ドラレコの前カメラはルームミラーの裏に付けるのが目安だが、そこに運転支援のカメラやセンサーがある車では、取扱説明書が示す禁止エリアを見ずに貼ると、その機能の妨げになる恐れがある。M5 G90 で最初に気をつけたいのはこの位置の決め方で、もう1つはプラグインハイブリッドならではの電源の扱いだ。付ける位置、電源の取り方、駐車監視の注意、配線の道筋を順に見ていく。
M5 G90 のドラレコ取り付けで先に押さえる4つのこと
新型M5(G90)は、M5として初めてプラグインハイブリッドの「M HYBRIDシステム」を採用し、容量22.1kWhの駆動用のバッテリーを積む。そのうえでドラレコを付けるときの要点は次の4つだ。
- 前カメラの位置:目安は前面ガラス(フロントガラス)の上端から20%以内か、ルームミラーで隠れる範囲で、下端から150mm以内という範囲も示されている。本体が運転者の視界の妨げにならず、ミラーと干渉しないことも求められる。ルームミラーの裏に付けるのが目安で、運転支援のカメラやセンサーの禁止エリアは避ける
- 電源の方式:シガーソケットに差す、ヒューズボックスのACC電源から取る、駐車監視のために3本の配線で取る、の3つから選ぶ
- 扱う系統:ドラレコの電源はシガーソケットやヒューズボックスなど12Vの電装品の系統から取り、駆動用の高電圧の部品や配線には触れない。ドラレコの配線も近づけない
- 車両側の確認:禁止エリアやヒューズの位置は、取扱説明書か販売店で確かめてから作業に入る
どこが高電圧の部品かは自分で見分けようとせず、取扱説明書の表示に従うか、販売店に任せる。
取り付け前に自分の M5 G90 で確かめること
新型M5(G90)は、V型8気筒4.4リッターのツインターボエンジン(585PS)に197PSの電気モーターを組み合わせ、システムトータルの最高出力は727PS・最大トルクは1000Nm。日本では2024年10月2日に発売された。電装の多い新しい車なので、ドラレコ選びより先に車の側を確かめておく。
純正の録画機能があるかを先に見る
2019年の報道によると、BMWはパーキング・アシスト・プラス用の前後左右の車外カメラを使い、エアバッグが作動するような大きな衝撃を受けたときに前後20秒ずつ・合計40秒間、車両の周囲360度を自動で記録する機能の販売を日本で始めた(手動でも最大40秒間)。当時の対象は3シリーズ(パーキング・アシスト・プラス装着車のみ)・7シリーズ・8シリーズ・X5・X7で、M5 G90 は含まれていない。
M5 G90 でこの機能が使えるかは確かめられていないので、車両の画面か販売店で確かめる。なお、この機能の記録は衝撃のときや手動のときの短い時間で、走行中を通して録り続ける後付けのドラレコとは役割が違う。
取扱説明書と販売店で確かめる所
M5 G90 について、次の5点は確かめられていない。作業の前に、自分の車の取扱説明書・車両の画面・購入した販売店で確かめる。
- ルームミラー裏のカメラやセンサーの禁止エリア
- 電源を取れるヒューズと、ヒューズボックスの位置
- 12Vのバッテリーの位置
- リヤガラスにアンテナがあるか
- 純正の録画機能が使えるか
前カメラを付ける位置の決め方
前面ガラスの貼り付けてよい範囲
前面ガラスに付ける前方用のカメラは、道路運送車両の保安基準で付けてよい場所が限られている。目安は、前面ガラスの上端から(ガラス開口部の実長の)20%以内の範囲か、ルームミラーで隠れる範囲。ガラスの下端から150mm以内という範囲も示されている。本体が運転者の視界の妨げにならないこと、ミラーと干渉しないことも求められる。
ルームミラーの高さはおおむね上端から20%の範囲に収まるので、ルームミラーの裏側か、ミラーと同じ高さに付けるのが目安とされる。左右に偏った位置に付けると、自車が変な位置を走っているような映像になりやすい。
位置を決めるときは、ほかに次の3つも見る。
- ワイパーの可動範囲に入れる。範囲の外だと、ガラスの汚れや雨の日の水滴で映像が見づらくなることがある
- 車検シール(検査標章)の上には貼らない。重なると撮影の支障にもなる
