夜間の視界を明るくしたい、あるいは後退灯だけがくすんで見えて交換用の球を探したい——F90型M5に乗っていると、こうした場面でバルブの型番を調べたくなる。ところがこの世代のM5は灯火がほぼ純正フルLEDで組まれており、いわゆる交換球(ソケットに差す電球)が残る場所はごく限られる。外装で球として交換できるのは実質的に後退灯のH21Wだけで、ヘッドライトはアダプティブLEDのユニットになっているため「球を買って差し替える」という発想が当てはまらない。まず全灯火の種別を一覧で押さえ、交換できる箇所とできない箇所を切り分けていく。
F90型M5の灯火は純正フルLED|交換球は後退灯のみ
F90型M5は、G30型5シリーズセダンのボディと灯火ハードウェアを共有する。そのG30/G31のエクステリアで唯一の電球が後退灯(バックランプ)であり、ヘッドライト・ウインカー・テールはいずれも純正でLED化されている。つまりF90型M5でも、外に見える灯火のうち球単体で買って交換できるのは後退灯のH21Wだけという理解で足りる。
下の早見表に全灯火の種別と交換の考え方をまとめた。「ユニット単位」とある箇所はLEDモジュールが一体化しており、球だけの交換設定が存在しない。
| 灯火の位置 | 種別 | 型番・仕様 | 交換の考え方 |
|---|---|---|---|
| ロービーム/ハイビーム | LED(レーザー任意) | アダプティブLED/BMWレーザーライト | ユニット(ASSY)単位 |
| デイライト・ポジション | LED | 一体式LED | ユニット単位 |
| フロントウインカー | LED | 一体式LED | ユニット単位 |
| テール・ブレーキ | LED | 一体式LED | ユニット単位 |
| リアウインカー | LED | 一体式LED | ユニット単位 |
| ナンバー灯 | LED | 純正LEDユニット | ユニット交換 |
| 後退灯(バックランプ) | 電球 | H21W | 球単体で交換可 |
| 室内灯・荷室灯ほか | 電球 | ウェッジ/フェストン球 | 球単体で交換可 |
型番を探す目的が「切れたので同じ球に替えたい」なら、対象は後退灯のH21Wと室内系の小球にほぼ絞られる。ヘッドライトが暗い・片側が点かないという症状は、球切れではなくLEDユニットや制御側の問題である場合が多い。
ヘッドライトは球交換の設定がない|LEDとレーザー
F90型M5のヘッドライトは、光源が筐体内に組み込まれたLEDユニットで、ハロゲンやHIDのように球だけを抜き差しする構造ではない。「H7」「D2S」といった球の型番を探しても、この世代の前照灯には該当する交換球が用意されていない。
標準はアダプティブLEDヘッドライト
M5には、配光を自動で変えるアダプティブLEDヘッドライトが標準で備わる。カメラ情報をもとに対向車部分を避けて照らすグレアフリーハイビームや、車速・操舵角に応じて光の広がりを変える機能を持つ。光源はLEDモジュールで、ユーザーが球を交換する前提の部品ではない点が、旧世代のHID/ハロゲン車との最大の違いになる。
上位のBMWレーザーライト
オプションではBMWレーザーライトが選べ、ハイビームの一部にレーザー励起の光源を使う。照射到達距離が伸びるのが特徴で、こちらもユニット完結型のため球単体の交換概念はない。自車がレーザー装備かどうかは、ヘッドライト内の「BMW Laser」表記や装備コードで見分けられる。レーザーは高速域での遠方視認に効く一方、球のように単体で入手・交換できる部品ではない。装備の有無で修理や部品の費用感が変わるため、自車の仕様を先に把握しておくと見積もりの理解が早い。
光源が切れたらユニット(ASSY)交換
LEDやレーザーの光源が寿命や故障で点かなくなった場合は、球ではなくヘッドライトユニット(ASSY)ごとの交換が基本となる。純正ユニットは高額で、コーディングや光軸調整を伴うため、DIYよりディーラーや輸入車専門店での作業が現実的だ。「暗い=球を替える」ではなく、まず点灯不良の原因診断が先という順番を押さえておきたい。片側だけ暗い・一部のセグメントが点かないといった症状は、球切れではなくLEDの部分故障やコネクタの接触不良で起きることもある。作業前に点灯パターンと警告表示を控えておくと、店舗での原因切り分けが早く進む。
唯一の交換球「後退灯」はH21W
外装で球として扱えるのは後退灯だけで、その型番はH21Wである。BMW専門店の実作業でも、G30/G31で唯一電球なのは後退灯だと明記されており、F90型M5も同じハードを使う。
後退灯の位置と型番
後退灯はリア側のコンビランプまたはバンパー付近に組まれ、シフトをRに入れたときだけ点灯する白色灯だ。ここに入るのがH21W(BAY9s口金)で、純正では小ぶりのハロゲン球が使われている。M5で「球を買って自分で替えられる外装灯」は事実上この後退灯のH21Wに限られる。
LED化はキャンセラーとコーディングが要る
後退灯を明るいLEDに替える例は多いが、そのまま差し替えると球切れ警告が点いたり、車両側が球なしと誤認したりすることがある。回避には抵抗(キャンセラー)内蔵タイプのLEDを選ぶか、コーディングで球種設定を変更する対応が要る。色は白色を選ばないと車検の後退灯基準(白色)から外れるため、製品選定の段階から白色・適合明記の品に絞るとよい。
