E84 のタイヤ交換は、サイドシル(ロッカーパネル)下面のジャッキパッドにジャッキを当て、外したボルトを対角の順に締める作業だ。ただ、手元の車のジャッキパッドが割れていたり外れていたりするなら、タイヤより先にパッドを直すのが順番になる。パッドの交換部品は年式にかかわらず車台番号で純正品番を照らしてから選ぶので、まず車の下をのぞいてパッドの状態を見てから先へ進んでほしい。
E84 のジャッキはサイドシル下面のジャッキパッドに当てる
米国の BMW 部品店 BimmerWorld の製品説明と適合表では、E84 が適合に載るジャッキパッドはロッカーパネル(サイドシル)の下面に付く硬いブロックで、ジャッキやジャッキスタンド、リフトのアームを当てる場所だと説明されている。
ホイールはナットではなくボルトで留める。タイヤ・ホイール店の車種別の仕様表では、ねじは M12×1.5、PCD は 5×120 の5穴だ。
締め方の要点は3つある。
- ボルトは対角の順に締める
- 本締めは車体を下ろしてから、取扱説明書の規定トルクで行う
- 規定トルクの数値は、車載の取扱説明書の値に従う
E84 の締付トルクの数値はここでは挙げない。資料ごとに値が食い違い、E84 の取扱説明書で確かめられなかったからだ。取扱説明書が手元に無ければ、ディーラーや整備工場で確かめる。
この手順が当てはまる E84 の範囲
BMW の日本向けプレスリリース(2010年4月20日付)で、ニューBMW X1 として sDrive18i と xDrive25i の2モデルが発表された。英語版の百科事典の記載では、E84 の生産期間は2009年10月〜2015年6月で、E90 3シリーズと同じプラットフォームを使い、ホイールベースは2,760mm。2012年にフェイスリフトを受けて後期型になった。
手順は前期・後期で分けずに書いた。ボルトの規格も、前述の仕様表では前期(2009〜2012)・後期(2012〜2015)とも同じだ。ジャッキパッドの交換部品も、前期・後期のどちらでも車台番号で純正品番を照らしてから選ぶ。詳しくは後半の節で扱う。
ジャッキポイントとジャッキパッドの役目
ジャッキパッドの役目
ジャッキパッドは車体を持ち上げるときの受け皿で、BimmerWorld によると下回りの傷や地金の露出も防ぐ。パッドは BMW の品番が付いた部品で、BimmerWorld では1個単位で売られている。傷んだら単体で交換できる部品だと覚えておけばよい。
ジャッキポイント以外にかけない理由
ジャッキは、ジャッキアップポイントのように車体を持ち上げられる部分にかける。それ以外の部分にかけると、車体の重さでクルマを壊してしまう可能性がある。E84 では、サイドシル下面のジャッキパッド以外の場所にジャッキを当てない。下回りに平らで硬そうな部分が見えても、そこは持ち上げる場所ではないと考えてほしい。
作業前の準備
停める場所と輪止め
周囲の安全を確かめ、ほかのクルマの邪魔にならない場所に停める。パーキングブレーキをかけ、ギアはパーキング(P)に入れる。そのうえで、交換するタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかけ、ジャッキアップしても車が動かないようにする。
そろえる道具
ジャッキとホイールボルト用のレンチに加えて、2つ用意しておきたい。
- トルクレンチ: ボルトを正しく締めるには専用のトルクレンチが要る。無い場合は、作業の後できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場で規定トルクの本締めをしてもらう
- リジッドラック(ジャッキスタンド): ジャッキだけで車体を支えないための道具。理由は次の手順の節で書く
季節ごとに替えるタイヤや道具を車に積んでおくなら、荷室の使い方も見直しておくと作業がはかどる。
タイヤ交換の手順
ボルトを緩めてからジャッキアップする
- クルマを持ち上げる前に、レンチでホイールのボルトを少しだけ緩めておく
- 車の下をのぞいてサイドシル下面のジャッキパッドを確かめ、ジャッキの頭をパッドに当てる
- タイヤが路面から少し離れるまで持ち上げる
ジャッキだけで支えない
ジャッキだけでクルマを支えていると、ジャッキが外れてクルマが落ちたときに挟まれるおそれがある。リジッドラックを使って支えるのが好ましい。用意できない場合は代わりの保険として、交換するタイヤ・ホイールを車体の下に置いておく。
付け替えて仮締めする
ボルトを外してタイヤを付け替えたら、ボルトを取り付け、ぐらつかなくなるまで2〜3回に分けて仮締めする。この段階では、まだ規定トルクまで締めない。
本締めは車体を下ろしてから対角の順で
仮締めが済んだら車体を下ろし、ジャッキを外してから、トルクレンチで規定トルクまで本締めする。
締める順番は対角線の順だ。E84 は5本のボルトで留めるので、星を描くように締めていくのが正しい順番になる。
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、トルクレンチはまず規定トルクの半分の値に合わせて締め、その後に規定値へ合わせ直して締め上げる。
規定トルクは車種ごとに異なり、どの車にも同じ値を使えるわけではない。E84 の値は、タイヤ・ホイール店の仕様表に載る値とほかの資料の値が食い違っていて、E84 の取扱説明書では確かめられなかった。車載の取扱説明書の値に従い、無理に締め付けないこと。締めすぎるとボルトが破損する場合がある。
交換後は50〜100km走ってから増し締めする
