BMW M3 セダン(G80)のエンジンオイルは、何km走ったら替えるという一律の決まりで考えるより、車両の CBS(コンディション・ベースド・サービス)が出す整備表示に合わせて替えるのが基本だ。量は海外の専門店や整備チェーンの記載で7リットル前後、規格は海外の3つの出典が BMW Longlife-01 系の認証を挙げているが、どちらも BMW の公式の値は確かめられていない。だから量は入れた後に iDrive のオイルレベル測定で確かめ、規格と粘度は取扱説明書と照らし合わせる、という順で進めるとよい。
G80 M3 のオイル交換の早見表(時期・量・規格)
| 項目 | 目安 | 確かめる所 |
|---|---|---|
| 交換時期 | CBS の整備表示に従う | 車両の整備表示・整備手帳 |
| オイル量 | 海外の出典で7リットル前後(公式値は未確認) | 入れた後の iDrive のオイルレベル測定 |
| 規格・粘度 | 海外の3つの出典が BMW Longlife-01 系の認証を挙げる(粘度の記載は食い違う) | 取扱説明書・販売店 |
CBS は、走行距離・経過時間・走行パターンから点検の時期と項目を表示する仕組みだ。BMW 米国法人の公式FAQも、車両の整備表示と整備手帳に従って整備するよう案内している。時期は表示、量は測定、規格は取扱説明書で決めると押さえておけば迷わない。
交換時期の決まり方
CBS の表示で決まる
BMW のメンテナンス・プログラム「サービス・インクルーシブ」の改定を伝えた2010年の記事によると、BMW のエンジンオイルやオイルフィルターの交換時期は、走行距離・経過時間・走行パターンに応じて適切な点検時期や点検項目を表示する CBS で決まる。BMW 米国法人の公式FAQは、車両の整備表示(Maintenance Service Display)が示す定期点検・整備作業と、整備手帳(Maintenance Booklet)に書かれたほかの整備を行うよう案内している。G80 M3 の交換時期を知りたいなら、まず自分の車の整備表示を見るのが近道だ。
海外の記載の目安
海外の販売店・整備店の交換間隔の書き方には幅がある。
- 米国のオイル交換チェーン Costa Oil のガイドでは、2024年式 BMW M3(3.0L)について「1万マイルまたは12か月の早いほう」
- 英国のBMW向け販売店 JXL Performance の整備ガイドでは「BMW は通常1万マイル(16,000km)ごとの整備間隔を勧める(使用状況で変わりうる)」。ただし BMW の資料の引用元は示していない
- BMW向けパーツ販売店 R44 Performance の商品ページでは「BMW の推奨は1年または1万5,000マイル」
どれも BMW の公式の決まりとして確かめた値ではない。日本で乗る車の交換時期は、車両の CBS の表示を基準にする。
サーキット走行・高負荷の場合
サーキット走行や高負荷の使い方では、標準の間隔より早めの交換を勧める記載が海外の3つの出典にある。Costa Oil はサーキット走行などでは5,000〜7,500マイル前後での交換が必要になりうるとし、R44 Performance は特に酷使する場合は5,000マイルごとを勧め、JXL Performance はハードに使う・サーキットを走る場合は BMW のスケジュールより前の整備を検討するよう書く。サーキットを走るなら、CBS の表示を待たずに早めに替える判断は十分に筋が通る。
新車のならしと初回のオイル交換
英国のBMW向け販売店 JXL Performance の整備ガイドでは、G80 M3 のならしサービスを最初の1,200マイル(2,000km)走行後に行うものとし、内容としてオイルとフィルターの交換(初期の使用で出た汚れを流すため)と機械部品の点検を挙げる。ならし期間中は高回転と高負荷を避けて穏やかに運転すること、作業は正規の BMW ディーラーで行うことも勧めている。
ただし、この距離と内容は海外の販売店の整備ガイドの記載で、日本仕様の取扱説明書やサービス・ブックでの確認は取れていない。新車で買ったなら、初回の点検とオイル交換の時期は購入した販売店で確かめる。
オイル量の目安
G80 M3 のオイル量について、海外の出典は次のように書いている。
| 出典 | 記載の量 | 条件 |
|---|---|---|
