BMW M5 G90のタイヤ交換|ジャッキポイントの確かめ方

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M5 G90 のタイヤを自分で外すときに起きやすい見落としは、旧型の M5 やほかの BMW で紹介されているジャッキの位置を、そのまま G90 に当てはめてしまうことだ。ジャッキをかける場所は、車に付いている取扱説明書で G90 のジャッキアップポイントを確かめてから決める。そのうえでリジッドラックで車体を支え、本締めはトルクレンチで規定トルクに合わせ、走ったあとに増し締めをする。

目次

M5 G90 のジャッキは取扱説明書の指定の場所にかける

ジャッキは、ジャッキアップポイントのように車体を持ち上げてよい部分にかける。場所はクルマの取扱説明書に載っているので、作業の前に開いて確かめておく(乗りものニュース・ブリヂストン)。ジャッキアップポイント以外にかけると、車体の重さでクルマを壊すおそれがある(乗りものニュース)。適当な位置にかけるのは危険だ(ブリヂストン)。

M5 G90 のジャッキアップポイントの具体的な位置(どの部分の下か、前後に何か所あるか、中央でかけられる場所があるか)を示すメーカーの公開資料は、調べた範囲では確かめられなかった。そのため位置は図や寸法では示さない。手元の取扱説明書か BMW の販売店で確かめ、旧型の M5 や別の型式の資料にある位置は当てはめない。

作業の前提として、2つのことを頭に入れておく。1つは重さで、英語版 Wikipedia の BMW M5 の項では、M5 G90 の車両重量は欧州仕様で 2,435kg、北米仕様で 2,445kg とされ、先代の F90 より約500kg重い。英国の自動車誌 evo の試乗記も 2,435kg としている。日本仕様の車両重量は確かめていないので、車検証などで確かめる。もう1つは、新車装着のタイヤが前後でサイズの違う組み合わせだということで、次の節で詳しく書く。

M5 G90 のタイヤとホイールの基本

英語版 Wikipedia の BMW M5 の項では、7代目の M5 は4ドアのセダンが G90、5ドアのステーションワゴン(ツーリング)が G99 と型式が分かれている。G90 は M xDrive の四輪駆動のプラグインハイブリッドで、2024年7月にドイツのディンゴルフィング工場で生産が始まった。ここで扱うのは G90(セダン)だ。

項目 前 後
新車装着の夏タイヤ(ハンコックの発表) 285/40 ZR20(111Y)XL 295/35 ZR21(110Y)XL
ホイール径 20インチ 21インチ
承認された冬タイヤ iON i*cept(ハンコックの発表) 275/40R20 109V XL 285/40R20 111V XL

前後でサイズが違う

新車装着タイヤを供給するハンコックの発表(2024年10月)では、M5 G90 の新車装着タイヤ Ventus S1 evo Z は前輪 285/40 ZR20(111Y)XL、後輪 295/35 ZR21(110Y)XL と、前後でサイズが違う。英国の自動車誌 evo の G90 の試乗記も、前 285/40 ZR20・後 295/35 ZR21 と記している。ホイールも前20インチ・後21インチだ。

一方で、evo の試乗車はミシュランの Pilot Sport S 5 を履いていた。新車装着の銘柄は1つと決めつけず、交換の前に自分の車に付いているタイヤの銘柄とサイズを、タイヤの側面の表示で確かめる。取り付ける前にも1本ずつ表示を見て、前用と後用を取り違えないようにする。

☆マークの意味

ハンコックの発表では、M5 用の夏タイヤ・冬タイヤとも、タイヤの側面に ☆ マークが付く。BMW の M と BMW の車の新車装着用として承認されたことを示す印だ。

冬タイヤの承認サイズ

ハンコックの発表では、M5(7代目のセダン)向けの冬タイヤとして iON i*cept が承認されていて、サイズは前輪 275/40R20 109V XL、後輪 285/40R20 111V XL と前後とも20インチだ。ほかの銘柄の冬タイヤを選ぶときは、M5 G90 向けに承認されたサイズかどうかをタイヤの販売店で確かめる。

ジャッキのかけ方と車体の支え方

ジャッキは取扱説明書で確かめたジャッキアップポイントにかけ、タイヤが路面から少し離れるまで持ち上げる(JAF)。高く上げすぎると車体が不安定になり、大変危険だ(ブリヂストン)。

