X1 F48(日本では2015年10月発売)の異音は、音の出る場所と、出る条件(段差を越えるとき・曲がるとき・満タンのときなど)で原因の候補が大きく変わる。もう1つの分かれ目は、手がかりになる BMW の技術情報が米国の X1 向けのもので、日本の発売時のグレード(sDrive18i・xDrive20i・xDrive25i)とは構成が違うことだ。まず自分の車の音がどの場所・どの条件で出ているかを確かめ、それに合う節から読み進めてほしい。
X1 F48の異音は「どこで・いつ鳴るか」で候補が絞れる
米国の不具合情報サイトにまとめられた BMW の技術情報の一覧では、F48 世代の X1 の異音の項目が、前の足回り、エンジンマウント、ドアやミラー、燃料タンク、リアのライトなどにわたって多数並ぶ。段差で前から割れるような音ならウィッシュボーンのゴムのマウント、始動・発進・ブレーキ時のノック音なら右のエンジンマウント、荒れた路面でのドアの上のきしみならドアのシール、満タンのときに低い回転でゆっくり走っているときかアイドリング中に後ろから聞こえる音なら給油管の逆止弁、というように、場所と条件で候補が分かれる。
ただし、音の聞こえ方だけで原因は決められない。 技術情報に同じような症状があっても、自分の車に当てはまるか、修理や保証・リコールの対象になるかは、正規ディーラーで車台番号を伝え、メモした症状とあわせて確かめるのが確実だ。
技術情報の範囲と、日本のX1 F48との違い
技術情報が載るのは米国の2017年モデルイヤーの頁
米国の不具合情報サイト(CarComplaints)は、米国の当局(NHTSA)の番号が付いた BMW の技術情報を「2017 BMW X1」(米国の2017年モデルイヤーの X1)の頁にまとめている。英語版 Wikipedia では、X1 F48 のモデルイヤーは2016〜2022年(生産は2015年6月〜2022年6月)、先代の E84 は2010〜2015年、次の U11 は北米で2023年から。つまり2017年モデルイヤーの X1 は F48 の世代にあたる。
日本の発売時のグレードと米国のグレード
グレードの構成は日米で違う。BMW Japan の2015年10月の発表では、新型 X1(F48)は10月16日に発表され、10月24日から全国の正規ディーラーで販売が始まった。発売時のグレードは次の3つだ。
| グレード(日本の発売時) | エンジン | 最高出力 |
|---|---|---|
| sDrive18i | 1.5リッター直列3気筒ターボ・6速AT | 136ps |
| xDrive20i | 2.0リッター直列4気筒ターボ・8速AT | 192ps |
| xDrive25i | 2.0リッター直列4気筒ターボ | 231ps |
発表では、sDrive18i の諸元値はヨーロッパ仕様車の値と注記されている。対して英語版 Wikipedia によると、xDrive25i は北米では xDrive28i の名で売られ、米国の xDrive28i は B48 系の直列4気筒エンジン(B46A20O0 という変種)を使い、同じエンジンで前輪駆動の sDrive28i もある。
自分の車に当てはまるかは車台番号で確かめる
技術情報の頁の本文には、対象の型式・生産時期・エンジンの行が無い。 とくにエンジンや変速機まわりの項目が日本の車に同じように当てはまるかは、これらの出典では確かめられない。以下の症状は候補として読み、自分の車に当てはまるかは正規ディーラーで車台番号を伝えて確かめてほしい。
前の足回りから出る音
2015年の BMW Japan の発表によると、F48 のサスペンションは新開発で、フロントはシングル・ジョイント・スプリング・ストラット・アクスル、リヤはマルチ・リンク・アクスルだ。前の足回りの音については、米国の不具合情報サイトに載る BMW の技術情報に次の2つがある。
段差・踏切で前から割れるような音
