M2 のホイールの数値は、2016年から売られた F87 か、2023年からの新型 G87 かで PCD から変わり、F87 の中でもフロントとリヤで純正のインセットが違う。F87 なら5穴・PCD120mm・ハブ径72.6mmで、純正はフロント 9J×19 ET29・リヤ 10J×19 ET40 の前後異サイズだ(PCD・ハブ径・インセットは海外のホイール適合データの値)。まず自分の車が F87 のどれかを型式で確かめ、そのうえで前後それぞれの純正値と比べて社外ホイールやスペーサーを選ぶ。
M2 F87 のホイールの PCD・ハブ径・インセット一覧
BMWジャパンの2016年の発表資料では、M2クーペの標準装備のホイールを「Mライト・アロイ・ホイールダブル・スポーク・スタイリング437M(鍛造)(ブラック)」とし、フロントは「9J x 19ホイール+ 245/35R19タイヤ」、リヤは「10J x 19ホイール+ 265/35R19タイヤ」と記載している。この資料に PCD・ハブ径・インセットの記載は無いので、残りは海外のホイール適合データ(Koleso・Tire Wheel Guide・Wheel-Size)の値で補った。
| 項目 | M2(F87)の値 | 出典 |
|---|---|---|
| 穴数・PCD | 5穴・120mm(5×120) | Koleso・Tire Wheel Guide |
| ハブ径 | 72.6mm | Koleso・Tire Wheel Guide |
| 留め方・ネジ | ボルト留め・M14×1.25 | Koleso・Tire Wheel Guide |
| フロントの純正 | 9J×19・ET29/245/35R19 | サイズ=BMWジャパン(M2クーペ)、ET=Koleso・Wheel-Size・Tire Wheel Guide |
| リヤの純正 | 10J×19・ET40/265/35R19 | 同上 |
5穴・PCD120mm・ハブ径72.6mm・M14×1.25 が、F87 の社外ホイールを選ぶときの基準値になる。米国のホイールメーカー Variant の解説も、Competition と CS を含む F87(2016〜2021年)を 5×120 とし、ハブ径を小数第2位まで書いた 72.56mm としている。
対象の M2(F87)と純正ホイールのスタイル
日本で売られた F87 と型式
BMWジャパンは2016年1月12日に「新型BMW M2クーペ」の予約注文受付を始め、納車は2016年5月からの予定とした(右ハンドル仕様・3.0リッター直列6気筒のMツインパワー・ターボ・エンジン)。2016年10月25日に6速マニュアル・トランスミッション車を追加し、2018年5月22日に限定車「BMW M2クーペEdition Black Shadow」、2018年8月23日に「新型BMW M2 Competition」、2020年4月6日に「新型BMW M2 CS」を発表している。
日本仕様の型式は、海外のホイール適合データ(Wheel-Size)では M2 が CBA-1H30G、M2 Competition と M2 CS が CBA-2U30 で、Tire Wheel Guide も M2 を CBA-1H30G としている。車検証の型式と照らせば、自分の車が F87 のどれかが分かる。
M2クーペ・Competition・CS の純正ホイール
BMWジャパンの2018年の発表資料では、M2 Competition に「新型BMW M2 Competition専用の19インチMライト・アロイ・ホイール」と、大径ブレーキ・ディスクとグレー・メタリック仕上げのキャリパーの「Mスポーツ・ブレーキ」を新たに採用したと記載している。ホイールの幅・インセット・タイヤサイズ・鍛造かどうかは、この資料に記載が無い。M2 CS の発表資料にもホイール・タイヤの記載は無い。
そこを補うのが BMW の情報サイト BIMMERtips で、F87 の純正ホイールの3つのスタイルを載せている。3つとも、サイズは前19×9.0・後19×10.0、インセットは前ET+29・後ET+40、タイヤは前245/35/19・後265/35/19 と同じ値で、違うのは1本の重さだ。
| スタイル | 車 | 1本の重さ(前/後) |
|---|---|---|
| 437M(M Double Spoke) | M2(ベースモデル) | 9.93kg/10.21kg |
