M3 G80 に社外ホイールやスペーサーを入れるとき、ネットで見かけた純正オフセットの値を1つだけ頼りにサイズや厚みを決めると、狙った位置からずれることがある。ホイール適合のデータベースは前後とも ET20、米国の BMW 向け部品販売店の記事は Competition の前を ET22・後を ET21 としていて、出典で値が食い違うからだ。一方で PCD は 5 穴・112mm で出典が一致する。確かめに手間をかけるべきは、オフセットとハブ径のように出典で分かれる値の方だ。
M3 G80のPCD・ボルト・オフセットの早見表
G80 のホイールの取り付けは穴数 5・PCD 112mm(5×112)で、ホイール適合のデータベース(G80・2020〜2022年の M3/M3 Competition/M3 Competition xDrive の各欄)と、米国の BMW 向け部品販売店の記事(G80 の純正ホイールの仕様)の両方に同じ値が載る。ホイールはナットではなくボルトで留める方式で、ねじの規格は M14×1.25(呼び径 14mm・ピッチ 1.25mm)。こちらはホイール適合のデータベースの G80(2020〜2022年)の各欄の値だ。
| 項目 | 値 | 出典の範囲 |
|---|---|---|
| 穴数・PCD | 5 穴・112mm(5×112) | ホイール適合のデータベースと米国の BMW 向け部品販売店の記事で一致 |
| 留め方・ねじ | ボルト留め・M14×1.25 | ホイール適合のデータベースの G80(2020〜2022年)の各欄 |
| ハブ径 | 66.5mm/66.6mm | データベースは 66.5mm、販売店の記事は 66.6mm で分かれる |
| 純正のオフセット | ET20/ET22・ET21 | データベースは前後とも ET20、販売店の記事は Competition の前 ET22・後 ET21 |
オフセットとハブ径は出典で分かれるので、1つの値で決めず、下の節の手順で確かめる。
PCD・オフセット・リム幅の基本
PCD と穴数
PCD は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径だ。穴数と PCD の両方が車と同じでないとホイールは付かない。G80 なら穴数 5・PCD 112mm 以外のホイールは、そのままでは付かない。
オフセット(インセット・ET)
オフセットは、ホイールの幅の中心線から車体への取り付け面までの距離で、インセットや ET とも表示される。数字が大きいほどホイールは車体の内側に入り、小さいほど外側に出る。リム幅が同じなら、オフセットを 5mm 小さくするとホイールの外側の面は 5mm 外へ出る。
リム幅を広げたときの張り出し
リム幅を広げると、オフセットが同じでも、ホイールは外側と内側に幅の増えた分の半分ずつ張り出す。幅が 1 インチ(約 25.4mm)広がれば、外側・内側にそれぞれ約 12.7mm だ。外側はフェンダーとの隙間、内側はサスペンションやブレーキの部品との隙間を見る。
G80の純正ホイールとタイヤの組み合わせ
ホイール適合のデータベースの G80(2020〜2022年)の純正(OEM 表示)は、前後で幅と径が違い、前が細く径も小さい。 出典ごとに挙げる組み合わせも違うので、並べて見ておく。
出典ごとの前後のサイズ
| 出典・欄 | 前 | 後 |
|---|---|---|
| ホイール適合のデータベース・G80(2020〜2022年)の純正(OEM 表示)。M3/M3 Competition/M3 Competition xDrive の3欄で同じ | 9.5J×18 ET20・275/40ZR18 | 10.5J×19 ET20・285/35ZR19 |
| 同じデータベース・G80(2020〜2022年)の M3 Competition の欄(OEM 表示なしの適合の候補) | 9.5J×19 ET20・275/35ZR19 | 10.5J×20 ET20・285/30ZR20 |
| 米国の BMW 向け部品販売店の記事・Competition の純正 | 19 インチ×9.5・ET22 | 20 インチ×10.5・ET21 |
