BMW X1(F48)でバッテリーが弱ってきたり警告が出たりして、通販で替えを買うなら、最初に決めるのは型番だ。英国向けのバッテリー販売サイトの適合表では、F48 のグレード別の掲載に 80Ah の LN4 と 70Ah の LN3 という長さの違う AGM が出てきて、グレードや装備によって分かれている。型番を決め打ちせず、今載っているバッテリーの表示を読んで同じ型を選ぶのが基本になる。置き場所がカバーと補強材の下にあることと、交換後に登録が要ることも、作業の前に知っておきたい。
X1 F48 のバッテリーの型番は1つに決まらない
英国向けのバッテリー販売サイトの X1 F48 の適合ページは、同じ X1 でもエンジン・登録年・電装品によって、最大3種類のバッテリーの型が当たることがあると書いている。同じページのグレード別の掲載に出てくるのは、次の2つの大きさだ。
| 容量・始動性能 | 寸法(長さ×幅×高さ) | ケースサイズ | 技術 |
|---|---|---|---|
| 80Ah・800A | 315×175×190mm | L4 | AGM |
| 70Ah・760A | 278×175×190mm | L3 | AGM |
ただし、これは英国向けの販売サイトの表で、日本で売られた F48 の各グレード・年式の純正バッテリーを示す資料ではない(同じページにも年式の条件は書かれていない)。JAF の解説でも、交換用はもともと付いていたものと同じ型式を選ぶのが基本とされている。日本仕様の自分の車がどちらの大きさで、どの技術のバッテリーかは、今載っているバッテリーのラベルで確かめるのがいちばん確実だ。
日本で売られた F48 とグレード別の掲載例
中古車情報誌の記事によると、日本では F48 型の X1 は2015年10月に導入され、2023年2月に3代目(U11)が出るまで約8年間売られた。2019年10月のマイナーチェンジを境に前期型と後期型に分けられる。グレードには sDrive18i(FF・1.5L 直列3気筒ガソリンターボ)、xDrive18d(4WD・2.0L 直列4気筒ディーゼルターボ)、xDrive20i(4WD・2.0L 直列4気筒ガソリンターボ)などがある。
このうち3つのグレードについて、先の英国向けの販売サイトの適合ページに載っている例を並べる。同じ F48 でも大きさが分かれることが分かる。
sDrive18i
sDrive 18 i には、80Ah・800A の AGM(315×175×190mm・ケースサイズ H7/L4)が1件だけ載っている。年式の記載は無い。同じページの中で技術の表記が、表では AGM、仕様欄では「Start-Stop (EFB/AGM)」と食い違っている点も覚えておきたい。
xDrive20i
xDrive 20 i には、80Ah・800A の AGM(315×175×190mm)と 70Ah・760A の AGM(278×175×190mm)の2件が載り、装備によってこの2つのどちらかを使うと書かれている。80Ah の側が最も一般的とされるが、年式の条件の記載は無い。
xDrive18d
xDrive 18 d には、70Ah・760A の AGM(278×175×190mm・ケースサイズ H6/L3)が1件載っている。年式・生産期間の記載は無い。
ここに挙げた例は英国向けの表の掲載で、日本仕様の純正の大きさを決めるものではない。
今載っているバッテリーのラベルの読み方
買う前に、今載っているバッテリーのラベルで次の3点を確かめておく。
- 容量(Ah)
- 大きさ(LN3・LN4 などのサイズ記号)
- AGM か EFB か
サイズ記号(LN)は長さを表す
バッテリーメーカーのジーエス・ユアサの解説では、EN 規格のサイズ記号 LN0〜LN6 は長さで区分される。主な長さは次のとおり。
| サイズ記号 | 長さ |
|---|---|
| LN1 | 207mm |
| LN2 | 242mm |
| LN3 | 278mm |
| LN4 | 315mm |
幅175mm・高さ190mm が基本で、高さ175mm の LBN タイプもある。端子の位置は L タイプのみとされている。F48 で話に出る LN3 と LN4 は、長さが 278mm と 315mm で違う。
DIN 表示の読み方
欧州車用の DIN 規格の旧表示では、先頭の数字が 5 なら 12V・100Ah 未満、6 なら 12V・100Ah 以上を示す。次の2桁が20時間率の公称容量(Ah)で、最後の数字は仕様ごとの連番だ。たとえば 80Ah のバッテリーなら、先頭が 5、続く2桁が 80 になる。
AGM・EFB の表記
AGM は制御弁式(VRLA)でアイドリングストップに対応し、EFB は開放型でアイドリングストップに対応する。どちらの表記も無いものは開放型で、アイドリングストップには対応しない。