| 788M(Y-Spoke) | M2 Competition | 11.2kg/11.9kg |
| 763M(Y Spoke) | M2 CS | 9.41kg/9.88kg |
3つのうち、いちばん軽いのは CS の 763M だ。
PCD・インセット・ハブ径の意味
PCD と穴数
オートバックスの解説では、PCD はボルトを通す穴の中心を結ぶ円の直径で、車のホイールにはこの穴が等間隔で4〜6つ開いている。PCD が一致していなければホイールは装着できない。PCD を変換するスペーサーもあるが、厚みの分ホイールのインセットに影響し、車検に通らないリスクがあり、適合しない車種もあるとしている。
インセットとオフセット
イエローハットの解説では、インセットはリム幅の中心線からホイールの取付け座面までの距離(単位mm)で、純正の値を基準にマイナスに振れるとホイールは車体の外側に出っ張り、プラスに振れると内側へ引っ込む。日本ではオフセットと呼んでいたが、2008年7月に JATMA(日本自動車タイヤ協会)が国際基準に沿うようインセットに呼び名を変えた。上の表の ET の数字がこのインセットだ。
ハブ径(センターボア)
イエローハットの解説では、ハブ径はセンターボアとも呼ばれ、ホイールの中心にある穴の直径を指す。付けたいホイールのハブ径より自車のハブ径が大きいと取り付けられない。社外ホイールは汎用性を高めるために、ハブ径を大きく作ったものが多い。
純正の前後のサイズとインセットを読み解く
前後で幅もインセットも違う
M2(F87)の純正は、ホイールの幅(前9J・後10J)、インセット(前ET29・後ET40)、タイヤの幅(前245・後265)がすべて前後で違う。社外ホイールは前後で別のサイズの組み合わせとして考え、前は ET29、後は ET40 と比べる。前後同じサイズのホイールを選ぶときも、前と後ろで純正からの差が違ってくるので、前後それぞれで何mm動くかを計算しておく。タイヤのサイズは
で詳しく扱っている。
インセットの目安の範囲
海外のホイール適合データ(Koleso・Wheel-Size)は、F87 のインセットの目安の範囲をフロント27〜31mm・リヤ38〜42mm と載せている。Wheel-Size は日本仕様の M2(CBA-1H30G)・M2 Competition・M2 CS(CBA-2U30)の欄にも同じ範囲を載せている。これは各サイトが載せる目安で、BMW が定めた許容の範囲ではない。
締め付けトルク
海外のホイール適合データ(Koleso)は、F87 のホイールボルトの締め付けトルクを140Nm と載せている。この値は BMW の取扱説明書や BMWジャパンの資料では確かめられていないので、作業の前に車両の取扱説明書か BMW 正規ディーラーで確かめる。
インセットを変えるとどうなるか
外に出すとき(インセットを小さく)
イエローハットの解説では、タイヤやホイールが車体からはみ出していると巻き込み事故のリスクが高まり、インセットが純正と大きく違うと、取り付けられない・車検に通らないケースにつながりやすいとしている。M2(F87)でインセットを純正(前29・後40)より小さくすると、ホイールは外へ出て、はみ出しに近づく。
内に入れるとき(インセットを大きく)
インセットを純正より大きくすると、ホイールは内側の足回りに近づく。イエローハットの解説でも、ホイールの内側にはブレーキキャリパーやサスペンションなどがあり、干渉するとホイールを取り付けられないとしている。
BMWジャパンの2016年の発表資料では、M2クーペの Mコンパウンド・ブレーキ・システムとして、ダーク・ブルーのキャリパー(フロントは対向4ピストン・Mロゴ付き、リヤは対向2ピストン)と、鋳鉄製ドリルド・ブレーキ・ディスク(フロント直径380mm、リヤ直径370mm)を挙げている。Competition も大径のMスポーツ・ブレーキを備えるので、社外ホイールではスポークの裏やリムの内側とキャリパーの隙間を確かめる。どのホイールなら隙間が足りるかは確かめられていないので、ホイールのメーカーや取付店に M2 F87 への装着実績を聞く。
はみ出しの決まり
2017年の保安基準の一部改正で、タイヤのはみ出しが一部認められた。乗りものニュースの記事では、2017年6月22日から、ハンドルを直進にした状態でタイヤ中心から前方30度・後方50度の範囲で10mm未満のはみ出しが許可され、対象はタイヤのみとしている。オートバックスの解説も、ホイール・ホイールナット・ホイールキャップのはみ出しは認められないとし、イエローハットの解説も、タイヤよりホイールが外側にある場合は少しでもフェンダーからはみ出すと保安基準不適合になるとしている。
