BMW M5 G90 異音の原因|仕組みの音と不調の音の切り分け

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M5 G90 の異音でまず起きやすい見落としは、電気だけで走っているときに聞こえる走行音の一部が、BMW の発表資料にある設計として作られた音だと知らないまま、故障を疑ってしまうことだ。仕組みどおりに出る音を先に知っておけば、残った音を出る場所と場面で切り分けて、ディーラーに見せるべきかを判断しやすくなる。

目次

M5 G90 の異音は「仕組みの音」と「不調の音」に分けて考える

M5 G90 には、設計どおりに出る音や、走り方で変わる音がある。電気だけで走るときの走行音の一部は作られた音で、ELECTRIC モードでもキックダウンやシフトパドルの操作をするとエンジンが加わる。排気音も、電子制御のフラップを持つ車なので場面で変わる。

こうした仕組みの音に当てはまらない音や続く音、同じ設定のままでのブレーキの踏みごたえの変化があれば、ディーラーか整備工場に相談する。JAF Mate の日常点検の解説では、いつもと違う音が聞こえてきたときは何らかの異常が起こっている可能性が高いので、すぐに整備工場に相談するよう勧めている。G90 では、設計どおりの音を知ったうえで、それに当てはまらない音を相談の対象にすればよい。

M5 G90 の仕組みと、音に関わる装備

対象は M5 セダン(G90)。国内導入時の報道では、BMW ジャパンは 2024 年 10 月 2 日に新型 M5 の国内導入を発表して販売を始め、納車は 11 月中旬以降の予定とされた。BMW の発表資料では、世界での発売開始は 2024 年 11 月から。なお BMW の報道向け資料では、M5 ツーリングは G99 として別に分類されている。

パワートレインと走行モード

G90 は M5 の 7 代目で、M5 として初めて電動化した駆動方式(M HYBRID)を持つ。4.4 リッター V8 ツインターボ(585PS・750N・m)と、8 速の M Steptronic トランスミッションに組み込んだ駆動用モーター(197PS)を組み合わせ、システム全体で 727PS・1000N・m。高電圧バッテリーは床下の低い位置にある。

走行モードは M HYBRID のボタンで HYBRID と ELECTRIC を切り替える。HYBRID はエンジンとモーターの連携を自動で制御するモード。ELECTRIC ではエンジンは、アクセルのキックダウンかシフトパドルの操作のときにだけ加わる。電気だけの走行では最高 140km/h まで出せる。音を聞いたときは、どちらのモードだったかが最初の手がかりになる。

ブレーキと足回りの電子制御

ブレーキは M コンパウンドブレーキが標準、M カーボンセラミックブレーキがオプション。どちらも統合ブレーキシステムと組み合わされ、ブレーキペダルの踏みごたえを 2 種類の設定から選べる(2 種類の中身は発表資料に書かれていない)。

足回りは、電子制御ダンパー付きのアダプティブ M サスペンション、後輪を最大 1.5 度操舵するインテグラル・アクティブ・ステアリング(4 輪操舵。M5 では初採用と報じられた)、後輪側の電子制御 Active M ディファレンシャルを標準で持つ。4 輪駆動の M xDrive は後輪寄りの配分で、4WD Sport ではその傾向が強い。DSC を切ると後輪だけで走る 2WD モードも選べる。標準のホイールは前 20 インチ・後 21 インチの M ライトアロイホイールで、前後でホイール径が違う。

仕組みどおりに出る音・変わる音

電気で走るときの走行音

BMW の発表資料では、電動モーターの力の出方に合わせて音を添える「BMW IconicSounds Electric」を備え、電気だけで走るときはアクセル操作に応じた音を出す。駆動の設定によっては、エンジンにモーターの力が加わるときに、それを際立たせる音も出す。電動走行中に聞こえる走行音の一部は、設計として作られた音だ。アクセル操作に合わせて出方が変わる音なら、まずこれを疑う。