B310116(2016年11月の版。2016年4月の版を置き換え)は、荒れた路面を走るときに前の車軸のあたりから割れるような音がするという申し立てを扱い、踏切やスピードバンプでも出るとしている。原因はウィッシュボーン(前輪を支えるアーム)のゴムのマウントとされる。
低速で曲がるとき・アイドリング中のうなり音
B310516(2016年11月)は、低速で曲がるときかアイドリング中に、前の車軸からうなるような音、またはきしむ音が出る症状を扱う。原因と対策は、出典の頁の本文には書かれていない。
エンジンルームと駆動系から出る音
同じ技術情報には、エンジンルームとその下まわりの音が3つある。どれも米国の車向けの頁にあるもので、日本の 1.5リッター3気筒の sDrive18i などに同じく当てはまるかは確かめられない。
始動・発進・ブレーキ時のコツコツ音
B220217(2017年5月)は、エンジンの始動時・発進時・ブレーキ時に、エンジンルームからノック音が出る、またはエンジンが揺れる症状を扱う。原因は右側のエンジンマウントの損傷で、損傷は目立たないことも、はっきり分かることもあるという。対策は右のエンジンマウントの点検と、必要ならその交換だ。
低いギアで曲がるときのきしみ音
B220117(2017年5月)は、曲がるとき(主に左に曲がるとき)に車の前からきしむ音が出る症状を扱う。出るのは1速か2速で、惰性で走っているときか加速中。まっすぐ走っているときには再現しないとしている。原因は、変速機のマウントのゴムがアルミのハウジングにこすれることだ。
発進時のエンジン下のこもり音
B220322(2022年11月)は、荷重が反転するときか停止からの発進のときに、エンジンの下のあたりからきしむ音、またはこもったような音が出る症状を扱う。部位の分類はエンジンとエンジンの冷却で、原因と対策は出典の頁の本文には書かれていない。
エンジンまわりを点検に出すなら、オイル交換の時期もあわせて見ておくと手間が1回で済む。
ブレーキの鳴きの原因とパッドの選び方
鳴きの主な3つの原因
ブレーキメーカーのディクセルの広告記事(CARME)では、ブレーキの鳴き・異音の主な原因を3つ挙げている。
- パッドの残量が危険なところまで減った
- ローターの偏摩耗。パッドを新品にしても鳴り止まないときに多く、ローターの周り(エッジ)に段がついていたり表面に凹凸があったりすれば、その可能性が大きい。ローターも新品に替えると鳴きが消えるとしている
- キャリパーのトラブル。パッドもローターも新品なのに鳴るときで、ピストンシールやダストブーツなどのゴム部品の劣化が原因になりやすく、対処はキャリパーのオーバーホール
同じ記事は、パッドの残量が減ったことを金属のセンサーがローターに当たるキーキー音で知らせる仕組みについて、日本車で採用されることがほとんどで、輸入車ではまれだとしている。ただしこれは一般のブレーキについての記事で、X1 F48 についての資料ではない。X1 F48 のパッドが金属で鳴らす摩耗の警告を持つかどうかは、ここで挙げた出典では確かめていない。
互換品のフロントのパッドを選ぶとき
パッドの交換を考えるなら、HAPAD のフロントのブレーキパッドが候補になる。商品名と販売ページの商品説明では、フロントのブレーキパッドとブレーキパッドのセンサーのセットとされ、「BMW互換品」と書かれている(BMW の純正品ではない)。
販売ページの商品説明では、HAPAD のこのパッドの対応を「F48 X1 18i 18d 18dX 18iX 20i 20iX 25iX / F39 X2 18i 18dX 20iX」とし、ブレーキパッドは純正品番 34106860019 か 34116866309、センサーは 34356865613・34356888167・34351543830 のいずれかが付いている車両に限るとしている。あわせて、車種にグレードや型式が載っていても年式・仕様などで合わない場合があるので、実車に付いている純正品番を必ず確かめてから注文するよう書いている(出品者の記載)。
HAPAD フロント ブレーキパッド+パッドセンサー BMW X1 F48用 互換品
