ルームミラーの裏なら法令の範囲に収まりやすいからと、そこへ前方カメラを貼って終わりにするのは、M3 G80 で起きやすい見落としだ。M3 G80 は高性能カメラを使う運転支援機能を備えるので、位置は法令の範囲に加えて、運転支援カメラの視角を避けるという条件でも決める。電源はシガーソケット・ヒューズボックス・専用品のミラー裏給電の3通りで、駐車中も録画したいかどうかで選ぶ方が変わる。
M3 G80 のドラレコ取り付けで先に決める3つ
取り付けは、位置・電源・配線の3つを順に決めていけば組み立てられる。
- 位置: 前方カメラは法令で決まった範囲(前面ガラスの上縁側か、ルームミラーで隠れる範囲)に付け、その中で運転支援カメラの視角を避ける。
- 電源: シガーソケット・ヒューズボックス・専用品のミラー裏給電の3通り。駐車中も記録したいなら、ACC に加えて常時電源が要る。
- 配線: コードはフロントガラスと天井の隙間からピラーの内側を通し、足元へ回して電源につなぐ。
迷ったら、先に「駐車中も記録するか」を決めると、電源の取り方が絞れる。
対象にする M3 G80 の範囲
G80型の M3 セダンは、BMWジャパンが2021年1月26日に日本で発表し、同日に販売を始めた(納車は同年3月以降の予定とされた)。発表時のグレードは「コンペティション」と「コンペティション トラックパッケージ」の2種類で、エンジンは3リッター直列6気筒ツインターボ、トランスミッションは8段AT。
2024年9月10日には改良モデル「M3 Competition M xDrive」が日本で発表・発売された。右ハンドルで、納車は2024年10月からの予定とされ、高性能カメラとレーダーを使う「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を備える。
年式によって装備が違いうるので、ルームミラー周りの形は自分の車で見てから部品を選ぶ。
買う前に確かめること
純正の録画機能が使えるかをディーラーで聞く
2019年の発表を伝えた自動車メディアの記事によると、BMWは2019年11月21日、パーキング・アシスト・プラス用の前後左右の車外カメラをドライブレコーダーとして使う機能を、BMW コネクテッド・ドライブ・ストアで売り始めた。エアバッグが作動するほどの衝撃を受けると前後20秒ずつ計40秒、車の周囲360度を自動で記録し、手動でも最大40秒記録できる。
発表時の対象は、新型3シリーズ(パーキング・アシスト・プラス装着車のみ)・7シリーズ・8シリーズ・X5・X7の5モデルで、M3 は列記に入っていない。M3 G80 でこの機能を使えるかどうかは、出典では確かめられていない。 後付けのドラレコを買う前に、自分の車にこの機能を追加できるかをディーラーに聞いておく。
専用品と汎用品の違い
車種専用ドラレコのメーカーの製品ページでは、FITCAMX が BMW の G 系(3シリーズ G20・4シリーズ G22・M3 G80・M4 G82 など)向けに、ルームミラーの裏のカバーに収める形の前方カメラを出しており、適合表では M3 G80 を2021年以降としている。前方カメラはレインセンサーから給電し、配線が見えない設計で、Aピラーの取り外しやヒューズボックス・シガーソケットへの接続は要らないとしている。
同じ製品ページによると、この製品は車種ごとのカスタム品で Model A・B・C の3種類があり(違いはページで説明されていない)、注文時にルームミラーのカバーの写真が要る。写真が無いと、発送が遅れたり車に合わないモデルが届いたりするおそれがあるという。製品名の年式表記(2020-2023)と、ページ内の適合表(M3 G80 は2021年以降)も一致していない。FITCAMX の専用品を選ぶなら、自分の車のミラーカバーの形を写真で販売元に確かめてから買う。
ミラー裏に収める専用品でなければ、電源はシガーソケットかヒューズボックスから取り、コードを自分で通すことになる。
前だけか前後か・駐車監視が要るか
選ぶ基準は次の4つだ。
- 前だけ撮るか、前後を撮るか