エンジンがかかる・止まる音

ELECTRIC で走っていて、強く踏み込んだ(キックダウン)ときやシフトパドルを操作したときに急にエンジンの音がするのは、BMW の説明どおりの作動で、それだけで故障とは言えない。HYBRID ではエンジンとモーターの連携が自動で制御されるので、走行中にエンジンの音が出たり消えたりする場面がある前提で聞く。エンジンがかかったときにだけ出る音か、エンジンが止まっていても出る音かを分けて覚えておくと、点検のときに伝えやすい。

排気音の変化と回生の設定

排気系には電気で制御し、開き具合を連続的に変えられるフラップが付いている。発表資料には、フラップがどの条件でどう開閉するかは書かれていない。排気音の大きさや音色が場面によって変わること自体は、この装備がある車だと知っておけばよい。

eCONTROL モードは、ブレーキの際のエネルギー回生を効果的に行い、バッテリーの充電量を一定に保つためのモード。回生の強さは設定ボタン(Setup)で調整する項目の一つに挙がっている。減速のときの音を比べるなら、安全な場所で、モードと設定をそろえてから比べる。

音の出る場所と場面で切り分ける

異音は次の 3 つを書き留めると切り分けやすく、点検でも伝わりやすい。可能ならスマートフォンで音を録音しておく。

書き留めること 例
場所 前か後ろか、右か左か、足元か、車の外か
場面 発進・加速・減速・停止の直前・段差・ハンドルを切ったとき・冷えているとき・雨の後・駐車中の充電中など
そのときの状態 走行モード(ELECTRIC か HYBRID か、駆動の設定)、おおよその速度、エンジンがかかっていたか

そのうえで、安全な場所で、ELECTRIC で走るときと HYBRID でエンジンがかかっているときに同じ音が出るかを比べる。エンジンや排気から出る音か、タイヤ・ブレーキ・足回りから出る音かの見当を付けやすい。エンジンが止まっていても同じ速度・同じ操作で出る音は、エンジン以外を疑う手がかりになる。試すのは交通の妨げにならない場所に限る。

ブレーキまわりの音

M5 G90 のブレーキは、標準の M コンパウンドか、オプションの M カーボンセラミックかで仕様が分かれる。音を相談する前に、自分の車がどちらの仕様かを車両の情報で確かめておくと話が早い。

雨の後・寒い朝の鳴き

ブレーキの異音についての一般的な解説では、湿気のある場所にしばらく停めたあとや雨にぬれたあとはブレーキディスクにサビが浮いて鳴きやすく、寒いと部品の金属が縮んで鳴きやすい。この 2 つが原因なら、しばらく走るとサビが取れたりブレーキが温まったりして、鳴きは収まることが多いとされる。車種を限らない一般の話なので、G90 で収まるかは走って確かめる。

走っても消えない鳴き

同じブレーキの異音の一般的な解説では、しばらく走っても鳴きが収まらないときは、パッドの摩耗のほか、ブレーキディスクやキャリパーに異常がある可能性もあるとされ、不安なときは一度プロにブレーキの状態を見てもらうよう勧めている。長く点検していない場合はブレーキ内に汚れがたまっていることもある。鳴きを解消する方法は、ブレーキのクリーニングか部品の交換とされる。

G90 は統合ブレーキシステムを持ち、ブレーキの仕様も 2 種類あるので、清掃も交換も自分で分解せず、ディーラーか整備工場に任せる。パッドやディスクを替えるときは、自分の車がどちらの仕様かを確かめてから部品を手配する。

タイヤ・足回り・駆動系の音

G90 の標準のホイールは前 20 インチ・後 21 インチで、前後でホイール径が違う。タイヤの幅や扁平率は、確かめた資料には書かれていない。走行音が変わったと感じたら、まずタイヤの状態を見る(見方は次の節)。

足回りと駆動系は、電子制御ダンパー・後輪操舵・電子制御デフ・統合ブレーキシステム・M xDrive と、電子制御の機構が多い。段差やハンドルを切ったときに足元から音がしても、自分で分解したり部品を当て推量で替えたりしない。M5 を扱えるディーラーか、診断機を使える整備工場で、音の出る条件を伝えて見てもらう。

