M2 G87 のオイル交換で起きやすい見落としは、ネットで見かける約7Lという量をメーカーの決まった値だと思い込み、車の画面で確かめずに入れ切ってしまうことだ。量は海外の諸元データと米国の販売店でどれも約7Lとされるが、BMW ジャパンの資料では確かめていない値なので、最後は画面のオイル量の表示で合わせる。交換時期は決まった距離を待つのではなく、画面のサービス表示が知らせる時期を基準にし、距離が少なくても1年を目安にする。
M2 G87 のオイル交換時期と量の早見表
| 項目 | 目安 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 交換時期 | 車の画面のサービス表示が知らせる時期。距離が少なくても1年が目安 | 取扱説明書・ディーラー |
| 新車の点検 | 2,000kmで BMW の販売店の点検(BMWBLOG が紹介した BMW M の慣らしの案内) | 購入した販売店 |
| オイル量 | 約7L(海外の諸元データと米国の販売店の値。BMW ジャパンの資料では確かめていない) | 取扱説明書・ディーラー・車の画面の表示 |
| オイルの規格 | BMW の承認の規格で選ぶ(米国の販売店は Longlife-01 系を挙げる) | 取扱説明書・ディーラー |
| フィルター | オイルといっしょに替える | 型式 G87・エンジン型式 S58 の適合 |
BMW の交換時期は、走行距離だけでなく走り方のデータから車が計算して知らせる仕組みだ。だから交換時期は画面のサービス表示が基準で、量の約7Lは用意する量の見当として使い、入れた後は画面の表示で合わせる。新車で買った人は、米国の BMW 専門ニュースサイト BMWBLOG が紹介した BMW M の案内のとおり、走行距離が2,000kmになったら BMW の販売店で点検を受ける。以下、それぞれの根拠と確かめ方を順に見ていく。
自分の M2 G87 が 460PS の型か 480PS の型かを確かめる
量や規格をディーラーに聞くときは、まず自分の M2 G87 がどちらの型かを伝える。車検証や購入時の資料で確かめておく。
フィルターメーカー MANN-FILTER の公式カタログの車種表では、M2 (G87) の 338kW(460HP)の行と 353kW(480HP)の行のどちらも、エンジン型式は S58 B30 A・排気量 2993cc とされている。同じ表には M2 CS(390kW・530HP)の行も同じエンジン型式で載る。MANN-FILTER の表で2つの型が同じエンジン型式の行に並ぶので、ここからは2つの型をまとめて話を進め、出典が型を限っているときはその型を書く。
2023年からの 460PS の型
Car Watch の報道では、ビー・エム・ダブリューは 2023年2月27日に新型の M2 クーペの注文受付を始め、納車は4月からの予定とされた。エンジンは直列6気筒 3.0リッターの BMW M ツインパワー・ターボのガソリン・エンジンで、最高出力 338kW(460PS)/6250rpm・最大トルク 550Nm/2650-5870rpm。トランスミッションは 8速AT と 6速MT があり、後輪駆動だ。
2024年10月からの 480PS の型
同じく Car Watch の報道では、2024年10月29日に最高出力を 480PS に上げた M2 クーペの新しい型の注文受付が始まった。直列6気筒 3.0リッターターボのガソリン・エンジンで、最高出力は 353kW(480PS)/6250rpm。最大トルクは 6速MT の型が 550Nm/2650-6130rpm、8速AT の型が 600Nm/2700-5620rpm と、トランスミッションで違う。
オイル量の目安は約7L、フィルターの扱いは出典で違う
M2 G87 の量を挙げる出典は3つあり、値はどれも約7Lでそろっている。
| 出典 | 対象として書かれている型 | 量 | フィルターの分 |
|---|---|---|---|
| 海外の諸元データベース auto-data | 460PS の 6速MT・8速AT の型(エンジン型式 S58B30T0)、480PS の 8速AT の型の各ページ | 7L | 入るかどうかの説明は無い |
| 米国の BMW 部品専門店 BimmerWorld の S58 エンジン用オイル交換キット | G87 の M2 | 約7.0リットル | 入るかは書かれていない |
| BMW 用品の販売店 BIMMER+ の解説の表 | G80 M3・G82 M4・G87 M2 の S58 エンジン | 約7.4クォート(米国の単位。約7リットル) | フィルター込み |
フィルター込みと書くのは BIMMER+ だけで、auto-data と BimmerWorld は書いていない。BimmerWorld のキットにはオイル8リットルと、純正のオイルフィルターのキット(フィルター・キャップの O リング・ドレンプラグのクラッシュシール)が入る。
どれも BMW ジャパンの公式の資料で確かめた値ではない。 取扱説明書やディーラーの値と違うときはそちらを正とし、入れた後は車の画面のオイル量の表示で合わせる。
