポジションは仮留めで決め、本体を仮留めした状態で配線して、ほかの機器やドラレコ自体に問題がないか動作を確かめてから本貼りする流れを勧めている。
- 本体を仮留めし、位置を決める
- 配線して電源をつなぐ
- ドラレコとほかの機器の動作を確かめる(前の節で触れた干渉もここで見る)
- 問題が無ければ本貼りする
同じ解説では、フロントウインドウの温度が低いと両面テープが正しく接着できないので、真冬の取り付けはあまり勧めず、ドライヤーなどで温めてから貼るよう勧めている。一度剥がれた場合は、残った粘着を除去して強力タイプのテープで貼り直す。安全運転支援機能の水平設定(キャリブレーション)が必要なドラレコもあるので、作業は水平な場所で行う。
取り付けた後に続けること
国土交通省の案内では「SDカードには寿命があります」とし、記録できていないトラブルは本体よりもSDカードが原因で起こっており、事故時に映像を記録できないこともあるとしている。各メーカーに問い合わせるとともに、映像を定期的に確かめるよう案内している。
同じ案内では、ドラレコは電源が入っていると撮り続けるので事故映像が上書きされる可能性があるとして、事故時は安全な場所へ移動してから、記録停止スイッチを押すか電源を抜いて録画を止めるよう案内している。
よくある質問
自分で取り付けられる?店に任せるべき?
シガーソケットから電源を取り、配線を内張りに押し込むだけなら自分でも作業しやすい(M2 CSの天井の内張りは、押し込めるかが確かめられていないので、BMW正規ディーラーか取付店に確かめる)。ピラーカバーを外す・ヒューズから電源を取る・駐車監視のために常時電源につなぐ作業は、エアバッグやヒューズの確認が要るので、不安があれば取付店かBMW正規ディーラーに任せる。オートバックスも、取り付けに不安がある場合は店舗スタッフへの相談を勧めている。
駐車監視をしたいときの電源は?
常時電源への接続が必要になる場合がある。エンジンを切っても通電するので、バッテリーの状態に気を配りたい。ヒューズの位置と割り当ての確かめ方は、電源の節に書いたとおりだ。
ETC内蔵のルームミラーの近くに付けても大丈夫?
ルームミラーに隠れる位置は位置の目安に合うが、2016年の発表資料にあるM2クーペはミラーにETCの車載器を内蔵している。本体を仮留めして配線し、ETCが正常に使えるかを確かめてから本貼りする。2018年のM2 Competitionと2020年のM2 CSは発表資料にETC・DSRCの記載が無いので、実車で確かめる。
M2 CS や M2 Competition でも同じ手順?
位置の決まり(フロントガラス上部20%以内など)と、仮留めから本貼りまでの流れは変わらない。気をつけたいのは装備と天井の作りだ。ETC内蔵ミラーとドライビング・アシストは2016年のM2クーペの発表資料に記載があり、2018年のCompetitionと2020年のCSの発表資料には記載が無い。CSは天井がCFRP製で、内張りに配線を押し込めるかは確かめられていないので、ディーラーか取付店に確かめてから作業する。エアバッグの有無を作業前に確かめるのは、Competition でも CS でも同じだ。BMWの別の車種の例は
にまとめている。
まとめ
最初にやることは、実車のルームミラーとフロントガラスの周りを見て、ETCの車載器や運転支援のカメラがどこにあるかを確かめることだ。電源を取る場所とピラーの周りも、このとき一緒に見ておく。そのうえで、車検証の初度登録年月と取扱説明書をあわせて見て、自分のM2の仕様を押さえる。
- 位置: 保安基準で定められた位置に付ける(国土交通省の案内が例に挙げる「フロントガラス上部から20%以内の範囲など」)。ルームミラーに隠れる位置が目安
- 干渉: 2016年のM2クーペはETC内蔵ミラーとドライビング・アシストを標準装備(2018年のCompetition・2020年のCSの発表資料には記載が無い)。仮留めで動作を確かめる
- 配線: 天井の内張り→ピラー→足元。M2 CSは天井がCFRP製で、内張りに配線を押し込めるかは確かめられていないので、BMW正規ディーラーか取付店に確かめる。エアバッグの有無は取扱説明書かディーラーで確かめる
- 電源: 走行中の記録だけならシガーソケット、駐車監視には常時電源が要る場合がある
M2 F87のほかの手入れは、次の記事も参考にしてほしい。

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