自分で確かめられること(日常点検の範囲)

JAF Mate の日常点検の解説に沿って、ブレーキとタイヤは自分で確かめられる。

  • ブレーキペダル: 停止している状態でペダルを踏み込み、普段の踏みごたえと同じ程度かを確かめる。G90 は踏みごたえを 2 種類の設定から選べるので、普段と比べるときは同じ設定のまま比べる。設定を変えたあとに踏みごたえが違うのは、それだけで異常とは言えない
  • ブレーキ液: リザーバータンクの規定の範囲内にあるかを見る
  • タイヤ: 亀裂や損傷、摩耗を目視で確かめる。空気圧は、外から見てたわみが大きくないかを見る
  • 溝の深さ: タイヤ側面の三角印の延長線上にあるスリップサインと同じ深さになっていたら摩耗の限度
  • 走行音が変わったとき: 異物が刺さっていないか、偏った減り方や傷がないかを見る

同じ設定なのに踏みごたえが変わった、効きが変わったと感じたら、音の有無にかかわらず早めにディーラーで見てもらう。

点検に出す目安と、リコールの確かめ方

仕組みの音に当てはまらない音が続くときや、同じ設定のままでブレーキの踏みごたえや効きが変わったときは、点検に出す。そのときは、書き留めた場所・場面・走行モードと録音を一緒に伝える。

BMW のリコール確認ページでは、17 桁の車両識別番号を入れると、その車に未実施のリコールがあるかを確かめられる。車両識別番号は、車両型式・市場・装備によって車内のいくつかの場所に記されている(前部右側の刻印、B ピラー付近のタイププレートなど)。リコールや技術的アップデートは、BMW の販売・整備網が無料で実施する。

国土交通省の自動車不具合情報ホットラインでは、車の不具合の情報を電話(0120-744-960)とウェブの入力で受け付けている。同じページから「リコール情報検索」と「リコール届出情報一覧」も見られる。

よくある質問

電気だけで走っているのに音がするのは故障?

BMW の発表資料では、G90 は電気だけで走るときにアクセル操作に応じた音を出すとされ、その音だけで故障とは言えない。ELECTRIC でもキックダウンやシフトパドルの操作でエンジンが加わる。アクセル操作と関係なく続く音は、場所と場面を書き留めて相談する。

雨の翌朝にブレーキが鳴くのは異常?

ブレーキの異音についての一般的な解説では、雨にぬれたあとはディスクにサビが浮いて鳴きやすく、しばらく走ると収まることが多いとされる。走っても収まらないなら、「走っても消えない鳴き」のとおり見てもらう。

自分の M5 がリコールの対象か調べるには?

BMW のリコール確認ページで、17 桁の車両識別番号を入れて確かめる。対象かどうかは車ごとに違うので、型式でなく車両識別番号で確かめる。

M5 ツーリング(G99)にも同じことが言える?

BMW の報道向け資料では、M5 セダンは G90、M5 ツーリングは G99 と別に分類されている。ここで扱ったのは M5 セダン(G90)で、ツーリング(G99)に同じことが言えるかは、ここで使った材料では確かめていない。

まとめ

音の原因の見当を 1 つに絞ってから、ディーラーで確かめてもらう順番で動く。

  1. 電動走行音・ELECTRIC でのエンジン始動・排気音の変化など、仕組みどおりの音に当てはまるかを見る
  2. 当てはまらなければ、場所・場面・走行モードを書き留め、安全で交通の妨げにならない場所でモードを変えて同じ音が出るかを比べて、エンジン側か、タイヤ・ブレーキ・足回り側かに見当を絞る
  3. 録音と記録を持ってディーラーか整備工場で確かめてもらう。いつもと違う音が続くときや、同じ設定のままで踏みごたえが変わったときは早めに
  4. リコールは BMW のリコール確認ページで、17 桁の車両識別番号から確かめる

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車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、車種ごとの記事と、車種を横断した早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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