- 地デジやETCなどのアンテナの近くは避け、GPS機能を持つ機器やVICSの受信機の近くにも置かない(誤作動の恐れがある)
ワイパーの写り込みが気になって替えるなら、サイズはこちらで確かめられる。
運転支援のカメラとの位置関係
ドライブレコーダーのメーカーであるコムテックの注意書きや、自動車情報サイトMOTAの解説では、ルームミラーの裏側に衝突被害軽減ブレーキのカメラや、後ろの車のライトのまぶしさを抑えるミラーのセンサーがある車では、車両の取扱説明書に書かれた禁止エリアを避けて付けるか、ダッシュボードへ付けるよう案内している。カメラの視角にドラレコが入ると、その機能に支障をきたす恐れがある。
M5 G90 のルームミラー周りのカメラやセンサーの配置と禁止エリアは確かめられていないので、自分の車の取扱説明書で確かめてから位置を決める。
電源の取り方は3つ
ドラレコは給電さえすれば動く。電源の取り方は主に3つあり、どれを選ぶかで作業の範囲が変わる。
シガーソケットから取る
シガーソケットに差すだけで動く。その代わり、電源コードが見えてしまう。車の配線に手を入れずに済むので、自分で付けるならここから始めるのが無難だ。
ヒューズボックスから取る
2本の配線のタイプで、ヒューズボックスのACC(アクセサリー)電源から取るのが一般的。コードを隠したいならこの方式になる。
回路は、アクセサリーの状態で電気が流れ、キーを切ると流れないものを選ぶ。接続先が「ECU(コンピュータ)」「A/BAG(エアバッグ)」と書かれたヒューズは避ける。マイナス線(アース線)は車体の金属部分につなぐ。車はボディ全体をマイナス側に使っているからで、ボディから出ているネジ山やボルトのうち、塗装や樹脂の部分を貫通しているものを選ぶ。
自分で電源を取るのが難しい車もあり、作業は自己責任になる。M5 G90 で電源を取れるヒューズは推し量らず、購入した販売店に聞いて確かめてから作業するか、取り付けごと頼む。
駐車監視用に3本の配線で取る
3本の配線のタイプは、通常はACC電源から給電し、エンジンを切ったことを検知して駐車監視に移り、その間はバッテリーの電源を使う。M5 G90 で使うのも12Vの電装品の系統で、駆動用のバッテリーや高電圧の配線から取るものではない。
駐車監視を使うときのバッテリーの注意
駐車監視は車の常時電源を使うため、車のバッテリーに負荷がかかる。コムテックの注意書きでは、定期的にバッテリーを点検すること、そして毎日乗らない・1日の走行が1時間以下・バッテリーを1年以上使っている場合は、バッテリー上がりの原因になるので使用を控えることを案内している。
同じくコムテックの説明では、駐車監視の機能には、設定した動作時間(例として30分から24時間)の内でも、車のバッテリーの電圧が設定した値を下回ると自動で止まってバッテリーを守る仕組みを持つ製品がある。駐車監視を使うなら、この仕組みがあるかを選ぶときに見る。
駐車監視とは別に、作業中や映像の確認で長い時間アクセサリーの状態にしておくと、それだけでもバッテリーが上がるので注意する。
前カメラの取り付けと配線の手順
貼り付け面の下準備
位置が決まったら、取り付け面をクリーナーで拭き、手の油分が付かないようにする。ブラケットのはくり紙をはがし、空気が入らないように貼り付ける。
配線を隠す道筋
本体から出たコードは、天井材(ヘッドライナー)の隙間に通し、前面ガラスの端まで来たらピラーのカバーの隙間に収める。下側から出してマットの下を通すと、見えにくくできる。コードは無理に押し込まない。
ピラーや天井の内張りの中にはエアバッグが収まっている車がある。配線をピラーに通すときは、エアバッグの部品や固定部に触れたり、展開をさまたげる所に配線を通したりしない。M5 G90 のピラーの中の構造は確かめられていないので、内張りを外す作業に不安があれば販売店や取り付け店に任せる。
コードをマットの下に通したら、マットを元の位置に戻して固定を確かめる。マットを替えるならこちらも参考になる。
映像と角度の確認