タイヤを交換できる高さまで上がったら、リジッドラックをかける。ジャッキだけで支えていると、ジャッキが外れてクルマが落ちたときに挟まれる危険がある(乗りものニュース)。外したタイヤとホイールを車体の下に入れておくと、万一ジャッキが外れたときに車体が落ちるのを防げる(ブリヂストン)。重い車なので、ジャッキだけで支えた状態で車の下に手や体を入れない。

作業の前に整えること

タイヤ交換で最も大事なのは、安全な場所で作業することだ。車体は重く、不安定な場所でタイヤを外すとジャッキが外れる場合があるので、砂利や土の上は避け、平らな場所を選ぶ(ブリヂストン)。出先のパンクなら、安全で周囲の邪魔にならない場所に止める(JAF)。

  • パーキングブレーキをかけ、ギアをパーキングに入れて止める(乗りものニュース)
  • 交換するタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかける(JAF)
  • 取り付けるタイヤの回転方向や内側・外側の向きを確かめる。指定の方向や向きで付けないと性能が出ないだけでなく、安全にも影響する(ブリヂストン)

タイヤ交換の手順

一般向けのタイヤ交換の案内は、ホイールナットで書かれていることが多い。米国の BMW 専門の部品販売店の商品説明(G90/G99 の M5 用スペーサー)では、G90/G99 の M5 のホイールは M14x1.25 のホイールボルトで留める前提で書かれているので、手順の「ナット」はボルトに読み替える。ボルトの頭の大きさ(使うソケットの寸法)は確かめられていないので、作業の前に手元の工具が合うかを見ておく。

1. 持ち上げる前にボルトを少し緩める

車体が地面に着いているうちに、レンチでボルトを少しだけ緩めておき、それからジャッキアップする(JAF・乗りものニュース。両者の案内はナット式のホイールを例にしている)。

2. ジャッキアップしてタイヤを外す

前の節の要領で持ち上げてリジッドラックで支え、ボルトを外してタイヤを外す。外したタイヤは車体の下に入れておく。

3. 異物を噛ませずに付けて仮締めする

ホイールを付ける前に、ボルトの穴の内側に息を吹きかけるなどして、異物を噛み込ませないようにする(乗りものニュース)。ネジ部やホイールとの間にゴミ・砂・サビがあると「偽のトルク」が出て、適正に締まらないことがある(コンチネンタル)。ホイールは曲がったまま無理に付けず確実に取り付け、ホイールとボルトの座面の形状が一致していることも確かめる(ブリヂストン)。

ボルトを付けたら、タイヤががたつかなくなるまで2〜3回に分けて仮締めする(JAF)。締める順は地面に近い位置から対角線の順で(乗りものニュース)、締め具が5〜10個あるホイールなら星を描くように締めていく(コンチネンタル)。

4. 車体を下ろしてから本締めする

車体を下ろしてジャッキを外してから、仮締めと同じ順で本締めをする(JAF)。本締めのやり方は次の節で書く。

締め付けトルクと増し締め

本締めはトルクレンチで規定トルクに合わせる

本締めは必ずトルクレンチを使い、自動車メーカーが定める規定のトルクで締める(ブリヂストン)。規定トルクは取扱説明書に載っていて、車種ごとに違うので、ほかの車の値で締めてはいけない(JAF・コンチネンタル)。M5 G90 の値は、手元の取扱説明書で確かめる。

タイヤメーカーのコンチネンタルは、整備士の締め方として、まず規定トルクの半分の値にトルクレンチを合わせて各ボルトを締め、その後に規定トルクに合わせ直して正しい値まで締める、という2段の手順を紹介している。

トルクレンチを使わずに手で締めると、締め付け不足や締めすぎを招き、走行中にホイールが外れる脱輪事故につながるおそれがある(ブリヂストン)。締めすぎるとネジ山がつぶれたり伸びたりし(コンチネンタル)、無理に締め付けるとボルトが破損する場合もある(JAF)。トルクレンチが無いなら、本締めの後できるだけ早く、ガソリンスタンドや修理工場で規定トルクで締めてもらう(JAF)。