コンチネンタルの解説では、交換時の締め付けトルクが適切でなかったり、初期走行の環境変化などで、走るうちにまれにボルトが緩むことがあり、最悪の場合は走行中にホイールが外れることもある。新しいタイヤに替えたら、50〜100kmを目安に走ってから増し締めする。
パンクで応急用タイヤに替えたときは、応急用タイヤはあくまで応急用なので、パンクしたタイヤは速やかに修理して元に戻す。
替えホイールを用意するときの E84 の規格
冬用タイヤをホイールごと用意するなら、ボルトの規格とハブ径が合うかを先に見る。タイヤ・ホイール店の車種別の仕様表では、E84 の値は次のとおりで、前期・後期とも同じだ。
| 項目 | 仕様表の値 |
|---|---|
| ホイールの留め方 | ボルト(ラグボルト) |
| ねじ | M12×1.5 |
| PCD | 5×120(5穴) |
| ハブ径(センターボア) | 72.6mm |
同じ仕様表で OEM の印が付くのは前輪 225/50R17 94V(7.5Jx17 ET34)だ。ほかに次のサイズが載っていて、18・19インチでは前後で別のサイズを組み合わせる。
| 位置 | タイヤサイズ | ホイール |
|---|---|---|
| 前輪 | 225/45R18 | 8Jx18 ET30 |
| 後輪 | 255/40R18 | 9Jx18 ET41 |
| 前輪 | 225/40ZR19 | 8Jx19 ET30 |
| 後輪 | 255/35ZR19 | 9Jx19 ET41 |
実際に付いているサイズは、タイヤ側面の表示で確かめる。
サイズで選ぶ消耗品はほかにもある。ワイパーのサイズは次の記事にまとめた。
ジャッキパッドが割れた・外れたときの交換部品
傷んだジャッキパッドの見分け方
BMW 用の社外部品を扱う BAVMODS の製品説明では、E84 を含む BMW 各車の純正ジャッキポイントは、時間がたつと潰れたり変形したり、外れてしまったりすることがあり、サイドスカートのひびや曲がりにもつながると説明されている。パッドが潰れている、形が変わっている、無くなっている、周りのサイドスカートにひびや曲がりがある、のどれかに当てはまるなら交換の時期だ。BAVMODS は、傷んだ・すり減ったジャッキパッドで持ち上げるのは危険だとも書いている。
互換パッドを選ぶときの確認点
BimmerWorld の適合表では、BMW 品番 51717237195(旧品番 51717123311 の置き換え)のジャッキパッドの適合に「E84 X1 (2013-2015)」の X1 28i・X1 28i xDrive・X1 35i xDrive(米国仕様の呼び名)が載る。日本仕様のグレード名と2012年以前の年式は、この表には載っていない。
選ぶときは次の3点を見る。
- 純正の品番と商品名の品番が一致するか。手元の E84 の純正パッドの品番は、車台番号で部品商やディーラーに照らしてから選ぶ
- 入数。車1台分の個数を揃えられるかを見て、記載が無ければ出品者に確かめる
- 出品者の適合の注意書き。年式・仕様で合わない場合があるかを読む
Amazon で手に入る候補が、商品 B01N5WV35V だ。販売ページの商品説明では、商品名に「E82 E87 E84 X1 E90 E91 ジャッキポイント/リフトサポート」と品番 51717237195 の記載があり、箇条書きに「BMW互換品」とある。純正品ではなく互換品として売られている。品番は、BimmerWorld の適合表で E84 X1(2013〜2015年の米国仕様)に載るジャッキパッドの品番と同じだ。
ただし、この商品の説明の箇条書きには「上記車種にグレードや型式記載されている場合でも、年式・仕様等により適合しない場合が御座います。」とある。また、商品名と商品説明の箇条書きのどちらにも、入数(何個入りか)の記載が無い。車台番号で純正品番を照らし、入数を出品者に確かめてから注文するのが手堅い。価格は変わるので、リンク先で最新の値を確かめてほしい。
BMW E84 X1 ほか用 ジャッキポイント/リフトサポート(品番51717237195表記・互換品)
よくある質問
E84 のホイールボルトの締付トルクは何Nm?
数値は挙げない。資料ごとに値が食い違い、E84 の取扱説明書で確かめられていないからだ。車載の取扱説明書の値に従うか、ディーラー・整備工場で確かめる。
ジャッキだけで支えて作業してもいい?
避ける。ジャッキが外れると車体の下に挟まれるおそれがある。リジッドラックで支え、用意できなければ交換するタイヤ・ホイールを車体の下に置いておく。
ジャッキパッドが無い・割れているときは?
そのまま持ち上げない。傷んだパッドで持ち上げるのは危険だと BAVMODS も書いている。先にパッドを交換するか、整備工場に相談する。
交換後はいつ増し締めする?
新しいタイヤに替えたら、50〜100kmを目安に走ってから増し締めする。
電球の交換も自分でやるなら、型番を先に押さえておくと部品選びで迷わない。
まとめ
まず車検証で型式と初度登録年月を確かめ、手元の車が E84 かどうかを把握する。そのうえで次の順に進めればよい。
- ジャッキはサイドシル(ロッカーパネル)下面のジャッキパッドに当てる。パッドが割れている・外れているなら先に直す
- ジャッキだけで支えず、リジッドラックを使う
- ボルトは対角に仮締めし、車体を下ろしてから取扱説明書の規定トルクで本締めする
- 新しいタイヤなら50〜100km走ってから増し締めする
荷室を広く使う車中泊の用品も、同じ E84 向けにまとめている。
この記事にはAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を含みます。

コメント