買う前に、今付いているパッドとセンサーの純正品番を確かめるか、車台番号で適合を正規ディーラーや部品店に確かめる。ブレーキは命に関わる部品なので、取り付けは整備工場やディーラーに頼む。 新品のパッドに替えても鳴りが続くときは、ローターやキャリパーの点検も頼もう。
ドア・ミラー・屋根まわり・室内から出る音
米国の不具合情報サイトに載る BMW の技術情報では、ボディと室内の音の項目がとくに多い。
ドアの上のきしみ音
B512617(2017年9月。2019年8月に第3版)は、荒れた路面を走るときにドアの上からきしむ(うなるような)音が出る症状を扱う。原因は、ドアのシールとボディのドアの開口部の間の摩擦が大きすぎること。気温が高いときと、路面が平らでないときに悪化するとしている。
ミラーの笛のような風切り音
B511716(2016年6月)は、窓を閉めた状態で時速50マイル(約80km/h)を超える速さのときに、片方か両方のドアミラーから笛のような音がする症状を扱う。原因は、ドアミラーの取付部とドアの間のすき間が大きすぎることだ。
Aピラーの下・屋根まわりのガタつき
B512518(2018年11月)は、Aピラー(フロントガラスの横の柱)の下のあたりからのカタカタ音を扱う。原因は製造時の誤りで、前のドアのストッパーを Aピラーに留めるボルトが時間とともに緩むことがあるため、としている。B540518(2018年6月)は、荒れた路面でパノラマ・サンルーフの前の角のあたりからガタつく音が出ることがある症状で、原因と対策は出典の頁の本文には書かれていない。
室内のビビり音・ブーンという音
B514116(2016年10月)は、サンシェード(日よけ)とハンズフリー通話のマイクのあたりからカタカタ・ビビる音がする症状で、荒れた路面で目立つ。原因は、覆われていないマイクのプラグが天井の内張りの裏の部品に当たって振動すること。対策は、マイクのプラグをテープかフォームで覆うことだ。同じ一覧には、室内の音としてほかに次の項目がある。
| 症状 | 技術情報 |
|---|---|
| 荒れた路面で計器盤の上からコツコツとノックするような音 | B510323(2023年3月) |
| 運転席の背もたれに上半身の重さがかかったときのきしみ | B520616(2016年11月) |
| 前の席を前後に動かすとき、動く範囲の全体で出る大きなきしみ音 | B522219(2019年) |
| ホーンを鳴らしたとき、ホーンが振動して出るブーンという音 | B610718(2018年4月) |
| パーキングかニュートラルでエアコンを切ったときのブーンという音 | B640420(2020年10月) |
| オーディオが鳴っているときの計器盤の中央のスピーカーのビビり音 | B511124(2024年4月) |
車の後ろから出る音
満タンのときのヘリコプターのような音
米国の不具合情報サイトに載る BMW の技術情報 B160319(2020年7月)は、低い回転でゆっくり走っているときかアイドリング中に、かすかにノックするような、またはバタつくような音が聞こえる症状を扱う。F48(X1)では、燃料タンクが満タンのときにタンクの中から聞こえるとしている(F48 以外の車は燃料が少ないとき)。客は車の後ろからの「ヘリコプターのような音」と言うことがあるという。原因は、タンクの通気の弁からの圧力の変動で給油管の逆止弁が振動することで、振動が室内で聞こえることもある。
後ろのカタカタ音とリアのライト
B011319(2020年1月)は、リアのライトのハウジングが取付部のつめのところで緩んだり外れたりして、走行中に車の後ろからカタカタという音が出ることがある症状を扱う。原因は、プラスチックの取付部のつめがもろくなって割れ、ナットでハウジングを留めておけなくなることがあるため。見出しは10年・走行距離の制限なしへの保証の延長だが、これは米国での扱いで、日本でどう扱われるかは確かめていない。