データベースの M3 Competition の欄の 19/20 インチの2行は、OEM の表示が無く適合の候補として載る組み合わせで、各行のオフセットの幅は 18〜22mm と掲載されている。
純正オフセットは出典で食い違う
オフセットは、データベースが前後とも ET20、販売店の記事が Competition の前 19×9.5 を ET22・後 20×10.5 を ET21 として食い違う。BMW の公式の資料では今回確かめられていない。社外ホイールやスペーサーの量を決める前に、今付いているホイールの刻印(オフセットの表示)か、ホイールの適合表で確かめる。
グレード・年式による違いと前後の入れ替え
純正の組み合わせは、グレード・年式・仕向け地で違う可能性もある。自分の車の値は、今付いているホイールの刻印とタイヤの側面の表示で読むのが確実だ。前後で幅と径が違う組み合わせでは、前後のタイヤ・ホイールを入れ替えるローテーションはできない。社外ホイールも、前用と後用を別々のサイズで選ぶのが基本になる。
ハブ径とホイールボルトの注意点
ハブ径は出典で 66.5mm と 66.6mm に分かれる
G80 のハブ径(センターボア)は、ホイール適合のデータベース(G80・2020〜2022年)では 66.5mm、米国の BMW 向け部品販売店の記事(G80 の純正ホイールの仕様)では 66.6mm と表記が分かれる。どちらか一方の値だけで買う物を決めず、ホイールやハブリングの適合表の G80 の欄で確かめる。
ねじの規格と締め付けトルク
ねじの規格は早見表の M14×1.25(データベースの G80・2020〜2022年の各欄)。締め付けトルクは、同じデータベースの G80(2020〜2022年)の各欄に 140N·m と載る。ただし BMW の公式の資料では今回確かめられていないので、締めるときは車の取扱説明書か整備の資料の指定値を確かめてから作業する。
ハブリングとボルトの座面
社外ホイールのセンター穴が車のハブ径より大きいときは、すき間を埋めるハブリングを使うのが一般的だ。ハブリングは、ホイール側の穴の径と車側のハブ径の両方に合う物を選ぶ。ボルトで留める車では、ボルトの座面の形(テーパー・球面など)をホイール側の座面に合わせる。純正のボルトが社外ホイールにそのまま合うとは限らないので、ホイールの指定のボルトを確かめる。
社外ホイールのオフセットとリム幅の選び方
社外ホイールで照らす項目は、穴数・PCD・ハブ径・オフセット・リム幅・ボルトの座面の6つだ。どれか1つでも合わないと、付かないか、付いても安全に使えない。前後で別のサイズを選ぶ車では、前用と後用のそれぞれで6つを照らす。
外へ出したい量が決まったら、オフセットとリム幅の両方で何 mm 動くかを数で出す。オフセットを小さくした分はそのまま外側へ、リム幅を広げた分は半分ずつ外と内へ出る。今のホイールの位置を基準に、外側と内側の両方の隙間を足し引きしてから候補を絞る。
外へ出す量の上限は、はみ出しの決まりで考える。乗りものニュースの報道では、2017年6月22日に国土交通省が公布・適用した保安基準の一部改正で、ハンドルを直進にしたときのタイヤの中心から前方 30 度・後方 50 度の範囲で、はみ出しが 10mm 未満なら許されるようになった。許可の対象はタイヤだけで、ホイールは含まれない。 オフセットを小さくするときもスペーサーを挟むときも、ホイールが車体からはみ出さない範囲で選び、対象の条件の細部は国の基準の本文で確かめる。
スペーサーでオフセットを調整するとき
ホイールスペーサーは、ハブとホイールの間に挟んでホイールを外へ出す板だ。挟んだ厚みの分だけ実質のオフセットが小さくなる。オフセット 20mm のホイールに厚み 5mm を挟むと、外側の面は 5mm 外へ出て、オフセット 15mm 相当になる。
ロングボルトに替えるのが前提
スペーサーを挟むと、ホイールボルトのねじがハブにかかる長さが、挟んだ厚みの分だけ短くなる。だから、厚みの分だけ長いボルト(ロングボルト)に替える。 ボルトの長さ・ねじの規格・座面の形は、ホイールとスペーサーの指定で確かめる。
INEX ホイールスペーサー 7mm(品番 W40)
INEX のホイールスペーサー(品番 W40)は2枚組で厚み 7mm。販売ページの商品説明では PCD 112・ハブ径 66.6mm・穴数 5H で、商品名に「BMW用 M3 G80対応」とある(出品者の記載)。