| Kies Motorsports(米国のBMW専門店)の作業ガイド | 7リットル(5W-30 を使う) | G80 M3 の S58 エンジン。フィルター込みの量かどうかの記載は無い |
| Costa Oil(米国のオイル交換チェーン)のガイド | 7.0リットル(7.4クォート) | 2024年式 BMW M3(3.0L)。フィルター込み |
7リットル前後という値は海外の専門店・整備チェーンの記載で、BMW の取扱説明書の値は確かめられていない。入れた後は、次の節で説明する iDrive のオイルレベル測定で範囲内かを確かめる。BMW 米国法人の公式FAQによると、エンジンオイルのレベルが許容範囲の外になると、チェック・コントロール・メッセージが表示される。
自分でオイルを用意するなら、海外の出典が示す量が7リットル前後なので、1リットル缶なら7本前後、4リットル缶なら2缶のように、足りなくならない量をそろえておくとよい。
オイル量の確かめ方(iDrive のオイルレベル測定)
BMW 米国法人の公式FAQは、BMW Operating System 7 以降の車を対象に、iDrive でオイル量を確かめる方法を示している。メニュー名は米国の公式FAQの英語表記で、日本仕様の画面の名前や手順は年式やシステムの版によって違うことがある。自分の車の取扱説明書と照らし合わせてほしい。
走行中に表示する
走行中は「Apps」または「CAR」→(Operating System 8 以降は「Vehicle」)→「Vehicle status」→「Engine oil level」でレベルを表示できる。
停車して詳しく測る
詳しい測定は、次の条件をそろえてから行う。
- 車を水平な場所に止め、走行準備状態にする
- エンジンが温まった状態にする
- セレクターレバーを N か P にし、アクセルを踏まない
この状態で同じメニューから「Oil level measurement」→「Start measurement」を選ぶと、結果がスケールで表示される。オイルを入れた後は、この詳しい測定で範囲内に収まっているかを見るのを習慣にしたい。
オイルの規格と粘度の選び方
出典が挙げる規格
- 米国のBMW専門店 Kies Motorsports の作業ガイド: 「BMW Longlife-01 FE の認証があるオイルを選ぶ」(作業で使った例は 5W-30)
- JXL Performance の整備ガイド: 「BMW は Longlife-01 FE 規格を満たす高品質な合成油を勧める」
- Costa Oil のガイド: 2024年式 M3 について「BMW Longlife-01 規格を満たす全合成の 0W-30」
3つとも BMW Longlife-01 系の認証を挙げている。
出典で食い違う点
粘度と規格名の書き方は出典によって食い違う。Kies Motorsports は 5W-30 と Longlife-01 FE、Costa Oil は 0W-30 と Longlife-01 だ。BMW の公式の指定は確かめられていないため、入れるオイルの規格と粘度は、車両の取扱説明書や販売店で確かめてから決める。
選ぶときの確かめどころ
オイルを選ぶときは、次の4つを順に見る。
- BMW Longlife の認証の表示があり、規格名が取扱説明書の指定と一致するか
- 粘度が取扱説明書の指定に合うか
- 全合成油か
- 必要な量に足りる容量を用意できるか
迷ったら1を最優先にする。認証の表示が無いオイルや規格名が指定と違うオイルは、粘度が合っていても候補から外してよい。
オイルフィルターの品番と交換の頻度
BMW向けパーツ販売店 R44 Performance の商品ページでは、純正の S58 用オイルフィルターを品番 11428092620 とし、M3(G80/G81)・M4(G82/G83)・M2 クーペ(G87)などに適合と表示している。ガスケットと O リングが付属するとしている。
フィルターの交換頻度は出典で違う。JAF の解説では、車種を特定しない一般的な目安を「オイル交換2回につき1回」とする。一方、JXL Performance は G80 M3 の通常整備とならしサービスの内容を「オイルとフィルターの交換」として挙げ、Kies Motorsports の作業ガイドもオイル交換と同時にフィルターを替える手順になっている。BMW の指定は取扱説明書や販売店で確かめる。G80 M3 を扱う2つの出典が同時の交換を挙げている以上、迷うなら毎回替える側に倒すのが無難だ。