この緩和がどの車に当てはまるかは、出典で書き方が違う。乗りものニュースの記事は「クルマの製造年月日を問わず」緩和したと書き、オートバックスの解説は「同年6月以降に新基準で型式指定された9人乗り以下の乗用車に限り」と書いている。国土交通省の告示の原文は確かめられていないので、M2(F87)が10mm未満の緩和の対象になるかは決めつけない。ホイールやスペーサーで外に出すときは、はみ出しの量を実車で確かめたうえで、車検を受ける整備工場や検査場に確かめる。
スペーサーでホイールを外に出すときの考え方
厚みとインセットの関係
イエローハットの解説では、ホイールスペーサーは車のホイールを外側に出したいときに使う部品で、厚みは1mm・2mm・3mm・5mm・8mm・10mmなどさまざまだ。ハブとホイールの間に挟むので、取付け座面が厚みの分だけ外へ移り、インセットを厚みの分だけ小さくしたのと同じ向きに働く。たとえば純正のフロント(9J×19・ET29)に厚み5mmを挟むと、計算上はインセット24mm相当の位置になる。実際にフェンダーからどれだけ出るかは車ごとに違うので、実車で測る。
ロングボルトと噛み込み
イエローハットの解説では、スペーサーの厚みの分だけボルト(ナット)の噛み込み量が少なくなり、一般に約10〜12mm程度の噛み込みが必要とされるとしている。輸入車に多いホイールボルトの車では、ロングボルトが他の部品と干渉していないかを確かめ、長すぎても干渉することがあるので適切な長さを選ぶ。ブレーキ部品だけでなく、ABS などで使う車輪速センサーへの接触にも注意が要る。M2(F87)もボルトで留める形(M14×1.25)なので、この注意がそのまま当てはまる。
M2(F87)の純正ホイールボルトの長さと座面の形(テーパーか球面か)は確かめられていない。純正ボルトを流用せず、スペーサーやホイールのメーカーが指定する長さと座面のボルトを選ぶ。分からなければ取付店や BMW 正規ディーラーに確かめる。
締め付けと増し締め
イエローハットの解説では、規定トルクで締め付けるためにトルクレンチを用意し、インパクトレンチの使用は避け、後日に増し締めをして緩みなどの異常が無いか確かめることが大切としている。
M2 F87 対応とうたう INEX のホイールスペーサー
M2 F87 対応と商品名にうたうスペーサーでは、INEX の厚み5mm(W41)と厚み7mm(W42)がある。どちらにするかは純正からどれだけ外に出したいかで決め、少しだけ出したいなら W41、もう少し出したいなら W42 だ。ただし、どちらも「M2 F87対応」は出品者の記載で、ロングボルトは付属しない(下の確認項目を参照)。
厚み5mm(W41)
商品名は「INEX ホイールスペーサー 2枚組 厚み5mm ハブ径72.6mm 品番W41 BMW用 M2 F87対応」。販売ページの商品説明では、2枚組で、PCD120・ハブ径72.6mm・厚み5mm・穴数5H と記載している。
INEX ホイールスペーサー 厚み5mm 2枚組(品番W41・PCD120/ハブ径72.6mm)
厚み7mm(W42)
商品名は「INEX ホイールスペーサー 2枚組 厚み7mm ハブ径72.6mm 品番W42 BMW用 M2 F87対応」。販売ページの商品説明では、2枚組で、PCD120・ハブ径72.6mm・厚み7mm・穴数5H と記載している。
INEX ホイールスペーサー 厚み7mm 2枚組(品番W42・PCD120/ハブ径72.6mm)
買う前に確かめること
- 販売ページの商品説明では、W41・W42 のどちらも、ロングボルトは付属していないのでサイズ・ネジ径などを確かめて別途用意すること、純正ボルトがスペーサーより長く、ホイール側に逃げが無い場合は取り付けできないことを記載している。
- W41・W42 は2枚組なので、前後の両方に入れるときは2セット要る。
- 商品名の「BMW用 M2 F87対応」は出品者の記載で、BMW の資料やメーカーの適合表では確かめられていない。商品の PCD120・ハブ径72.6mm は、海外のホイール適合データが載せる F87 の値(5×120・72.6mm)と同じだ。
- W41・W42 のどちらも、商品名と商品説明の箇条書きのどちらにも、ハブ付き(中心の出っ張りでホイールの中心を合わせる形)かどうかの記載が無い。