増し締めは50〜100km走ってから

走ることで部品がなじみ、初期の緩みが出ることがある。タイヤメーカーのコンチネンタルは交換後50〜100kmを目安に走ってから増し締めを、ブリヂストンは約100km走った段階でトルクレンチで緩みを点検(増し締め)するよう案内している。交換した日に、増し締めをする日も決めておくのがよい。

交換したあとに確かめること

交換が済んだら、タイヤの空気圧が車両指定の値になっているかを確かめ、足りなければ適正な値まで入れる(ブリヂストン)。交換した直後は、いきなりスピードを出したり、コーナーを勢いよく曲がったりしない(ブリヂストン)。増し締めの予定も、このときに立てておく。

社外ホイールやスペーサーを使うときの注意

米国の BMW 専門の部品販売店の商品説明(G90/G99 の M5 用ホイールスペーサー)では、G90/G99 の M5 は 5x132mm の穴の配置(PCD)と 66.5mm の中心穴という BMW の新しいホイールの規格を使う、と書かれている。メーカーの資料ではなく販売店の説明なので、社外ホイールを選ぶときは、取り扱う店や BMW の販売店で適合を確かめる。

同じ販売店の説明では、スペーサーを入れるときは長いホイールボルトが必ず要り(スタッドを使う場合を除く)、M14x1.25 のボルトは14mm(9回転)以上ねじ込まれていることが必要とされる。この説明にある締め付けの値はスペーサーを付けたときの値で、純正の状態の規定トルクではない。社外ホイールでも、ホイールとボルトの座面の形状が合っているかは確かめる。

自分でやるか、店に任せるか

夏タイヤと冬タイヤの履き替えで年に2回くらいしか作業しないなら、自分でやるより、ディーラーや整備工場、カー用品店に任せるのが費用面でも安全面でもすすめられている(乗りものニュース)。安全な作業場所が確保できない、少しでも不安がある場合は、無理をせずタイヤ専門店に頼む(ブリヂストン)。工具がない、整備に慣れていない場合は、JAF に任せる道もある(JAF)。

M5 G90 を自分で作業するのは、取扱説明書でジャッキアップポイントと規定トルクを確かめられ、トルクレンチとリジッドラックがそろい、平らな作業場所がある、の3つを満たすときだけにする。どれか1つでも欠けるなら店に任せるのがよい。重い車を持ち上げる作業では、道具や場所の不足がそのまま危険につながる。

よくある質問

ジャッキポイントの位置が分からないときは?

取扱説明書を開いて確かめ、手元に無いときや読んでも分からないときは BMW の販売店に聞く。旧型の M5 や別の型式の資料にある位置を当てはめたり、見当でかけたりはしない。

締め付けトルクは何 N·m?

数値は車種ごとに違い、取扱説明書に載っている。M5 G90 の値はそこで確かめ、ほかの車の値や、販売店の説明にあるスペーサー装着時の値で代用しない。

冬タイヤは何サイズ?

ハンコックの発表では、M5(7代目のセダン)向けに承認された冬タイヤ iON i*cept は、前輪 275/40R20 109V XL、後輪 285/40R20 111V XL。新車装着の夏タイヤ(前20インチ・後21インチ)と違い、前後とも20インチだ。ほかの銘柄はタイヤの販売店で確かめる。

増し締めはいつ?

交換してから50〜100km走ったころが目安になる(コンチネンタル。ブリヂストンは約100km)。トルクレンチを規定トルクに合わせて締め直し、緩みが無いかを見る。

まとめ

まず自分でやるか店に任せるかを1つに決め、自分でやるなら、取扱説明書で M5 G90 のジャッキアップポイントと規定トルクを最後に確かめてから作業に入る。

  • ジャッキは取扱説明書で確かめたジャッキアップポイントにだけかける
  • 持ち上げたらリジッドラックで支え、外したタイヤは車体の下に入れておく
  • 本締めはトルクレンチで規定トルクに合わせ、50〜100km走ったら増し締めする
  • M5 G90 の新車装着タイヤは前後でサイズが違う(ハンコックの発表・evo の試乗記)ので、側面の表示で確かめてから付ける

M5 G90 のほかの整備の記事も置いておく。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、車種ごとの記事と、車種を横断した早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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