自分で交換する場合の道具と手順
米国のBMW専門店 Kies Motorsports の作業ガイドをもとに、道具と手順の要点をまとめる。締め付けトルクと手順はこの作業ガイドの記載で、BMW の整備資料での確認は取れていない。
用意する道具
低床のフロアジャッキ、ジャッキスタンド、廃油受け、17mm ソケット、32mm ソケット、T6 トルクス、トルクレンチ、ピック。
作業の流れ
- オイルフィラーキャップを外して、オイルが抜けやすいようにする
- ドレンプラグのカバーを反時計回りに回して外し、17mm のドレンプラグを外してオイルを抜く
- 32mm ソケットでオイルフィルターのキャップを外す(ハウジングの根元にタオルを置いて垂れを受ける)
- ドレンプラグを戻して 25Nm で締める
- フィルターキャップを 25.5Nm で締め、冷却水リザーバーを固定する T6 トルクスのネジ2本を戻す
- 新しいオイルを入れる
入れた後の量は、前の節の測定で確かめる。車体を持ち上げる作業なので、ジャッキスタンドで確実に支えられない場合や工具がそろわない場合は、販売店や整備工場に任せる。
ディーラー・整備工場に任せる場合
BMW のメンテナンス・プログラムを伝える2010年の記事では、サービス・インクルーシブは、エンジンオイル・エンジンオイルフィルター・スパークプラグ・マイクロフィルター・エアフィルターの交換を全国の BMW ディーラーで行えるプログラムで、交換時期は CBS で決まるとしている。これは記事時点の内容で、現在の期間・対象・条件はこの出典では確かめていない。加入しているか、何が対象かは購入した販売店に聞くのが早い。
新車なら、初回の点検とオイル交換の時期もあわせて販売店で確かめておくと、ならしの後の段取りに迷わない。
よくある質問
JAF の目安(10,000kmまたは6カ月)に合わせればよい?
JAF の解説では、交換時期は車種や使用状況で異なるため、まず取扱説明書で確認するよう案内している。そのうえで車種を特定しない一般的な目安として、ガソリンターボ車は通常10,000kmまたは6カ月、シビアコンディション(悪路や山道の走行が多い、走行距離が多い、短距離や低速走行が多い等)では5,000kmまたは3カ月を挙げ、目安内でもオイルの汚れや減りが激しい場合は早めの交換が必要とし、ターボ付きエンジンは高回転・高負荷になりやすくオイル管理をより重視すべきとしている。ただし、これは BMW M3 G80 の指定の交換時期ではない。G80 M3 は車両の CBS の表示に従う。
オイルフィルターは毎回替える?
出典で分かれる。G80 M3 を扱う JXL Performance と Kies Motorsports はオイルと同時にフィルターを替える内容を挙げ、JAF の一般的な目安は2回に1回だ。BMW の指定は取扱説明書や販売店で確かめ、迷うなら毎回替える。
オイル量はどこで確かめる?
iDrive の「Vehicle status」から表示するレベルと、停車して行う「Oil level measurement」で確かめる(BMW 米国法人の公式FAQの英語表記で、BMW Operating System 7 以降の車が対象。日本仕様の表示名は違うことがある)。条件と手順は上の測定の節を見てほしい。
新車のならし後にオイル交換は必要?
英国の JXL Performance の整備ガイドは、G80 M3 のならしサービスとして最初の1,200マイル(2,000km)走行後のオイルとフィルターの交換を挙げている。日本仕様の取扱説明書での確認は取れていないので、時期と内容は購入した販売店で確かめる。
関連する記事
同じ G80 M3 の消耗品の記事と、ほかの BMW のオイル交換の記事。
まとめ
まずは車検証で型式と初度登録年月を確認する。G80 かどうかと年式によって、当てはまる出典の記載や iDrive の版が変わることがある。そのうえで、オイル交換は次の3点で進めればよい。
- 交換時期は車両の CBS の整備表示に従う。距離や期間の一律の目安より表示を優先する
- 量は海外の出典で7リットル前後。公式値は確かめられていないので、入れた後に iDrive のオイルレベル測定で範囲内かを確かめる
- 規格は BMW Longlife の認証品を、取扱説明書の指定(規格名・粘度)に合わせて選ぶ

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