M3 F80 の異音は、音の種類と出る場所で原因の候補が絞れる。ハンドルを回したときの音、エンジン付近のガラガラ音・キュルキュル音、走行中のタイヤ付近の音は、JAF がいずれも点検が必要な状態としている音なので、迷わず点検に出す。ブレーキのキーキー音は、ブレーキ全般の説明ではサビや冷えなら走るうちに収まることが多いとされるが、Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システムの鳴きを説明したものではないので、清掃や部品の交換は自分で行わず整備工場の判断に任せる。相談のときは、型式に加えてブレーキの種類・ホイールの大きさ・生産時期を伝えると話が早い。
音の種類と出る場所で見る急ぎ度の目安
JAF のロードサービスの Q&A と、自動車情報サイト「くるまのニュース」の記事の説明をもとに、音ごとの原因の候補と急ぎ度を並べた。
| 音・出る場所 | 原因の候補(出典の説明) | 急ぎ度と対処 |
|---|---|---|
| ハンドルを回したときの音 | ハンドル(ステアリング)機構の異常 | 高い。走行は大変危険とされる |
| エンジン付近のガラガラ音 | エンジンオイルの不足・潤滑不良 | 高い。点検に出す |
| エンジン付近のキュルキュル音 | ベルトの滑り | 高い。点検に出す |
| 走行中のタイヤ付近の音 | 刺さった異物・走行関係の部品の傷みなど | 高い。点検に出す |
| 車体の下や後ろの音 | M3 F80 の部品についての出典は確かめられていない | タイヤ付近の音と同じく点検 |
| ブレーキのキーキー音 | サビ・冷え。鳴き続けるならパッドの摩耗など | 続けば点検。詳しくは下のブレーキの節 |
| エンジン停止後のファンの音 | 停止後もファンが回る仕様の車種がある | 長時間続けば点検 |
| ワイパーのビビり音 | ガラスの汚れ・ゴムの劣化など | 清掃・ゴム交換で対処 |
| エンジンルームの鳴き声 | 猫などの動物 | エンジンをかけない |
点検が必要な種類の音に気づいたら、安全な場所に止め、自分の安全を確かめてから、ロードサービスや整備工場に連絡して今の状況を伝える。JAF もこうした音は点検が必要な状態として、救援を頼むよう案内している。
相談の前に押さえる M3 F80 の車両情報
型式とグレード
F80 世代の M3 は 4 ドアのセダンだけで、2 ドアのクーペとカブリオレは M4 に移った。ウィキペディアの BMW・M3 の項では F80 の節が「2014年〜2020年」とされ、日本では 2014年2月19日に BMW ジャパンが M3セダンの販売を始めたと説明されている。自動車カタログ(Motor-Fan)のグレード一覧では、型式 CBA-3C30 の M3 の行が 2014年7月発売の「M3セダン」から 2018年2月発売の「M3 CS」まで載り、途中に「M3セダン コンペティション」「30ヤーレM3」「M3セダン Mヒートエディション」の行もある。
エンジン・ミッションと音の相談で話に出る装備
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エンジン | S55B30A 型 直列6気筒DOHCツインターボ・3000cc |
| 最高出力 | M3セダン(2014年7月〜2015年8月)431ps(317kW)/7300rpm、M3セダン コンペティション(2017年8月〜2018年1月)450ps(331kW)/7000rpm |
| 最大トルク | M3セダン 56.1kg・m(550.0N・m)/1850〜5500rpm、コンペティション 56.1kg・m(550.0N・m)/2350〜5500rpm |
| ミッション・駆動 | 7速 M DCT Drivelogic・FR |
| 使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