日本でのリコールや無償の修理の対象かどうかは、国土交通省のリコール情報の検索や、BMW の正規ディーラー・問い合わせ窓口に車台番号を伝えて確かめる。 米国の技術情報や保証の延長が、日本でも同じ扱いになるとは限らない。
加速時のうなり・テールゲートのきしみ
B512317(2018年4月)は、2,000回転までの穏やかな加速のときに、うなるような音と振動が出る症状を扱う。部位の分類はボディのテールゲートで、原因と対策は出典の頁の本文には書かれていない。テールゲートまわりでは、開け閉めするときのラッチのきしみ(B513117・2019年7月に第3版。ラッチへの汚れの付着によるもの)と、開け閉めするときにテールゲートを動かす装置からきしむ・うなる音(B514616・2023年5月)も一覧に載っている。
点検に出す前のメモと、ディーラーで確かめること
異音は、点検の場で再現しないと原因を絞りにくい。点検に出す前に、次をメモしておくと伝えやすい。
- 音の出る場所(前・後ろ・足元・頭上・ドアのあたり)
- 出る速度
- 操作(ハンドルを切ったとき・ブレーキを踏んだとき・発進や加速のとき)
- 路面(段差・荒れた路面・踏切)
- 気温や天気
- 燃料の量
- エンジンが冷えているか、温まっているか
できればスマートフォンで音を録っておく。持ち込み先は正規ディーラーにし、車台番号を伝えて、技術情報・リコール・保証の対象かを確かめてもらう。なお2015年の新型 X1 の発表によると、「BMW テレサービス」は、車両のメインテナンスやバッテリー電圧の低下といった情報を担当の BMW 正規ディーラーに知らせるサービスだ。
ブレーキ・足回り・エンジンの取付部のように、走る・曲がる・止まるに関わる部位から音がするときは、そのまま乗り続けず早めに点検に出す。 音とあわせて警告の表示や振動・ブレーキの効きの変化があるときも同じだ。原因が分からないうちに、自分で部品を外したり替えたりしない。
点検とあわせて見直したい消耗品と関連記事
点検に出すときに、消耗品の交換時期もまとめて確かめておくと手間が減る。異音の原因とは別の話として、次の記事も役に立つ。
後の世代の X1 に乗り換えた人や、比べたい人は U11 の記事も見てほしい。
よくある質問
日本のX1 F48にも同じ技術情報が当てはまる?
そのまま当てはまるとは言えない。技術情報は米国の X1 の頁に載るもので、頁の本文には対象の型式・生産時期・エンジンの行が無い。日本の発売時のグレード(sDrive18i・xDrive20i・xDrive25i)と米国の sDrive28i・xDrive28i は構成が違うので、自分の車に当てはまるかは正規ディーラーで車台番号を伝えて確かめる。
ブレーキの鳴きはパッド交換で止まる?
パッドの残量が原因なら交換で対処できるが、止まるとは限らない。ディクセルの広告記事は、新品のパッドでも鳴るならローターの偏摩耗、パッドもローターも新品なのに鳴るならキャリパーのゴム部品の劣化を原因に挙げている。
満タンのときに後ろから音がするのは故障?
聞こえ方だけでは決められない。BMW の技術情報 B160319 には、F48 で満タンのとき、低い回転でゆっくり走っているときかアイドリング中に、タンクの中から、かすかなノック音やバタつく音が聞こえる症状が載っている。満タンのときに出ることと、そのときの走り方をメモして、ディーラーで確かめてもらおう。
異音が出たまま走ってもいい?
走る・曲がる・止まるに関わる部位からの音や、警告の表示・振動・ブレーキの効きの変化を伴う音なら、乗り続けずに早めに点検に出す。それ以外の音も、メモを取ったうえで点検のときに伝えておく。
まとめ
最初にやるのは、実車で音がどこから、どんな条件で出ているかを確かめることだ。場所・速度・操作・路面・気温・燃料の量をメモし、できれば音を録っておく。そのうえで車検証の車台番号を手元に用意して正規ディーラーへ持ち込み、技術情報・リコール・保証の対象かを確かめてもらう。音の場所と条件で候補は絞れても、原因を決めるのは点検だ。
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