交換時期は車の表示を基準にし、1年を目安にする
交換時期は車が計算して知らせる
ベストカーWeb の記事(2018年8月)は、BMW は単純に走行距離で交換時期を管理しているのではなく、インジェクションの開弁時間・回転数・油温・走行距離・時間などの総合的なデータをコンピューターで演算処理して交換のタイミングを算出し、サービスインターバルインジケーターで知らせている、と説明する。決まった距離で一律に替えるのではなく、走行条件に応じたサインだ。同じ記事は、個体によって異なるとしたうえで、取材当時の現行3シリーズの画面に交換時期が1万5000kmと出ていた例を載せている。M2 G87 の例ではないので、自分の車の画面を見るのが先だ。
米国の数字もある。BIMMER+ の解説の表は、M モデル(S55・S58 のターボ)の BMW の交換間隔を1万マイル(約1.6万km)・1年とし、店の推奨はそれより短い間隔としている。米国の表記で、日本仕様の指定として確かめた値ではない。日本の M2 G87 で何kmごとという数字を探すより、画面のサービス表示に従う。
距離が少なくても1年が目安
ベストカーWeb の記事は、オイルは熱が加わり空気に触れた状態に置かれると酸化して潤滑能力が下がるので、距離を走らなくても1年に1回は交換する必要がある、と書いている。休日だけ乗る使い方なら、表示の残りとは別に1年の区切りを覚えておく。
ちょい乗り・渋滞が多い人は早めに
同じ記事は、エンジンが温まらないうちに帰ってくるちょい乗りや、真夏の渋滞時ののろのろ運転もオイルに負担がかかるシビアコンディションで、オイルの劣化が早まるとしている。こうした使い方を繰り返すなら、表示より早めの交換を考える。どれだけ早めるかの数字は確かめていないので、走り方をディーラーに伝えて相談する。
新車は2,000kmで販売店の点検を受ける
慣らしの回転数と速度の上限
米国の BMW 専門ニュースサイト BMWBLOG(2023年2月)が紹介した BMW M の慣らしの案内(直列6気筒・V8 の M 車が対象)は、次のとおり。
- 最初の1,000km: 5,000rpm と 170km/h を超えず、ローンチコントロールを使わない
- 1,000〜2,000km: 回転と速度を変えながら走り、6,000rpm と 210km/h を超えず、1〜3速の全開加速を避ける
同じ案内では、走行距離が2,000kmになったら、慣らしの期間を終えた M 車を BMW の販売店で点検してもらう、としている。
2,000kmの点検で替えるもの
BMWBLOG の別の記事(2023年6月)は、駆動系に大きな負担がかかるので、すべての BMW M 車で最初の定期のオイル交換の前に特別な点検(米国では1,200マイルの慣らし点検)が要り、リアのデフオイルとエンジンオイル・フィルターを抜いて新しくする、と書いている。記事の例は M8 で、出典の資料名は書かれていない。
この中身は米国の記事の記載で、日本の M2 G87 の点検の中身として確かめたものではない。新車で買った人は、点検の時期と中身を購入した販売店で確かめる。
オイルは粘度の数字より BMW の承認の規格で選ぶ
米国の販売店が挙げる M2 G87 の規格と粘度は次のとおりで、店どうしでも書き方がそろっていない。
| 出典 | 規格 | 粘度 |
|---|---|---|
| BimmerWorld の商品ページ | LL01 FE(BMW 純正の 0W30 の格付け。G87・G80・G82/G83 の S58 エンジンへの BMW の公式の推奨のオイルとしている) | 0W30 |
| BIMMER+ の解説 | LL-01 | 表は 0W-30 / 5W-30、本文は S58 は 5W-30 を使うと書く |
BIMMER+ の解説は、BMW の承認(LL)の無い一般の合成油は BMW の求める化学的な要件を満たさないことがあり、LL の認証の無いオイルでは交換時期の計算が不正確になることがある、とも書いている。画面の表示を交換時期の基準にするなら、オイルもその仕組みに合わせて選ぶのが筋だ。
粘度だけでなく、BMW の承認の規格(Longlife-01 FE などの表示)で選ぶ。 日本仕様の指定は取扱説明書かディーラーで確かめ、買うオイルの容器にその規格の表示があるかを見る。
オイル量は画面で確かめ、交換後は表示を戻す
ベストカーWeb の記事は、最近の BMW 車にはエンジンオイルの汚れやオイルレベルを計るためのオイルレベルゲージが無く、サービスインジケーターの画面でオイル量を量ることができ、オイル交換時期も画面で分かる、と書いている。
オイルを替えた後や足した後は、画面でオイル量を測り、多すぎ・少なすぎが無いかを確かめる。画面の操作の手順は取扱説明書に従う。
BIMMER+ の解説は、今の BMW 車ではオイル交換のたびに CBS(コンディション・ベースド・サービス)の間隔をリセットする必要があり、リセットしないと次のサービス表示の残りが間違って出る、と書いている。交換したら表示の残りを戻す(リセットする)までが作業だ。操作は取扱説明書に従うか、作業を頼んだ店に確かめる。