表の値は自動車カタログ(グーネット)の諸元による(ウィキペディアでは排気量 2,979cc)。Motor-Fan のグレード一覧に載る CBA-3C30 の M3 の行はすべて 7AT で、6MT の行は無い。BMW ジャパンの 2014年の発表資料でも、M3セダンの価格表に載るのは 7速M DCT だけだ。
同じ発表資料では、左右の後輪の間でパワーを配分する「アクティブMディファレンシャル」、電動パワー・ステアリングを使う「Mサーボトロニック」、CFRP 製のプロペラシャフトが採用されていると説明されている。ウィキペディアでは、2017年11月生産分から、排気微粒子除去装置の取り付けに伴ってプロペラシャフトがカーボン製からスチール製に変わったとされる。
エンジン付近のガラガラ音・キュルキュル音
JAF のロードサービスの Q&A では、エンジン付近の音を 2 種類に分けて説明していて、どちらも点検が必要な状態とされる。
ガラガラ音
エンジンオイルの不足や潤滑不良が起きている可能性がある。JAF の説明では、状況により潤滑不良や冷却不良によってエンジンが焼き付き(金属同士の摩擦部分が熱を持って溶け、固着すること)を起こし、エンジンがかからなくなることもある。音の元を特定の部品と決めつけず、整備工場で調べてもらうのが早い。
キュルキュル音
ベルトが滑っている可能性がある。ガラガラ音と同じく点検が必要な状態なので、音が出たときの条件(エンジンをかけた直後か、走行中か)を控えて整備工場に伝える。
ハンドルを回したときの音とタイヤ付近の音
ハンドルを回したときの音
JAF によると、ハンドルを回したときの異音はハンドル(ステアリング)機構に異常が起きている可能性がある。異常があるとハンドル操作ができなくなるおそれがあり、走行は大変危険とされる。M3 F80 のステアリングは電動パワー・ステアリングを使う Mサーボトロニックだが、この車でハンドルを回したときの音の原因が何になるかを説明した出典は確かめられていない。JAF の説明どおり、点検が必要な状態として整備工場で調べてもらう。
タイヤ付近の音
走行中にタイヤ付近から出る異音は、JAF によると、タイヤに刺さった異物や走行関係の部品の傷みなど発生源が多岐にわたり、複数の原因が考えられる。これも点検が必要な状態だ。
相談の前に、自分の車のタイヤサイズも控えておきたい。自動車カタログ(グーネット)の諸元では、2014年7月〜2015年8月の M3セダンが前 255/40ZR18・後 275/40ZR18、2017年8月〜2018年1月の M3セダン コンペティションが前 265/30ZR20・後 285/30ZR20 だ。どちらも前と後ろでサイズが違い、同じ M3 でもグレードや時期でホイールとタイヤの大きさが違う。
走行中に車体の下や後ろから音がするとき
M3 F80 は CFRP 製のプロペラシャフト(2017年11月生産分からスチール製)と、アクティブMディファレンシャルを使う。ただ、これらの部品から出る音の種類や原因を説明した一次の出典は確かめられていない。
車体の下や後ろから音がするときは、タイヤ付近の音と同じく点検が必要な状態として扱う。整備工場には生産時期(車検証の情報)を伝えて調べてもらう。プロペラシャフトの素材は生産時期で違うとされるので、その情報があると整備工場も部品の見当を付けやすい。
ブレーキのキーキー音
BMW ジャパンの発表資料では、M3セダンのブレーキは「Mコンパウンド・ブレーキ・システム」が標準で、「Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システム」がオプション装備とされている。自動車カタログ(グーネット)の諸元では、ブレーキは前後ともベンチレーテッドディスクだ。まず自分の車がどちらのブレーキかを把握しておく。
サビや冷えで鳴くとき
くるまのニュースの記事では、ブレーキを踏んだときのキーキー音は「ブレーキ鳴き」と呼ばれ、中古車ディーラーの整備士の話として、主な原因はサビや冷えとされている。湿気の多い場所に止めた後や雨に濡れた後はディスクにサビが出て鳴きやすく、寒い時期は金属が縮んで鳴きやすい。これらが原因なら、走るうちにサビが取れ、ブレーキが温まって自然に収まることが多い。