取り付けたら電源を入れて映像を確かめ、カメラの視野が水平な地面と平行になっているかを見て角度を合わせる。時刻などの設定もこのときに行う。
リアカメラを付けるときの注意
コムテックの注意書きでは、リヤガラスにラジオアンテナが貼られている車ではリヤへの取り付けを行わないよう案内している。M5 G90 のリヤガラスにアンテナがあるかは確かめられていないので、リアカメラを付ける前に、自分の車のリヤガラスと取扱説明書で確かめる。
前後に付けると配線は長くなるが、通し方の考え方は前カメラと同じで、天井材の隙間からピラーのカバーへ収める。ピラーや天井の内張りの中のエアバッグに触れない・展開をさまたげない、という注意もそのまま当てはまる。
M5 G90 に付けるドラレコの選び方
選ぶときは次の4つの基準で絞る。
- 前だけか前後か:前後に付けると配線が長くなり、リヤガラスの構造(アンテナの有無)も確かめる必要がある
- 駐車監視が要るか:要るなら3本の配線で常時電源から取る方式になる。乗る頻度や1日の走行時間、バッテリーの使用年数によっては使用を控える案内があり、電圧が下がると止まる仕組みの有無も見る
- 本体の大きさと形:ルームミラーの裏側に収まり、運転者の視界をさまたげず、ミラーと干渉しない大きさか。運転支援のカメラの視角や禁止エリアに掛からずに付けられるか
- 電源の方式:シガーソケットに差すだけで済ませるか、ヒューズボックスから取ってコードを隠すか、駐車監視のために3本で取るか
迷うなら、まず前カメラだけをシガーソケットかACC電源で付け、駐車監視は乗り方がコムテックの案内の条件に当たらないときに選ぶのが順当だ。選び方の考え方はほかの BMW の記事も参考になるが、車両側の位置や構造はそのまま当てはめず、M5 G90 では取扱説明書で確かめた内容を優先する。
よくある質問
純正の録画機能があれば後付けは要らない?
役割が違うので、使えたとしても後付けを考える意味はある。2019年の報道で伝えられたBMWの機能は、衝撃のときや手動のときの短い時間を記録するもので、走行中を通して録り続けるものではない。M5 G90 で使えるかは車両の画面か販売店で確かめる。
シガーソケットから取るだけでもよい?
ドラレコを動かすだけならそれで足りる。ただし電源コードが見えるのと、駐車監視を使いたいなら3本の配線のタイプが要る点は押さえておく。
駐車監視でバッテリーは上がらない?
上がらないとは言い切れない。コムテックは、毎日乗らない・1日の走行が1時間以下・バッテリーを1年以上使っている場合は使用を控えるよう案内している。使うなら、電圧が下がると止まる仕組みのある製品を選び、バッテリーの点検も続ける。
自分で付けるか頼むかの目安は?
前カメラだけをシガーソケットから取る付け方なら、車の配線に手を入れずに済む。ヒューズボックスから取る、3本の配線で駐車監視を使う、のどちらかに当たるなら、販売店に電源が取れるヒューズを聞くか、取り付けごと頼むのがよい。前カメラだけでもリアカメラでも、配線をピラーに通すならエアバッグの部品や固定部に触れない・展開をさまたげない注意が要り、内張りを外す作業に不安があれば販売店や取り付け店に任せる。
まとめ
ドラレコを買う前に、次の点を自分の M5 G90 で確かめておく。
- 前カメラの位置は、前面ガラスの上端から20%以内か、ルームミラーで隠れる範囲か(下端から150mm以内という範囲も示されている)。本体が運転者の視界の妨げにならず、ミラーと干渉しないか
- ルームミラー裏のカメラやセンサーの禁止エリアを、取扱説明書で見たか
- 電源はシガーソケット・ヒューズボックスのACC・3本の配線のどれにするか
- 扱うのは12Vの系統だけで、高電圧の部品と配線から離しているか
- 駐車監視を使うなら、乗る頻度・走行時間・バッテリーの使用年数が案内の条件に当たらないか
- ヒューズの位置・リヤガラスのアンテナ・純正の録画機能を、販売店か車両の画面で確かめたか
ほかの手入れの時期もあわせて見直すなら、こちらも参考になる。

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