ナンバー灯・ウインカー・テールはLEDユニット
早見表のうち、ナンバー灯・ウインカー・テールは球ではなくLEDユニットで構成される。ここを「球の型番」で探すと合う部品が見つからないため、交換の単位を先に理解しておきたい。
ナンバー灯は純正LEDユニット
F90型M5/G30のナンバー灯は、純正の時点でLEDユニットが採用されている。明るさや白さに不満がある場合は球を替えるのではなく、社外の白色LEDナンバー灯ユニットへ丸ごと交換する形になる。ナンバー灯はウェッジ球の差し替えではなく、ユニット単位で考えるのがこの世代の要点だ。
ウインカー・テールは一体式LED
フロント・リアのウインカー、テール、ブレーキ、デイライトも一体式のLEDで、球だけを取り出す構造ではない。点灯不良が出た場合はユニット側の点検になり、レトロフィットで別世代のテールに替えるといった作業もユニット交換として扱われる。汎用のS25やT20といった球を探しても適合しない。
室内灯・荷室灯には電球が残る
外装がほぼLEDである一方、室内側はマップランプやルームランプ、荷室灯、グローブボックス灯などに小さな電球が残ることがある。多くはウェッジ球(T10/W5W系)やフェストン(両口金)球で、内装トリムを傷めないよう樹脂の内張り剥がしで取り外す。位置ごとに口金形状が異なるため、外した球の刻印や実物形状を確認してから同型を用意すると失敗が減る。LED化する場合も、まぶしすぎない自然な色温度(電球色〜昼白色)を選ぶと車内での見やすさを保てる。
前期とLCI(後期)で灯火の違いはあるか
F90型M5は2020年前後にマイナーチェンジ(LCI)を受けているが、前期・後期ともヘッドライトはアダプティブLEDで、外装の交換球が後退灯のH21Wに限られる構図は変わらない。テールのグラフィックや内部意匠には差があるものの、いずれもLEDユニットである点は共通する。年式で球の型番が入れ替わる心配は小さく、前期・後期を問わず「外装で買う球は後退灯」という整理で通用する。ただしレトロフィットや社外ユニットが付いた個体は配線や球種設定が変わっている可能性があるため、中古購入車では現状の灯火構成を一度確かめておきたい。
交換・LED化で失敗しないための確認
球やユニットを用意する前に、口金形状と車検基準を照合しておくと、買い直しや不点灯を避けられる。
口金と適合を実車で照合
後退灯のH21WはBAY9s口金だが、社外品には似て非なる口金の球もある。注文前に外した球の刻印(H21Wの表記)と口金の爪位置を見て、適合表に自車のF90型M5もしくはG30/G31が含まれる製品を選ぶと確実だ。室内系の小球も同様に、実物を抜いて形状を合わせるのが遠回りに見えて速い。製品ページの対応車種欄にF90型M5またはG30/G31が明記されているかも判断材料になる。年式やLCI前後で灯火構成が違う個体もあるため、型式・年式・装備コードを控えてから注文すると取り違えを防げる。
車検・光軸・色温度の条件
後退灯は白色、ナンバー灯は白色、といった色の規定を外れると車検に通らない。LED化で明るさや色を変える場合は、保安基準に沿った色温度・光度の製品を選ぶ。ヘッドライトはユニット交換時に光軸調整が必要で、光軸がずれると対向車への幻惑や検査不合格につながる。DIYが難しい箇所は、輸入車の灯火に慣れた店に任せるほうが結果的に安く収まることが多い。
よくある質問
F90型M5のヘッドライトはバルブ交換できますか?
球単体の交換はできない。この世代のヘッドライトはアダプティブLED(オプションでレーザー)で、光源がユニットに一体化されている。点灯しない・暗いといった症状が出たときは、球を買うのではなくユニットや制御系の点検が先で、光源不良ならヘッドライトASSYごとの交換になる。
後退灯(バックランプ)の電球型番は何ですか?
H21W(BAY9s口金)だ。F90型M5はG30/G31のボディと灯火を共有し、そのエクステリアで唯一の電球が後退灯である。外装で自分が球を買って替えられるのは、実質この後退灯だけと考えてよい。
ナンバー灯を明るいLEDに替えられますか?
替えられるが、球の差し替えではなくユニット交換になる。ナンバー灯は純正でLEDユニットのため、白さや明るさを上げたいときは社外の白色LEDナンバー灯ユニットへ丸ごと交換する。色は白色を選び、車検基準を満たす製品にするのが前提だ。
後退灯をLEDにすると警告灯は出ますか?
対策なしだと球切れ警告が出ることがある。車両が消費電流の少ないLEDを球なしと誤認するためで、抵抗(キャンセラー)内蔵タイプを選ぶか、コーディングで球種設定を変えると回避できる。あわせて色は白色を保ち、後退灯の保安基準から外れないようにする。
まとめ
F90型M5は灯火がほぼ純正フルLEDで、球の型番を探して交換できる外装灯は後退灯のH21Wにほぼ限られる。ヘッドライトはアダプティブLED(またはレーザー)でユニット単位、ナンバー灯・ウインカー・テールも一体式LEDのため、球ではなくユニットで考えるのが前提になる。室内灯にはウェッジやフェストンの小球が残るので、交換時は口金形状を実物で合わせる。LED化する際はキャンセラーやコーディング、白色・車検基準への適合を確かめておけば、点灯不良や検査不合格を避けられる。

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