鳴き続けるとき
同じ記事では、しばらく走っても鳴きが止まらないときは、パッドが減って交換時期に来ている可能性があり、ディスクローターやキャリパーの異常の可能性も否定できないとされる。挙げられている対処は清掃(タイヤを外して部品を点検し、パッドやディスクの表面をきれいにしてグリスを塗って組み直す)か部品交換で、改善しないときはパッド表面の研磨や鳴き止め剤を塗る方法もある。
ただし、サビや冷えで鳴くときと鳴き続けるときの説明は、どちらもブレーキ全般のもので、カーボン・セラミック・ブレーキの鳴きの原因や対処を説明したものではない。M3 F80 では、どちらのブレーキかを伝え、清掃や部品の交換は自分で行わずに整備工場の判断に任せる。
パッドの残量の確かめ方
JAF のクルマ何でも質問箱では、パッドの残量はホイールを外し、ブレーキキャリパーの点検用の窓から確かめるとされる。残量が 2mm 程度になったら交換するよう案内されていて、そのまま使い続けると制動力が落ち、重大事故につながるおそれがある。パッドが減るとブレーキ液の量も下がり、リザーバータンクの下限を下回るとブレーキ警告灯が点灯するので、点いたら早めに整備工場で点検・交換を受ける。
同じ回答では、ほとんどの国産車でパッドウェアインジケーターがブレーキディスクに直接触れて「キーキー」と音を出し、交換時期を知らせると説明されている。輸入車の M3 F80 のブレーキが同じように音で知らせる仕組みかどうかは、今回の出典では確かめられていない。キーキー音が続くときは、パッドの残量も含めて整備工場で見てもらう。
エンジン停止後のファンの音・鳴き声・ワイパーのビビり音
エンジンを止めた後のファンの音
JAF のロードサービスの Q&A では、一部の車種はエンジンを冷やすため、エンジン停止後もしばらく冷却ファンが回り続けるとされる。長時間回っている場合は故障の可能性も考えられ、すみやかに販売店や整備工場で点検を受けるよう案内されている。M3 F80 がこの仕様に当たるかは確かめられていないので、気になるときは取扱説明書か販売店で確かめる。
鳴き声がするとき
エンジンルームのあたりから猫などの鳴き声がするときは、エンジンをかけない。かけるとベルトなどに動物が巻き込まれる場合がある。JAF の案内では、ボンネットなどエンジンルームの付近をやさしくたたいても解決しないときはロードサービスに頼む。不用意に手を入れると、噛まれてけがや感染症のおそれがある。
ワイパーのビビり音
JAF の案内では、ワイパー動作時のビビり音はガラス面の汚れやはっ水コーティングの影響、ワイパーゴムの劣化が考えられる。窓ガラスを清掃し、はっ水コーティングをしている場合はワイパーゴムにビビり防止剤を塗る。改善しなければワイパーゴムかブレードごと交換し、自分でできなければ販売店や整備工場に頼む。替えゴムやブレードを選ぶときは、サイズの記事を見てほしい。
整備工場・販売店に相談する前に控えておくこと
相談の前に、次の 3 つを分けて控えておく。条件を分けておくと原因の候補を絞りやすく、整備工場にも伝えやすい。
- 音の種類:ガラガラ・キュルキュル・キーキー・ビビり・回転音・鳴き声など
- 音が出る場所:エンジンルーム・足もと・車体の下や後ろ・ダッシュボード
- 出る条件:エンジンをかけた直後か、走行中か、ハンドルを回したときか、ブレーキを踏んだときか、雨の後や寒い朝だけか、エンジンを止めた後か
そのうえで、型式(CBA-3C30)とグレード(M3セダン・コンペティション・CS など)、ブレーキが標準の Mコンパウンドかオプションの Mカーボン・セラミックか、ホイールの大きさ、生産時期を伝える。生産時期は、プロペラシャフトの素材が切り替わったとされるので添えておきたい。車検証を手元に置いておけば、型式や車台番号をすぐ伝えられる。