交換用バッテリーを選ぶ4つの基準
今のバッテリーの表示が読めたら、次の4つで選ぶ。
- 大きさ(LN3 か LN4 か=長さ)を今のバッテリーと同じにする
- 技術を下げない(今が AGM なら AGM)
- 端子の位置を今と同じにする
- 容量を上げるのは、寸法と端子の位置が合うときだけ
技術を下げない
英国向けの販売サイトの適合ページは、F48 はスタート・ストップ用(AGM または EFB)のバッテリーを使うので通常型に替えないこと、AGM は AGM へ、EFB は EFB か AGM へ替えて技術を下げないこと、と書いている。国内のバッテリーメーカーも、アイドリングストップ車に通常車用を載せるとシステムが正常に作動しなくなったり短寿命になったりするおそれがあり、保証の対象外になるとしている。
容量を上げるとき
同じ適合ページは、より大きい Ah の製品へ替えられるのは、寸法がバッテリーの収納部に収まり、プラス端子の位置が合っている場合だとしている。極性(端子の位置)は、車のメーカーに相談せずに変えないこと、とも書いている。収納部に収まるかを確かめた資料が無いまま、今と違うサイズ記号のものを選ぶのは避けたい。
F48 を適合欄に挙げている LN4 の AGM バッテリー
販売ページの商品名と商品説明では、この商品は「HELLA製」の AGM バッテリーで、規格は AGML4・LN4、12V・80Ah・800A と書かれている。商品説明の適合欄には、F48 X1 の 18i・18d・18dX・18iX・20i・20iX・25i・25iX が挙がっている(ほかに F20・F22・E83 X3・F25 X3 なども並ぶ)。
HELLA製 AGM バッテリー AGML4 LN4 12V 80Ah(F48 X1 対応と記載)
ただし、この HELLA製の AGML4 の商品説明は、取り付けられるのは純正品番 61219364593・61217555285・61217555286・61217555718・61217555719・61219364592 のいずれかが付いた車両に限るとしている。適合欄の車種やグレードに当てはまっても、年式や仕様によって合わない場合があるので、実車に付いている純正品番を確かめてから注文するよう求めている。適合に不安があれば、注文前に車体番号を伝えると出品者が調べる、とも書かれている。
この HELLA製の AGML4 は LN4(長さ 315mm)の大きさだ。今載っているバッテリーが LN3 の大きさなら、この商品は候補から外し、同じ LN3 の AGM を探す。
F48 のバッテリーの置き場所と作業の重さ
南アフリカの自動車情報サイトの交換記事によると、F48 では前輪駆動ベースになったのにあわせてバッテリーが車の後ろから前へ移り、エンジンのすぐ後ろ、フロントガラスのすぐ前に置かれている。バッテリーの上にはカバーと車体の補強材(ブレース)が重なっている。第1世代の X1 は、荷室を開けて右後輪の後ろの内装カバーを外せば届く位置だった。
同じ記事は、F48 の交換は第1世代よりずっと手間がかかる側に入るとして、専門の業者に任せることを勧めている。自分で行うなら、カバー・補強材・配線を傷めないよう、外した部品と順番を控えながら進めたい。工具の扱いに慣れていない人や、交換後の登録の手段が無い人は、最初から業者に頼むほうがいい。
X1 F48 のバッテリー交換の手順
南アフリカの交換記事の手順と、国内のバッテリーメーカーの一般的な案内をもとにした流れを示す。
準備と道具
交換記事が挙げる道具は、マイナスドライバー、ペンチ、8mm と 13mm のソケット、ソケットレンチ、10mm のレンチ。あわせて、ゴム手袋と保護メガネ、端子の掃除に使うワイヤーブラシかサンドペーパーを用意する。
作業前にエンジンを止め、ライトや電装品を OFF にする。走行直後はバッテリーの中にガスがたまっているので、30分以上休ませてから作業する。作業の前に車体の金属部分に触れて、静電気を逃がしておく。
メモリー機能のある車は、バッテリーを外すとメモリーが消えることがある。シガーソケットにつなぐ方法か、載っているバッテリーの端子につなぐ方法のバックアップ電源で守れる。バックアップが必要かは、交換前に販売店か取扱説明書で確かめる。
カバーと補強材を外す
交換記事の手順では、まずベンチレーショントレイ(フロントガラス下の部分)のゴムシール、位置決めのピン3本、トレイのカバーを外す。次にバッテリーの2分割のカバーを留める 8mm のボルト2本を外す。そのあと、バッテリーのまわりの箱状の部品や配線を傷めないよう注意しながら、補強材(13mm のボルト2本)を外す。
端子を外してバッテリーを出す