INEX ホイールスペーサー 7mm 2枚組 品番W40(BMW M3 G80対応と記載)
INEX ホイールスペーサー 5mm(品番 W39)
INEX のホイールスペーサー(品番 W39)は2枚組で厚み 5mm。販売ページの商品説明では PCD 112・ハブ径 66.6mm・穴数 5H で、商品名に「BMW用 M3 G80対応」とある(出品者の記載)。
INEX ホイールスペーサー 5mm 2枚組 品番W39(BMW M3 G80対応と記載)
INEX の2商品(品番 W40 の 7mm・品番 W39 の 5mm)とも、販売ページの商品説明に、ロングボルトは付属しない(サイズ・ネジ径などを確かめて別に用意する)、純正ボルトがスペーサーより長くホイール側に逃げが無い場合は取り付けできない、とある(出品者の記載)。ハブ径の表記は前の節のとおり出典で分かれるので、適合表の G80 の欄と合わせて見ておきたい。
5mm と 7mm の選び分け
選び分けは、ホイールを外へ出したい量(フェンダーとの隙間・はみ出さない範囲)と、用意するロングボルトの長さで決める。厚いほど外へ出る量も、ボルトに要る長さも増える。フェンダーとの隙間に余裕が少ないなら、薄い 5mm の方から考えるのが無理のない順番だ。
買う前の確かめ方
ホイールやスペーサーを注文する前に、次の順で照らす。
- 今付いているホイールの刻印で、前後それぞれのリム幅・径・オフセットを読む
- タイヤの側面の表示で、前後のタイヤサイズを読む
- 買うホイールの穴数・PCD・ハブ径・オフセット・リム幅・ボルトの座面を、1と2で読んだ値と照らす
- スペーサーを使うなら、厚みの分のロングボルトと、ホイールのはみ出しを確かめる
- 迷うときは、販売店に車台番号を伝えて適合を問い合わせる
刻印を読むのが手間でも、1と2を飛ばさない。 出典で分かれる値は、手元の現物で決着をつけるのが早い。タイヤを外して作業するなら、手順は次の記事にまとめてある。
よくある質問
前後を同じサイズのホイールにできる?
ホイール適合のデータベースの G80(2020〜2022年)の純正(OEM 表示)も、米国の BMW 向け部品販売店の記事の Competition の純正も、前後で幅と径が違う。社外ホイールも前用と後用を別々のサイズで選ぶのが基本で、前後同じサイズで付くかは、そのホイールの G80 の適合表で確かめる。
スペーサーを付けるときロングボルトは要る?
要る。挟んだ厚みの分だけねじのかかる長さが短くなるので、厚みの分だけ長いボルトに替える。INEX の W40(7mm)と W39(5mm)は、販売ページの商品説明にロングボルトは付属しないとある(出品者の記載)。
ハブ径は 66.5mm と 66.6mm のどちら?
出典で分かれていて、どちらとも決められない。ホイール適合のデータベース(G80・2020〜2022年)は 66.5mm、米国の BMW 向け部品販売店の記事は 66.6mm だ。買う物は、ホイールやハブリングの適合表の G80 の欄で確かめる。
ホイールがフェンダーから出てもよい?
乗りものニュースの報道では、2017年の保安基準の一部改正で許されるようになったはみ出しはタイヤだけが対象で、ホイールは含まれない。ホイールは車体からはみ出さない範囲で選ぶ。条件は選び方の節を見てほしい。
まとめ
まず車検証で型式と初度登録年月を確かめる。ねじの規格・締め付けトルク・純正の組み合わせとして挙げた値は、ホイール適合のデータベースの G80(2020〜2022年)の欄のもので、それ以外の年式の車は同じかどうかを現物と適合表で確かめる。
- PCD は 5 穴・112mm(5×112)で、ホイール適合のデータベースと米国の BMW 向け部品販売店の記事が一致する
- ハブ径は 66.5mm と 66.6mm、純正オフセットは ET20 と ET22/ET21(販売店の記事の Competition の値)に出典で分かれる。今付いているホイールの刻印と適合表で決める
- スペーサーは、ロングボルトとホイールのはみ出しまで含めて厚みを選ぶ
同じ G80 の手入れでは、次の記事も参考になる。
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