バッテリーやドラレコなど電装まわりの作業を考えているなら、次の記事も参考になる。
リコールの確かめ方と不具合を国に知らせる窓口
リコールの確かめ方
国土交通省のリコール情報の案内では、リコールの対象になると、ハガキなどで自動車メーカー等から直接通知される。通知が無いときや心配なときは、メーカーか購入した販売店に相談する。国土交通省の「リコール情報検索」では車名(メーカー名)や型式から調べられるが、対象は車台番号の範囲で示されるため、工場やグレードの違いで対象外の車が含まれることもある。個別の車両はメーカーに車台番号で問い合わせるのが確実だ。一部の主要メーカーには、車検証の車台番号を入れて該当するリコールを調べられる仕組みもある。
不具合を国に知らせる窓口
国土交通省の自動車不具合情報ホットラインでは、車の不具合を国に届け出られ、届け出られる例に「異音」も挙げられている。自動車検査証を手元に用意し、車の情報(車名・型式・車台番号など)と、不具合の発生時期・内容の要約・状況と経緯を入力する。寄せられた情報はリコールの隠ぺいの防止や欠陥車両の早期発見に使われ、メーカー等への問い合わせや調査指示に使われることもあるが、個々の情報への回答や報告は行っていない。音の点検そのものは整備工場に頼む。
よくある質問
エンジンからガラガラ音がしたら走り続けてよい?
走り続けずに、安全な場所に止めて連絡する。JAF はエンジンオイルの不足や潤滑不良の可能性がある、点検が必要な状態としている。
朝いちばんや雨の後だけブレーキが鳴くのは故障?
サビや冷えが原因なら走るうちに収まることが多い、とくるまのニュースの記事はブレーキ全般について説明している。しばらく走っても鳴き続けるなら、パッドの摩耗などを疑って点検を受ける。Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システムの鳴きを説明したものではないので、M3 F80 ではどちらのブレーキかを伝え、清掃や部品の交換は自分で行わずに整備工場の判断に任せる。
カーボン・セラミック・ブレーキ付きでも同じ対処でよい?
同じでよいかは確かめられていない。ブレーキ鳴きの出典はブレーキ全般の説明で、Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システムの鳴きを説明したものではない。どちらのブレーキかを伝えて、整備工場の判断に任せる。
エンジンを切った後もファンが回るのは故障?
JAF は停止後もしばらくファンが回るのを一部の車種の仕様としていて、M3 F80 が当たるかは確かめられていない。取扱説明書か販売店で確かめ、長時間回り続けるなら点検を受ける。
自分の M3 F80 がリコールの対象かはどう調べる?
メーカーか購入した販売店に、車検証の車台番号を伝えて問い合わせる。国土交通省のリコール情報検索は型式からも調べられるが、対象は車台番号の範囲で示される。
まとめ
まずは車検証で型式と初度登録年月を確かめ、車台番号とあわせて控えておく。そのうえで、音の種類・出る場所・条件を分けて書き出す。
- ハンドルを回したときの音、エンジン付近のガラガラ音・キュルキュル音、走行中のタイヤ付近の音は、JAF が点検が必要な状態としている。車体の下や後ろの音も同じ扱いにする
- ブレーキのキーキー音は、ブレーキ全般の説明ではサビや冷えなら走るうちに収まることが多く、鳴き続けるなら点検を受ける。Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システムの鳴きを説明したものではないので、どちらのブレーキかを伝え、清掃や部品の交換は整備工場の判断に任せる
- 相談では型式・グレードに加え、ブレーキの種類・ホイールの大きさ・生産時期を伝える
- リコールは車台番号でメーカーか販売店に確かめる
ほかの整備や、先代の異音の記事もあわせて見ておくと役に立つ。

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