社外ホイール・中古ホイールを選ぶときの確認の順
M2(F87)に社外ホイールや中古ホイールを選ぶときは、次の順に確かめる。
- 穴数とPCD(5穴・120mm。G87 用の 5×112 は付かない)
- ハブ径(ホイール側が72.6mmより小さいと付かず、大きいときはハブリングで中心を合わせる)
- インセット(前後それぞれ純正の ET29・ET40 からの差で、どれだけ外・内へ動くか)
- 前後のサイズの組み合わせ(純正は前 9J×19・後 10J×19)
- ブレーキキャリパーとの隙間
- ボルト(M14×1.25・長さ・座面をホイールの指定に合わせる)
- フェンダーからのはみ出し
インセットを純正から大きく変える・スペーサーを入れる・社外ホイールに替えるときは、実車でフェンダーとの隙間と足回りとの干渉を確かめる。自分で判断できなければ、M2(F87)への装着の実績をホイールのメーカーや取付店、BMW 正規ディーラーに確かめる。
ハブリングで中心を合わせる
イエローハットの解説では、ホイールのハブ穴が車のハブより大きいときはハブリングで隙間を埋めて中心を出すことが重要で、中心がずれると高速走行時の振動やハブボルトの損傷につながるとしている。ハブリングを付けたまま純正ホイールを付けると、正しく付かず脱輪やボルトの折損につながる。金属製は錆でハブに固着しやすいので、グリスなどで防錆しておく。オートバックスの解説も、隙間がある場合はハブリングで埋めなければならないとしている。
新型 M2(G87)とは PCD が違う
米国のホイールメーカー Variant の解説では、F87 の M2(2016〜2021年・Competition と CS を含む)は 5×120 で、新型の M2(G87・2023年〜)は 5×112 に変わったので、注文の前に世代を確かめるよう書いている。PCD が一致しないホイールは装着できないので、G87 用のホイールやスペーサーは F87 に使わない。中古品や通販で「M2 用」とだけ書かれた品は、どちらの世代向けかを確かめる。
よくある質問
新型M2(G87)のホイールは付く?
付かない。Variant の解説では F87 の M2(2016〜2021年・Competition と CS を含む)は 5×120、新型の G87(2023年〜)は 5×112 で、PCD が一致しないホイールは装着できない。
スペーサーは何mmまで入れられる?
何mmまでなら大丈夫とは決められない。フェンダーからどれだけ出るかは車ごとに違い、ホイールのはみ出しは認められず、タイヤの10mm未満の緩和が M2(F87)に当てはまるかも出典で書き方が分かれる(はみ出しの決まりの項)。実車で測り、整備工場や検査場に確かめてから厚みを決める。
ハブリングは必要?
ホイール側のハブ穴が M2(F87)のハブ径72.6mmより大きく、隙間があるときに要る。純正ホイールに戻すときは外す。
M2 CompetitionやM2 CSも同じ値?
BIMMERtips では、M2 Competition の 788M と M2 CS の 763M も、サイズとインセット(前ET+29・後ET+40)が M2 の 437M と同じ値で、ボルトパターンも 5 x 120 だ。違うのは純正ホイールの重さになる。
締め付けトルクは?
海外のホイール適合データ(Koleso)は140Nm と載せているが、BMW の取扱説明書や BMWジャパンの資料では確かめられていない値だ。作業の前に取扱説明書か BMW 正規ディーラーで確かめる。
まとめ
最初にやることは、車検証で型式と初度登録年月を確認することだ。F87 と分かったら、次の要点に沿って選ぶ。
- M2(F87)は5穴・PCD120mm・ハブ径72.6mm・M14×1.25(海外のホイール適合データの値)。新型 G87 の 5×112 とは違う
- 純正は前 9J×19 ET29・後 10J×19 ET40 の前後異サイズで、社外ホイールは前後それぞれの純正値と比べる
- インセットを小さくすると外へ出てはみ出しに、大きくすると内側のキャリパーやサスペンションとの干渉に近づく
- スペーサーは厚みの分だけボルトの噛み込みが減るので、メーカーが指定する長さと座面のボルトを用意する
M2 F87 のほかの整備や取り付けは、次の記事も参考にしてほしい。
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