BMW の取扱説明書(F48 世代にあたる 2018 年モデルの米国向けの版)では、X1 F48 のタイヤ交換は、交換する車輪にいちばん近いジャッキアップポイントの長方形のくぼみに車載ジャッキを差し込み、車輪が地面から最大 3cm 浮くところまで持ち上げて行う。ホイールボルトの締め付けトルクは、同じ取扱説明書で 140 N・m だ。ボルトを先にゆるめる順番やロックボルトのアダプター、交換後の空気圧モニターのリセットまで、作業の流れに沿って順に確かめていく。
ジャッキアップポイントの場所と締め付けトルクの早見表
作業の前に押さえておくのは、次の4つだ。
| 確かめること | 値・やり方 | 出典と範囲 |
|---|---|---|
| ジャッキを当てる場所 | 交換する車輪にいちばん近いジャッキアップポイントの長方形のくぼみに差し込む | F48 世代の 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書 |
| 位置の目安 | 前輪の少し後ろと後輪の少し前の、サイドシルの下側 | X1(E84・F48・U11)を同じ説明で扱うドイツの自動車情報サイト |
| 持ち上げる高さ | 交換する車輪が地面から最大 3cm(1.2 インチ)浮くまで | F48 世代の 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書 |
| 締め付けトルク | 140 N・m(101 lb ft)を対角(クロス)の順に | F48 世代の 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書 |
ジャッキを当てるのは、メーカーが決めた長方形のくぼみだけと覚えておけば、車体を傷める失敗はまず避けられる。
対象の車と、手順の出典にした取扱説明書
F48 は 2 代目の X1 で、英語版の百科事典の F48 の項では、生産は 2015 年 6 月〜2022 年 6 月、モデルイヤーは 2016〜2022 年にあたる。グーネットマガジンによると、日本には 2015 年 10 月に導入され、2023 年 2 月に 3 代目(U11)が登場するまで販売された。
手順と数値は、BMW の取扱説明書のうち F48 世代にあたる 2018 年モデルの米国向けの版をもとにしている。日本仕様の取扱説明書で同じ記載を確かめたものではないので、装備や表記の違いは、車内の取扱説明書を含め、自車の取扱説明書で確かめてほしい。
用意する道具と、作業前に確かめること
車載ジャッキが積まれているかを確かめる
車載のジャッキ・工具・応急用タイヤがあるかどうかは装備しだいだ。BMW の取扱説明書も「装備に応じて」工具と、必要なら応急用タイヤを車から取り出す、と書き、ホイール交換用の工具が必要ならディーラーで用品として手に入るとしている。自分の車にジャッキが積まれているかは、作業の日より前に確かめておく。パンクで交換するときは、ランフラットタイヤかどうかで急ぐ必要が変わる(よくある質問で触れる)。
ロックボルトのアダプター
取扱説明書によると、ロックボルト(盗難防止のホイールボルト)が付いている車では、そのボルトは特別なコードを持ち、コードの合うアダプターでしか回せない。アダプターは車載工具か、その近くの収納にある。作業を始めてから探さずに済むよう、置き場所を先に見ておく。
トルクレンチ
トルクレンチを用意するなら、F48 世代の 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書にある締め付けトルク 140 N・m が、設定範囲に入るものを選ぶ。交換後の締まりの確認にも使うので、1本あれば最後の確認まで自分で済ませられる。
ジャッキアップポイントの位置と当て方
X1(E84・F48・U11)のジャッキの当て方を解説するドイツの自動車情報サイトでは、ジャッキアップポイントは前輪の少し後ろと後輪の少し前にあり、サイドシル(ドアの下の車体側面の下端)の下側に、印や小さな矢印・刻み・三角の印で示されていることが多いとしている。補強された合わせ目の部分が周りと少し違って見えることも、見分ける手掛かりになる。同サイトは距離や寸法を示しておらず、正確な位置は取扱説明書の図で確かめるよう案内している。
当て方は次の順だ。
- 交換する車輪にいちばん近いジャッキアップポイントの、長方形のくぼみにジャッキを差し込む
- ジャッキの台座(足)が、ジャッキアップポイントの真下で、地面に対して垂直・直角に立つようにする
- ハンドル(またはレバー)を時計回りに回してジャッキを伸ばし、台座の全面が地面に着くまで伸ばす
乗りものニュースの記事と前述のドイツのサイトでは、ジャッキはメーカーが決めたジャッキアップポイントにだけ当て、床下・オイルパン・足まわりの部品には当てないよう案内している。ジャッキを車の下に差し込んでそのまま上げることもしない。ジャッキアップポイント以外にかけると、車体の重さで車を壊すおそれがある。
なお BMW の取扱説明書は、車載ジャッキを、ホイール交換のために車体を短い時間持ち上げるためだけのもので、故障のときに応急用タイヤやスペアタイヤを取り付けるために使うものとしている。ほかの車や荷物を持ち上げるのには使わない。
交換前の準備(停める場所と輪止め)
取扱説明書の手順では、ジャッキを出す前に次を済ませる。
- 交通から安全な距離をとり、固く滑らない地面に停める
- ハザードランプを点け、パーキングブレーキをかけ、セレクターレバーを P にする(マニュアル車はギアを入れる)
- 交通の状況が許せば同乗者を全員降ろし、ガードレールの外など安全な場所にいてもらう
- 工具と、必要なら応急用タイヤを取り出し、必要なら三角表示板などを適当な距離に置く