- 駐車中も記録したいか(駐車監視には常時電源が要る)
- 配線を見せたくないか(シガーソケットに差す形は手軽だがコードが目立つ)
- 自分で内張りを外す作業ができるか(自信がなければ専門店やディーラーに任せる)
走行中の録画だけが目的ならシガーソケットで足りる。配線を隠したいならヒューズボックスか専用品、駐車中も記録したいなら常時電源まで取る配線を選ぶ。
前方カメラの取り付け位置の決め方
法令で決まっている範囲
前方カメラを付けてよい範囲は、保安基準の告示で決まっている。取り付け方法の解説記事によると、ドライブレコーダーは告示の「道路及び交通状況に係る情報の入手のためのカメラ」に当たり、前面ガラスの上縁から「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」か、「車室内後写鏡(ルームミラー)により遮へいされる前面ガラスの範囲」に付ける。別の取り付け方の解説記事も、フロントガラスの上部から全体の20%の範囲内で、運転者の前方視界を妨げない位置に付けなければならないとしている。
ルームミラーの高さはおおむね上縁20%の範囲に収まるので、ミラーの裏側か、ミラーと同じ高さに付けると範囲に入りやすい。
運転支援カメラの視角を避ける
取り付け方法の解説記事は、前方カメラの最適な位置を「ルームミラー裏側周辺で、衝突被害軽減ブレーキ用のカメラの視角に入らない場所」とし、視角に入ると機能に支障が出るおそれがあるとしている。M3 G80 の運転支援用カメラの正確な位置と視角は、出典では確かめていない。貼る前に実車のルームミラー周りでカメラの位置を確かめ、分からなければディーラーに聞く。
車検の標章と車の中心
車検の標章(ステッカー)に重なると、映像の邪魔になる。左右どちらかに寄ると、自車が不自然な位置を走っているように映るので、車の中心寄りから前を撮れる位置を選ぶ。GPS対応の機種は、GPSの受信部を別に付ける必要がある場合もある。
電源の取り方3通り
シガーソケットから取る
差せばそれだけで動く、いちばん手軽な方法だ。その代わりコードが見えて、見栄えを損ないやすい。海外のヒューズ解説サイトの一覧では、シガーライター(と保冷温カップホルダー)の回路は20Aのヒューズとされているが、日本仕様での割り当ては取扱説明書で見ておく。
ヒューズボックスから取る
配線を隠したいならこの方法になる。2芯の配線(赤がプラス、黒がマイナスのアース)を、ACC(アクセサリー)の回路のヒューズからつなぐのが一般的だ。流れは次のとおり。
- ヒューズプライヤーで、使うヒューズを抜く。
- ヒューズを抜いた状態でエンジンをかけ、差し込み口の奥にある2つの金属部分に検電テスターを当てて、電気が来ている側を調べる。
- ヒューズ電源用のコネクターを差す。ヒューズの形にはミニ平型・平型・低背などの違いがあるので、車のヒューズに合う物を選ぶ。
- マイナスの線は、車体の金属のネジ山やボルトに緩まないようにつなぐ。
元と違うアンペア数のヒューズには差し替えない。
専用品のミラー裏給電
ルームミラー裏に収める専用品のなかには、前の節の FITCAMX の例のように、レインセンサーから給電してヒューズボックスにもシガーソケットにもつながない製品がある。配線を見せたくない人に向く方法だが、ミラーカバーの形でモデルが分かれる点は先に触れたとおりだ。
ヒューズボックスの場所
海外のヒューズ解説サイトでは、2020〜2024年製の G80・G81・G82 のヒューズとリレーの箱として、次の場所を挙げている。
- グローブボックスの下(同サイトは「右側」と書いている)
- 運転席側のインストルメントパネルの下
- 右ピラー付近の内張りの下にある BDC(ボディ・ドメイン・コントローラー)内のヒューズ部
- 荷室の右側の保護カバーの下にあるメインのヒューズとリレーの箱
同じサイトは、ヒューズの割り当てが製造年・電装品の装備・仕向け地で異なると注記している。左右の向きを含め、この記載を日本仕様の M3 G80(2024年の改良モデルは右ハンドル)にそのまま当てはめず、車両の取扱説明書のヒューズ配置図で場所と割り当てを確かめてから作業する。