端子は、車体(ボディ)にアースされているマイナスを先に外し、次にプラスを外す。交換記事では、F48 の端子は 10mm のナットで留まっている。外す順を誤ると、工具が車体に触れてショートするおそれがある。工具などの金属がプラスとマイナスの端子に同時に触れると火花が出て、引火・爆発・火災の原因になる。
端子を外したら、取り付け金具(マウントブラケット)を留める 13mm のボルトを外す。交換記事では、バッテリーを少しフロントガラス側へずらしてから、台から持ち上げて出す。
新しいバッテリーを載せて組み付ける
新しいバッテリーを台に載せ、取り付け金具で確実に固定してから、外した順の逆で組み付ける。端子はプラスを先、マイナスを後に付ける。交換記事によると、F48 の端子は太さが違うので逆向きには付かない。端子は左右に動かしても外れない程度に締め、締めすぎて端子を傷めない。エンジンをかける前に、ケーブルの端子や取り付け金具にゆるみが無いか、工具を置き忘れていないかを確かめる。
交換後はバッテリーの登録(コーディング)が要る
交換後は、車に新しいバッテリーであることを伝える登録(コーディング)を診断機で行う。英国向けの販売サイトの適合ページは、メーカーが新しいバッテリーを OBD 経由で診断機に登録することを求めているとしている。南アフリカの交換記事は、登録しないと電装系の不具合が起きやすくなり、新しいバッテリーやオルタネーターに悪影響が出るおそれがあるとしている。同じ記事は、BMW は充電の制御でバッテリーの充電を管理しており、登録しないと新品が過充電される可能性があるとも説明している。
販売サイトの適合ページは、EFB から AGM へ技術を変えたときはその設定もコーディングで行い、この手順を省くと寿命がかなり短くなる、とも書いている。
交換記事は、登録は診断スキャナーで行え、スキャナーを持っていない場合は、スキャナーを持つ出張の技術者に頼む方法がある、としている。手順の最後は、エンジンがかかることを確かめてから登録を行う流れだ。
国内のバッテリーメーカーの一般的な案内では、アイドリングストップ車は交換直後にアイドリングストップが作動しない場合があり、使っても作動しないときは販売店で点検を受ける。専用ツールによるリセットや、特殊工具による車載コンピューターの初期化が必要な車種もある。
外した古いバッテリーの処分
外した古いバッテリーは、鉛と希硫酸を含むので家庭ごみとして捨てられない。購入店に引き取りを相談するか、自治体の定めに従う。すぐに出せず保管するときは、端子キャップなどでショートを防ぎ、横倒しや不安定な場所に置かない。
あわせて見たい X1 F48 の記事
同じ F48 の整備や使い方の記事も参考にしてほしい。
よくある質問
X1 F48 のバッテリーの型番は1つに決まる?
決まらない。英国向けのバッテリー販売サイトの適合表では、F48 のグレード別の掲載に 80Ah・LN4 の AGM と 70Ah・LN3 の AGM の2つの大きさが出てきて、同じページはエンジン・登録年・電装品によって最大3種類の型が当たることがあるとも書いている。日本仕様の純正を示す資料ではないので、今載っているバッテリーのラベルを読んで同じ型を選ぶ。
F48 のバッテリーは自分で交換できる?
道具と手順がそろえば自分でも進められるが、南アフリカの交換記事は、F48 の交換は第1世代よりずっと手間がかかるとして、専門の業者に任せることを勧めている。交換後の登録には診断機も要る。
交換後に登録しないとどうなる?
南アフリカの交換記事によると、電装系の不具合が起きやすくなり、新しいバッテリーやオルタネーターに悪影響が出るおそれがある。登録の流れと頼み先は、上の登録の節を見てほしい。
AGM から EFB や通常のバッテリーに替えてもよい?
替えない。英国向けの販売サイトの適合ページは、F48 では通常型に替えないこと、AGM は AGM へ替えて技術を下げないことを求めている。
容量の大きいバッテリーに替えてもよい?
同じ適合ページは、より大きい Ah の製品へ替えられるのは、寸法がバッテリーの収納部に収まり、プラス端子の位置が合っている場合だとしている。サイズ記号と端子の位置は今と同じものから選ぶ。
まとめ(購入前と作業前の確認リスト)
- 今載っているバッテリーのラベルで、容量(Ah)・大きさ(LN3 か LN4 か)・AGM か EFB かを読んだか
- 選ぶバッテリーは、大きさと端子の位置が今と同じで、技術が下がっていないか
- HELLA製の AGML4 を選ぶなら、実車の純正品番が商品説明に挙がる6つの品番のどれかと一致するか
- エンジンのすぐ後ろ、カバーと補強材の下にあるバッテリーを自分で替えるか、業者に頼むか決めたか
- 交換後の登録(コーディング)を診断機で行う手段を用意したか
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