取扱説明書は、ホイール交換のときに輪止めで転がり防止を追加するよう勧めている。平坦な場所なら、交換する車輪の対角にある車輪の前後に輪止めを置く。輪止めが無ければ石などの適当な物でよい。緩い下り坂では、前後の車輪に、転がる向きに対して輪止めを置く。
タイヤ交換の手順
ボルトを半回転ゆるめる
車輪が地面に着いているうちに、ホイールボルトを半回転だけゆるめておく。外すのは車体を持ち上げてからだ。ロックボルトは、アダプターをボルトに当てて回す。
ジャッキアップ
片手でジャッキ本体を、もう片方の手でジャッキのハンドルを持って回し始める。ジャッキに荷重がかかったら本体から手を離し、片手でハンドルを回し続ける。手や指を挟むおそれがあるので、作業中は手の位置を変えない。持ち上げるのは、交換する車輪が地面から最大 3cm(1.2 インチ)浮くところまでにとどめる。
取り付けと締め付け
- ボルトを外して車輪を替え、ボルトを入れる
- JAF の解説にならい、車体を持ち上げたまま 2〜3 回に分けて仮締めする
- ジャッキのハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車体を下ろす
- ボルトを対角の順に、取扱説明書の値の 140 N・m で本締めする
JAF の解説では、無理に締め付けるとボルトが破損する場合があるとしている。本締めは力任せにせず、規定のトルクで止める。ロックボルトを締め終えたら、アダプターを外して元の場所にしまう。
ジャッキ作業で守ること
BMW の取扱説明書は、ジャッキで車体を持ち上げている間について、次のことを挙げている。
- 車の下に寝そべらない。エンジンもかけない
- ジャッキの下に台(支え)を置かない
- 雪・氷・タイルなど、柔らかい・平らでない・滑りやすい地面では、ジャッキが滑ることがある
- 持ち上げた車体に横向きの力を加えたり、急に引いたりすると、ジャッキから落ちることがある
乗りものニュースの記事とドイツの自動車情報サイトでは、ジャッキだけで支えた車体は、ジャッキが外れると挟まれる危険があるとして、リジッドラック(馬)を使うのが望ましいとしている。用意できないときは代わりの保険として、外したタイヤ・ホイールを車体の下に置いておく。
交換したあとにすること
取扱説明書は、ホイールを替えたあと、早めにタイヤの空気圧を点検して調整し、タイヤ空気圧モニター(TPM)をリセットするよう案内している。あわせて、校正されたトルクレンチで、ボルトが規定どおり締まっているかを確かめる。
トルクレンチが手元にないときは、JAF の解説のとおり、できるだけ早くガソリンスタンドや整備工場で、規定のトルクで本締めしてもらう。
新しいタイヤに替えたときは、増し締めも忘れずにしたい。タイヤメーカーのコンチネンタルは、交換後 50〜100km ほど走ってから増し締めするのを目安にしており、締め付けがゆるむと、最悪の場合、走行中にホイールが外れることもあるとしている。
ホイールの取り付け寸法(ホイールやボルトを買い足すとき)
タイヤ・ホイールの寸法の情報サイトでは、F48(2018 年モデル)のホイールの取り付け寸法を次のように載せている。欧州・日本・中国・米国の各市場とも同じ値だ。
| 項目 | F48(2018 年モデル)の値 |
|---|---|
| PCD | 5×112 |
| ハブ径 | 66.6mm |
| ボルトのねじ径 | M14×1.25 |
取扱説明書も、ホイールを留める部品をホイールボルト(lug bolt)と呼び、交換手順をボルトをゆるめる・外す・締める形で書いている。ボルトの頭の寸法や長さは確かめられていないので、ボルトを買い足すときは、販売店に車検証の型式を伝えて適合を確かめる。
よくある質問
締め付けトルクは何 N・m?
F48 世代にあたる 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書では 140 N・m(101 lb ft)で、ボルトは対角の順に締める。日本仕様の取扱説明書で同じ記載を確かめたものではないので、自車の取扱説明書でも見ておく。
車載ジャッキが見当たらないときは?
ジャッキ・工具・応急用タイヤの有無は装備しだいだ。取扱説明書は、ホイール交換用の工具が必要ならディーラーで用品として手に入るとしているので、取り寄せるか、作業を整備工場などに頼む。
ロックボルトのアダプターはどこにある?
ロックボルトが付いている車では、取扱説明書によるとアダプターは車載工具か、その近くの収納にある。使い終えたら元の場所に戻す。
増し締めはいつする?
新しいタイヤに替えたときの目安は、コンチネンタルによると交換後 50〜100km ほど走ってからだ。トルクレンチが無ければ、ガソリンスタンドや整備工場に頼めばよい。
ランフラットタイヤでパンクしたら、すぐ交換が要る?
取扱説明書は、ランフラットタイヤやパンク修理キットを使っている場合、すぐにホイールを交換しなくてもよいことがあるとしている。自分の車のタイヤがどちらに当たるかは、取扱説明書で確かめておく。
まとめ
まずは交換する車輪にいちばん近いジャッキアップポイントを1か所に決め、自車の取扱説明書の図でその位置を確かめてから作業に入る。そのうえで、F48 世代の 2018 年モデル(米国向け)の取扱説明書に沿った要点は次のとおりだ。
- ジャッキは長方形のくぼみに差し込み、台座を真下に垂直に立てる
- ボルトは持ち上げる前に半回転ゆるめ、車輪は地面から最大 3cm まで上げる
- 本締めは 140 N・m を対角の順に
- 交換後は空気圧を調整して TPM をリセットする
新しいタイヤに替えたときは、コンチネンタルの目安どおり 50〜100km ほど走ってから増し締めする。
F48 のほかの整備は、次の記事で扱っている。

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