本体の貼り付けと配線の通し方
本体を貼る
- 本体を取り付けブラケットに付け、SDカードと電源コードを差す。
- 付ける位置を決めたら、その部分のガラスをクリーナーなどできれいに拭く。
- ブラケットのはくり紙をはがし、空気が入らないようにフロントガラスにぴったり貼る。
配線を通す
- 本体から出ているコードを、フロントガラスと天井(ヘッドライナー)の隙間に押し込んでいく。
- ガラスの端まで来たら、ピラーのカバーの内側の隙間にコードを収める。
- 下からコードを出し、足元のマットの下を通して電源までつなぐ。
既存の配線があれば、結束バンドで一緒に固定する。シガーソケットにつなぐ増設ソケットは接続が外れるおそれがあるので、エプトシーラーなどで巻いて固定する。
ピラーの内張りの外し方は車種によって違い、M3 G80 での外し方は出典で確かめていない。外し方が分からないときは無理に引っ張らず、専門店やディーラーに任せる。 電源の取り方を解説した自動車メディアのコラムも、電源をヒューズから取る作業には多少なりともリスクがあり、自信がない場合はプロに任せるのが賢明だとしている。
前後カメラと駐車監視にするときの違い
取り付け方法の解説記事によると、駐車監視に対応するドラレコの3芯の配線は、黒(マイナス)・赤(プラス)に黄色(バッテリー接続)が加わる。通常は ACC の電源で動き、エンジンを切ったことを検知すると駐車監視モードに移ってバッテリーから給電されるので、ACC と常時電源の2系統を取り出す必要がある。 常時電源は、ハザード・ホーン・ドアロックなどの回路から取るとしている。
専用品では事情が変わる。車種専用ドラレコのメーカーの製品ページでは、FITCAMX の G 系 BMW 向けの専用品のリアカメラは単体で後から足せず、前方カメラからの有線接続で、別の電源は要らないとしている。駐車監視は車両の配線への直結(ハードワイヤ)が必要で、衝突を検知したときだけ録画し、常時の録画ではない。通常は車の起動とロックに連動して、自動で入・切する。
この専用品で後ろも撮りたいなら、前方カメラと一緒にリアカメラまで決めてから注文する。
よくある質問
M3 G80 に BMW 純正の録画機能は付けられる?
使えるかどうかは、出典では確かめられていない。2019年の発表時の対象に M3 は入っていなかったので、後付けのドラレコを買う前にディーラーで聞くのが早い。
シガーソケットからの電源でも問題ない?
差すだけで動くので、走行中の録画が目的なら足りる。コードを隠したいならヒューズボックスか専用品、駐車中も記録したいなら ACC に加えて常時電源を取る配線が要る。
ヒューズボックスはどこにある?
海外のヒューズ解説サイトは、グローブボックスの下や荷室の右側などを挙げている。日本仕様の M3 G80 にそのまま当てはめず、取扱説明書のヒューズ配置図で確かめる。
ルームミラーの裏ならどこに付けてもいい?
ルームミラーで隠れる範囲は取り付けてよい範囲に入るが、それだけでは決めない。運転支援カメラの視角に入らないこと、車検の標章に重ならないこと、車の中心寄りから前を撮れることも合わせて確かめる。
まとめ
まず、車検証で型式と初度登録年月を確認する。2021年の発表時からのモデルか2024年の改良モデルかで装備が違いうるので、ルームミラー周りの形も実車で見ておく。そのうえで次の順に決める。
- 位置: 上縁20%以内かルームミラーで隠れる範囲で、運転支援カメラの視角と車検の標章を避け、中心寄りに付ける
- 電源: 手軽さならシガーソケット、配線を隠すならヒューズボックスか専用品、駐車中も記録するなら常時電源まで取る
- 配線: 天井の隙間からピラーの内側、足元へ。内張りの外し方が分からなければ専門店やディーラーに任せる
純正の録画機能を M3 G80 で使えるかは確かめられていないので、買う前にディーラーへ聞いておくと二度手間を避けられる。
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