オイルフィルターもいっしょに替える
フィルターメーカーの MANN-FILTER は、オイルを替えるだけでは足りず、フィルターも替える必要がある、としている。
MANN-FILTER の公式カタログでは、オイルフィルター HU 6032 z(ガスケット付き)の車種表の「2 (G42, G87)」の欄に、次の行が載る。
- M2 (G87) の S58 B30 A・338kW(460HP)の行(11/22 から)
- M2 の S58 B30 A・353kW(480HP)の行
- M2 CS の行
寸法は外径 56mm・内径 24mm・高さ 154mm で、対応する BMW の品番として 11 42 8 092 620 を挙げる。ただし 353kW(480HP)の行は年月を「08/26」と書いていて、日本で 480PS の型の注文受付が始まった2024年10月と合わない。表の年月だけで自分の車に当てはめず、車台番号か、今付いているフィルターの品番で確かめる。
フィルターは「M2 用」という車名だけで選ばず、型式 G87 とエンジン型式 S58 の行で適合を確かめる。 HU 6032 z か BMW の品番 11 42 8 092 620 を手がかりに、車台番号でディーラーや部品店に確かめてもらうと確実だ。
交換の前後の流れと、どこで替えるか
交換の前後の流れ
- 自分の M2 G87 の型(460PS か 480PS か)を確かめる
- 取扱説明書かディーラーで、指定のオイルの規格と量を確かめる
- 指定の規格のオイルと、G87 の S58 に合うオイルフィルターをそろえる
- オイルとフィルターをいっしょに替える
- 車の画面でオイル量を測って過不足を確かめ、サービス表示の残りをリセットする
MANN-FILTER は製品ページの安全の注意で、フィルターなどの部品は機械の知識と経験のある人だけが取り付けること、としている。
任せるときに伝えること
M2 G87 は画面で量を測る車で、規格の確認・フィルターの適合の確認・交換後の表示のリセットも要る。作業に慣れていない人は、ディーラーや輸入車を扱う整備工場に任せる選び方がある。持ち込むときは、型(460PS か 480PS か)と、入れたいオイルの規格を伝える。新車から2,000kmの点検がまだなら、その点検とあわせて販売店に相談する。
よくある質問
460PSと480PSでオイル量は違う?
海外の諸元データベース auto-data では、460PS の 6速MT・8速AT の型と 480PS の 8速AT の型のどのページも 7L で、違いは出ていない。ただし BMW ジャパンの資料では確かめていない値で、フィルターの分が入るかどうかの説明も無い。480PS の 6速MT の型を含め、取扱説明書かディーラーで確かめ、入れた後は画面の表示で合わせる。
交換時期は何kmごと?
日本の M2 G87 の何kmごとという数字は確かめていない。画面のサービス表示が知らせる時期を基準にし、距離が少なくても1年を目安にする。米国の販売店 BIMMER+ の表では、M モデル(S55・S58 のターボ)の BMW の間隔は1万マイル・1年だ。
新車の最初のオイル交換はいつ?
BMWBLOG が紹介した BMW M の慣らしの案内では、2,000kmで販売店の点検を受ける。米国の記事はこの点検でエンジンオイルとフィルターを替えるとしているが、日本の M2 G87 の点検の中身としては確かめていないので、購入した販売店で確かめる。
どのオイルを選べばいい?
粘度の数字だけでなく、BMW の承認の規格の表示で選ぶ。米国の販売店は BimmerWorld が 0W30・LL01 FE、BIMMER+ が LL-01・0W-30 か 5W-30 と、書き方がそろっていない。日本仕様の指定は取扱説明書かディーラーで確かめる。
オイルレベルゲージはある?
ベストカーWeb の記事は、最近の BMW 車にはオイルレベルゲージが無く、画面でオイル量を量ることができる、と書いている。量の測り方の操作は取扱説明書に従う。
まとめ
オイルは、先に取扱説明書かディーラーで日本仕様の指定の規格と量を確かめ、容器にその規格の表示がある物を1つに絞ってそろえる。押さえることは次のとおり。
- 型(2023年からの 460PS か、2024年10月受注開始の 480PS か)を車検証や購入時の資料で確かめる
- 量は海外の諸元データと米国の販売店で約7L。BMW ジャパンの資料では確かめていない値なので、最後は画面の表示で合わせる
- 交換時期は画面のサービス表示が基準で、距離が少なくても1年を目安にする
- 新車は BMW M の慣らしの案内どおり2,000kmで販売店の点検を受け、中身は販売店で確かめる
- 規格は粘度より BMW の承認の規格の表示で選び、日本仕様の指定を確かめる
- フィルターもいっしょに替え、型式 G87・エンジン型式 S58 で適合を確かめる
M2 G87 とほかの BMW の関連記事
M2 G87 のほかの消耗品・装備と、BMW のほかの車のオイル交換は次の記事で扱っている。

コメント